在宅勤務(テレワーク)では何が経費になる?注意点や清算方法を解説

従業員に対する給与や交通費、備品の購入費など、事業に必要な費用は従業員が勤務する場所を問わずすべて会社にとっての経費です。
従業員が業務をするうえで個別に必要になる物品や交通費、旅費、通信費なども経費に該当しますが、個人で発生する経費の取り扱いは判断が難しい部分があります。特に在宅勤務時の経費の取り扱いは曖昧になりやすいです。
そうした問題を解決するために、今回は在宅勤務にかかるコストについて、従業員からの経費精算として対応すべきケースを詳しく見ていきましょう。
▼在宅勤務・テレワークについて詳しく知りたい方はこちら
在宅勤務の定義や導入を成功させる4つのポイントを解説
目次
人事労務担当者の実務の中で、勤怠管理は残業や深夜労働・有休消化など給与計算に直結するため、正確な管理が求められる一方で、計算が複雑でミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
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1. 在宅勤務で経費と認められる基準は?


在宅勤務用に新しく何か物品を購入した場合、それらをあくまで会社所有として従業員に貸与するのであれば経費精算ができます。従業員側で購入した際にも、会社からの貸与品扱いにするのであれば、立て替え分は給与ではなく経費です。
業務に必要なくなるまで使い続ける場合でも、最終的に返却することを前提としている場合は、会社所有と考えて問題ありません。
従業員側の判断によって処分できないため、会社に返すことが前提のものは、課税対象とせずに原則は経費精算が認められます。
また経費精算ができる代表的な例には、次のようなものがあります。
- 貸与品のポケットWi-fi
- 貸与品のパソコン
- 必要な業務ソフトウェアのライセンス
- 文房具や事務用品などの消耗品
これらのアイテムは、業務をおこなううえで必須であり、その使用が会社の業務目的に合致しているため、経費として認められるのです。一方で、従業員が自らの判断で購入したものについては、領収書を添付し、会社の承認を得ることが大切です。その他の経費と認められる項目についても詳しくみていきましょう。
1-1. 業務用ツール
先ほども出てきたパソコンをはじめ、Webカメラ・スマートフォン・携帯電話といった各種ツールは、会社からの貸与が前提であれば経費精算が可能です。
従業員自身で選定して購入した場合でも、貸与品とする場合は同様に経費扱いができます。
1-2. 環境整備品
在宅勤務での環境整備は、業務効率を大きく向上させる要素となります。そのため、快適に働けるスペースを確保するための道具や設備は、積極的に整備することが望まれます。
また、各従業員が必要な設備を自宅に設置する際の費用についても注意が必要です。必要に応じてオフィスチェアや作業デスクを購入する場合、これらの費用も経費として認められます。
業務に支障をきたさないためにも、職場環境を整えるための投資は企業にとって重要な意味を持ちます。ただし、これらの経費精算に際しては、必ず領収書を保存してもらい、どのような目的で使用されるのか、詳細な報告をするようにルールを決めておきましょう。
このプロセスを通じて、従業員の在宅勤務環境を整えて業務効率化を目指すとともに、経費の適正な処理がしやすくなります。
1-3. 事務・消耗品
事務・消耗品に関しては、ここまでの物品とは扱いが異なるため注意する必要があります。
いずれも「貸与」という条件がありましたが、事務・消耗品の場合、実質的には返却が困難です。
そのため文具や宅配・郵送用品類などは、業務上必要なものとして、会社が負担する経費にできます。
出社・外出時のマスクといった消耗品も該当しますが、あくまで通常業務を遂行する上で欠かせないものに限ります。
例えば従業員の家族用のマスクを支給した場合には、課税対象になります。同じ品物でも、目的によって取り扱いが異なるケースがあるため注意しましょう。
2. 在宅勤務で経費として認めなくてよいもの


