社員退職時の社会保険喪失手続きとは?退職日ごとの社会保険料の違いも解説 - ジンジャー(jinjer)|統合型人事システム

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社員退職時の社会保険喪失手続きとは?退職日ごとの社会保険料の違いも解説

退職準備

従業員の退職が決まったら、多くの手続きが必要になります。特に社会保険の手続きは期限が決まっていたり賃金に関わったりする問題であるため、退職者に迷惑をかけないように早く正確に実行しなくてはいけません。

この記事では、社員が辞めるときの社会保険の退職手続きについて解説します。

漏れが生じないように、しっかりと手順や内容について把握しておきましょう。

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◆この資料でわかること

  • 最新の法改正に対応した、社会保険手続きのポイント
  • 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
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  • 年金制度改正法成立によって、社会保険の適用条件はどう変わる?

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1. 社員が退職したときの手続き・流れを解説

手続き

自社の従業員が退職したのであれば、人事担当者は次のような手続き、流れで対応していきましょう。

  • 退職届、申出などを受理
  • 健康保険証・貸与物の回収
  • 社会保険(健康保険と厚生年金)の喪失手続き
  • 雇用保険の喪失手続き
  • 所得税や住民税の手続き
  • 離職票や源泉徴収票の発行

ここでは、これらの手続きについて解説していきます。

1-1. 退職届、申出などを受理

従業員から退職届が提出されたら、内容を確認したうえで受理した旨を該当の従業員に伝えましょう。受理の連絡は記録が残りにくいチャットではなく、メールや書面を用います。

退職の申し出や退職届の提出は、退職日の1ヵ月前までと規則を設けている企業が一般的ですが、1ヵ月前までの提出に法的な拘束力はありません。

退職に関しては、民法第627条で下記のように定めています。

第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。

引用:民法|e-GOV 法令検索

このように、無期雇用の従業員が退職を申し出た場合、2週間後には雇用関係が終了すると定めていまるので、従業員が1ヵ月後ではなく、2週間後の退職を希望した場合でも受け入れが必要です。

1-2. 健康保険証・貸与物の回収

従業員の退職が決定したら、健康保険証を回収します。健康保険証は退職日の翌日に資格が失われます。しかし、それまでは保険証は有効であり、退職日までに医療機関を受診する可能性もあるため、退職日に回収するか後日郵送してもらうかを選択しましょう。

なお、従業員によっては健康保険証を紛失している可能性があります。健康保険証を紛失しているのであれば、「社会保険の資格喪失届」とあわせて「健康保険被保険者証回収不能届」を健康保険組合もしくは日本年金機構に提出が必要です。

また、退職する従業員が使用していた会社関連のものも回収しなければなりません。データや書類、パソコンなどは引継ぎをおこない、入館証や名刺など故人で使用していたものも回収してください。会社関連のものが未回収になってしまうと、情報漏洩や不正使用などのトラブルになる可能性があるため、健康保険証の回収や各種貸与品の返却については時期や方法を明確にしましょう。

1-3. 社会保険(健康保険と厚生年金)の喪失手続き

社員が退職した際には、健康保険と厚生年金の喪失手続きをおこなう必要があります。喪失手続きの期限は資格喪失日(退職日の翌日)から5日以内です。

自社が協会けんぽに加入しているのであれば、いずれの喪失手続きも年金事務所もしくは日本年金機構の事務センターで完了します。一方、健康保険組合に加入しているのであれば厚生年金は年金事務所もしくは日本年金機構の事務センター、健康保険は健康保険組合で対応してもらいます。手続き方法は電子申請もしくは郵送、窓口持参です。

なお、従業員によっては厚生年金に加入した月末を迎える以前に退職するケースがあります。このようなケースであっても、原則としてその月の厚生年金保険料は納めなければなりません。退職者の自己負担分は退職時の給与から差し引き、企業は会社負担分とあわせて翌月末までに支払う必要があります。

1-4. 雇用保険の喪失手続き

従業員が退職したら、雇用保険の喪失手続きも忘れずにおこなわなければなりません。手続きは、退職日の翌々日から10日以内までに、速やかにおこなうことが求められます。事業主は、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を自社が管轄するハローワークに提出しましょう。

雇用保険の喪失手続きはここまでですが、喪失届や離職証明書が受理されると、ハローワークから「離職票」が交付されます。退職した従業員が失業保険を受給するには、この「離職票」が必要です。そのため、担当者は離職票が交付されたら、退職者に忘れずに交付してください。

