有給休暇と残業代の関係を解説!残業時間が相殺される2つのケース | jinjerBlog

有給休暇と残業代の関係を解説!残業時間が相殺される2つのケース

残業時間や残業代を計算する上で、注意が必要なのが年次有給休暇との関係です。

割増賃金は法定の時間外労働時間に基づいて計算されますが、労働基準法上、有給休暇は労働時間にカウントされません。

そのため、有給休暇を取得して業務が遅れ、「残業」した場合や、平日に有給休暇を取得して所定休日に出勤した場合であっても、1日や1週間ごとの労働時間が基準値を超えなければ、割増賃金が発生しない可能性があります。

本記事では、残業時間の考え方や、残業時間と有給休暇の関係、有給休暇が残業時間を相殺する場合を解説します。

関連記事:【図解付き】有給休暇付与日数の正しい計算方法をわかりやすく解説

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有給休暇で残業代の相殺をすることはできません。この他にも、「半休取得時の残業代の扱いは?」など、有給休暇と残業の扱いに疑問はありませんか?

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1. 有給休暇の取得は残業時間の計算に影響する!有給休暇は実労働時間ではない

たとえば、1週間のうち4日間は毎日2時間の残業をしたため、週の残業時間(1日8時間を超えて労働した時間)が合計8時間となりました。残業時間の合計が1日の所定労働時間(8時間)と同じになったため、残業代は支払わず代わりに有給休暇を1日付与することは可能でしょうか。

結論からお伝えすると、有給休暇をもって残業代を相殺することは原則できません。なぜなら、残業代(時間外労働の手当)は25%以上の割増賃金を支払わなければならないためです。

ここでは、残業時間と有給休暇の考え方をおさらしておきましょう。

1-1. 残業時間の考え方は?実労働時間が基準値を超えるかどうか

残業時間とは、労働基準法が定める法定労働時間を超えて働いた時間のことです。法定労働時間は、労働基準法第32条において説明されています。

【労働基準法第32条】使用者は、労働者に、休憩時間を除き一週間について四十時間を超えて、労働させてはならない。

《第2項》
使用者は、一週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について八時間を超えて、労働させてはならない。
引用元:労働基準法|e-Gov法令検索

つまり、1日あたり8時間、1週間につき40時間が、法定労働時間です。法定労働時間を超えて従業員を働かせた場合は、労働基準法第37条の定めにより、時間外労働をした時間に応じ1.25倍の割増賃金を支払わなければなりません。

関連記事:残業時間の定義とは?正しい知識で思わぬトラブルを回避!

1-2. 有給休暇は実労働時間ではない

注意が必要になるのが、残業時間は実際に労務に従事した「実労働時間」に基づくものでなければならないという点です。

年次有給休暇は実労働時間ではなく、労働基準法上にもその旨の記述は存在していません。従って、実労働時間を計算する際、有給休暇で休んだ分は便宜上「ゼロ時間」として扱います。

1-3. 残業代の対価として有給休暇を与え、残業代を支払わないのは違法

時間外労働に対しては必ず割増賃金を支払わなければならないものです。したがって、有給取得の有無にかかわらず、法定労働時間を超えて労働した時間があるならば残業代を支払う必要があります。

ただし、大企業に適用される例外が存在します。月60時間を超える労働には50%以上の割増率で賃金を支払う必要がありますが、労使協定を結んでいれば、残業代の支払いに代えて有給休暇を付与することができます。

一方で、有給休暇を取得したことにより労働時間や残業時間の計算が通常とは異なる場合があります。そちらは、次の章にて詳しくご説明いたします。

有給管理は、2019年の法改正のタイミングで取得義務が発生したため、より慎重に管理する必要が出てきました。管理する上で本章でお伝えした基礎知識をベースに、法改正の内容や取得日数の計算方法などの知識を網羅的に持っている必要があります。時間のあるときに、必ず内容を押さえておきましょう。

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関連記事:残業による割増率の考え方と残業代の計算方法をわかりやすく解説

2. 有給休暇により残業時間が相殺される場合とは

残業時間(時間外労働)と認められるのは、あくまでも実労働時間が法定の基準値を超えた場合であるため、半日単位の有給休暇で会社を休むと終業時間をこえて労働しても残業時間(時間外労働)に該当しない労働時間が発生します。

