雇用保険料の納付方法とは?仕組みや期限、納付書の書き方をわかりやすく解説

雇用保険料の納付は、給与からの天引きだけで完結するものではありません。毎月の給与計算での控除、年1回の年度更新による申告・精算、そして納付処理までが一連の実務です。
これらの流れを正しく理解していないと、納付漏れや期限遅れ、延滞金の発生につながるおそれがあります。
本記事では、雇用保険料の納付の仕組みから具体的な手続き方法まで、実務担当者が迷わないよう体系的に整理して解説します。
基礎知識ともしもの時の対応をくわしく解説
ミスなく期限内に納める必要のある雇用保険料ですが、正しい計算方法や納付のしかたに自信がないとお悩みではありませんか?そのような方に向けて、当サイトでは、
「雇用保険料の納付の仕組みを知りたい!」
「1年に1度の雇用保険料の納付時期はいつ?」
「雇用保険料の正しい納付方法は?」
といった基本的な疑問にお答えするルールBOOKを無料で配布しています。
実務で間違えやすいポイントや加入条件といった基礎知識から、併せて知っておきたいもしものときのの対応もわかりやすく解説しているので、ぜひこちらから無料でダウンロードしてお役立てください。
目次
1. 雇用保険料とは?基本の仕組み


雇用保険料とは、労働者が失業した場合や育児休業を取得した場合などに支給される各種給付の財源となる保険料です。
事業主は、対象となる労働者を雇用した場合、労働保険の一部として雇用保険に加入させなければいけません。そのときに発生するのが、雇用保険料です。雇用保険料は単独で納めず、労災保険料とあわせて「労働保険料」として申告・納付します。
雇用保険料は、労働者に支払った賃金総額に保険料率を乗じて計算します。毎月の給与計算で労働者負担分を控除しますが、実際の保険料の確定・精算は年度更新でおこないます。
具体的な計算方法や年度ごとの保険料率の確認方法は、「2. 雇用保険料納付の流れ」で詳しく解説します。
関連記事:雇用保険とは?パート・アルバイトの加入適用や給付内容についてわかりやすく解説
1-1. 雇用保険の対象者と加入要件
雇用保険料を正しく納付するためには、まず「だれが加入対象になるのか」を押さえておく必要があります。次の2つの要件を満たす労働者は、雇用保険の被保険者です(一部の学生等を除く)。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上引き続き雇用される見込みがある
正社員に限らず、パート・アルバイト・契約社員も対象です。雇用形態ではなく、労働時間と雇用見込みで判断します。
加入対象者を雇用したら、事業主は資格取得届を提出し、その賃金を保険料算定の対象として管理しましょう。加入判定を誤ると、保険料の計算漏れや納付漏れにつながるため、入社時点での確認が重要です。
関連記事:雇用保険の加入条件とは?雇用形態ごとの条件や手続き方法を解説
2. 雇用保険料納付の流れ


雇用保険料は、毎月納付するものではありません。労災保険料とあわせて「労働保険料」として、年度単位(4月1日〜翌年3月31日)で申告・納付します。先に今年度分を概算した保険料を支払っておき、後で過不足を精算する仕組みです。
実務の流れは、次のとおりです。
- 前年度(4月〜翌3月)の賃金総額を確定する
- 前年度分の保険料を計算し、確定保険料を算出する
- 今年度分の概算保険料を算出する
- 申告書を作成し、期限内に申告・納付する
この一連の手続きを「年度更新」といいます。本章で詳しく解説していきます。
関連記事:労働保険の年度更新とは?提出期限や電子申請手続きのやり方をわかりやすく解説!
2-1. 雇用保険料の納付期限はいつ?
