外国人を雇用する際に必要な書類は?注意点や確認するポイントを解説

外国人を雇用する際は、採用活動を始める前に確認すべき項目が多数あります。特に在留資格の確認や本人確認を怠ると、意図せず不法就労に該当してしまうおそれもあるため注意が必要です。
外国人雇用では、すべての企業で必要となる書類に加え、在留資格の変更や更新、海外から外国人を招き入れる場合など、ケースによって必要となる書類もあります。
本記事では、外国人雇用に必要な書類を場面ごとに整理するとともに、令和9年4月1日施行予定の育成就労制度を含む、最新の制度改正も踏まえて解説します。
入社手続きは確実に対応する必要がありますが、社会保険の資格取得手続きや雇用契約の締結など対応しなくてはならない項目が多く、漏れや遅れが発生してしまうこともあるのではないでしょうか。
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◆この資料でわかること
- 新卒・中途採用で異なる必要書類の整理術
- 社会保険・雇用保険手続きの正確な手順と提出先
- 担当者が押さえておくべき法的な留意点
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1. 外国人を雇用するときに必要な書類


外国人を雇用する場合は、まず日本で就労が認められる在留資格を有しているかを確認しなければなりません。
これらの書類には、外国人であることを理由に必要なものと、日本人を雇用する場合と同様に求められるものがあります。
本章では、これらの書類について確認のポイントや記載の方法などについて詳しく解説します。
1-1. 在留カードなど就労可否を確認できる書類
在留カードは、中長期在留者である外国人に対して、出入国在留管理庁が交付する身分証明書です。在留カードには、在留資格や在留期間などが記載されています。
日本国内に在留している外国人を雇用する場合は、在留カードや旅券(パスポート)の確認が必須です。
雇用にあたっては、主に次の点をチェックしましょう。
- 在留資格および在留期間が有効であるか
- 「就労制限の有無」欄に就労不可の記載がないか
- 資格外活動許可を受けている場合、その内容や条件(時間制限など)が明記されているか
- 従事予定の業務が、在留資格で認められる活動内容と一致しているか
在留カードの内容と、実際に従事させる予定の業務内容が一致していない場合、不法就労に該当するおそれがあります。そのため、在留カードは採用時だけでなく、在留期間の更新の際など継続した確認が重要です。
なお、在留カードは本人確認書類としても利用されるため、写しを保管する場合は、個人情報の取扱いに十分注意しましょう。
参考:【チェックリスト】~適正な外国人雇用状況の届出のために~|厚生労働省
1-2. 労働条件通知書・雇用契約
外国人を雇用する場合であっても、労働基準法に基づき労働条件を明示する必要があります。雇用契約書の作成は法律上の義務ではありませんが、労働条件について双方の認識を明確にするため、「労働条件通知書兼雇用契約書」を交わしておくのが望ましいといえます。
外国人だからといって特別な様式が定められているわけではなく、日本人を雇用する場合と同様に、労働基準法に基づいた書面の交付が求められます。
雇用契約書や労働条件通知書には、主に次の内容を明記しましょう。
- 契約期間(有期・無期、更新の有無など)
- 業務内容・就業場所(変更の範囲も含む)
- 労働時間・休日
- 賃金の額・支払方法・締日・支払日
- 退職手当や賞与、退職に関する事項など、会社に定めがある事項
- 有期労働契約の場合は、更新の有無や更新基準、更新上限の有無
特に外国人の場合、業務内容が在留資格で認められている範囲内かどうかが重要な確認ポイントとなります。そのため、業務内容はできるだけ具体的な記載が望ましいでしょう。
また、言語の理解不足によるトラブルを防ぐため、母国語や英語を併記した書面を用意するなど、内容が正しく伝わる工夫も有効です。なお、「特定技能」などの在留資格で雇用する場合、雇用契約書や労働条件通知書は本人が十分に理解できる言語への翻訳が義務付けられています。
外国人の雇用契約書作成について詳しく知りたい方は、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:外国人の雇用契約書の作成における注意点とは?テンプレートを交えて解説!