在宅勤務の場合でも、業務に必要なものや業務の効率に直結するものは、経費として扱うことができます。一方で業務に関係がないものは、勤務時間中に使うものだとしても経費にはできません。一例としては以下のものがあります。
- 食事・飲料費
- デスク周りのインテリア
- 業務に関係のない家電
- 家族用の衛生用品
- 業務中にかける音楽のサブスクリプション費
これらは業務中に必要になるものや活用する可能性があるものです。例えば、在宅勤務中の昼食にコンビニエンスストアでお弁当を買ってきて、レンジで温めて食べるとしましょう。
この場合、コンビニエンスストアの購入費やお弁当を温めるレンジは、業務中に使うものです。しかし、いずれも業務には関係ないため、経費には該当しません。
また、業務効率があがるという理由で音楽のサブスクリプションに加入するケースも考えられますが、必ずしも業務で必要とは言えません。そのため、経費として認められません。
ただし、食事の費用に関しては、社員食堂で安価に昼食をとれていた場合、それを利用できなくなったことに対して、非課税枠を利用して食事補助サービスを付ける会社が増えています。
3. 在宅勤務における経費には明確なルールが必要


在宅勤務中の経費は判断が難しいケースも多く、会社と従業員の間で勘違いが発生しやすいです。「経費になると思っていたのに」という不満がでないように、就業規則で経費として認める範囲や、負担の割合を決めておきましょう。
3-1. 従業員負担に関する就業規則が必要
在宅勤務で使う物品には、会社負担として経費にするものとしないものがありました。業務に直接関係のない者は、基本的に経費にしなくても問題ありません。
ただし、労働基準法第89条により、食費や作業用品などの費用を従業員に負担させる場合は、就業規則による定めが必要とされています。
もし在宅勤務に向けた必要物品を従業員自身でそろえてもらう際には、就業規則の確認が欠かせません。
従業員が自己負担で経費を負担する場合、必要な物品が業務に関連していることを明確に示すため、それに関するルールを明文化しておくことが重要です。
状況に応じて就業規則を変更しなければならないため、十分に注意しておきましょう。その他にも勤務時間や残業規定の変更など、在宅勤務の導入時には就業規則の見直しが必須です。
3-2. 就業規則への記載方法の一例
在宅勤務時の経費について就業規則に記載する際は、「会社と従業員どちらが負担するのか」が曖昧になりやすい部分を重点的に定めましょう。
一例としては以下のような項目が必要です。
- 通信費・光熱費について
- 機器の支給・貸与について
- 消耗品について
- 食事の費用について(社員食堂などがある場合)
- 労働災害について
会社が負担するケースと従業員負担になるケースや、負担の割合などを明確にしておきましょう。労働災害については、在宅勤務による運動不足の解消や健康管理のルールを設定し、自己管理に必要な費用をどこまで会社負担にするか定めておくと安心です。
こうしたルールを設けたうえで、判断に迷う場合は相談したうえで購入するように周知しておくことも大切です。
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関連記事:在宅勤務の就業規則の在り方や見直しのポイントを解説
4. 在宅勤務での経費扱いで注意が必要な項目


ここまでにご紹介してきたのは、オフィス勤務でも必要になる有形の物品例で、購入したことや使用目的がわかりやすいものでした。しかし、以下のような無形のコストは取り扱いが複雑です。どのように取り扱うべきか、知っておきましょう。
4-1. 通話・通信料金
仮に従業員本人が所有するスマートフォンを業務に使う場合、その使用料を経費精算するには、合理的かつ精密な計算方法で適切な金額を算出しなければなりません。
より詳細な規定がある場合には、各企業独自の計算でも問題はありませんが、基本的には次のような計算式に当てはめて経費額を出します。
- (1ヵ月間の基本料金+インターネット接続料の有料分)×各従業員の月の在宅日数/該当月の暦日×1/2
※上記に加え、業務に使用した分の通話料を上乗せ
通話料については、明細書にて業務に使用した分が把握できるため、その分をそのまま経費精算として問題はありません。
ただし基本料金やインターネット接続料は、私的利用分と分ける必要があるため、上記計算式に当てはめて算出します。
またインターネット接続料の有料分とは、例えば「3GBまで基本料金に含む」などの場合なら、その超過分に該当するものです。
なお、算出した金額に1円未満の端数が生じた場合は、切り捨てて処理をします。
4-2. 電気料金
電気料金も同じように、私的利用分と分けて考慮しなければなりません。
こちらも会社独自の計算方法でも問題はありませんが、原則以下の計算式に当てはめて算出します。
- 1ヵ月間の電気料金×業務に要する床面積/自宅の総床面積×従業員の月の在宅日数/該当月の暦日×1/2
なお通話・通信量でも同じように出てくる「1/2」という比率は、1日の平均睡眠時間(8時間)を除いた、日中の労働時間の割合を示しているものです。
4-3. 感染症対策関連
もし感染が疑われる従業員において、会社からの業務命令でホテルを利用させたりPCR検査を受けさせた場合には、交通費を含んだ各種料金は経費精算が可能です。
ただし自己判断で利用しているケースで会社が負担する際には、給与として課税対象となるため注意しておきましょう。
感染症対策として、全従業員を対象に会社が医療費や健康管理の費用を負担する場合は、福利厚生費として認められます。ただし、特定の従業員のみを対象とする場合は給与課税の対象となる可能性があるため、注意しましょう。この際にも明確な基準を設けて、どのような場合に経費として計上できるのかを社内で共有しておくことが重要です。
また、感染症対策に関連する備品や消耗品の購入も、業務の継続のために必要な支出として、経費精算の対象となります。 例えば、除菌スプレーやマスク、防護具などの購入は、業務遂行におけるリスク回避のための支出として認められるでしょう。
関連記事:在宅勤務に交通費は必要?クリアにしておきたい線引や注意点
5. 自宅以外でテレワークをした場合の経費


