外国人雇用状況の届出とは?対象者や様式・届出期限や罰則など基本を解説
更新日: 2026.2.27 公開日: 2025.6.8 jinjer Blog 編集部
「外国人雇用状況の届出が必要なタイミングがわからない」
「外国人雇用状況の書き方や提出方法に不安がある」
外国人を雇用するとき、このようなお悩みを抱く経営者や人事担当者もいるのではないでしょうか。
外国人雇用状況の届出は、2007年9月30日からすべての事業主に提出が義務づけられており、提出を怠ると30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
本記事では、外国人雇用状況の届出とは何か、記載内容や提出方法、届出の注意点を解説しています。外国人雇用状況の届出を作成する際の参考にしてください。
目次
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1. 外国人雇用状況の届出と対象者とは


「外国人雇用状況の届出」とは、事業主が外国人を雇入れるときと、雇用していた外国人が離職する際におこなう届出義務です。外国人雇用状況の届出で得られた情報は、国(ハローワーク)が外国人の雇用環境の改善のために助言や指導をしたり、離職した外国人の再就職支援をしたりする際に活用されます。
外国人雇用状況の届出は、労働施策総合推進法(労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律)により、すべての事業主に届出が義務付けられており、厚生労働省では、年に1度、外国人雇用状況の届出状況をとりまとめて公表しています。
当制度の施行日前(2007年9月30日以前)から継続的に雇用している外国人に対しても届出が必要です。
労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等 に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号) 抜粋 (外国人雇用状況の届出等) 第二十八条(抄) 事業主は、新たに外国人を雇い入れた場合又はその雇用する外国人が離職した場合に は、厚生労働省令で定めるところにより、その者の氏名、在留資格、在留期間その他厚生労働省令で定める事項について確認し、当該事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。
1-1. 雇用保険の被保険者となる外国人の場合
外国人雇用状況の届出は、雇い入れる外国人が、「雇用保険に加入するかどうか」によって、利用する様式が変わります。
まず、雇用保険の被保険者となる場合は、日本人と同じように、「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」を提出します。この様式を提出することで、外国人雇用状況の届出をおこなったことになります。
雇い入れていた外国人が離職する際も、日本人と同じように「雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)」を提出します。雇入れ時と同様、この様式の提出をもって、外国人雇用状況の届出をおこなったことになります。
◆届出期限
- 雇入れの場合は翌月10日まで
- 離職の場合は翌日から起算して10日以内
雇用保険被保険者資格取得届または雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限と同じです。
◆様式(ハローワークインターネットサービスで取得可能です)
雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)
雇用保険被保険者資格喪失届(様式第4号)
1-2. 雇用保険の被保険者とならない外国人の場合
雇い入れる外国人が、雇用保険に加入しない場合は、外国人雇用状況の届出専用の様式を利用します。様式名は、「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」で、雇入れ時だけでなく、離職したときも同じ様式で届出をおこないましょう。
◆届出期限
- 雇入れ、離職ともに「翌月末日」まで
雇用保険に加入する外国人を雇うときと比べると、雇用保険未加入者の場合は提出期限にゆとりがあります。しかし、外国人を雇入れ前後は業務のフォローや確認事項が増える場合もあるため、早めの提出を心がけましょう。
◆様式
なお、外国人の雇用保険手続きをより詳しく知りたい方は、次の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:外国人を雇用する際も保険加入は必要?手続き方法や注意点を解説
1-3. 外国人雇用状況の届出の対象外
次のいずれかに該当する場合は、外国人雇用状況の届出は必要ありません。
- 在留資格が「外交」または「公用」の場合
- 特別永住者である場合
特別永住者は、特別の法的地位が与えられているため、日本での活動内容に制限がないため届出が不要とされています。
2. 外国人雇用状況の届出が必要とされる理由