参考:令和6年4月から労働条件明示のルールが改正されます|厚生労働省
1-3. 外国人雇用状況の届出
外国人を雇用した場合や、雇用している外国人が離職した場合には、外国人雇用状況の届出をおこなう必要があります。
この届出は、外国人の雇用状況を把握し、適切な雇用管理や再就職支援などに役立てることを目的としており、原則としてすべての外国人労働者が対象です。
届出方法は、雇用保険の加入状況によって異なります。
■雇用保険に加入する場合
「雇用保険被保険者資格取得届・喪失届」の外国人雇用状況届出欄に必要事項を記載して提出することで、外国人雇用状況の届出をしたものとみなされます。
■雇用保険に加入しない場合
「外国人雇用状況届出書」をハローワークへ提出する必要があります。
なお、届出を怠った場合には、事業主に対して、対象外国人1人につき30万円以下の罰金が科される可能性があります。
外国人の入社・退職の際は、社会保険や雇用保険の手続きだけでなく、外国人雇用状況の届出がされているかどうかも、手続きのチェックリストに追加しておくと漏れ防止につながります。
関連記事:外国人雇用状況の届出とは?対象者や様式・届出期限や罰則など基本を解説
1-4. 雇用保険被保険者資格取得届(加入対象の場合)
外国人を雇用する場合でも、一定の要件を満たす場合は雇用保険への加入が必要です。国籍や在留資格にかかわらず、雇用保険の適用要件を満たしていれば、日本人と同様に手続きをおこないます。
雇用保険の被保険者となるのは、次の要件を満たす場合です。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上であること
- 31日以上の雇用見込みがあること
これらの要件に該当する場合は、雇用保険被保険者資格取得届をハローワークへ提出します。外国人の場合、雇用保険の資格取得届の所定欄に必要事項を記載し届出をすることで、外国人雇用状況の届出をおこなったものとみなされます。
雇用保険被保険者資格取得届の所定欄は次のとおりです。
なお、就労に制限がある在留資格の場合は、資格外活動許可の有無や就労時間の制限を確認したうえで、雇用保険の加入要件を満たすか判断しましょう。
1-5. 健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届(加入対象の場合)
外国人を雇用する場合でも、一定の要件を満たす場合は社会保険(健康保険・厚生年金保険)への加入が必要です。国籍や在留資格にかかわらず、社会保険の適用要件を満たしていれば、日本人と同様に加入手続きをおこないます。
社会保険の加入対象となるのは、主に次の要件を満たす場合です。
- 正社員、または1週間の所定労働時間および所定労働日数が正社員のおおむね4分の3以上である従業員
- 特定適用事業所等で勤務する短時間労働者で、週20時間以上勤務するなどの加入要件を満たす従業員
なお、健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届には、原則としてマイナンバーもしくは基礎年金番号の記載が必要です。
短期在留外国人などマイナンバーを有していない場合は、マイナンバーを記載できない理由を明記したうえで、旅券(パスポート)や就労資格を確認できる書類などによる本人確認書類の写しを添付して手続きをおこないます。
関連記事:【2026年最新版】社会保険の加入条件とは?パート・アルバイトや扶養の判断基準を解説
1-6. マイナンバー確認書類(税・社会保険手続きで必要な場合)
外国人を雇用する場合であっても、社会保険や税務の手続きをおこなう際にはマイナンバーが必要です。日本国内に住民票が作成される中長期在留者などには、日本人と同様にマイナンバーが付与されます。
マイナンバーは、主に次のような手続きで使用します。
- 健康保険・厚生年金保険の資格取得手続き
- 雇用保険の手続き
- 年末調整・源泉徴収票・給与支払報告書の作成
マイナンバーの提供を受ける際は、利用目的を明確に伝えたうえで取得し、適切な管理が重要です。取得・保管・利用の範囲は必要最小限とし、社内の管理ルールに沿って厳重に取り扱いましょう。
なお、採用直後でマイナンバーがまだ付与されていない場合には、住民登録後にあらためて提出してもらうなどの対応が必要です。
