納品書に記入する項目と押さえるべきポイントを解説
更新日: 2024.1.17
公開日: 2021.11.20
jinjer Blog 編集部
納品書は商品あるいはサービスなどを納品するときに発行される書類で、取引の引き渡しとその後の支払いに大きく関わる重要な証憑(しょうひょう)です。
納品書は必ずしも発行しなくていいものですが、取引先に安心感を与え、納品物に関する認識のズレから生じるトラブルを防いでくれるでしょう。
納品書に記入すべき項目と作成時の注意点などについて解説します。
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1.納品書に記入すべきなのはこの5項目
納品書は法律で発行を義務付けられているわけではありませんから、仕様や記載事項にルールは設けられていません。
但し、消費税法によって仕入税額控除を受ける要件では納品書の保存が必要です。その場合は次のような記載事項が設けられておりきちんと記載しなければなりません。
1. 宛名(納品書の交付を受ける事業者の氏名または名称)
2. 納品書の発行日(取引年月日)
3. 納品書の発行者(書類作成者の氏名または名称)
4. 納品内容(軽減税率の対象品目である旨がわかる取引内容)
5. 合計金額(税率ごとに区分して合計した税込対価の額)
ただし、小売業や飲食店業、タクシーなどを営む事業者が納品書を交付する場合は1を省略できます。
また、仕入れ先から受け取った請求書に4や5の記載がない場合に限り、受け取った事業者がその取引の事実に基づいて追記できます。(その納品書に記載された事項について、相手方の了承を得たものに限る)
この5つの項目によって、いつ・誰が・誰に・何を納品したのか・いくらだったのかがはっきりします。
一般的な納品書では、これらに通し番号や備考欄も設けられるケースがほとんどです。
ここからは1つずつ詳しく解説していきましょう。
1-1.納品書の宛名は事前に取引先に確認
納品書の宛名は発注者の会社や個人の氏名・名称を記入します。
担当者名の記入も必要なケースがあるので、事前に取引先に確認しておいてください。
1-2.納品書の発行日は納品した正確な日付を記入
納品書の発行日は、実際に納品した正確な日付を記入します。
配達の場合は相手先に到着する日付を、サービスなどは納品する日を記入するのが一般的な考え方です。
しかし、配送が遅延するケースもあり、到着日の把握が難しい場合は商品を出荷した日を納品書発行日として記載している事業者がほとんどです。
1-3.納品書の発行者には捺印も必要
納品書の発行者(納品者)の会社名・住所・電話番号は必ず記入します。必要に応じて担当者名も記入します。
納品者の情報は納品書の右上の方、発行日のすぐ下に記入するのが一般的で、情報の右下あたりの文字に被るように社印(角印)を捺印します。
1-4.納品内容は品名や単価・数量などをわかりやすく記入
納品内容は、納品した商品・サービスについて以下の項目を記入します。
・ 品名・品番
・数量・単位
・単価・金額(税別)
・小計金額
・納品した商品の消費税
・納品した商品の合計金額(小計+消費税)
品名や品番は品目ごとに記載します。発注者にとってわかりやすい記載を心がけましょう。
数量は具体的な数量を記載できない場合「一式」でも問題ありません。
金額を記入する際は、改ざん防止のために
・先頭に「¥」をつける
・末尾に「ー」をつける
・3桁ごとにカンマ(,)で区切る
などの記載方法が一般的です。
合計金額は書類を見てすぐにわかるように、宛名や発行者名の下で中央寄りのところにも少し大きな文字で記入するのがおすすめです。
関連記事:納品書の書き方やポイント・必須項目を分かりやすく解説
2.納品書を作成する際に押さえるべき3つのポイント
納品書を作成する際の注意点は次の通りです。
関連記事:納品書の作成方法と必要な項目・注意点を分かりやすく解説
2-1.納品前や納品後しばらくしてからの送付はマナー違反
納品書は納品する際に、誰からの納品で、数量など発注通りの納品かどうかを確認するために発行するものです。商品を発送する際に同封する事業者がほとんどです。
別送の場合、商品やサービスが納品される前に納品書だけ届くのは、その確認が難しくなったり発注通りの納品ができなかった場合などはトラブルにつながるため注意が必要です。
また、何らかの事情で納品と同時に納品書が発行できない場合は、遅くとも1週間以内に発行・発送してください。
納品書は早くても遅くても、取引先の経理業務に混乱を与えるためマナー違反と考えましょう。
2-2.請求書や領収書とまとめて発行されるケースもある
納品書と同様に受注者側から発注者側へ発行される書類には請求書や領収書があります。
現物での納品がない場合などは請求書と1枚にまとめて(納品書 兼 請求書)発行することで手間やコストを削減するケースもあります。
このほか、納品する時点で入金が済んでいる場合は「納品書 兼 領収書」を発行することもあります。
納品書と領収書は記入事項がほぼ同じですから、納品書に「上記正に領収しました」という文言を付け加えることで1枚にまとめられます。
2-3.インボイス制度で納品書の記載項目が変更される
インボイス制度とは所定の要件が記載された請求書・納品書・領収書などの「適格請求書(インボイス)」の発行・保存が認められる制度で、2023年10月1日にスタートします。
この制度のスタート以降はインボイスに記載された消費税額だけが仕入税額控除の対象となるため注意が必要です。
インボイス制度がスタートすると、納品書の記載項目も変更されます。
制度が導入される前の4年間(2019年10月〜2023年9月)は経過措置として「区分記載請求書等保存方式」で納品書を作成しなくてはなりません。
主な変更点は次の通りです。
・ 軽減税率対象品目に「※」などの記号を記入し、その記号が軽減税率対象品目であると示していると明らかにしなければならない
・消費税率(10%・8%)ごとに区分し、合計した対価の税込額を記入する
さらにインボイス制度がスタートされてからは
・税率ごとに区分して合計した消費税額と適用税率を明記する
・インボイス制度に対応するため税務署へ登録した際に割り当てられた登録番号を記入する
の2項目が必須となります。
3.納品書と他の書類との違い
納品書は取引に関連した重要な書類ですが、他の書類とはどのような違いがあるのでしょうか。
3-1.請求書との違い
納品書は商品・サービスの納品時に発行される「納品内容を確認する」書類です。
請求書は商品・サービスの引き渡し後、「代金の支払いをお願いする」書類です。
また、同月内に同じ顧客への納品が複数回あると、納品書は納品ごとに発行されますが、請求書は月締めでまとめて1枚の請求書を発行します。
2つの書類を1つにまとめて「納品書 兼 請求書」を発行する場合は、発行日と納品日を両方記入する必要があります。
関連記事:納品書と請求書の違いは?発行時に気をつける6つのポイント
関連記事:納品書兼請求書とは?作成方法や注意点を分かりやすく解説
3-2.検収書との違い
検収書は発注者が納品内容を点検して不備がなかった旨を受注者に知らせる書類です。
発注者は検収書の交付以降、商品へのクレームや成果物の修正を要求することは原則できません。
関連記事:検収書とは?その役割や書き方のポイント・注意点を解説
4.納品書の記入は重要な5項目があり発行時期にも注意が必要
納品書には記入すべき5つの項目があり、発行時期は納品と同時がベストです。
早くても遅くてもマナー違反になるので注意が必要です。
また、2023年10月にはインボイス制度がスタートし、記入が必要な項目が変更となります。
納品書自体は法的に作成を義務付けられていませんが、消費税を納税する事業者はすでに経過措置が始まっているため注意が必要です。
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