特別手当とは?賞与との違いやメリット・注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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特別手当とは?賞与との違いやメリット・注意点を解説

給与日を待ち望む人

特別手当とは、法律で支給が義務付けられていない手当です。

特別手当の金額や支給時期はすべて企業で設定できるため、社会保険上の区分に迷う方もいるでしょう。

本記事では、特別手当の基本知識や賞与との違い、特別手当の種類や相場、メリット・デメリットを紹介します。特別手当を支払う場合の注意点も解説するため、企業経営者・労務担当者の方はぜひ参考にしてください。

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1. 特別手当とは

ポイント

特別手当は法律で定めがなく、企業が独自にルールを定めて支払う手当です。企業や文脈によって意味合いが以下の2点にわかれます。

  • 企業が規則で設定している、基本給とは別に支払われる手当
  • 就業規則に定めがなく、臨時的に出す手当

本記事では、前者の場合の特別手当について説明します。

1-1. 賞与との違い

賞与とは、厚生労働省の通達によれば以下の3点を満たすものとされています。

  • 定期または臨時に支給される
  • 原則として労働者の勤務成績に応じる
  • 支給額があらかじめ確定されていない

引用:・労働基準法の施行に関する件(◆昭和22年09月13日発基第17号)|厚生労働省

厚生年金保険法第3条4項では、以下のように賞与を定義しています。

「賞与 賃金、給料、俸給、手当、賞与その他いかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受ける全てのもののうち、三月を超える期間ごとに受けるものをいう」

引用:厚生年金保険法|e-Gov法令検索

賞与が企業や個人の業績に応じ支給の有無や支給額が変動する一方、特別手当は規則に定められた内容にしたがって支給される点が異なります。

関連記事:賞与計算の基本や注意点・社会保険料が引かれる理由を解説

1-2. 残業手当や休日手当との違い

時間外労働の割増賃金(いわゆる残業手当)や休日労働の割増賃金(いわゆる休日手当)は、労働基準法で支給が義務付けられています。支払対象や割増率は以下のとおりです。

種類 支払対象 割増率
時間外 1日8時間・週40時間を超える労働 25%以上
1ヵ月60時間を超える労働 50%以上
休日 法定休日の労働 35%以上
深夜 22〜翌5時までの労働 25%以上

参考:東京労働局 | しっかりマスター労働基準法

残業手当や休日手当は、上記に当てはまる労働には必ず支給する点や、割増率が労働基準法で定められている点が特別手当と異なります。

1-3. 大入袋との違い

大入袋は、企業の業績が好調だったときなどに、臨時で支給されるボーナスです。

就業規則などに定めがなく、臨時的で支給される点が特別手当と異なります。

なお、大入袋の額を社会保険の計算に含めるかどうかは、支給条件や性質次第です。臨時的なもので恩恵的な要素が強いのであれば報酬や賞与に該当しませんが、最終的には行政機関が判断します。迷う場合は社会保険労務士などの専門家や年金事務所に相談しましょう。

2. 特別手当の種類・金額の相場

はてなを二つ持つ男性

特別手当は企業が独自に定めることができるため、種類や支給金額に決まりはありません。決まりがないからこそ、多くの企業が定めている特別手当の種類や相場が参考になります。

代表的な特別手当の種類と金額の相場を確認しましょう。なお、各手当の金額の相場は令和2年就労条件総合調査の結果を参照しています。

参考:令和2年就労条件総合調査 結果の概況|厚生労働省

2-1. 役職手当

役職手当は、管理職などの役職に就く従業員に支給される手当です。一般的には職位が上がるにつれ支給額が増えます。1人あたり平均支給額は以下のとおりです。

企業規模 1人あたり平均支給額(単位:千円)
全体 41.6
1,000人以上 50.3
300〜999人以上 38.1
100〜299人以上 38.8
30〜99人以上 37.1

関連記事:役職手当とは?相場・金額の決め方をわかりやすく解説

2-2. 家族手当

家族手当は、扶養する配偶者や子どもなど、従業員が養う家族がいる場合に支給される手当です。親族であること以外に、税法上または社会保険料上の扶養に加入していることや同居の有無など、細かい要件は企業によって異なります。

企業規模 1人あたり平均支給額(単位:千円)
全体 17.6
1,000人以上 22.2
300〜999人以上 16.0
100〜299人以上 15.3
30〜99人以上 12.8

ただし、多くの企業では対象となる家族の人数によって支給額が変わります。

2-3. 住宅手当

住宅手当は、従業員の住居負担を軽減するための手当です。定額を支給するほか、地域ごとに支給額を変えたり、家賃の50%を支給したりするなどの定め方が考えられます。

企業規模 1人あたり平均支給額(単位:千円)
全体 17.8
1,000人以上 21.3
300〜999人以上 17.0
100〜299人以上 16.4
30〜99人以上 14.2