外国人雇用状況の届出は、外国人労働者の雇用実態を正確に把握するために義務化されています。厚生労働省は、外国人労働者の人数や国籍、業種などのデータを毎年集計・公表しており、集められた情報は外国人の労働環境の整備や人材政策に関する課題の分析・解決に活用される重要なものです。
外国人労働者を受け入れる際、言語や文化の違いから対応に悩む事業主もいるでしょう。外国人雇用状況の届出で集められたデータをもとに、国からの助言や指導を受けられるメリットもあるため、必ず届出をおこなうことが大切です。
また、正しく届出をすることは、外国人の在留資格を確認し、不法就労の抑止にも間接的につながります。万が一、雇入れた外国人が不法就労となった場合、不法就労助長罪として企業が3年以下の拘禁刑(刑法改正により、従来の懲役刑は拘禁刑に一本化)または罰金300万円以下の罰金を科されるおそれもあります(入管法第73条の2)。
トラブルを未然に防ぎ、適切な雇用環境を整備するためにも、正しいルールを確認して届出をおこないましょう。
2-1. 外国人の雇用管理の改善は企業の努力義務
外国人の雇用状況の届出義務とあわせて、努力義務となっている外国人労働者の雇用管理の改善の重要性も理解しておきましょう。「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」では、雇入れる外国人の雇用管理を改善することを企業の努力義務としています。ここでは、指針のベースとなる2つの考え方を押さえておきましょう。
- 労働関係法令や社会保険関係法令は国籍にかかわらず適用される。事業主はこれらを遵守すること。
- 外国人労働者が適切な労働条件と安全衛生のもとで働き、在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるよう、この指針で定める事項について、適切な 措置を講ずること。
つまり、日本の労働基準法や社会保険のルールは、外国人であっても適用となり、企業には法令遵守が求められます。外国人だからといって、故意に日本人との労働条件に差をつけることや、安全衛生が保たれない劣悪な労働環境で働かせることのないよう、留意しましょう。
「在留資格の範囲内で能力を発揮しつつ就労できるよう」という言葉にあるとおり、外国人ごとに在留資格にもとづく就労可否を確認することも欠かせません。在留資格の種類は多岐にわたるため、必要に応じて行政書士などの専門家の意見をあおぎながら対応しましょう。
参考:外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針|厚生労働省
3. 外国人雇用状況の届出の記入方法


社会保険や労働保険など、通常の入社手続きと同様に、外国人雇用状況の届出も、様式に沿って記入をおこなう必要があります。ここでは、記入項目と記入方法を解説するので、初めて届出をおこなう方はぜひ参考にしてください。
3-1. 雇用保険に加入する外国人の雇入れの場合
雇用保険に加入する場合は「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」を用いて、次の項目を届け出ます。
◆様式
◆雇用保険に加入する外国人を雇入れるときの届出事項
①氏名
②在留資格※
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦資格外活動許可の有無
⑧雇入れに係る事業所の名称及び所在地など、取得届に記載が必要な事項
※在留資格「特定技能」の場合は分野、「特定活動」の場合は活動類型を含む
なお、外国人雇用状況届出とは別に、特定技能で外国人を雇用する場合にはその在留資格に応じた定期届出義務があり、2024年頃から制度改正で年1回報告に統一されています。
次の図にあるとおり、「雇用保険被保険者資格取得届(様式第2号)」の17~22番が、外国人の国籍や在留資格を記入する欄となっています。
「17.被保険者氏名(ローマ字)」欄は、 届出される外国人の氏名を在留カードを参照しながら記入しましょう。「19.在留資格」欄は、在留カードに記載された在留資格か、パスポートの上陸許可証印に記載されたとおりの内容を記入します。
なお、在留資格が「特定技能」または「特定活動」の場合は、次の図、右下の黄色い枠内から該当するものを選び、記入しましょう。
3-2. 雇用保険に加入する外国人の離職の場合
雇用保険に加入する場合は「雇用保険被保険者 資格喪失届・氏名変更届(様式第4号)」を用いて、次の項目を届け出ます。
◆様式
◆雇用保険に加入する外国人が離職するときの届出事項
①氏名
②在留資格
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦離職に係る事業所の名称及び所在地など、喪失届に記載が必要な事項
次の図にあるとおり、表面に外国人被保険者の住所または居所を記入し、裏面の14~18番に在留資格など記入します。
3-3. 雇用保険に加入しない外国人の雇入れ・離職時の場合
外国人が雇用保険に加入しない場合は、雇入れと離職時に同じ様式を用いて届出をおこないます。利用するのは「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」で、様式はハローワークの窓口や厚生労働省ホームページからダウンロードができます。
◆様式
外国人雇用状況届出書(様式第3号)
◆雇用保険に加入しない外国人を雇入れ・離職するときの届出事項
①氏名
②在留資格
③在留期間
④生年月日
⑤性別
⑥国籍・地域
⑦資格外活動許可の有無
⑧雇入れ又は離職年月日
⑨雇入れ又は離職に係る事業所の名称、所在地等
次の図にあるとおり、様式に沿って外国人の氏名や国籍・地域などを記入します。在留資格や在留期間などを記入するために、あらかじめ在留カード・パスポート・資格外活動許可証などを外国人から提示してもらいましょう。
4. 外国人雇用状況の届出の提出方法と期限・届出先


ここまでで、外国人雇用状況の届出は雇用保険の被保険者かどうか、雇入れ時か離職時かなどによって、利用する様式や届け出期限が異なることを解説しました。それらをすぐに確認できるよう、一覧表でまとめたので手続きをする際の参考にしてください。
| 雇用保険の加入有無 | 雇入れ時 | 離職時 |
| 外国人が雇用保険の被保険者となる |
|
|
| 外国人が雇用保険の被保険者とならない |
|
|
4-1. 電子申請の方法
外国人雇用状況の届出は、ハローワークインターネットサービスの「外国人雇用状況届出システム」をとおして電子申請が可能です。
ただし、過去に一度でも雇用保険被保険者資格取得届や喪失届、外国人雇用状況の届出の届出様式を用いてハローワークに届け出たことがある事業主は、インターネット上からユーザーIDやパスワードを取得できません。事業所を管轄する最寄りのハローワークに問い合わせをおこないましょう。
外国人雇用状況届出システムの使い方は、厚生労働省のリーフレットを参照するとよいでしょう。
参考:外国人雇用状況届出書(様式第3号)による届出はインターネットで登録できます|厚生労働省
なお、雇入れる外国人が雇用保険被保険者の場合は、日本人と同様に「e-Gov」から電子申請ができます。
5. 外国人雇用状況の届出に関する罰則