なお、10日以内の提出期限を過ぎてしまった場合、離職票の交付も遅くなってしまうので退職者に不利益が生じることがあります。提出しなかった場合は、退職者が失業保険給付を受けられないのはもちろん、雇用保険法第83条により6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられる可能性もあるので、確実に手続きをおこなってください。

1-5. 所得税や住民税の手続き

所得税の手続きにあたっては、源泉徴収票を発行して退職から1ヵ月を目途に退職者に交付します。

一方、住民税を特別徴収していたのであれば、原則として退職日の翌月10日までに「給与支払報告に係る給与所得異動届書」を市町村へ提出しなければなりません。ただし、提出期限に関しては市区町村によって異なる可能性もあるので、担当者は手続きの期日を間違えないように事前に確認しておきましょう。

なお、住民税の徴収方法はいつ退職したのか、転職先が決まっているのかによって異なります。退職が1月から4月であれば、未徴収分を一括徴収します。一方で、6月から12月に退職したのであれば、退職する従業員に一括徴収と普通徴収のどちらかを選択してもらいます。

ただし、これから支払う給与額が徴収額を下回る場合は普通徴収に切り替える場合もあるので注意しましょう。

1-6. 離職票や源泉徴収票の発行

従業員が退職した際には、会社は源泉徴収票や離職票などの必要書類を、退職者に対して必ず交付する義務があります。退職日当日に直接手渡しできないケースも多いため、退職後に郵送などの方法で確実に届けるようにしましょう。

前述していますが、ハローワークに「雇用保険被保険者資格喪失届」を提出すると、離職票-1 と離職票-2で構成される離職票が交付されます。これは失業給付の手続きに欠かせない書類なので、退職者へ速やかに渡す必要があります。

さらに、退職金を支給した場合には、退職金に関する源泉徴収票をあわせて発行し、退職者に送付してください。

また、社会保険の資格喪失手続きを終えると、健康保険被保険者資格喪失確認通知書が会社に届きます。こちらも退職者へ忘れずに交付しましょう。

2. 会社が社員の退職後に渡す社会保険の関連書類

書類と虫眼鏡退職手続きをおこなったあとは、必要な書類を本人へ渡さなくてはいけません。

転職のときや失業給付の手続きをするときに必要となるので、退職者が困らないように遅延なく渡しましょう。

それぞれの書類を退職者に渡すタイミングは次のとおりです。

書類の種類

渡す一般的なタイミング

雇用保険被保険者離職票

退職日から10〜14日後

健康保険被保険者資格喪失確認通知書

退職をした日の翌日から14日以内

源泉徴収票

最後の給与明細と同じタイミング

雇用保険被保険者証

退職日

退職証明書

退職日の翌日以降

年金手帳

退職当日~1ヵ月程度

ここでは、それぞれの書類について詳しく解説します。

2-1. 雇用保険被保険者離職票

雇用保険被保険者離職票は、退職者が次の仕事に就くまでの収入を確保するための「失業給付」を受けるために必要な書類でハローワークが発行します。

雇用保険被保険者離職票には、離職者本人が記入しなければならない「雇用保険被保険者資格喪失届離職票-1」と、基本的に事業主が記入する「被保険者離職証明書の本人控離職票-2」の2種類があります。

雇用保険被保険者資格喪失届離職票-1は、退職者本人が失業給付金の振込先を記入するもので、ハローワークの窓口で交付を受けられますが、ウェブサイトからのダウンロードも可能です。

被保険者離職証明書の本人控離職票-2は、事業主が離職者に関する情報を記入するもので、3枚綴りの複写用紙のうち「被保険者離職証明書の離職者用控え」が離職票の一部になります。

被保険者離職証明書の様式は、インターネット上でダウンロードすることはできません。交付はハローワークから受けなければならないので、窓口交付もしくは郵送等によって交付を請求しましょう。

これらの書類がないと失業給付が受けられないため、発行されたら速やかに退職者へ交付しましょう。

関連記事:離職票と離職証明書の違いや交付されるまでの流れも解説

2-2. 健康保険被保険者資格喪失確認通知書

この書類は、退職者が協会けんぽや健康保険組合から脱退し、被保険者でなくなったことを証明するものです。

転職する場合は必要になることがありませんが、国民健康保険に加入することを希望している場合は、手続きの際に提出を求められます。希望されたときにすぐコピーを渡せるように退職者にアナウンスしておきましょう。