雇用保険料を含む労働保険料は、毎年6月1日から7月10日までの間に申告・納付します。7月10日が土日祝日にあたる場合は、翌営業日が期限です。
前年度(4月1日〜翌年3月31日)の賃金総額をもとに確定保険料を算出し、あわせて今年度分の概算保険料を申告します。
なお、各月の給与から雇用保険料を控除していても、その時点では会社が従業員負担分を一時的に預かっているだけの状態であり納付は完了していません。年度更新で申告し、期限内に納付して初めて納付義務を履行したことになります。期限を過ぎると延滞金が発生する可能性があるため、給与計算・人事・経理が連携し、年度更新のスケジュールを事前に管理しておきましょう。
2-2. 前年度の雇用保険料を含む労働保険料を確定する
年度更新では、まず前年度(4月1日から翌年3月31日まで)に実際に支払った賃金総額をもとに確定保険料を算出します。
前年度確定保険料=前年度賃金総額×当該年度の保険料率
雇用保険料は、前年度の賃金総額に当該年度の雇用保険料率を乗じて計算します。ここでいう賃金には、基本給だけでなく、各種手当や賞与も含まれます。通勤手当も、非課税分を含めて算定対象となるため、集計漏れがないよう注意が必要です。
確定保険料とは、前年度に実際に支払った賃金を基礎として計算した、本来納めるべき保険料額をいいます。前年度の年度更新時に申告した概算保険料と確定保険料の差額を精算し、不足があれば追加納付、超過があれば今年度分へ充当または還付されます。
実務では、賞与の集計漏れや年度途中の入退社者の賃金反映漏れ、保険料率の適用誤りなどが発生しやすい点に注意しましょう。特に、保険料率が改定された年度は、対象期間ごとに正しい料率を適用しているかの確認が重要です。
また、給与データと会計データの整合性の確認も欠かせません。給与支払総額と総勘定元帳の金額を照合し、被保険者数や前年度概算額との差異を確認し、過少申告や納付漏れのリスクを未然に防ぎましょう。
そもそも雇用保険料の計算について不安があるという方に向けて、当サイトでは「雇用保険料の計算方法ともしものときの対応ルールBOOK」を無料配布しております。
雇用保険料の計算をわかりやすく解説しているだけでなく、雇用保険に手当は含まれるのか、日割り計算はできるか、加入手続きの対応が遅れた場合の対応など、雇用保険に関するよくある質問をまとめています。興味のある方はこちらから無料で資料をダウンロードしてご覧ください。
2-3. 今年度の雇用保険料を含む労働保険料を概算する
前年度分の確定保険料を算出したあとは、今年度分の概算保険料を計算しましょう。概算保険料は、原則として前年度の賃金総額を基礎に算出します。前年度と同程度の賃金支払いが見込まれる場合は、その金額に当該年度の保険料率を乗じて計算します。
今年度の概算保険料=今年度の見込賃金総額×当該年度の保険料率
事業規模や人員体制に大きな変動がある場合には、実態に即した賃金見込額の設定が重要です。見込み額が実態とかけ離れていると、翌年度の確定時に多額の精算が発生する可能性があります。
年度更新では、前年度分の確定保険料と前年度に納付済みの概算保険料との差額を精算し、あわせて今年度分の概算保険料を申告・納付します。
納付額=(前年度の確定保険料−前年度の概算保険料)+今年度の概算保険料
翌年度の精算負担を抑えるうえでも、適切な見込み額の設定が重要です。
ここまでの流れを、年度更新の流れに沿って整理すると次のようになります。
- 例:2026年度の年度更新
-
- 2025年度の賃金総額をもとに、確定保険料を算出する
- 2026年度に見込まれる賃金をもとに、概算保険料を算出する
- 6月1日〜7月10日の間に、確定保険料の精算と概算保険料の申告・納付をする
このように、労働保険料は前年度分を確定しながら、当年度分を概算で前払いする仕組みになっています。
当サイトでは、社会保険料(労働保険料・健康保険料・厚生年金保険料)の計算方法を解説した資料を無料で配布しております。社会保険料の計算方法に関して不安な点があるご担当者様は、こちらから「社会保険料の給与計算マニュアル」をダウンロードしてご確認ください。
関連記事:雇用保険料率とは?なぜ計算割合が異なるのかや令和8年度の変更案を解説!
