クレジットカード決済で必要な領収書が発行されない時、会社の経費精算はどうすべき?
更新日: 2024.11.15
公開日: 2021.1.13
jinjer Blog 編集部
近年キャッシュレス決済が推進されたこともあり、現金決済ではなくクレジットカード決済で代金を支払う人も増えてきました。
会社の経費を使って何かを購入する場合にも、クレジットカード決済が多く用いられています。
こちらの記事では、クレジットカード決済で領収書が必要になったときの発行手順について解説します。
「領収書がたくさんあって、管理しきれずに困ってる」
「経費精算の際に、申請書類と領収書のチェックに時間がかかる」
「電子化するためにシステム検討を始めたが、何からはじめたらいいかわからない」
「電子化したいが、電子帳簿保存法をしっかり理解できず困っている」 など領収書管理に関してお悩みではないでしょうか。
法改正もすすみ、中長期的には領収書を電子化することがのぞましいでしょう。
領収書を電子化するためには電子帳簿保存法に対応した経費精算システムを導入することが最も効率的です。
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1. クレジットカードで決済をすると領収書はもらえない
クレジットカード決済をした場合、店舗や会社からレシートが発行されます。現金決済の場合は、このレシートが領収書代わりとなるので、クレジットカード決済でも「領収書」だと思っている方も少なくないかも知れません。
しかし、この場合のレシートは、原則として領収書ではありません。
領収書は、商品やサービスを提供した側が「お金を受け取ったこと」を証明する書類で、支払った側に渡す書類です。クレジットカードも支払いはしていますが、その時点ではお金を支払っていません。クレジットカード決済というのは信用取引になるため、商品やサービスの提供者は領収書を発行する義務がないのです。
つまり、クレジットカード決済でレシートが発行されたとしても、「領収書はもらえない」ということになるのです。
1-1. サービスとして領収書を発行してもらえるケースもある
クレジットカード決済の際に売り手に依頼すると、領収書を発行してもらえることがあります。ただし、これはあくまでサービスとしての対応です。税法上、この領収書を正式な証憑として認めるかどうかには注意が必要です。
1-2. クレジット決済の場合でも要件を満たせばインボイス対応可能
事業主が経費としてクレジットカード決済を行った場合でも、要件を満たしていれば適格請求書(インボイス)として認められることがあります。適格請求書には、発行事業者の氏名または名称、登録番号、取引内容、消費税額等の具体的な記載事項が必要です。それらの要件を満たしていれば、領収書や利用明細書も適格請求書として扱うことが可能です。
適格請求書の記載事項
適格請求書に必要な記載事項は以下の通りです
- 適格請求書発行事業者の氏名または名称
- 適格請求書発行事業者の登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜または税込)および適用税率
- 税率ごとに区分した消費税額
- 書類の交付を受ける事業者の氏名または名称
2. クレジットカード決済で領収書の代わりになるものは?
クレジットカード決済では、税法上で書類として認められる「領収書」は発行されません。しかし、経費精算では、会社のために経費を使ったことを証明できる書類を添付する必要があります。何の書類もないまま経費精算をしてしまうと、税務調査の際に架空計上などを疑われてしまうこともあるので、証明できる書類はしっかり確保しなければなりません。
では、クレジットカード決済で領収書の代わりになるを見ていきましょう。
2-1. クレジットカードの利用明細書(お客様控え)
クレジットカード決済の領収書の代わりになるものとして挙げられるのは、利用明細書です。
クレジットカード決済で商品やサービスを購入すると、利用した店舗から「利用明細書」や「お客様控え」が発行されます。これは、レジットカード会社が発行する請求明細書ではなく、店舗が発行するものです。
この利用明細書は、発行者名、宛名、金額、日時、購入内容の5つの項目が記載されていれば、領収書の代わりにできます。そのため、利用明細書を領収書代わりにしたいのであれば、この5つの項目がしっかり記載されているかどうかを確認しましょう。
5つの項目が記載されているのであれば、税務調査などにおいて領収書の代わりになるものなので、しっかり保管しておかなければなりません。
2-2. レシート
クレジットカード決済をすると、ほとんどの場合レシートを発行してくれます。レシートは領収書と比べて重要性の低い書類のように思えますが、税務調査などではレシートであっても、基本的に領収書の代わりとして扱われます。