関連記事:マイナンバーの管理方法とは?リスク対策やシステム導入のメリットを紹介
2. ケースによって必要となる書類


外国人を雇用する際、必ずしもすべてのケースで同じ書類が必要になるとは限りません。在留資格の種類や業務内容、採用方法などによっては、追加で書類の確認や提出が必要になります。
外国人従業員の状況によって必要となる主な書類は、次のとおりです。
| 書類名 | 主な用途 |
| ①資格外活動許可に関する書類 | 就労制限の有無や就労可能な業種を確認する場合 |
| ②在留資格変更許可申請書類 | 在留資格の種類を変更する場合 |
| ③在留期間更新許可申請書類 | 現在の在留期間を更新する場合 |
| ④在留資格認定証明書交付申請書類 | 海外にいる外国人を日本へ呼び寄せ、新たに在留資格を取得する場合 |
| ⑤指定書 | 在留資格に付されている個別の活動内容や就労条件を確認する場合(「特定活動」など) |
| ⑥所属機関等に関する届出(対象者のみ) | 勤務先や所属機関の変更など、届出義務がある場合 |
| ⑦就労資格証明書(必要に応じて) | 現在の在留資格で従事できる業務内容を証明する場合 |
本章では、それぞれの書類の内容や申請方法について解説します。
2-1. 資格外活動許可に関する書類
「留学」や「家族滞在」の在留資格は、原則として就労が認められていません。ただし、資格外活動許可を受けている場合に限り、一定の範囲で就労が認められます。
資格外活動許可を受けた留学生などは、原則として週28時間以内の就労が可能ですが、フルタイムでの勤務は認められていません。
採用時には、在留カードの 「就労制限の有無」や「資格外活動許可欄」を確認し、資格外活動許可を受けていることを確認しましょう。また、従事予定の業務が在留資格や資格外活動許可の範囲内で認められているか、勤務時間が制限を超えないかについても確認が必要です。
アルバイトやパートとして外国人を採用する場合は、資格外活動許可の有無や就労時間の上限を採用時のチェックリストに加え、シフト作成時にも勤務時間を管理できる体制を整えておくと安心です。
2-2. 在留資格変更許可申請書類
すでに日本に在留している外国人を雇用する場合でも、現在の在留資格で予定している業務内容が認められていないケースでは、「在留資格変更許可申請」が必要です。
例えば、留学生を正社員として採用する場合や、これまでの職種とは異なる業務に従事させる場合などが該当します。
この申請は原則として外国人本人がおこなう手続きですが、企業側も雇用内容を証明する書類の作成・提出などで協力が必要です。
なお、在留資格変更の審査には、申請から許可まで1〜3ヵ月程度かかります。また、許可が下りる前に就労させることはできません。許可前に業務に従事させた場合、不法就労に該当するおそれがあるため、採用スケジュールには十分な余裕を持ちましょう。
2-3. 在留期間更新許可申請書類
外国人を継続して雇用するためには、在留期間の満了前に在留期間更新許可申請をおこなう必要があります。在留期間を過ぎると日本での就労が認められなくなるため、期限管理が重要です。
申請は原則として従業員がおこないますが、企業には雇用契約書や在籍証明書などの雇用状況を証明する書類の作成・提出が求められる場合があります。 また、提出書類は、在留資格や所属機関の規模などによって異なります。
在留期間更新の審査には一定の期間を要するため、在留期間の満了日を管理し、更新手続きの進捗を本人と定期的に確認できる体制を整えておくとよいでしょう。
2-4. 在留資格認定証明書交付申請書類
海外に居住している外国人を新たに雇用する場合は、「在留資格認定証明書交付申請」が必要です。これは、日本で就労するための在留資格に該当するかどうかをあらかじめ審査してもらうための手続きです。
在留資格認定証明書交付申請は本人が申請できますが、海外に居住している場合は入国管理局に出向くことが困難なため、採用企業が代理人として申請するケースが一般的です。代理人として申請する場合は、雇用契約書や会社概要などの書類を添付して出入国在留管理庁(地方出入国在留管理局)に提出します。
在留資格認定証明書が交付されたら、海外にいる本人へ送付します。本人はその証明書をもとに、現地の日本大使館・領事館でビザ申請をおこない、ビザが発給された後に日本へ入国します。
