外国人を雇用する際に必要な書類は?注意点や確認するポイントを解説
更新日: 2025.6.7
公開日: 2025.6.7
jinjer Blog 編集部
「海外人材を採用する際に、どのような書類が必要?」
「手続き上で気をつけるポイントはある?」
このような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
外国人労働者の受け入れは、企業にとって多様な人材を確保する有効な手段です。ただし、採用にあたっては在留資格や関連法規に沿った正確な資料の用意が求められます。書類不備や確認漏れがあると、思わぬトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
本記事では、外国籍の人材を採用する際に求められる書類や注意すべき点を紹介します。安心して外国人材を受け入れるためにも、ぜひ最後までご覧ください。
入社手続きは確実に対応する必要がありますが、社会保険の資格取得手続きや雇用契約の締結など対応しなくてはならない項目が多く、漏れや遅れが発生してしまうこともあるのではないでしょうか。
当サイトでは、入社手続きに必要な書類や入社手続き業務のフローをまとめた「入社手続き完全マニュアル」を無料配布しております。
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目次
1. 外国人を雇用する前に確認するポイント
外国人を雇用する前に確認するポイントは以下の通りです。
- 就労できる在留資格に該当するか
- 就労ビザが取得できるか
- 在留カードに偽造がないか
詳しく見ていきましょう。
1-1. 就労できる在留資格に該当するか
外国籍の従業員を採用する前に、就労可能な在留資格に該当するかチェックすることが重要です。
在留資格によって認められる職種や就労条件が異なり、誤って雇用すると不法就労助長罪に問われる可能性があります。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の資格を持つ人は、通訳・設計・海外取引の業務などに従事できます。一方で「留学」や「家族滞在」は原則フルタイムでの就労が認められていません。
採用前には、在留カードに記載された「就労制限の有無」や「許可欄」を確認し、従事予定の業務が該当の在留資格に適しているかチェックしておきましょう。
1-2. 就労ビザが取得できるか
外国籍の従業員を採用する際は、就労ビザを取得できるか事前にチェックしましょう。
在留資格には、学歴や実務経験などの条件が定められているため、満たしていないと内定を出しただけでは働けません。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得するには、大学での専攻が業務内容と関連していることが求められます。しかし、専攻内容と職務内容の関連性が薄いと審査で許可が下りないケースもあるため注意が必要です。
1-3. 在留カードに偽造がないか
外国籍の従業員を採用する際は、在留カードに偽造がないかチェックしましょう。
偽造カードによる不正就労が発覚した場合、企業側も「知らなかった」では済まされず、不法就労助長罪に問われるリスクがあります。
雇用前には、まず在留カードの字体やホログラムを目視でチェックするのが基本です。外見だけでは判断が困難な場合もあるため、出入国在留管理庁が提供している「在留カード等読取アプリ」を活用すると安心です。
2. 外国人の入社前に必要な書類
外国人の入社前に必要な書類は、主に以下の4つです。
- 在留カード
- 雇用契約書もしくは労働条件通知書
- 在留資格変更許可申請
- 在留資格認定証明書交付申請
詳しく紹介します。
2-1. 在留カード
外国籍の従業員を採用する前は、在留カードのチェックが欠かせません。
在留カードには、本人確認情報に加え、在留資格や就労の可否など、雇用の適法性を判断するために求められる情報が記載されています。
表面では「氏名」「写真」「在留期間」などを確認し、裏面では資格外活動の許可欄をチェックし、担当業務に合った在留資格か見極めましょう。
2-2. 雇用契約書もしくは労働条件通知書
外国人の入社前には、雇用契約書もしくは労働条件通知書など、労働条件を明記した書面を交付することが必要です。
契約内容の誤解やトラブルを防ぐためには、賃金・労働時間・休日などの明確な条件提示が大切です。外国人にも理解できるわかりやすい日本語や母国語での翻訳を活用するなど、配慮した表現で作成しましょう。
2-3. 在留資格変更許可申請
就労に必要な在留資格が現在の資格と異なる場合、入社前に「在留資格変更許可申請」が必要です。
許可を受ける前に働くと「資格外活動」とみなされ、最悪の場合は在留資格の取り消しや更新拒否などのリスクがあります。