その理由は、レシートには領収書に必要な5項目のほぼすべてが自動的に出力されているからです。また、領収書では書ききれない商品名やサービス名であっても、レシートであれば細かく具体的な名称が印刷されています。手書きの領収書は改ざんの恐れがありますが、レシートであれば改ざんの余地がありません。
そのため税務調査でも、レシートの方が経費の証明として認められやすいことがあります。
クレジットカード決済の場合、領収書にこだわらずレシートで代用することに慣れてしまった方がよいかもしれません。
関連記事:レシートって領収書の代わりにできる?違いや証明力を解説
3. 経費精算において領収書やレシートなどの保管期間に注意
また、電子帳簿保存法のスキャナ保存制度を適用すれば、領収書やレシートを電子データとして保存することも可能です。ただし、電子データ化を行うためには一定の要件を満たす必要があり、原本の破棄には注意が必要です。このように、経費精算においては、法的要件をしっかりと理解し、領収書やレシートを適切に保管することが求められます。
4. クレジットカード決済で領収書を発行する手順
クレジットカードを使って代金を支払った際の領収書発行は、現金決済と発行手順が異なるケースがあります。現金決済であれば、その場ですぐに発行されますが、クレジットカード決済の場合は、こちらからいわないと領収書が発行されないこともあります。
クレジットカード決済の領収書は税法上では法的効力を持ちませんが、経理処理をする上では必要となるので、クレジットカード決済で代金を支払った場合の領収書発行手順を紹介します。
4-1. 店舗でクレジットカード決済をおこなった場合
店舗で商品やサービスを購入する際に、クレジットカード決済をおこなうのであれば、現金決済と同じ方法で領収書を発行してもらうことができます。もらい方は簡単で、レジで領収書の発行を依頼するだけです。
ただし、現金決済とは異なり、クレジットカード決済では企業や店舗に領収書の発行義務はありません。
領収書は、代金を受け取ったという証拠となる書類なので、後払いとなるクレジットカード決済では領収書を発行する義務がないのです。そのため、企業や店舗によっては、クレジットカード決済に対して領収書を発行しないことにしているところもあります。
もし領収書を発行してくれるのであれば、それは法的義務ではなく、あくまでもサービスとして発行してくれているということは覚えておきましょう。
4-2. インターネットでクレジットカード決済をおこなった場合
インターネット上のオンラインショップなどを利用して商品やサービスを購入した場合、基本的に領収書は発行されません。インターネットでクレジットカード決済をおこなえば、注文確認メールなどで購入内容や料金を確認できます。
しかし、経理処理をする場合は領収書が必要になることもあるかもしれません。
オンラインショップの中には、領収書を必要とする顧客のために専用のページを設けているサイトもあるので、領収書が必要な場合は、領収書発行ページからダウンロードして印刷することが可能です。
万が一印刷に失敗したり、領収書を紛失してしまったりしたときのために、ダウンロードした領収書は保存しておくことをおすすめします。
5. クレジットカード決済でもらう領収書の注意点
クレジットカード決済をすると、店舗によっては領収書を発行してくれます。最近は、現金払いで発行されるレシートを領収書として扱えるお店もあるので、クレジットカード決済でもらえる領収書も法的に有効だと勘違いしてしまう担当者もいるかもしれません。
しかし、クレジットカード決済と現金払いでは、発行されるレシートが異なるので注意が必要です。ここでは、クレジットカード決済でもらえる領収書に関する注意点を解説していきます。
5-1. クレジットカード決済の領収書は法的に有効な書類ではない
一番注視しなければならないのは、クレジットカード決済の領収書は税法上において有効な書類ではないということです。
本来であれば、領収書は、現金のやり取りがあったことを証明する税法上の正式な書類となっています。
しかし、クレジットカード決済の場合、実際に現金は使われません。商品やサービスを購入してもその場で支払いはおこなわれておらず、後日クレジットカード会社を通して支払います。そのため、クレジットカード決済の領収書は、税法上有効な書類とは見なされないのです。
また、クレジットカード決済の領収書に発行者名や宛名、金額といった必須事項が記載されていない場合、税務調査で指摘を受ける可能性があるので、必須事項が記載されているかチェックをしておきましょう。
関連記事:領収書発行は現金決済とクレジット決済ではどう変わる?