外国人雇用状況の届出により、外国人を雇入れていることを報告しなかったり、虚偽の報告をしたりすると、30万円以下の罰則を科されるおそれがあります。
雇用保険法第7条で定められている「雇用保険被保険者資格取得届」、「雇用保険被保険者資格喪失届」を届け出ない場合、または虚偽の報告をした場合は、6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金が科されます。
外国人が事業主に対して虚偽の申請をしたことで、結果的に事実と異なる報告となった場合は、通常であれば罰則対象となりません。指針に沿って在留資格や氏名、パスポートなどを丁寧に確認し、届け出をおこなえるよう、社内の管理体制を整えることが重要といえます。
6. 外国人雇用状況の届出に関する注意点


「外国人雇用状況の届出」は、所定の様式に従って必要事項を記入するのみで、そこまで複雑な届出ではありません。しかし、届出様式に記入する「在留資格」や「在留期間」「資格外活動許可の有無」を正しく確認することが非常に重要です。
実際、警察庁の統計や報道でも、在留カードの偽造・不正利用に関する摘発事例が継続的に確認されています。こうした状況を踏まえ、厚生労働省や出入国在留管理庁では、在留カードの確認にあたって「在留カード等読取アプリケーション」の活用を推奨しています。外国人雇用状況届出の際、在留カードなどの写しを添付する必要はありませんが、届出内容の正確性を担保するためにも、在留カードの情報を適切に確認したうえで、慎重な対応をおこないましょう。
また、外国人本人が気付かないうちに在留期間の期限切れになる場合もあります。外国人雇用状況の届出をおこなったあとも、しっかりと外国人労働者とコミュニケーションをとり、正しい情報管理に努めましょう。
参考:令和6年版犯罪白書「第4編 各種犯罪の動向と各種犯罪者の処遇|法務省
7. 外国人雇用状況の届出に関するQ&A


外国人の雇用をおこなう際、そもそも見た目や言語、氏名から外国人と判断しにくかったり、アルバイト雇用の対応に悩んだりすることも実務上ではあるでしょう。外国人雇用状況の届出に関する、よくある質問を取り上げて回答します。
7-1. 氏名や言語から外国人と判断できなかった場合はどうする?
外国人によっては、氏名やその方の話す言語から、外国人と判断しにくい場合もあります。その際、確認や届け出をしなかったからといって、法違反を問われることはありません。
厚生労働省では、「通常の注意力をもって、雇入れようとする人が外国人であると判断できる場合」に、在留資格の確認をおこなうよう定めています。
7-2. 外国人であることを知りながら届け出なかったら罰則の対象になる?
厚生労働省は、「容易に判断できるのに届け出なかった場合」は指導や勧告の対象となり、さらに30万円以下の罰則対象となると定めています。
7-3. 短期アルバイト・外国人留学生のアルバイトも雇用状況の届出は必要?
短期間のアルバイトや外国人留学生がおこなうアルバイトも、外国人雇用状況の届出の対象です。短期アルバイトの場合、雇入れ日と離職日の双方を記入して、まとめて届出をおこないましょう。
また、外国人留学生の場合は、「資格外活動許可」を得ていることもあわせて確認します。資格外活動許可とは、本来就労が認められていない留学生に対して、就労を認めるものです。
7-4. 届出期間内に同じ外国人を複数回雇入れたらどうする?
届出期間内に、同じ外国人を何度も雇入れるケースもあるでしょう。その場合、複数回分の雇入れと離職日を届出様式に記入して提出すれば問題ありません。
8. 外国人雇用状況の届出の出し忘れに気をつけよう


外国人雇用状況の届出は、外国人の雇い入れ時・離職時に提出する義務があります。雇用保険の被保険者かどうかによって、利用する様式と提出期限が異なるため、慎重に確認して正しく手続きをおこないましょう。
外国人採用では、外国人雇用状況の届出以外にも、社会保険や労働保険の加入手続きで迷う場面が多いかもしれません。外国人を雇入れる際の必要書類や雇用契約の基本について関連記事で解説しているので、あわせてご覧ください。
関連記事:外国人を雇用する際に必要な書類は?注意点や確認するポイントを解説
関連記事:外国人雇用契約書とは?必要な理由や記載すべき内容を解説



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