なお、国保へ加入する際は、退職日の翌日から14日以内に市区町村の窓口に届け出なくてはいけません。この際に通知書が手元にない場合は、「健康保険資格喪失連絡票(社会保険喪失連絡票)」があれば手続きが可能です。

各自治体のホームページでダウンロードが可能なので、発行が間に合わない場合は案内しておきましょう。

2-3. 源泉徴収票

源泉徴収票は、その社員が1年間に支払いを受けた給与と、納めた所得税の金額について記載された書類です。年末調整の際に転職先へ提出したり、確定申告の際に必要になったりするので、退職から1ヵ月以内が交付期限となります。

源泉徴収票の交付は明確に期限が設けられており、期限を過ぎても交付されない場合は「法定調書の不提出」とみなされて、税務署から是正指導を受けることがあります。

源泉徴収票を交付期限までに提出しなかったり、虚偽記載があったりした場合は、所得税法第242条に基づき1年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科される可能性もあるので注意してください。

また、翌年1月末までに退職者本人が住居する市区町村にも提出することが義務付けられているので、忘れずに手続きをおこないましょう。

2-4. 雇用保険被保険者証

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していたことを証明する書類です。基本的には加入者本人が保管しなければならないものですが、実際には従業員の保険関係のあらゆる手続きをおこなう事業主(会社側)が保管・管理をしているのが一般的です。

雇用保険被保険者証というのは、雇用保険の資格の有無を確認する時や失業・育児休業等で給付を申請する際の本人確認、事業主が雇用保険に関する各種手続きをおこなう際などいろいろな場面で必要になります。

ただし、失業時の基本手当申請や再就職する際には、退職者自身がこの書類を持っていなければなりません。この書類がないと手続きをおこなえないので、会社側で保管している際には、忘れずに従業員に返却をしてください。

2-5. 退職証明書

退職証明書とは、退職者に対して「当該従業員が確かに退職したこと」を証明する書類で、企業が発行します。基本的に、「従業員からの希望がない場合」は発行の必要はありませんが、労働基準法において発行が義務付けられているため、退職者からの請求があった場合に企業が速やかに発行しなければなりません。

証明書は退職者本人が今後の就職活動などで勤務実績を示す必要がある際に用いられるもので、在職期間や業務内容といった情報を記載します。法律上、明確な発行期限が定められているわけではありませんが、「速やかに」対応することが求められるため、請求があればできるだけ早めに手続きを行いましょう。

なお、退職証明書は退職後2年間は請求の権利が認められています。

2-6. 年金手帳

年金は、原則として個人に1つ割り振られている基礎年金番号によって管理されています。この番号は生涯変わることがなく、年金手帳に記載されているため、年金管理のために会社側が預かっていることがあるかもしれません。

年金手帳は、国民年金や厚生年金などの公的年金に加入した際に交付されていた手帳ですが、2022年4月1日から廃止されています。そのため、それ以降に公的年金に加入した人には、基礎年金番号通知書で年金番号が通知されています。

しかし、すでに年金手帳を持っている方には基礎年金番号通知書が新たに発行されるわけではなく、基礎年金番号が必要な場面もあるので、会社側で預かっている場合は必ず退職者に返却してください。

3. 退職する従業員へ案内すること

はてなと女性

従業員が退職する際は必要な退職手続きに加えて、次のような点を案内しておきましょう。

  • 任意継続被保険者の説
  • 国民年金の加入手続き(再就職先がない場合)
  • 失業保険や各種給付金の案内
  • 住民税の支払い
  • 扶養の手続き

3-1. 任意継続被保険者の説明

退職により健康保険の資格を喪失した従業員に対しては、引き続き自社の健康保険に加入できる「任意継続被保険者制度」について説明しましょう。

これは、退職日の翌日から20日以内に申請すれば、最長2年間は従前の健康保険組合に加入できる制度です。国民健康保険に加入する場合と比較して、扶養家族が多い場合や医療費がかかる見込みがある場合には有利となるケースがあります。

説明にあたっては次のようなポイントを押さえておきます。

手続きの締め切り:退職日の翌日から起算して20日以内

誰が手続きするか:退職者本人

必要な書類:任意継続被保険者資格取得申出書、健康保険証、その他、協会けんぽや健康保険組合が指定する必要書類

提出先:協会けんぽの場合は退職前に加入していた協会けんぽの支部、健康保険組合の場合は各組合

ただし、保険料は全額自己負担となり、これまで事業主が負担していた分も含めて支払う点を説明することが重要です。保険料額は在職中の標準報酬月額を基に計算されるため、従業員にとって負担が大きくなる可能性があることも説明しておきましょう。