2-4. 繁忙手当

繁忙手当は、GW期間や年末年始などの人手が足りないときの勤務や、決算整理の時期など業務量が多い時期に支給される手当です。

繁忙手当に固定残業代としての性質がない場合、追加支給した場合でも時間外の割増賃金は支給する必要があるため注意しましょう。

2-5. 資格取得手当

資格取得手当は、業務に関連する資格を取得した場合に支給される手当です。例えば不動産仲介業の企業で、宅地建物取引士の資格を取得した場合などに支給されます。

企業規模 1人あたり平均支給額(単位:千円)
全体 18.8
1,000人以上 17.8
300〜999人以上 15.6
100〜299人以上 18.9
30〜99人以上 21.8

資格取得手当は毎月支給される場合のほか、資格を取得した際に一時金として支給される場合もあります。

2-6. 危険手当

危険手当は、危険、有害な業務に従事する場合に支給される手当です。高所作業や道路上作業などが該当します。

平均支給額は以下のとおりですが、支給対象となる作業内容や危険の度合いによっても変わるため注意しましょう。

企業規模 1人あたり平均支給額(単位:千円)
全体 14.4
1,000人以上 12.6
300〜999人以上 11.8
100〜299人以上 13.3
30〜99人以上 19.6

2-7. 通勤手当

通勤手当は、通勤にかかる費用を支給する手当です。本来通勤にかかる費用は労働者が負担するもので、使用者が負担する必要はありません。そのため通勤手当も特別手当の一つとなります。

平均支給額は以下のとおりですが、ほとんどの企業では上限を定め、通勤にかかる費用を支給しているでしょう。

企業規模 1人あたり平均支給額(単位:千円)
全体 11.7
1,000人以上 13.3
300〜999人以上 11.4
100〜299人以上 10.8
30〜99人以上 10.3

2-8. 出張手当

出張手当とは、出張の際に交通費とは別に支給される手当を指します。出張先での食事や諸経費の補填などの意味合いが強い手当です。

出張手当の相場は宿泊を伴うか、国内か海外かなどにより異なりますが、おおよそ1日2,000〜3,000円になります。

関連記事:出張手当とは?メリット・デメリットや相場を解説

3. 課税となる特別手当

課税のイメージ

課税対象となるのは、給与所得に該当する特別手当です。

給与所得とは、俸給や給料、賃金、歳費、賞与のほか、これらの性質を有する給与に係る所得を指します。金銭で支給される手当に限らず、現物で支給される手当でも定義に当てはまる場合は給与所得です。

特別手当は原則的に給与所得に該当するため、非課税要件に該当しない限りは課税となるでしょう。

参考:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

4. 非課税となる特別手当

チェック事項

特別手当のうち、以下に該当するものは例外的に非課税となります。

  • 資格取得手当

資格取得手当とは、従業員がおこなっている業務上もしくはスキルアップのために必要な資格を取得するために支給される手当です。

資格取得手当のうち、資格取得のための研修会や講習会などの出席費用、大学などの聴講費用は、適正なものに限り、非課税になります。

参考:No.2601 職務に必要な技術などを習得する費用を支出したとき|国税庁

  • 通勤手当

通勤手当は通勤の距離に応じて、下記の金額までが非課税となります。

区分 通勤距離(片道・キロメートル) 非課税額
公共交通機関・有料道路 定めなし 1ヵ月あたりの合理的な額(最高150,000円)
自転車・自動車 55〜 31,600円
45〜54 28,000円
35〜44 24,400円
25〜34 18,700円
15〜24 12,900円
10〜14 7,100円
2〜10 4,200円
2未満 全額課税
通勤定期券 定めなし 1ヵ月あたりの合理的な額

(最高150,000円)

  • 旅費

転勤や出張などの旅費は、通常必要と認められるものは非課税です。「通常必要と認められるもの」の範囲は、以下の点から判断されます。

    • 役員や使用人のすべてを通じて適正なバランスが保たれている基準によって支給額が計算されているか
    • 同業種、同規模の他企業が一般的に支給している金額に照らして相当と認められる支給額か

つまり、規則などのルールに従って支給されていなかったり、一般常識と比べて旅費の額が高すぎたりする場合は課税対象になります。

  • 宿直・日直手当

宿直料または日直料のうち、4,000円(食事が支給される場合には、4,000円から食事の価額を控除した残額)までは非課税となります。ただし、以下のいずれかに該当する場合は非課税となりません。