また、平日に有給休暇を取得し、所定休日に出勤した場合でも、1週間の法定労働時間以下であれば同様に割増賃金を支払う必要はありません。

2-1. 半日分の有給休暇を取得し、終業後に残業をした場合

午前中は有給休暇を取得したものの、業務に遅れが生じたため、結局終業後も残業をした場合を考えてみます。

1日の法定労働時間は8時間のため、これを超えて従業員が働いた場合は、割増賃金を支払うことになります。たとえば、半休を取得して13時に出勤し、23時まで残業したとします。

休憩時間が1時間とすると、合計9時間働いているため、1時間分の割増賃金の支払いが必要になります。

仮に、残業時間が20時までだとすると、合計6時間(休憩1時間)勤務になり法定労働時間を超えないため、割増賃金の支払い義務は発生しません。

2-2. 平日に有給休暇を取得し、公休日に出勤した場合

平日に有給休暇を取得したものの、業務の遅れの解消のため、所定休日に出勤した場合を考えてみます。

1週間の法定労働時間は40時間です。たとえば、月曜日から木曜日まで32時間働き、金曜日に有給休暇を取得し、所定休日である土曜日に8時間働いたとします。

この場合、休日出勤をしていますが、法定労働時間を超えていないため、残業時間が相殺されています。仮に、土曜日に9時間働いた場合は、1週間で41時間働いたことになるため、1時間分の割増賃金が必要になります。

ただし、法定休日に労働をした場合は有給休暇の取得に関わらず、35%以上の割増賃金を支払う必要があります。

このほかに企業独自の有給付与ルールなどがあった場合、非常に管理が煩雑化してしまいます。

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関連記事:公休とは?その意味など企業が知らないとまずい基礎知識

3. 残業と遅刻・早退の相殺関係は?

本記事では残業と有給休暇の関係について詳しく解説いたしましたが、残業時間と相殺できるか気になるものとして「遅刻」「早退」が挙げられます。こちらも、残業時間と相殺できるのか確認しておきましょう。

3-1. 遅刻は同日内であれば残業と相殺可能

就業時間が9~18時、休憩時間は1時間の会社を例にして考えてみます。通常であれば、18時以降に労働した時間は8時間を超えて労働した時間であるため、割増賃金の支払いが必要になります。

この会社で1時間遅刻をし、10~19時まで間に1時間の休憩をとって働いたとします。通常であれば18時以降の労働は割増賃金が発生しますが、1時間遅刻をしており労働時間は8時間であるため、割増賃金の支払い義務は発生しません。ただし、10~20時まで働いた場合は労働時間が9時間になるため、遅刻していても1時間分は割増賃金の支払いが必要です。

また、注意しておきたいことは他の日の残業時間で遅刻を相殺することはできない点です。1時間遅刻をし、7時間労働した翌日に9時間労働をした場合、9時間労働のうち1時間を前日の労働時間にあてることはできません。なぜなら、この1時間は割増賃金の支払いが必要なためです。

3-2.早退は残業と相殺できない

先ほどと同じく、就業時間が9~18時、休憩時間は1時間の会社を例にして考えてみます。9時から働き始め、16時に早退した場合、労働時間は6時間になります。

8時間に足りない2時間分を翌日や前日など他の日の残業時間2時間で相殺することはできません。時間外労働に対しては必ず割増賃金支払いの義務があるためです。

ここまでこの記事を読まれた方の中には「6時間働いて早退した場合でも、所定労働時間が7時間なら、翌日8時間働いても割増賃金の支払い義務も無く、所定内残業で早退分を相殺できるのでは」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。

確かに、賃金上に不利益は生まれませんが、賃金台帳には残業代と欠勤控除は別々に記載しなくてはならないと労働基準法108条によってきめられているため、残業した時間と早退した時間やその分の労働時間は分けて管理しなくてはなりません。

4. まとめ

今回は、有給休暇と残業時間の関係や、有給休暇が残業時間を相殺しまうケースを解説しました。

有給休暇は実際に業務をおこなった「実労働時間」ではありません。残業時間とは、1日8時間または週40時間を超えて働いた「実労働時間」に基づいて計算されるため、半日単位の有給休暇で会社を休んだ場合、残業時間の計算が通常時と異なることがあります。

終業時間を過ぎていても残業時間に該当しない労働が発生し、割増賃金を支払わなくてよいケースも出てくるため、注意しましょう。

人事・労務管理者は、残業時間だけではなく有給休暇の取得状況も把握して、正しく割増賃金を計算しましょう。

関連記事:年次有給休暇とは?付与日数や取得義務化など法律をまとめて解説

関連記事:従業員の残業を代休扱いにできる?法律に基づいた2つの条件

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