3-2. 国民年金の加入手続き(再就職先がない場合)

退職後に再就職先が未定の従業員は、国民年金への加入手続きをおこなう必要があります。退職者は、厚生年金の資格を喪失した翌日から国民年金第1号被保険者となるため、市区町村役場での手続きが必要です。

国民年金は20歳から60歳までのすべての人に加入義務があるため、未加入のままにすると将来の年金受給資格に影響します。さらに、失業などで保険料の支払いが困難な場合には「免除制度」や「納付猶予制度」を利用できるため、退職する従業員に再就職先がない場合は次の点を案内しましょう。

誰が手続きするか:退職者本人

必要な書類:年金手帳、免許証ほか本人確認書類

手続きの締め切り:退職後14日以内が目安

手続き先:住民票がある市区町村役場の年金担当窓口

自治体によっては郵送での手続きに対応している可能性があるため、従業員に案内しておきましょう。

3-3. 失業保険や各種給付金の案内

退職後に従業員の再就職が決まっていない場合には、雇用保険の基本手当(失業保険)の受給資格を満たす可能性があります。自己都合退職か会社都合退職かによって給付開始時期や給付日数が異なるため、会社で離職票を用意して、退職者に速やかに交付することを伝えておきましょう。

離職票はハローワークへ出向いておこなう手続きに必要であり、手続きの開始時期を誤ると給付開始が遅れる場合があります。原則として、離職日の翌日から起算して1年間が受給期間です。申請が遅くなるほど受給できる期間が短くなる可能性があります。

ハローワークでは失業保険のほかにも、育児休業給付金や介護休業給付金などの給付制度についての案内がおこなわれることがあります。これらの給付金は一定の条件を満たす必要があるため、退職者には該当の制度が存在する可能性があることを伝えたうえで、ハローワークや各行政機関に詳細を確認するよう促すと良いでしょう。

3-4. 住民税の支払い

退職後の従業員にとって、住民税の取り扱いは重要な手続きの一つです。住民税は前年の所得に基づいて課税されるため、退職後も納税義務が継続します。退職時点で住民税をどのように精算するかは大きく2つにわかれます。

退職時期によっては、企業での給与支払いから残りの住民税額を一括徴収する場合があるものの、退職日が6月から12月にあたる場合は、一括徴収するか普通徴収に切り替えるか、退職者が選択することが可能です。担当者は、従業員が納税方法を理解できるように説明し、必要に応じて税務課への問い合わせを促すことが望まれます。正確な案内をおこなうことで、未納や滞納によるトラブルを未然に防止できます。

3-5. 扶養の手続き

退職に伴い、従業員本人や扶養家族の社会保険上の取り扱いも見直す必要があります。特に配偶者や子どもが被扶養者として認定されていた場合、資格喪失により扶養から外れるため、速やかに変更手続きをおこなわなければなりません。

退職後、退職者本人が家族の扶養に入る場合は、次の点を案内します。

誰が手続きするか:被保険者

必要な書類:退職証明書や収入を証明する書類など扶養認定に必要な書類、被保険者の勤務先が指定する申請書

手続きの締め切り:扶養に入るタイミングで速やかに手続きをする

手続き先:被保険者の勤務先が加入する健康保険組合や協会けんぽ

再就職先の健康保険に加入する場合は、新しい勤務先での扶養認定に切り替えが必要です。また、国民健康保険や国民年金には扶養の概念がないので、家族ごとに個別に加入手続きが必要となることも説明しておきましょう。

4. 退職時の社会保険の計算方法

電卓で計算する

社会保険とは健康保険、厚生年金保険、雇用保険、介護保険、労災保険の5つを指しますが、ここでは健康保険(および対象者は介護保険)、厚生年金保険、雇用保険の3つに絞って説明します。

社会保険料は会社と社員がそれぞれ半分ずつ負担する形式です。退職日まで社会保険は有効であるため、資格喪失日は退職日の翌日となります。ただし、退職に伴う社会保険料の計算は、退職日によって取扱いが大きく異なるので注意してください。

社会保険料は月単位で計算され、資格を喪失する日が月末か、月中かによって支払義務が変わります。例えば、退職日が月末であればその月分の社会保険料は発生しませんが、月中退職の場合はその月の保険料を全額負担する必要があります。正しい資格喪失日を確認しておかないと給与や退職金の支払いミスが起こる可能性もあるので、この仕組みを理解して正確な手続きと計算をおこないましょう。

5. 退職日によって変わる社会保険料負担額の例

医者が豚の貯金箱を持っている

社会保険料は、退職日によって計算方法が変わります。

  • 月末に退職する場合
  • 月中に退職した場合
  • 月末の1日前に退職した場合
  • 退社日が平日か休日かで社会保険料は変わる?

