領収書の再発行は可能?依頼された際の対応や注意点を解説
更新日: 2024.10.7
公開日: 2021.10.19
jinjer Blog 編集部
取引先から領収書の再発行を依頼された際、「大切な取引先だから」とつい引き受けていませんか?
実は安易な領収書の再発行は、トラブルに巻き込まれるリスクを高めることも。罰則を受けるだけでなく、企業の社会的信頼を失う危険性すらあるのです。
そこで今回はそもそも領収書の再発行は義務なのかを解説するとともに、再発行を依頼された際の正しい対応と注意点についてご紹介します。
この記事を読めば、領収書の再発行におけるリスクを避けながら、適切に対応できるようになります。
「精算時に領収書を貼り付けない人がいて、領収書を紛失することがある…」
「領収書と請求内容の突き合わせが大変」
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経費精算業務は領収書と請求内容の突き合わせや、使用用途の確認など、確認作業が多い業務です。そのため「めんどう…もっと楽にできないかな?」「効率化できるのでは?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
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1. 領収書の再発行は義務ではない
民法486条により、取引先から支払いを受けたときに領収書の発行を請求された場合には、請求書の発行は義務となります。一方、再発行に関しては規定されていません。そのため「断られた」と取引先から問題視されることはありません、
もちろん、領収書に不備がある場合には、そのままでは正式な書類として問題があるため、すぐに再発行する必要があるでしょう。しかし、自分たちに一切落ち度がない場合には、再発行の依頼に応える義務はありません。
むしろ、相手からの再発行の依頼には応じない企業も多いのです。
1-1. 領収書の再発行はリスクがある
領収書は金銭の受領が完了したことを示す正式な証憑ですから、原則として1回の取引につき1枚しか発行できません。
1つの取引に関する領収書を何枚も発行する「二重発行」をおこなうと、経費の架空計上や不正使用などに使われる可能性があるためです。
例えば、「紛失した」などの理由で20万円分の領収書を再発行したとしましょう。しかし、実際には紛失しておらず、元の領収書も手元にある場合、本来は20万円分しか計上できない経費を40万円分計上でき、その分、税金を減らすことができてしまいます。
このように再発行した領収書が不正使用された場合、発行した側も「有印私文書偽造罪」に問われ、3ヵ月以上5年以下の懲役刑が課されることもあるのです。
関連記事:領収書で起こりやすい不正とその対策を分かりやすく解説
1-2. 領収書の再発行はできない旨を告知しておく
領収書の再発行は拒否できますが、一方的に拒否すると取引先との関係が崩れてしまう恐れもあります。
そのため、事前に取引先に領収書の再発行はしない旨を伝えて了承を得るとともに、領収書に「領収書の再発行はできません。大切に保管してください」などの文言を記載し、紛失・破損しないよう注意喚起を促すのが一般的です。
2. 領収書の再発行を依頼された際の対応
お得意様である取引先から領収書の再発行を依頼されたり、断っても執拗に要求されたりと、拒否するのが難しい場面に出会うこともあります。
このように領収書の再発行を断りづらい場面で、どのような手立てが取れるかまとめました。
2-1. 領収書の再発行以外の方法を提案する
先ほどもご紹介した通り、領収書の再発行は不正使用されるリスクがあります。そのため、まずは領収書の再発行以外の方法を提案してみましょう。
領収書以外でも、以下のの4つが明記された書類であれば、代用できます。
- 日付
- 金額
- 内容
- 支払先
例えば、支払った側が用意できる書類としては「支払証明書」や「出金伝票」、支払いを受けた側が用意できる書類としては「レシート」や「購入証明書」などが挙げられます。
どれも領収書に比べると正式な書類としての信頼性は劣りますが、領収書の代わりとして使用可能です。
2-2. 領収書の「再発行」を明確に示す
どうしても領収書の再発行を拒否できない場合には、不正使用されないよう書き方に細心の注意を払いましょう。
再発行した領収書には以下の措置などして、元の領収書と区別できるようにしてください。
- 「再発行」と明記する、あるいはスタンプを押す
- 但し書きにも「〇年〇月〇日の再発行分として」など記載する
また、再発行した領収書によってトラブルが生じた場合に備え、「いつ、誰に、どのような理由で再発行を引き受けたか」などの事情を詳細に記録しておくことも大切です。
一度再発行を引き受けてしまうと、再発行を依頼する心理的なハードルが下がり、同じ要求が繰り返される可能性があります。
今回限りの特別な対応であることをしっかり伝えて、了承を得ておくことも大切です。
2-3. 再発行した領収書にも収入印紙は必要
領収書の金額が5万円以上の場合、印紙税を納付するために収入印紙を貼る必要があります。それでは再発行した領収書はどうでしょうか?