5-2. クレジットカード決済であることの記載が必須
クレジットカード決済を利用して領収書を発行してもらう場合、発行者は金額のあとに「クレジットカード払い」と記載しなければなりません。この記載によって、領収書が発行された時点では支払いが完了していないことを示せます。
「クレジットカード払い」などの記載を忘れてしまうと、税法上現金決済の領収書と同じ扱いになるので注意が必要です。また、金額が税抜5万円以上であれば収入印紙を貼らなければならず、貼っていない場合には過怠税が科されます。
「クレジットカード払いである」との記載があれば、金額に関わらず収入印紙は必要ありません。領収書を発行する側も、クレジットカード払いである旨を記載することで、「領収書の二重発行」などを疑われずにすみます。
5-3. 仕入税額控除にはインボイスの発行が必要
消費税の納税額を計算する際には、必要な仕入税額控除は、「宛名」「発行者」「金額」「年月日」「購入内容」の5項目が記載された利用明細書で仕入税控除をおこないます。しかし、2023年10月からインボイス制度が始まっているので、5項目に加えインボイス(適格請求書)も必要となっています。
インボイスというのは、適格請求書発行事業者が発行する「登録番号」が記載されている請求書で、この請求書であれば仕入額控除ができます。つまり、支払った消費税分を、納めた消費税額から差し引くことができるということです。
インボイスが発行できない業者は免税事業者となるため、仕入額控除はできないので注意しましょう。
5-4. 領収書・利用明細書・レシートはまとめて保管する
領収書や利用明細書、レシートをバラバラに管理していると、「重複して経費を計上する」というミスが起こりやすくなるため、まとめて保管するようにしましょう。
故意であってもなくても、重複計上をしていた場合、税務調査が入ったときに不正であると見なされる恐れがあります。例えミスで重複してしまったとしても、不正であると見なされれば延滞税や重加算税など厳しい罰則が科せられるかもしれません。
ミスが起こる一番の原因は、紙管理による管理コストです。さまざまな書類をアナログ管理することで、経費精算業務や書類のチェック作業に時間がかかり、ミスが発生してしまいます。そのため、中長期的には紙ベースでまとめるよりも、領収書などを電子化して管理することが望ましいでしょう。当サイトでは「領収書の電子化ガイドブック」という資料を配布しております。領収書を電子化することで書類の管理コストや経費精算業務の申請、領収書チェックの時間を削減するための参考となる情報をまとめておりますので、気になる方はぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
関連記事:領収書の保管期間は5~10年!知らないとまずい基礎知識
6. クレジットカード決済をした領収書でインボイス制度に対応させる注意点
クレジットカード決済をした領収書がインボイス制度に対応するためには、具体的な注意点があります。
まず、消費税の仕入税額控除を受けるには、クレジットカード決済の場合でも売り手から適格請求書を受け取る必要があります。適格請求書の発行がない場合、レシートや利用明細書などでは仕入税額控除は認められません。
ただし、1取引につき税込金額が1万円未満の場合、適格請求書がなくても、帳簿に一定の事項を記載して保存することで仕入税額控除を受けられる「少額特例」があります。この特例は、基準期間の課税売上高が1億円以下または特定期間の課税売上高が5,000万円以下の事業者が対象で、期間は2029年9月30日までです。
少額特例は現金やクレジットカード決済を問わず適用されます。経費の計上を確実にするためには、支払いをクレジットカードに一本化することをおすすめします。クレジットカードと会計ソフトを連携すれば、自動で決済履歴が取り込まれ、計上漏れを防ぎ、手間も省けます。
インボイス制度に関する対応は複雑であるため、迷った場合は税理士などの専門家に相談することが重要です。
7. 法人の経費精算においてクレジットカード決済の領収書の発行には注意が必要
クレジットカード決済時に発行されるレシートは、「お買上票」や「クレジット売上票」などに分類される利用明細書で、領収書ではありません。つまり、税法上有効な書類ではないので、経理上での処理をおこなう際には注意が必要です。
ただし、利用明細書やレシートなどは領収書の代用として使えるものであり、税務調査の際には経費を客観的に証明できるのでしっかり保管しておきましょう。
例え領収書として認められないとしても重要な書類には変わりないので、必ず発行してもらうこと、経費精算時に添付することなどを従業員にも徹底指導をして、トラブルを未然に防げる仕組みを整えておくことが重要です。
関連記事:領収書発行の必要性や書き方など押さえておくべき基礎知識
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