会計とは?業務の流れや経理・財務・簿記との違いを解説
企業にとって会計業務は、日々のお金の流れを記録し、管理し、そして報告する手段です。会計の目的は、大きく分けて2つあります。1つは、会社内部外部に財務内容を報告することを目的とする「財務会計」です。そしてもう1つは、会社の経営状態を把握し、経営管理を行うために必要となる会計情報の作成を目的とする「管理会計」です。
会計と混同する言葉として経理、財務、簿記がありますが、これらは会計に関わる業務の一部であり、それぞれ違った役割をもっています。今回は、会計業務の目的や流れ、経理・財務・簿記との違いについて解説します。
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1. 会計とは
会計とは、日々のお金の出入り、品物のやり取りを記録し、企業の資金管理を行う業務です。経費の支出を記録して企業のお金の流れを把握するだけでなく、財務諸表(決算書)を作成して外部へ情報を開示したり、法人税や法人住民税・事業税などの税金の計算を行ったりするために必要です。
業務の性質から、税務関係の知識が必要な場面も多く、企業が公認会計士や税理士といった専門家に依頼するケースもあります。
企業における会計は、「財務会計」と「管理会計」の2つに分類されます。それぞれの特徴は次のとおりです。
1-1. 企業外部の利害関係者に提示する財務会計
財務会計とは、企業外部の利害関係者への提示を目的として行う会計処理です。
損益計算書や賃借対照表をまとめた「財務諸表」、いわゆる決算書を作成し、企業の事業活動や経営状況を定期的に報告します。決算書の開示は、会社法によって義務付けられています。[注1]
[注1]会社法 第四百四十条「計算書類の公告」|e-Gov法令検索
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1-2. 企業内部へ報告するための管理会計
管理会計は、会社の経営状態を把握するために行う社内向けの会計処理です。管理会計では、原価計算やキャッシュフロー分析、損益分岐点分析などを行い、そのデータから、事業計画書、中期経営計画資料、取締役会資料などを作成します。これらの会計情報は、経営方針を決定するための重要な指標となります。
社内でのみ使用される資料のため、特定のフォーマットや記載方法のルールなどはありません。また、財務会計と異なり任意で行うものであるため、なかには管理会計を行わない企業もあります。
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2. 会計の業務の流れ
会計処理は、日次、月次、年次の3つのタイミングで仕訳を行います。それぞれの業務フローについては次のとおりです。
2-1. 日次の会計処理の流れ
日次の業務では、経費の仕訳や売上と仕入、未払金や立替金の処理など、日々発生する取引を帳簿に記録します。消耗品費や通信費、従業員の旅費交通費、接待交際費、雑費などの都度で発生する経費は、日次で会計処理します。
売上と仕入れもほぼ毎日発生する取引のため、日次で会計することが多い項目です。月締め契約など、業種によっては月次会計で処理する場合もあります。税金の支払いやクレジットカードの引き落としといった未払金、従業員の立替金などは、請求書や領収書が発生した都度会計処理を行います。
そのため、従業員の多い企業については、経費の仕訳や立替金の処理も必然的に多くなります。
2-2. 月次の会計処理の流れ
月次での会計業務は、給与の仕訳をはじめ、売上と仕入れ、立替金の仕訳といった、月単位で発生するものに対して行います。また、法律で義務付けられているわけではないですが、企業によっては、月次決算を行う場合もあります。
毎月発生する従業員への給与の会計処理は、月次で行います。源泉徴収や社会保険料の天引きについても同時に会計処理します。
2-3 年次の会計処理の流れ
年次の会計処理とは、年に一度行われる年末調整や期末決算のことを指します。会計業務がとくに忙しくなる時期です。具体的な業務の流れとしては、まず決算整理仕訳の入力を行い、税引前利益を確定します。続いて確定申告書の作成や法人税などの計算と仕訳入力を行い、1年間の取引すべてを集計した決算書を作成します。
年次の業務には、年に1回のみ行う会計処理があります。代表的なものとしては、発生主義への対応、経過勘定項目、減価償却費が挙げられます。
取引発生時に会計処理を行うことを発生主義といいます。年次会計処理では、年度末に発生した取引のうち、代金の精算が翌年度になるものに対し、収益や費用を計上する必要があります。なお、現金や預金の入出金のタイミングで会計処理を行うことを現金主義といいます。
経過勘定科目は、前払費用、前受費用、未払費用、未収収益の4つの勘定科目の総称です。年度をまたぐ現金の入出金、または収益や費用の計上に対し、その時期のズレを適切に調整するための会計処理です。
減価償却費は、建物や車など長期間使用し、経年や使用によって価値が減少する固定資産について、その取得にかかった費用を耐用年数に応じて配分し、経費計上する会計処理です。なお、月次決算を行う企業の場合は、その際減価償却費の会計処理を行います。
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3. 会計は経理・財務・簿記と何が違うのか?
