年末調整の対象者とは?必要書類や確定申告との関係も解説
更新日: 2025.12.11 公開日: 2021.9.14 jinjer Blog 編集部

従業員であれば、基本的に全員が年末調整の対象です。しかし、例外的に年末調整の対象にならない場合もあります。
本記事では、年末調整の対象になるケースと対象にならないケースを解説します。年末調整をより確実に実施するためにも、ぜひ最後までご覧ください。
令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。
- 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
- 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
- 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」
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1. 年末調整の対象となる人【基本ルール】


年末調整の対象者は、原則として、12月31日に会社に在籍していて「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している人すべてです。正社員やパート・アルバイトなど雇用形態に関係なく実施しなくてはなりません。
ただし従業員であっても例外的に対象外となる場合もあるため注意が必要です。この章では年末調整の対象者に関する基本ルールを紹介します。なお、対象外となる人の条件は第3章で解説しています。
1-1. 基本的な対象範囲
年末調整は会社に在籍している者であれば、原則として正社員・契約社員などの雇用形態に関係なく実施する必要があります。これは外国人労働者も同様です。
ただし年末調整には国内居住要件があるため、居住者か非居住者かを明確に区分することが重要です。
また、日本の扶養制度などについて十分に説明するなど、適切な対応も求められます。外国人社員の年末調整についてはこちらの記事で詳しい説明をしているので、あわせてご覧ください。
関連記事:外国人社員の年末調整手続きは必要?注意すべき4つのこと
1-2. アルバイト・パートは対象となるか
雇用形態に関係なくアルバイト・パートの従業員も年末調整の対象者となります。ただしアルバイト・パートの場合は、2ヵ所以上の事業所で働いていることがあるため注意が必要です。
2ヵ所以上から給与の支払を受けている人は、主たる給与を受けている会社で扶養控除等(異動) 申告書の提出をおこない、その会社で年末調整の対象となります。
関連記事:年末調整を2箇所でしてしまったら?ダブルワークの注意点と正しい対処方法を解説
1-3. 11月・12月入社は対象となるか
基本的に12月31日時点で会社に在籍している従業員は年末調整の対象です。そのため、11月・12月入社の従業員も年末調整の対象となります。
ただし、12月入社の場合、はじめての給与の支払いが翌月1月であれば、その年の給与の支払いがないので年末調整を実施する必要はありません。
また、中途入社の場合は前職分の給与と合算して年末調整を実施するので、前職の源泉徴収票を提出するように案内する必要があります。
1-4. 退職者は対象となるか
12月31日時点で会社に在籍していない従業員は、年末調整の対象外です。したがって、退職者は対象外となり、転職によって退職した従業員は、転職先で年末調整の対象となります。
しかし、例外的に退職者であっても対象になるケースもあるため、次の章で具体的に解説します。
2. 年の中途で年末調整の対象となる人


原則として、12月31日時点で会社に在籍している従業員が年末調整の対象者ですが、例外的に次の5つのケースに該当する場合は、年の中途において年末調整の対象となります。
2-1. 死亡退職者
年の中途で死亡退職した人は12月31日時点で会社に在籍していなくても、年末調整の対象者となります。
関連記事:死亡退職した従業員の年末調整はどうする?手順や注意点とは
2-2. 著しい心身の障害のために退職した人
著しい心身の障害のために退職した人は、退職時点で年末調整の対象となります。ただし、退職後に再就職し、その年に収入を受け取る可能性がある場合は対象外です。
著しい心身の障害に該当するかどうかは、医師の診断書などの客観的な証拠をもとに判断が求められます。
2-3. 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人は年末調整の対象になります。「12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職」とは、その年の最後の支払分の給与を受け取り退職するという意味です。
例えば、その年の最後の給与等の支払が12月10日で、同日に退職した場合がこのケースに該当します。この場合、12月31日に在籍していなかったとしても年末調整の対象者となります。
2-4. 年間給与123万円以下で退職した人
いわゆるパート・アルバイトで働いていた人が退職した場合、その年に支払われる給与が123万以下の場合、退職時点で年末調整の対象になります。ただし、再就職して給与を受け取る可能性がある場合は対象外です。
2-5. 海外支店等に転勤したことなどの理由により非居住者となった人
通常、非居住者であれば年末調整の対象外です。しかし、年の中途で海外の支店へ転勤したことなどの理由により非居住者となった人は、年末調整の対象となります。また、非居住者とは国内に住所を有さず、また1年以上居所がない人のことをいいます。
3. 年末調整の対象外となる人