関連記事:雇用保険料の計算方法とは?対象者や端数の処理など注意点を解説
2-4. 申告書を作成し、申告・納付する
確定保険料と概算保険料を算出したら、「労働保険概算・確定保険料申告書」を作成し、年度更新期間(6月1日〜7月10日)内に申告・納付します。
年度更新では、前年度の確定保険料と前年度に納付済みの概算保険料との差額を精算し、あわせて今年度分の概算保険料を納付します。
申告書は、紙様式のほか、厚生労働省が提供するExcel形式の計算支援ツールによる作成も可能です。計算誤りを防ぐためにも、公式様式や電子申請システムの活用が有効です。
参考:主要様式ダウンロードコーナー (労働保険適用・徴収関係主要様式)|厚生労働省
なお、電子申請が義務化されている「特定の法人(資本金1億円超など)」に対しては、令和8年度の年度更新から紙の申告書や納付書の郵送が廃止されるため、電子申請への完全移行が必要です。
2-5. 雇用保険料の納付済証明書を貰う方法
雇用保険料を含む労働保険料を納付したあとは、納付の事実を証明できる書類を保管しましょう。
金融機関窓口で納付した場合は、申告書の控えに押される領収印が納付の証明となります。電子申請・電子納付の場合は、受付結果通知や納付完了画面のデータを保存しておきます。
公共工事の入札や各種許認可申請などで納付状況の確認を求められることもあるため、年度ごとに整理して保管しましょう。
3. 雇用保険料の納付方法


雇用保険料を含む労働保険料の納付方法には、主に「窓口納付」「口座振替」「電子納付」があります。自社の規模や管理体制に応じて、適切な方法を選択しましょう。
3-1. 窓口での現金納付
金融機関の窓口で申告書を提出し、その場で納付する方法です。納付書に記載された金額を支払い、領収印を受けることで納付が完了します。
比較的小規模な事業所では一般的な方法ですが、持参忘れや期限直前の混雑などのリスクもあります。
3-2. 口座振替による納付
労働保険料は、「労働保険料等口座振替依頼書」の提出により、指定口座からの自動引落しによる納付が可能です。引落日に残高不足があると未納扱いとなるため、資金管理には注意しましょう。口座振替依頼書は労働局や労働基準監督署で入手でき、必要事項を記入のうえ管轄の労働局へ提出します。
令和8年度の申込締切日は、第1期分が2月25日、第2期分が8月14日、第3期分が10月14日となっています。年度ごとに日程が示されるため、最新の案内を確認しましょう。
労働保険料は、原則として年度更新時に一括納付します。ただし、概算保険料額が一定額以上の場合は、3回までの分割納付(延納)を選択できます。口座振替を利用した場合の引落日は、令和8年度の例では次のとおりです。
一括納付の場合
- 令和8年9月7日
分割納付の場合
- 第1期分:令和8年9月7日
- 第2期分:令和8年11月16日
- 第3期分:令和9年2月15日
3-2-1. 金融機関であれば、どこでも口座振替による納付をおこなえる?
口座振替は、すべての金融機関で利用できるわけではありません。利用できるのは、厚生労働省が指定する取扱金融機関に限られます。
都市銀行や地方銀行、信用金庫、信用組合、ゆうちょ銀行など、多くの金融機関が対応しています。一方で、一部のネット銀行では口座振替に対応していない場合があります。
利用を検討する際は、事前に自社の取引金融機関が対応しているかを確認しましょう。
雇用保険料の納付期限の管理は、担当者が変わったり、繁忙期と重なったりすることで、思わぬ漏れが生じやすいポイントです。口座振替を利用すれば、引落しが自動化されるため、期限管理のリスクを大幅に減らせます。
事務負担の軽減という観点からも、まだ口座振替を利用していない事業所には積極的におすすめしています。
3-3. 電子納付による納付
労働保険料は、電子申請(e-Gov)と電子納付により、オンラインで申告・納付できます。電子納付には、主に次の方法があります。
- インターネットバンキング
- Pay-easy(ペイジー)対応ATM
- ダイレクト納付(口座引落し)
令和7年度より、郵送される紙の納付書にも「収納機関番号」「納付番号」「確認番号」が印字されるようになりました。これにより、電子申請の有無にかかわらず、ペイジーによるATMやインターネットバンキングでの納付が可能です。
事前に登録しておけば、指定口座から自動で引き落とす「ダイレクト納付」も利用できます。申告から納付までオンラインで完結できる点がメリットです。
一方、電子納付を利用するには、電子証明書の取得やインターネットバンキング契約などの事前準備が必要な場合があります。また、電子納付では紙の領収書は発行されず、納付履歴は電子データで管理します。
電子申請の有無にかかわらず、年度更新の申告期限(6月1日〜7月10日)は変わりません。期限内に申告・納付を完了させましょう。
関連記事:社会保険料の納付方法は?仕組みや納付期限、納付書について解説
3-4. 分割で納付する方法
労働保険料は、当年度の概算保険料を原則として年度更新時に一括納付します。