なお、在留資格認定証明書の審査にも一定の期間を要し、申請から交付まで1~3ヵ月程度かかります。その後のビザ申請や渡航準備の期間も考慮し、採用スケジュールには十分な余裕を持つことが重要です。
2-5. 指定書(在留資格「特定活動」の場合)
在留資格が「特定活動」「特定技能」「高度専門職」の外国人を雇用する場合は、在留カードだけでなく指定書の内容も確認しましょう。
指定書とは、認められた活動内容や受入れ機関などを個別に指定する書類で、旅券(パスポート)に添付されていることが一般的です。在留カードだけでは就労できる業務や勤務先を判断できない場合があるため、指定書もあわせて確認する必要があります。
採用時には、在留カードと指定書の内容を照らし合わせ、従事予定の業務や勤務先が指定書の内容と一致していることを確認しましょう。指定書で認められた範囲を超えて就労させると、不法就労に該当するおそれがあります。
2-6. 所属機関等に関する届出(対象者のみ)
「技術・人文知識・国際業務」などの就労資格や、「留学」など一定の在留資格を持つ外国人は、、勤務先(所属機関)に変更があった場合などに、出入国在留管理庁へ「所属機関等に関する届出」をする必要があります。
この届出は外国人本人がおこないますが、実務上は、本人の依頼を受けて所属機関である企業や行政書士などによる代理提出も可能です。
例えば、次のようなケースで届出が必要です。
- 新たに企業に就職した場合
- 転職や退職により、勤務先が変更になった場合
- 企業の名称や所在地が変更された場合
届出は、変更があった日から14日以内に提出しなければなりません。14日以内の届出を怠ると、20万円以下の罰金に処せられることがあり、次回の在留期間更新において在留期間が短縮されるなどの不利益を被る可能性があります。
外国人従業員を雇用する企業は、必要に応じて代理提出や手続きのサポートをおこない、届出漏れがないよう本人へ案内・確認することが大切です。
参考:所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A|出入国在留管理庁
2-7. 就労資格証明書(必要に応じて)
就労資格証明書は、外国人が従事する予定の業務内容が、現在の在留資格で就労できる内容であることを法務大臣が証明する書類です。
取得は義務ではありませんが、転職や配置転換などにより業務内容が変わる場合や、在留資格との適合性に不安がある場合には、事前に取得しておくことで、適法に就労できることを客観的に確認できます。
就労資格証明書の申請から交付までは、通常1日で発行されますが、勤務先を変えた場合などは1〜3ヵ月程度かかります。
変更後の業務開始の時期や採用スケジュールには十分な余裕を持つことが重要です。
なお、就労資格証明書の申請は外国人本人がおこなう手続きですが、企業側も業務内容を説明する書類の準備などで協力が求められます。
判断に迷う場合は、早めに専門家へ相談し、申請の要否やタイミングを確認しましょう。
3. 採用・選考時に確認することがある書類


外国人を採用する際は、法令上提出が必要な書類のほかにも、採用後の手続きや適切な配置・雇用管理のために、採用・選考の段階で確認しておきたい書類があります。
採用・選考時に必要となる可能性がある書類は、次のとおりです。
| 書類名 | 主な用途 |
| ①履歴書・職務経歴書 | 学歴・職歴や業務経験を確認し、在留資格の要件を満たしているかを確認するため |
| ②資格証明書 | 業務に必要な資格の保有状況や、在留資格の要件を満たしているかを確認するため |
| ③学歴証明書 | 学歴や専攻内容を確認し、在留資格の要件との関連性を確認するため |
| ④健康診断結果 | 雇入時の健康状態を確認するほか、在留資格の取得・変更手続きで必要となる場合に提出するため |
本章では、採用・選考時に確認しておきたい書類と、それぞれの確認ポイントについて解説します。
3-1. 履歴書・職務経歴書
履歴書や職務経歴書は、外国人候補者の学歴や職歴、業務内容を把握するための基本的な書類です。
特に「技術・人文知識・国際業務」などの在留資格では、学歴や職歴が在留資格の要件を満たしているかを確認する重要な資料となります。
