従業員の残業を代休扱いにできる?法律に基づいた2つの条件

従業員の時間外労働に代休を付与して対応するためには、2つの条件が必要です。企業と従業員の間に合意があり就業規則で規定すること、代休扱いにした残業にも時間外残業として25%の割増賃金を支払うことです。

割増賃金の支払いを怠ると、労働基準法違反となるため、給料計算の際には注意が必要です。この記事では、残業を代休扱いできる条件や、代休扱いにできないケースをご紹介します。

1. 残業の代休扱いは可能だが支払う賃金に変わりはない

卓上に置いてある金銭

8時間以上の残業が発生したときに1日分の代休を付与して対応する行為自体は違法ではありません。しかし、残業した時間分の割増賃金を支払わない場合は労働基準法違反となります。

代休扱いになったからといって、その分の労働時間が「時間外労働」でなくなるわけではないからです。残業を代休扱いにするという対応は、時間外労働に対する賃金を代休付与日にまとめて支払うことであり、給与計算上では通常の残業代を支払うことと変わりありません。

また、時間外残業のなかに22時以降の深夜労働が含まれる場合は注意が必要です。その分の残業には時間外手当25%のほか、深夜手当として25%の割増賃金を支払わなければなりません。

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2. 残業を代休扱いにできる2つの条件

給与契約書を確認する経理担当者のイラスト

残業に対して代休を取得させることで対応するためには、労働基準法第37条により、次の2つの条件を満たす必要があります。

2-1. 就業規則などで規定されている

残業の代休扱いするには、企業と従業員間の合意が絶対条件です。就業規則等の代休や時間外労働の項目規定に、具体的な要件を記載しておく必要があります。

ちなみに、企業と従業員の間に「代休扱いになった分の残業代には割増手当を支払わない」といった申し合わせがあった場合、労基法第37条によりその合意は無効となります。

2-2. 時間外労働として25%の割増賃金を支払う

上述のとおり、残業を代休扱いにしたとしても、時間外労働の割増賃金まで相殺することはできません。たとえば、1ヶ月の残業時間の上限を30時間とし、上限を超えた残業は8時間ごとに1日分の代休で対応する場合を考えてみましょう。

30時間の残業はもちろん、代休扱いになった労働時間も「時間外労働」として、1時間あたりの賃金に対し、25%の割増賃金を支払う必要があります。

例)月給:32万4,000円(1時間あたりの賃金2,000円)

  残業時間:46時間

  代休付与日数:2日

 

46時間分の残業代は、

2,000円×1.25×46時間=115,000円

です。この残業時間のうち、残業時間の上限30時間の残業代は、

2,000円×1.25×30時間=75,000円

になります。残り16時間は2日間の代休扱いとして、

2,000円×16時間(2日分)=32,000円

相殺されますが、実際は「時間外労働」として25%の割増率を換算しなければならないため、

2,000円×1.25×16時間(2日分)=40,000円

から差し引いた割増分の残業代、

40,000円−32,000円=8,000円

を支払う必要があります。

割増分の残業代を支払わなければ、労働基準法第37条(時間外、休日および深夜の割増賃金)違反となり、労働基準法第119条により、6ヶ月以下の懲役または30万円以下の罰金が課されます。

3. 残業を代休扱いにできない場合

誰もいない深夜のオフィスの様子

労働基準法第24条により、残業代を含む賃金の全額は1ヶ月ごとに1回以上、期日を定めて支払う義務があります。したがって、代休扱いにする時間外労働と代休付与の日は同じ月(同一給与計算期間)にしなければなりません。

4月給与計算期間の時間外労働を5月の給与計算期間の代休扱いにするといった、「月またぎ」での対応は労働基準法違反になってしまうので注意しましょう。

4. 残業の代休扱いで残業の削減にはならない

卓上で給与計算をおこなっている様子

法定時間外労働を代休の付与で対応すること自体は違法ではありませんが、時間外労働の割増賃金を相殺してできるわけではありません。

時間外労働手当として25%の割増賃金を支払わない場合は、労働基準法違反となります。代休とは、時間外労働や休日労働がおこなわれた際、従業員の健康の維持や回復、自由時間の確保を図るという趣旨で取り組まれるものです。

そういった観点からも、残業の代休扱いによる残業代削減や人件費の抑制などは原則に反することを覚えておきましょう。

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