基本的に従業員であれば年末調整の対象となりますが、次の6つのケースは対象外となります。順に詳細を解説します。
3-1. 年の中途で退職し、年末調整の対象となる特例に該当しない人
その年の12月31日の時点で在籍している人が年末調整の対象です。そのため、年の中途で退職し特例に該当しない場合は年末調整の対象外となります。特例とは第2章の2-1から2-4のケースのことです。
<特例>
- 死亡退職者
- 著しい心身の障害のために退職した人
- 12月に支給されるべき給与等の支払を受けた後に退職した人
- 年間給与123万円以下で退職した人
3-2. 主たる給与の収入が2,000万円を超える人
従業員であったとしても、その年の収入金額が2,000万円を超える人は年末調整の対象外です。対象外となる人は、本来であれば年末調整でおこなわれる生命保険料控除や住宅ローン控除などを確定申告で対応しなくてはならないため、注意が必要です。
3-3. ダブルワークなど2ヵ所以上の勤務先があり、自社が「従」側となる従業員
2ヵ所以上の事業所で働く、いわゆるダブルワーカーは確定申告をする必要があります。年末調整は「主」となる事業所から支払われている給与でしかおこなうことができず、各事業所から支払われている給与を合算できません。
そのため自社が「従」側となる従業員の年末調整は対象外となります。
3-4. 災害による被害を受けた従業員
災害による被害を受けて、「災害被害者に対する租税の減免、徴収猶予等に関する法律」の規定により、本年分の給与に対する源泉所得税及び復興特別所得税の徴収猶予又は還付を受けた人は年末調整の対象外となります。これは年末調整ではなく確定申告によって所得税および復興特別所得税を精算するためです。
参考:No.8004 災害により被害を受けたときの所得税の取扱い|国税庁
3-5. 非居住者
国内に住所がなく、また国内に居所を1年以上有しない「非居住者」は年末調整の対象外です。
3-6. 日雇労働者
継続して同一の雇用主に雇用されない、いわゆる日雇労働者は年末調整の対象外となります。
4. 年末調整とは?手続きの流れや概要をおさらい


年末調整とは毎月の給与から源泉徴収している所得税の累計と、年間の正しい所得税の差額を清算する一連の手続きのことであり、年末に調整しているので「年末調整」とよばれます。
従業員は必要書類を会社に提出し、その情報をもとに会社が所得税の計算を代行する点が特徴です。
概要はシンプルですが、近年の法改正により計算方法が非常に複雑になっています。年末調整を適切におこなうには正確な理解が必要ですので、より詳しく知りたい方は関連記事をあわせてご覧ください。
関連記事:年末調整とは?【令和7年最新】確定申告との違いや必要書類、計算の流れをわかりやすく解説
関連記事:2025年(令和7年)の年末調整の変更点!手続きのポイントもわかりやすく解説
5. 年末調整が必要なケース・不要なケースを把握して正しい対応をしよう


年末調整は、原則その年の12月31日に在籍している従業員を対象におこなうものです。ただし、例外的に年末調整が不要となる場合や、12月31日に在籍していなくても年末調整が必要な場合があります。
正しく年末調整をおこなうには、年末調整の対象者を正しく把握することが欠かせません。この記事を参考に、自社の従業員のなかで誰が対象となるか、見直しをおこないましょう。



令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。
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