ここでは、実際の保険料のケースを解説していきます。

5-1. 月末に退職する場合

月末に退職した場合、社会保険の資格喪失日は退職した月の翌月の初日となります。具体的には、9月30日に退職した場合、資格喪失日は10月1日となり、9月分の社会保険料の負担が発生します。

ここで注意が必要なのが、社会保険料の控除タイミングです。社会保険料は多くの場合、当月分を翌月の保険料を給与から控除します。

特に重要なのは、給与が当月払いの場合です。この場合、退職月の給与から2ヵ月分の社会保険料が控除されることがあり、これが人事担当者にとっての注意点となります。従って、月末に退職する社員に対しては、この点を含めた詳細な説明と確認が必要となるでしょう。

なお、社会保険の仕組み上、退職日が月末であることで一時的に給与の手取り額に影響があるため、損をすると感じる従業員がいるかもしれません。しかし、長い目で見た場合にはそれが必ずしも損得を表すわけではありません。

社会保険料は通常、月単位で計算され、退職日が月末であればその月の保険料も支払う必要があります。これにより、手取り額が一時的に減少する可能性がありますが、この減少は必ずしも損を意味するわけではなく、他の要素(例えば退職後の再就職のタイミングや失業保険の適用開始日など)も考慮する必要があります。つまり退社日が月末の場合、従業員は社会保険料で損をするとは一概には言えません。

5-2. 月中に退職する場合

退職日が月中の場合、その月の社会保険料は原則として発生しません。社会保険制度では、資格喪失日が属する月の前月まで保険料を納付するルールとなっており、月の途中の退職であれば資格喪失日がその月になるためです。例えば、3月15日に退職した場合、資格喪失日は3月16日となり、3月分の健康保険料と厚生年金保険料は発生しません。

5-3. 月末の1日前に退職する場合

退職日が月末の1日前の3月30日であった場合、社会保険の資格喪失日は3月31日となり、資格喪失月である3月分の社会保険料は発生しません。

こういったケースは、念のため従業員に説明をしておくことをおすすめします。従業員によっては、3月分を支払わなければならないと思っていることがあるので、社会保険料が発生しないことを伝えておきましょう。

5-4. 退社日が平日か休日かで社会保険料は変わる?

退職日が平日か休日かで、社会保険料の徴収について違いはありません。

具体的には、退職日の翌日が「資格喪失日」となり、社会保険料の徴収は資格喪失日が属する月の前月までというルールに従います。したがって、退職日がどの曜日であれ、保険料計算の仕組みに変動はありません。

このため、人事担当者としては退職日が平日か休日かを意識する必要はなく、基本的なルールに基づいて正確に手続きをおこなうことが重要です。例えば、退職日が1月31日の場合、資格喪失日は2月1日となり、社会保険料の最終徴収月は1月です。このようにルールを理解して手続きをおこなえば、適切な対応が可能です。

6. 退職した社員の社会保険に関するよくある質問

PCを操作する人

退職した社員の社会保険に関する質問は、以下のようなものが挙げられます。

  • 賞与の支給後に退職した場合の社会保険料はどうなる?
  • 入社した月に退職した場合の保険料はどうなる?
  • 退職後の社会保険手続きはどう案内すれば良い?
  • 退社日が平日か休日かで社会保険料は変わる?

ここでは、これらのよくある質問について解説していきます。

6-1. 賞与の支給後に退職した場合の社会保険料はどうなる?

賞与を支給した後に退職する場合、その賞与に対しても社会保険料が発生します。健康保険料と厚生年金保険料は賞与支給月に資格を有しているかで判断されるため、退職日が賞与支給日以降であれば保険料を納めなければなりません。

例えば、6月10日に賞与を支給し、6月20日に退職した場合、その賞与分の社会保険料は従業員負担として発生します。賞与は高額になることが多く、その分保険料負担も大きくなってしまいます。ほとんどの場合、従業員は社会保険料の計算方法に関する知識を持っていないため、なぜ高額になるかを理解できません。

そのため、退職を申し出た従業員に対しては、賞与も社会保険料計算に含まれるという事前説明が不可欠です。企業としては、支給前のタイミングや退職日との関係を明確に伝え、退職者が予期せぬ負担を避けられるよう配慮することが望まれます。

6-2. 入社した月に退職した場合の保険料はどうなる?

