夜勤の定義や労働時間の正しい計算方法を解説
更新日: 2025.9.29 公開日: 2020.3.13 jinjer Blog 編集部

夜勤が多い職場で問題となるのが、深夜労働時間の計算です。労働基準法第37条は、深夜労働をする従業員への割増賃金の支払いを命じているため、夜勤の労働時間は1分単位で正しく計算しなければなりません。
しかし、日勤シフトと夜勤シフトが混在している職場や、夜勤の従業員が多い職場では、1人ひとりの労働時間を把握するのさえ困難です。この記事では、労働基準法における夜勤の考え方や、深夜の労働時間を効率的に計算する方法を解説します。
深夜残業など割増率が重なる際の割増計算は複雑になり分かりにくい部分ですが、割増賃金の支払いは労働基準法で定められているため、正確に計算する必要があります。
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1. そもそも「夜勤(深夜勤務)」とはどの時間帯のこと?労働基準法での夜勤の定義

病院や工場など交代制の勤務形態をとる職場では、「夜勤」という働き方が一般的です。
夜勤とは深夜時間に労働することで、深夜労働の時間帯は「午後10時から午前5時まで」と労働基準法第37条で定義されています。また、深夜時間の労働には25%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
夜勤の労働時間を計算する際に注意しておきたいことは、夜勤をして翌日に日が変わった場合の勤務日数の考え方です。昭和63年1月1日付けの厚生労働省の通達の中で、次のとおり考え方が示されています。
継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること。
引用:改正労働基準法の施行について|厚生労働省
たとえば、午後9時に出勤し、翌日の午前5時に退勤したとします。暦日ベースで考えるなら、午前0時に日付が変わるため、従業員は日が変わった後の午前0時から翌5時までで合計2勤務を終えたことになります。
しかし、この計算方法では1勤務あたりの労働時間が3時間と5時間になり6時間を超えないため、使用者は45分の休憩を与えなくてもよくなってしまい、労働者の不利益となります。
そのため、この場合の夜勤時間は午後9時~翌5時までの8時間であって、日付変更時刻を基準にして分割されるわけではありません。夜勤をおこなう従業員には、事前に打刻の時間を周知しておきましょう。
1-1. 夜勤の労働時間の計算方法と割増率の考え方
夜勤には深夜労働の割増賃金のほかに時間外労働の割増賃金が発生する場合もあり、労働時間の集計や給与計算が煩雑になりがちです。例を挙げて、夜勤の労働時間と割増率の計算方法について確認していきましょう。
①定時が21時~翌5時、休憩が0時~1時で、翌7時まで残業をした場合
22時になるまでの21時~22時には割増賃金は発生しません。22時~翌5時には深夜労働分の割増賃金が発生します。深夜労働の割増賃金は25%です。
次に残業に関する割増賃金ですが、所定労働時間が7時間であるため、法定労働時間である8時間を超えるまでは割増賃金が発生しません。したがって、5時~6時は割増なし、6時~7時には時間外労働に対する割増賃金が発生します。時間外労働の割増賃金も深夜労働と同じく25%です。


②定時が16時~0時、休憩が19時~20時で、翌2時まで残業をした場合
22時~0時までは深夜労働に対する割増賃金が発生します。
次に残業時間ですが、こちらも所定労働時間が7時間であるため、法定労働時間である8時間に達する翌1時までは深夜労働に対する割増賃金のみ発生します。労働時間が8時間を超えた翌1時~2時までの間は、深夜労働と時間外労働に対する割増賃金が両方必要となり、割増率は合計で50%です。

なお、月の時間外労働が60時間を超えた分に対しては、割増率25%ではなく50%が適用となります。2023年4月からは、大企業だけでなく中小企業に対しても適用範囲が拡大されているため、計算時には注意しましょう。
参照:月60時間を超える時間外労働の割増賃金率が引き上げられます|厚生労働省
1-2. 法定休日に夜勤を命じた場合の計算方法
法定休日に夜勤や深夜勤務を命じた場合は、割増率が異なるため注意が必要です。なお、法定休日とは、労働基準法で定められた休日のことで、少なくとも「週1回または4週で4回」の休日を与えることを使用者に義務付けています。
例えば、日曜日が法定休日の会社で、日曜日の20時~翌3時まで働いたとします。この場合、20時~22時までは法定休日の割増率35%、22時~0時までは法定休日の割増率と深夜労働の割増率を合算した60%でそれぞれ計算しなくてはいけません。
また、法定休日の割増率は0時~24時までの暦日単位で適用することから、平日の労働日となる0時~翌3時に関しては、深夜労働の割増率のみで計算します。
法定休日と平日では夜勤の計算が異なるため、注意しましょう。
2. 夜勤の労働時間を正確に計算する3つのポイント