ただし、概算保険料が40万円以上の場合は、3回までの分割納付(延納)を選択できます。なお、労災保険または雇用保険のいずれか一方のみが成立している場合は、概算保険料が20万円以上で延納が可能です。
また、労働保険事務を事務組合に委託している場合は、金額にかかわらず延納が可能です。
延納を選択した場合の納期限は、労働保険関係の成立時期に応じて次のとおりです。
|
事業場成立時期 |
前年度以前 |
4月1日から5月31日 |
6月1日から9月30日 |
|
第1期納付期限 |
7月10日 |
成立日の翌日から50日 |
成立日の翌日から50日 |
|
第2期納付期限 |
10月31日 |
10月31日 |
1月31日 |
|
第3期納付期限 |
1月31日 |
1月31日 |
– |
労働保険事務を事務組合に委託している場合は、第2期(10月31日)および第3期(1月31日)の納期限がそれぞれ11月14日、2月14日に延長されます。
また、10月1日以降に労働保険関係が成立した事業は、成立日から当年度末(3月31日)までの概算保険料を一括で納付し、分割納付(延納)は翌年度から可能です。
4. 雇用保険料を納付したときの仕訳方法


雇用保険料は、従業員負担分と会社負担分を合算して納付しますが、会計処理上はそれぞれ性質が異なります。適切に区分して仕訳をおこないましょう。
労働保険料の会計処理は、会社の会計方針により複数の方法があります。本章では、給与が発生した月に会社負担分を費用として計上する一般的な処理方法を中心に解説します。
4-1. 概算保険料を納付したときの仕訳
概算保険料を納付した際の仕訳方法は、自社の会計方針によって異なります。代表的な2つの処理方法を確認しましょう。
①前払費用で処理する方法
概算保険料は「将来の保険期間に対する前払い」という性質を持つため、納付時に前払費用として資産計上し、月次で法定福利費に振り替える方法です。費用を平準化しやすく、月次損益を正確に把握したい企業に適しています。
◎仕訳例
従業員負担分2万円、会社負担分3万円の概算保険料を合計5万円、普通預金から納付した。
|
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
|
前払費用 |
30,000円 |
普通預金 |
50,000円 |
概算保険料の納付 |
|
預り金 |
20,000円 |
従業員負担分の充当 |
その後、毎月次のように振り替えます。
|
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
|
法定福利費 |
2,500円 |
前払費用 |
2,500円 |
概算保険料の月次振替(会社負担分÷12) |
②法定福利費で一括処理する方法
納付時にまとめて法定福利費として費用計上する方法です。月次処理を簡略化できるため、小規模企業や経理体制がシンプルな企業に適しています。
◎仕訳例
従業員負担分2万円、会社負担分3万円の概算保険料を合計5万円、普通預金から納付した。
|
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
|
法定福利費 |
30,000円 |
普通預金 |
50,000円 |
概算保険料の納付 |
|
預り金 |
20,000円 |
従業員負担分の充当 |
いずれの方法でも、従業員負担分(預り金)と会社負担分(法定福利費または前払費用)を明確に区分し、自社の会計方針に沿って統一的に運用しましょう。
4-2. 従業員から雇用保険料を徴収したときの仕訳
給与支給時に従業員負担分を天引きした場合、その金額は会社が一時的に預かっている状態となります。そのため、一般的には「預り金」で処理します。
◎仕訳例
基本給30万円と交通費5万円から源泉徴収税2万円、住民税1万円、社会保険料2万円、雇用保険料900円を控除して支給した。
|
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
|
給与 |
300,000円 |
現金 |
299,100円 |
○月分 給与 |
|
旅費交通費 |
50,000円 |
預り金 |
20,000円 |
○月分 源泉所得税 |
|
– |
– |
預り金 |
10,000円 |
○月分 住民税 |
|
– |
– |
預り金 |
20,000円 |
○月分 社会保険料 |
|
– |
– |
預り金 |
900円 |
○月分 雇用保険料 |
|
法定福利費 |
20,000円 |
未払費用 |
20,000円 |
会社負担分の社会保険料 |
|
法定福利費 |
900円 |
未払費用 |
900円 |
会社負担分の雇用保険料 |
なお、従業員負担分の雇用保険料は、「預り金」や「立替金」などの勘定科目を使用して処理します。一方、会社負担分は「法定福利費」として費用計上します。
関連記事:新入社員の社会保険料が発生するタイミングと計算方法を解説
4-3. 確定保険料との差額が生じた場合