自宅以外でテレワークをした際の経費については、業務をおこなうために必要な費用のみが経費として認められます。
例えば、コワーキングスペースの使用料やカフェでの飲み物代は、領収書などの証明書類があれば「会議費」として計上可能です。しかし、食事目的やリフレッシュ目的などでカフェを利用する場合は経費として認められません。業務をしながら飲食をした場合も、その業務に必要な費用でなければ経費にはならないと考えましょう。
また、セキュリティリスクを考慮し、従業員が独自に判断して自宅以外で業務をすることには注意が必要です。セキュリティの甘い無料のWi-Fiなどを使うと、情報漏洩につながりやすく、画面ののぞき見やパソコンや記録媒体の置き忘れなども発生する恐れがあるからです。会社としては、自宅以外での業務に関するルールを明確に定めておくことが推奨されます。
6. 在宅勤務で発生する経費を会社負担にする場合


在宅勤務において、会社が負担する経費には以下の2種類があります。
- 在宅勤務者に貸与するものの購入費用を会社の経費とする
- 在宅勤務者が購入したものを経費として処理する
会社が購入して在宅勤務者に貸与する場合は、単純に会社が経費として購入費を通常通りに処理すれば問題ありません。従業員に貸与品であることを伝え、不要になった場合は返却してもらう形にすればよいでしょう。
複雑なのは在宅勤務者が購入したものや、光熱費・通信費などの無形のコストです。こうした在宅勤務によって発生した出費に対しては、実費で支給するケースと「在宅勤務手当」として支給するケースに分かれます。
従業員が立て替えて費用を負担しているとして実費を支給する場合は、この支給部分は非課税です。一方で在宅勤務手当として、毎月一定額を支給する場合は「給与」として取り扱われます。そのため、所得税が課税されることになります。
同じ会社負担として在宅勤務の経費を処理する場合でも、処理の方法で税金が変化します。在宅勤務をする従業員に対しては、経費として認める範囲に加えて、どのような処理がされるのかについても十分に説明しましょう。
7. 在宅勤務中の経費の取り扱いを理解して正しく処理しよう


在宅勤務でなるべくスムーズに業務を進めていくためには、備品をはじめとしたさまざまな準備が必要です。
また状況に応じて、滞りなく仕事をしてもらうための費用負担が求められるケースも発生します。
そうした場合に備えて、手当を支給するのか経費精算で立て替えるのか、前もって十分に検討しておかなければなりません。
従業員への影響も大きいため、しっかりと計画を立てた上で、適切な処理をしていくのがベストです。
関連記事:在宅勤務手当とは?支給額の相場や支払い方法を詳しく紹介
関連サイト:KASHI KARI



人事労務担当者の実務の中で、勤怠管理は残業や深夜労働・有休消化など給与計算に直結するため、正確な管理が求められる一方で、計算が複雑でミスや抜け漏れが発生しやすい業務です。
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