会計と混同する言葉として経理、財務、簿記の3つがあります。意味が混同しやすいため、ここでは、会計業務と経理、財務、簿記のそれぞれの違いと特徴を解説します。
3-1. 会計と経理の違い
会計業務とは、企業のお金や品物のやり取り・出入りといった資金管理全般を記録し、利害関係者に報告する業務のことです。会計業務のうち、お金にまつわる業務のことを経理業務と呼びます。
経理は、経営管理の略称で、請求や支払いといったお金の管理や帳簿への記録、伝票や財務諸表、決算書の作成などが主な業務内容です。企業における日々のお金の流れを記録・管理するだけでなく、各種税金の申告も経理業務に該当します。
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3-2. 財務は会計や経理が作成したデータから資金計画・調達を行う
財務の仕事は、経理が作成した財務諸表などのデータを参考に、資金計画の立案や資金調達を行うことです。
会計や経理が企業のお金の流れをデータとしてまとめ、経済状況を把握することが主な業務だとすれば、財務はそのデータをもとに予測を立て、具体的に行動するという大きな違いがあります。
3-3. 簿記は取引を仕訳して会計帳簿にまとめる会計業務のひとつ
簿記は経理と同様に会計業務のひとつです。業務内容は企業が行った取引や経営活動を仕訳し、帳簿に記帳することです。経理はこの簿記を使用してお金の流れを記録・管理し、財務は経理が作成したデータをもとに資金計画や資金調達を行います。そのため、簿記は会計を正確に行うためのベースとなる業務といっていいでしょう。
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4.会計業務を効率化するには
会計業務は、企業経営において重要な業務です。効率的に、ミスなく業務を行うためのツールも存在します。
4-1. エクセルで管理
会計を管理する方法の1つはエクセルでの利用です。導入に関するコストが少なく、帳簿のフォーマットを作成することで業務を効率的に行うことができます。
多くの人に馴染みのある表計算ソフトであるため、従業員のスキルや知識に関わらず、共有しやすいという点も特徴です。
各会計業務に関するエクセルテンプレートを無料で配布しているサイトも多数存在するため、それらをベースに勘定科目をカスタマイズすることで簡単に業務を効率化することが出来ます。
一方で、決算書や財務諸表などで、複雑な関数を使用している場合、作業が煩雑になるため難しいといったデメリットもあります。
4-2. 会計ソフトで管理
エクセルよりも効率的に管理がしたい場合には、会計ソフトを導入することがおすすめです。
会計ソフトを導入するメリットとして、仕訳入力や転記の際のミスが発生しにくいことや、表やフォーマットを一から作る手間がないことがあげられます。
法改正が行われた場合にも、ソフトウェア会社が対応してくれるため、法改正への対応業務も効率化され、古い法令で間違うリスクも解消することができます。
ソフトによっては、銀行口座やクレジットカードの利用履歴を同期させることで出入金の管理を自動化できるものもあります。
5. 会計は企業のお金の出入りを記録・管理する重要な業務
会計は、企業におけるお金の出入りを記録し、仕訳を行う業務です。企業のお金の流れを把握するだけでなく、税金の計算や外部への情報開示といった目的があります。会計処理を行うタイミングには、日次・月次・年次の3回があり、日次は少額の経費などの仕訳、月次は主に給与など月単位で発生する会計処理、年次は期末決算を行います。
企業が大きくなればそれだけ、会計処理は手間と時間がかかる業務です。企業の経済状況を把握するためには、会計処理を効率的かつ正確に行うことが大切です。
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