入社した月に退職した場合でも、その月の社会保険料は発生します。社会保険の資格取得は入社日から発生するため、月末まで在籍していれば1か月分の健康保険と厚生年金保険の保険料が給与から控除されます。

例えば、4月1日に入社し4月25日に退職した場合でも、4月分の健康保険料と厚生年金保険料は徴収されます。ただし、同じ月内に別の会社で再び厚生年金保険の被保険者資格を取得した場合、退職した方の会社はその月の厚生年金保険料の納付義務がなくなります。

この場合、新しい会社でその月分の厚生年金保険料を納付します。

給与が少額の場合や試用期間中に短期離職した場合でも同様に適用されるため、従業員にとっては想定外の負担となることがあります。このため、入社時点で社会保険料の仕組みを説明しておくことが重要です。

参考:年金Q&A(厚生年金の加入(被保険者))|日本年金機構

6-3. 退職後の社会保険手続きはどう案内すれば良い?

退職した社員がすぐに就職しない場合は、国民健康保険や国民年金などの社会保険を社員が自ら手続きしなくてはいけません。主に手続きが必要な社会保険には、次のようなものがあります。

社会保険の種類

手続きの場所

期日

必要書類

国民年金

市区役所や

町村役場

退職日の翌日から14日以内

・退職日がわかる証明書(退職証明書や離職票など)

・基礎年金番号がわかる書類(年金手帳や基礎年金番号通知書など)

・本人確認書類(免許証やパスポートなど)

国民健康保険

市区役所や

町村役場

退職日の翌日から14日以内

・健康保険の資格喪失証明書または退職証明書、離職票

・個人番号確認書類(マイナンバーカードや通知カードなど)

・本人確認書類(免許証やパスポートなど)

失業保険

ハローワーク

退職日の翌日から1年以内

・雇用保険被保険者離職票

・個人番号確認書類(マイナンバーカードや通知カードなど)

・本人確認書類(免許証やパスポートなど)

・最近の写真2枚(正面上三分身、縦3.0cm×横2.4cm)

・本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

失業保険に関しては、離職日以前の2年間に雇用保険に加入していた月が通算で12ヵ月以上あることが給付要件となっているため、案内をおこなう際は注意しましょう。

また、健康保険については、国民健康保険に加入する方法以外にも、任意保険に加入する方法や家族の扶養に入る方法もあります。3つの選択肢があることを案内してあげるのが、社員にとって望ましいでしょう。

6-4. 退社日が平日か休日かで社会保険料は変わる?

基本的には、退職日が平日でも休日でも社会保険料の徴収について違いはありません。具体的には、退職日の翌日が「資格喪失日」となり、社会保険料の徴収は資格喪失日が属する月の前月までというルールに従います。したがって、退職日がどの曜日であれ、保険料計算の仕組みに変動はありません。

ただし、前述の通り、退職日が月末平日の場合と休日の場合で資格喪失日の扱いが異なり、結果として保険料の負担有無が変わります。

例えば、月末が日曜日で退職日をその前の金曜日とした場合、資格喪失日は翌日の土曜日となり、月末時点で資格を有していると判断されます。この場合、その月分の保険料を負担しなければなりません。一方、退職日を休日である月末当日とすれば、その月分の保険料は不要です。

このようにルールを理解して手続きをおこなえば、適切な対応が可能です。

7. 退職届を受け取ったあとは速やかに社会保険の手続きを

カレンダー

退職に伴う社会保険の手続きは、健康保険や年金、雇用保険、住民税など多岐にわたり、それぞれ期限や必要書類が異なります。企業が適切な手続きや説明をおこなわなければ、従業員が手続きを失念してしまい、未加入や未納による不利益が生じる可能性があります。

特に、退職日の設定による社会保険料の有無や、失業給付の受給に必要な離職票の発行は生活に直結する重要な要素になるので、担当者はスケジュールをしっかりと確認して正しく手続きをおこないましょう。

しかし、担当者は従業員の退職手続き以外にも業務があるため、ヒューマンエラーのリスクがあるのも事実です。近年は、社会保険や雇用保険などの手続きをオンラインでおこなうことも可能となってきています。書類の作成や申請に対応した人事・労務管理システムなども増えてきているため、電子化ツールを活用して業務を効率化することも検討してみてください。

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  • 従業員の入退社時に必要な手続きと書類の一覧
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