また、書類の記載内容から、日本での就学・就労歴や現在の雇用状況なども把握できます。転職に伴い在留資格の変更が必要となる可能性がないか、必要書類を準備するうえでの参考資料としても活用できます。
なお、在留資格や就労の可否は、履歴書ではなく在留カードや指定書などの公的書類で必ず確認しましょう。
3-2. 資格証明書
外国人が従事する業務によっては、保有資格を証明する書類の提出が必要なケースがあります。
例えば、在留資格「介護」では介護福祉士の資格が必要となるほか、専門資格を必要とする業務では、資格証明書が採用可否や在留資格の要件を満たしているかを確認する資料となります。
海外で取得した資格については、日本語訳の添付を求められる場合もあります。採用後に在留資格の申請や変更手続きで必要となることもあるため、採用時に内容を確認し、保管しておくとよいでしょう。
3-3. 学歴証明書
大学や専門学校の卒業証明書などの学歴証明書は、在留資格の要件を確認するために必要な場合があります。
例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」では、大学等で専攻した内容と従事予定の業務との関連性が審査のポイントとなるため、卒業証明書や成績証明書が求められるケースがあります。
海外の教育機関を卒業している場合は、日本語訳の提出を求められることがあります。採用時にあらかじめ確認しておくことで、在留資格の取得や変更手続きを円滑に進めることができるでしょう。
3-4. 健康診断結果
雇入時の健康診断は、外国人に限らず、日本人を含めた従業員についても、労働安全衛生規則に基づき実施します。
外国人については、在留資格の取得や変更の手続きにおいて、健康診断書の提出が求められる場合があります。
例えば、在留資格「特定技能」では、定められた期間内に受診した健康診断書の提出が必要です。
日本国内に在留している場合は申請日から遡って1年以内、海外に居住している場合は申請日から遡って3ヵ月以内に受診した健康診断結果が求められます。企業が健康診断書の作成をサポートし、状況に応じて費用を負担します。
また、海外居住の外国人が現地の医療機関で健康診断を受診する場合には、あらかじめ必要な検査項目を提示するとよいでしょう。あわせて、健康診断書に記載された医師の診断内容や備考欄などが外国語で記載されている場合には、日本語訳の添付が求められる点にも注意が必要です。
4. 新制度|育成就労制度の必要書類


令和9年4月1日からは、技能実習制度に代わり、新たに育成就労制度が始まります。育成就労制度は、外国人材を一定期間育成し、特定技能1号への移行を見据えながら、国内産業における人材の確保につなげることを目的とした制度です。技能実習制度のような国際貢献を主な目的とする制度から、人材育成と人材確保を両立する制度へと見直される点が大きな特徴です。
制度の開始に伴い、受入れ企業には育成就労計画をはじめとする新たな書類の作成・提出が求められる予定です。
育成就労制度の概要や技能実習制度との違い、必要書類については、別記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
関連記事:育成就労制度とは?2027年4月施行の概要や技能実習・特定技能との違いを解説
5. 外国人雇用の必要書類を確認する際の注意点


ここまで、外国人を雇用する際に必要な書類について、ケース別に解説してきました。
しかし、必要書類をそろえるだけでは十分とはいえません。在留資格と業務内容が一致しているか、書類の内容に誤りや更新漏れがないかなど、確認すべきポイントを押さえることが大切です。
本章では、外国人を雇用する際に必要書類を確認するうえで、人事・労務担当者が特に注意したいポイントについて解説します。
5-1. 在留資格・有効期限・就労制限有無などを確認する
外国人を雇用する際は、在留カードや旅券、必要に応じて指定書などを確認し、在留資格・在留期間・就労制限の有無を必ず確認しましょう。
在留カードが偽造・変造されたものではないかを確認するため、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を活用するのも有効です。アプリを利用することで、カードに記録された情報を読み取り、在留カードの内容を確認できます。