「元の領収書に収入印紙を貼ったから、再発行した領収書には貼らなくていいだろう」と思われがちですが、実は再発行した領収書にも収入印紙を貼る必要があります。
これは印紙税が「文書」に課せられる税金であるため。例え、取引は1回でも金銭のやり取りを証明する文書を改めて発行した場合には、その文書に印紙税が課せられることになります。
「知らなかった」「忘れていた」と悪意のない事情であったとしても、収入印紙を貼っていない領収書を再発行した場合、納付しなかった印紙税額の3倍の過怠税を徴収されてしまうため注意しましょう。
ただし、「取引先からの依頼なのに、印紙税を改めて負担するのは納得がいかない」という場合もあるでしょう。事前に「再発行を依頼した側が印紙税額を負担する」と取り決めておく、「再発行手数料」として請求するなど、自社の負担が軽減できる方法を検討してみてください。
関連記事:領収書における収入印紙の金額や貼り方、購入方法を解説
3. 領収書を再発行する際の注意点
領収書の再発行が避けられない場合、トラブルに巻き込まれるリスクを最大限軽減することが不可欠です。そのために押さえておくべき注意点をご紹介します。
3-1. 元の領収書は回収する
こちらの不備による再発行や破損による再発行などの場合、取引先の手元には元の領収書が残っているはずです。元の領収書は確実に回収しましょう。回収しておかないと後々に不正利用などのトラブルが生じる原因になります。
回収した領収書は控えにホッチキス等で留め、なくさないように保管します。また、再発行した日付や領収書番号を記載しておくと、管理しやすくなります。
3-2. 紛失の場合は特に注意しよう
「領収書の紛失」を理由に再発行をする場合は、特に注意が必要です。
取引先がどれだけ「紛失した」と言っても、それが本当なのか、それとも二重発行による不正使用を狙った悪意のある嘘なのか、判断することができないからです。
税務署から「脱税に加担したのでは?」など誤解されないよう、
- 「紛失した」と申し出があったこと
- 紛失のため元の領収書は回収できなかったこと
などを具体的に記録し、万が一の時にも明確に説明できるように準備しておくと安心です。
領収書を紙で管理しておくとどうしても紛失のリスクが発生してしまいます。また領収書の管理コストがかかったり、経費申請書と領収書との突合作業はとても工数がかかる仕事です。これらの課題を解決する最も効率の良い方法が領収書の電子化です。
当サイトで無料配布しております「領収書の電子化ガイドブック」では、システムを利用して領収書を電子化する方法や、どこまでシステムで効率化できるかを解説しております。領収書管理に課題を抱えている方にはとても参考になるものですので、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
関連記事: 領収書を紛失したときの対処法や返金の場合の対応を解説
4. 領収書の再発行を依頼されたら適切に対応しよう
領収書の再発行を依頼されても応じる義務はありません。安易に応じると二重発行となり、「有印私文書偽造罪」に問われることも。
そのため、できるだけ領収書の再発行は避ける方が賢明です。再発行を依頼された際には支払証明書や購入証明書など領収書の代わりとなる方法を提案してみましょう。しかし、懇意にしているお得意様からの依頼など、どうしても再発行を断れない場面もあるかもしれません。
その場合は、再発行の領収書であることがわかるようにすることや、金額によっては収入印紙を新たに貼る必要があることに注意が必要です。
また、トラブルを回避するためにも「元の領収書は回収する」「領収書を再発行する経緯を詳細に記録する」という点も忘れないようにしましょう。
関連記事:領収書発行の必要性や書き方など押さえておくべき基礎知識
「精算時に領収書を貼り付けない人がいて、領収書を紛失することがある…」
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経費精算業務は領収書と請求内容の突き合わせや、使用用途の確認など、確認作業が多い業務です。そのため「めんどう…もっと楽にできないかな?」「効率化できるのでは?」と感じている方も多いのではないでしょうか。
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