夜勤が多い変形労働時間制の職場は、労働時間を集計するだけでも大変です。また、集計の煩雑さから、ミスが起こりやすい状態となるため注意しなくてはいけません。ここでは、従業員の労働時間を正確に把握できる3つの方法を解説します。
2-1. タイムカードでの勤怠なら夜勤に対応した機器の導入を
従業員の数が多くなるほど夜勤の労働時間の計算が煩雑になります。タイムカードで勤怠管理をする場合は、少しでも事務作業を減らすため、日勤だけでなく夜勤に対応したタイムレコーダーを選びましょう。
夜勤に対応してないタイムレコーダーは、日付をまたぐと自動的に翌日の勤務に切り替わり、タイムカードの次の段に印字されてしまいます。
夜勤に対応したタイムレコーダーなら、タイムカードを挿入する前に所定のボタンを押すだけで、日付変更時刻をまたいでも翌日の勤務に切り替える処理をおこないません。
タイムカードのとおりに労働時間をチェックすればよく、計算を大幅に効率化できます。
2-2. Excelでの集計は夜勤の「日替わり」の処理に注意
タイムカードから労働時間を集計する際、Excelの数式やマクロを使って、計算を半自動化している企業が少なくありません。日勤の場合は、単純に「(終業時間-始業時間)-休憩時間」と対象のセルを引き算するだけで問題ありませんでしたが、日付変更時刻をまたぐ夜勤シフトの場合は工夫が必要です。
終業時間から始業時間を引き算するだけでは労働時間を求められないため、日付変更時刻を基準値として、前日分の勤務時間と翌日分の勤務時間を求め、再びセル同士を足し合わせるといった複雑な計算が必要になります。
また、日勤シフトと夜勤シフトが混在している場合は、IF関数などを使い、日勤・夜勤のどちらの計算法を使うか判定しなければなりません。夜勤の労働時間をExcelで計算する場合は、数式やマクロの知識が求められる点に注意しましょう。
2-3. 勤怠管理システムなら労働時間や割増賃金の計算を自動化できる
夜勤の労働時間をすべて手作業で計算すると、どうしても手間や時間がかかってしまいます。そこでおすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。勤怠管理システムとは、システム上で出退勤の記録をおこない、従業員の労働時間や残業時間を自動で計算するソフトウェアのことです。
あらかじめシステム側で夜勤シフトのルールを設定しておけば、従業員ごとに日勤か夜勤かを自動で判断し、労働時間を正確に計算可能です。Excelでの勤怠管理と違い、面倒なIF関数処理を組み込む必要はありません。
また、タイムカードの場合手作業で労働時間を集計するのに対して、勤怠管理システムは自動計算されるのでミスを防げます。作業効率が向上するだけでなく、労働基準法第37条が定める割増賃金の計算ルールにも対応しているため、深夜労働に関する勤怠管理をすべてシステムで対応可能です。
3. 夜勤の労働時間を計算するなら勤怠管理システムがおすすめ


今回は、労働基準法における夜勤の考え方や、労働時間を効率的に計算する方法を解説しました。深夜労働(夜勤)の時間帯は、原則として「午後10時から午前5時まで」です。
この時間帯で働く従業員には、割増賃金の支払いが義務付けられるため、労働時間を正確に計算する必要があります。タイムレコーダーで勤怠管理をしている場合は、夜勤シフトに対応した機器が必要です。
また、勤怠管理システムを導入すれば、夜勤の労働時間をすばやく正確に計算し、バックオフィスの業務を効率化できるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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深夜残業など割増率が重なる際の割増計算は複雑になり分かりにくい部分ですが、割増賃金の支払いは労働基準法で定められているため、正確に計算する必要があります。
「正しい深夜残業における割増賃金の計算方法を知りたい」「複雑な割増賃金計算も適切に対応できるようにしたい」という方に向け、当サイトでは深夜残業の割増賃金計算についてまとめた資料を無料配布しております。
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