採用時に確認するだけでなく、在留期間の更新時期も管理し、更新後の在留カードの写しを提出してもらうなど、継続的に確認する仕組みづくりをするとよいでしょう。
参考:在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ|出入国在留管理庁
5-2. 在留資格だけでなく実際の業務内容と整合性を確認する
外国人は、保有している在留資格の範囲内でのみ就労が認められています。たとえ本人が希望していたとしても、在留資格で認められていない業務に従事させることはできません。
特に、「技術・人文知識・国際業務」では、従事させる予定の業務が在留資格で認められる活動に該当するかの確認が必要です。エンジニアやシステム開発、翻訳など、専門的・技術的な知識や技能を活かす業務に従事させることが原則であり、工場でのライン作業や倉庫での仕分けなど、単純作業を主たる業務として従事させることはできません。
業務内容の変更や配置転換をおこなう場合には、在留資格との整合性をあらためて確認し、必要に応じて在留資格変更許可申請を検討しましょう。
業務内容が在留資格に適合しているか判断に迷う場合は、出入国在留管理庁や行政書士などの専門家への相談を検討するとよいでしょう。
在留資格の要件を満たさないまま就労させてしまうと、不法就労に該当し、企業側が不法就労助長罪に問われるおそれもあるため注意が必要です。
5-3. 社会保険や最低賃金など日本の法令を適用する
外国人であっても、日本の労働関係法令は原則として日本人と同様に適用されます。社会保険・雇用保険の加入要件や最低賃金、労働時間・残業規制など、外国人だからといって特別な扱いはできません。
例外的に適用関係が異なる場合があるとしても、それは国籍によるものではなく、労働時間や就労形態、居住実態などの条件によるものです。雇用条件が各制度の要件を満たしているかを、採用時にあらかじめ確認することが重要です。
なお、日本と社会保障協定を締結している国の出身者は、一定の条件を満たす場合に、日本の厚生年金保険への加入が免除されることがあります。社会保障協定を適用する場合には、派遣期間や加入状況などの要件を個別に確認したうえで、派遣元国の適用証明書を日本の年金事務所へ提出する必要があります。
これらの適用ルールを正しく確認せずに運用すると、労務トラブルにとどまらず、在留資格の審査が厳しくなり、新たな外国人の採用や既存従業員の在留資格更新がスムーズに進まなくなるおそれがあります。
外国人を採用する際は、在留資格や必要書類の確認が欠かせませんが、一方で、国籍などを理由に不当な差別的取扱いをしてはならない点にも注意が必要です。採用選考では、「国籍はどこですか」といった質問ではなく、「日本で就労可能な在留資格をお持ちですか」「現在の在留資格で従事予定の業務が可能ですか」といったように、業務に必要な範囲で確認しましょう。
また、内定後は、労働条件や就業規則の内容を一方的に説明するだけでなく、本人が十分に理解できているかを確認しながら丁寧に説明することが大切です。言語だけでなく、働き方や雇用に対する価値観・文化的な背景が異なる場合もあるため、認識のずれをなくすことが、入社後のトラブル防止や定着につながります。
6. 外国人の雇用に必要な書類は事前に確認しよう


外国人を雇用する際には、社会保険・雇用保険の手続き書類など、日本人を採用する場合と同様の書類に加え、在留資格や就労資格に応じた書類の確認・提出が必要になります。
また、在留資格の変更や更新、資格外活動許可など、採用するケースによって必要となる書類も異なるため、事前の確認が欠かせません。
特に、在留資格と従事する業務内容が一致しているか、有効期限や就労制限の有無に問題がないかは、不法就労を防ぐためにも必ず確認しなければなりません。採用時だけでなく、在留期間の更新や配置転換の際にも継続して確認することで、適正な雇用管理につながります。
令和9年4月1日からは育成就労制度も始まり、外国人雇用に関する制度や手続きは今後も変化していくことが見込まれます。法改正の動向も踏まえながら、必要書類や社内の運用ルールを定期的に見直し、外国人が安心して働ける職場環境を整備していきましょう。



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