年度更新時に前年度の確定保険料を計算した結果、概算保険料との間に差額が生じることがあります。差額が生じた場合は、追加納付または還付・充当の処理が必要です。
① 確定保険料>概算保険料の場合(追加納付)
概算保険料が不足していたため、差額を追加で納付します。
◎仕訳例
概算保険料50,000円に対し、確定保険料が60,000円となった。差額10,000円を普通預金から追加納付した。
|
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
|
法定福利費 |
10,000円 |
普通預金 |
10,000円 |
確定保険料の追加納付 |
② 確定保険料<概算保険料の場合(還付または充当)
概算保険料が過払いとなったため、差額が還付されるか当年度概算保険料に充当されます。
◎仕訳例
概算保険料50,000円に対し、確定保険料が45,000円となった。差額5,000円が普通預金に還付された。
|
借方 |
貸方 |
摘要 |
||
|
普通預金 |
5,000円 |
法定福利費 |
5,000円 |
確定保険料の還付 |
4-4. 会社負担分のそのほかの会計処理方法
本章で解説した方法は、概算保険料の納付時に前払費用または法定福利費として処理する一般的な方法です。企業の規模や経理体制に応じて、次のような会計処理が採用されることもあります。
- 中小規模企業向けの方法
納付時にまとめて法定福利費として計上する方法です。月次処理を簡略化できる一方、費用が納付月に集中する点に注意が必要です。
- 大企業や内部統制を重視する企業向けの方法
会社負担分を毎月法定福利費として計上し、決算時に未払費用で調整する方法です。発生主義に忠実で、月次損益を正確に把握しやすい処理です。
いずれの方法でも、従業員負担分と会社負担分を明確に区分し、自社の会計方針に沿って統一的に運用しましょう。
5. 雇用保険料を納付するときの注意点


雇用保険料の納付は、単なる支払い手続きではありません。給与計算・年度更新・経理処理が連動するため、いずれかに誤りがあると過不足や納付漏れにつながります。本章では、特に注意すべきポイントを整理します。
5-1. 納付期限を厳守し、未納リスクを防ぐ
労働保険料(雇用保険料を含む)は、原則として毎年6月1日から7月10日までの年度更新期間内に申告・納付します。延納を選択した場合は、それぞれの納期限までに確実に納付しなければなりません。
期限を過ぎると延滞金が発生する場合があります。また、労働保険料の未納は、助成金申請や公共入札などに影響する可能性もあるため、スケジュール管理を徹底しましょう。
関連記事:社会保険料を滞納する8つのリスクや支払えないときの対策を解説
5-2. 保険料率を間違えないようにする
雇用保険料率は、原則として年度ごとに見直されます。厚生労働省のウェブサイトで毎年公表されるので、年度更新の時期にあわせて最新の料率を確認しましょう。
料率が改定された場合は、4月1日以降に最初に到来する給与の締日から新しい料率を適用します。雇用保険料は、賃金の支払義務が確定したタイミング、実務上は「締日」を基準に計算するため、支払日ではなくどの締日に属する賃金かで判断する点に注意が必要です。
例えば、次のように取り扱います。
- 月末締め翌月20日払いの会社
4月30日締め(4月1日~4月30日分・5月20日支払い)から新料率を適用します。
3月31日締め(4月20日支払い)は旧料率です。
- 20日締め当月末日払いの会社
4月20日締め(3月21日~4月20日分・4月30日支払い)から新料率を適用します。
給与計算ソフトを利用している場合でも、年度切替時に料率設定が正しく変更されているかを必ず確認しましょう。間違えると、年間を通じて過不足が生じ、年度更新時の精算負担が大きくなるおそれがあるため注意しましょう。
関連記事:雇用保険料率とは?なぜ計算割合が異なるのかや令和8年度の変更案を解説!
5-3. 賃金が大幅に増加する場合に追加申告を忘れない
労働保険料は、前年度の賃金総額を基礎に概算で前納します。ただし、次の2つの条件をいずれも満たす場合は、増加概算保険料の申告が必要です。
- 当年度の賃金総額の見込みが、当初の概算の基礎とした賃金総額の2倍を超える
- 増加する概算保険料が13万円以上になる
申告期限は、賃金総額が2倍を超えることとなった日から30日以内です。年度途中でも賃金総額の状況を定期的に確認し、増加概算保険料の申告を忘れないようにしましょう。
6. 企業に適した方法で雇用保険料を納付しよう


雇用保険料の納付は、給与計算・年度更新・経理処理が連動する実務です。仕組みや期限、料率の適用タイミングを正しく理解していないと、過不足や納付漏れにつながるおそれがあります。
加入判定、締日基準での料率適用、概算と確定の差額管理といった基本を押さえたうえで、自社に合った会計処理方法を統一的に運用しましょう。制度理解と日常の管理を両立させ、期限内に正確な納付ができる体制の整備が、労務コンプライアンスの基盤となります。
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