    • 休日または夜間の留守番のために雇用された者やその場所に居住し、休日または夜間の留守番をも含めた勤務するものとして雇用された者に支給する場合
    • 通常の勤務時間内の勤務として宿直や日直をおこなった者や代日休暇が与えられる者に支給される場合
    • 通常の給与の額に比例して支給額が変動する場合

出典:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

5. 特別手当のメリット

メリット

特月手当のメリットは以下の2つです。

  • 従業員のモチベーションが上がる
  • 基本給を上げずに支払金額を上げられる

ここでは、それぞれのメリットを詳しく解説します。

5-1. 従業員のモチベーションが上がる

特別手当は、従業員のモチベーションアップにつながります。課長級以上の職についた場合に役職手当が支給される場合、役職手当が管理職を目指す動機になりえるでしょう。業務に関連する資格を取得した従業員に対して資格取得手当を支給する場合は、従業員の自己研鑽を促せ、業務の生産性が向上する可能性も高まります。

5-2. 基本給を上げずに給与総額を増やせる

毎月特別手当を支給すると、基本給を上げずに給与の総額をアップできます。

企業全体のベースアップをする場合は基本給のみを上げて、特別手当の額は据え置くことも可能です。基本給は1度上げると下げるのは困難ですが、特別手当は企業の都合で減額や廃止もしやすいといえます。

ただし、特別手当も一方的に減額や廃止はできません。就業規則の変更によって不利益変更をおこなう場合、変更の合理性と労働者への周知が必要になります。

参考:労働契約法のあらまし|厚生労働省

6. 特別手当のデメリット

デメリット

特別手当のデメリットは、以下の3つです。

  • 支給根拠が曖昧になりがち
  • 残業代や社会保険料の計算に影響する
  • 企業負担が増えて管理が煩雑になる

6-1. 支給根拠が曖昧になりがち

特別手当の支給根拠が曖昧だと、労使間トラブルの原因になる場合もあります。

例えば「◯◯手当は、会社が認めた場合に支給する」と定められている場合に、従業員は手当を支給されると思っていたのに、企業側が認めなかった場合などです。

特別手当の支給根拠が曖昧だと、支店ごとに認定基準が異なり、従業員感で不公平が生じる可能性もあるでしょう。

就業規則における特別手当の定め方や運用方法には注意が必要です。

6-2. 残業代や社会保険料の計算に影響する

残業代や社会保険料の計算に含まれるのは基本給だけではありません。残業代の計算には、以下に挙げられているもの以外は含める必要があります。

  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女教育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1ヵ月を超える期間ごとに支払われる賃金

特別手当のうち社会保険料の計算に含まれないものも、慶弔金や傷病手当金など、労働の対償にあたらず、継続的に支給されないものに限られます。

基本給を抑え、特別手当を追加で支給しても、支払う残業代や社会保険料が減ることはほとんどありません。特別手当の使い方を間違えないようにしましょう。

参考:割増賃金の基礎となる賃金|厚生労働省

6-3. 企業負担が増えて管理が煩雑になる

特別手当が増えると、従業員に支払う給与が増え、人件費が増加します。企業としては、予算の問題も考慮する必要があるでしょう。

また、給与の支給項目が増えるため、給与担当は従業員一人ひとりの支給要件の確認に時間を取られます。管理が煩雑になり、給与の計算ミスも発生しやすくなるでしょう。特別手当を新たに導入する場合は、管理の手間を見込んだうえで有効性を判断してください。

7. 特別手当を支給する際の注意点

注意

特別手当を支給する際は、福利厚生と報酬(給与・賞与)のどちらに該当するか注意しましょう。

福利厚生とは、結婚祝い金や出産祝金など、労働の対償には該当せず、基準を満たした従業員に一律に支給される費用を指します。

特別手当が福利厚生に該当する場合、社会保険料の計算に特別手当を含める必要はありません。逆にいうと、特別手当が報酬に該当する場合は、社会保険料の計算に含める必要があります。

手当が報酬に該当するかどうかは名称によるものではなく、実態を踏まえて国税庁や年金事務所が判断します。特別手当が福利厚生か報酬か不明な場合は、税理士や社会保険労務士などの専門家に相談しましょう。

8. 特別手当を上手に活用しよう

計算している様子

特別手当は、企業が任意で定めることができる手当です。規則に定めた要件を満たした従業員には、定められた方法で計算した額を支給しなければならない点が賞与と異なります。

特別手当を上手に活用すれば従業員のモチベーション向上などの効果が期待できますが、社員間の不公平感や税金、社会保険の取り扱いには注意が必要です。

特別手当を導入する場合は、業務の特性や企業文化に合わせて、手当の内容や規則の文言を検討しましょう。

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