申請は本人がおこないますが、必要書類の準備や業務内容の説明書類の作成など、企業側が支援することが大切です。審査には通常1ヵ月程度かかるため、採用が決まり次第、速やかに準備を始めましょう。
2-4.在留資格認定証明書交付申請
海外に住む外国人を採用する際は、入国前に「在留資格認定証明書」の取得が欠かせません。
外国人が正式に日本で就労するために必要なビザを申請する際の重要な資料で、申請を怠ると入国自体が認められない可能性があります。
企業が代理で申請する場合は、法人情報や雇用条件を正確に記載し、内容に不備がないように進めましょう。審査を目指すことが必要です。
3. 外国人の入社後に必要な書類
外国人の入社後に必要な書類は、主に以下の2つです。
- 雇用保険被保険者資格取得届
- 所属機関などに関する届出
詳しく見ていきましょう。
3-1. 雇用保険被保険者資格取得届
外国籍の従業員を雇用し、雇用保険の適用対象となる場合、雇用保険被保険者資格取得届の提出が求められます。
外国人雇用状況の報告も兼ねており、入社から翌月10日までにハローワークへ提出しなければなりません。
提出を怠ると法令違反となり、行政指導や罰則を受けるリスクもあるため注意が必要です。また、厚生労働省は、届出の情報を基に外国籍労働者の雇用状況を把握し、統計や雇用政策に活用しています。
3-2. 所属機関などに関する届出
外国人社員を新たに採用した際は、「所属機関等に関する届出」を14日以内に出入国在留管理庁へ提出する必要があります。
在留資格に基づく活動先が変更されたことを報告するための手続きです。
提出は原則として本人がおこないますが、本人の署名があれば企業側での代行も可能です。届出を怠ると、在留資格の更新や変更時の審査に悪影響を及ぼす恐れがあるため、企業側から積極的にフォローしましょう。
4. 【シーン別】外国人の雇用に必要な書類
外国人の雇用に必要な書類は、以下のシーンによって異なります。
- 転職希望者を雇用する場合
- 留学生を雇用する場合
- 海外在住者を日本で雇用する場合
詳しく紹介します。
4-1. 転職希望者を雇用する場合
転職希望者を雇用する場合は、現在の在留資格が新たな職務内容に適しているかを必ずチェックしましょう。資格に合わない業務に従事させると、不法就労と見なされ、本人だけでなく企業側も罰則対象となる恐れがあります。
同じ職種への転職であれば、原則として在留資格の変更は不要です。事前に就労資格証明書を取得することで、在留資格の適合性を明確に示せるので、更新や在留審査時のトラブル防止にもつながります。
4-2. 留学生を雇用する場合
外国人留学生を雇用する際には、在留資格を「留学」から就労可能な在留資格へ切り替える必要があります。
留学ビザのままでは、原則としてアルバイト(週28時間以内)のみが許可されており、フルタイム勤務は違法就労に該当します。企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあるため、十分な注意が必要です。
在留資格変更の許可申請は、本人が出入国在留管理局でおこない、審査には通常1~2ヵ月かかります。許可が下りるまでは原則として就労できないため、採用スケジュールは余裕を持って準備しましょう。
4-3. 海外在住者を日本で雇用する場合
海外に住む外国人を日本で雇用するには、企業が「在留資格認定証明書」を取得する必要があります。
在留資格認定証明書がないと、本人は就労ビザを申請できず、日本での入国・就労が認められないため、実質的に採用が成立しません。
証明書の発行には通常1〜3ヵ月を要するため、内定後は速やかに出入国在留管理庁へ申請することが重要です。証明書が発行された後は、本人が現地の日本大使館でビザ申請をおこない、ビザの交付を受けて来日・就労となります。
5. 外国人を雇用する際の注意点
外国人を雇用する際の注意点は、以下の通りです。
- 在留資格で許可されていない業務をさせない
- 就労資格証明書の申請期間を確認する
- 同一労働同一賃金・最低賃金を守る
詳しく見ていきましょう。
5-1. 在留資格で許可されていない業務をさせない
外国籍の従業員を雇用する際は、在留資格で認められていない業務を担当させないことが重要です。資格外の業務に従事させると、企業側が不法就労助長罪に問われる可能性があります。
就労可能な職種や業務内容は、在留カードや在留資格認定証明書を通じて確認可能です。業務の適合性に不安がある場合は、出入国在留管理庁や行政書士など専門家への相談を検討しましょう。
5-2. 就労資格証明書の申請期間を確認する
就労資格証明書は、外国人が担当する業務が在留資格に適合しているかチェックするための重要な書類です。
しかし、申請から結果が出るまでには通常1〜3ヵ月かかるため、余裕を持ったスケジュール管理が求められます。
また、提出書類に不備があると再提出が求められ、審査にさらに時間がかかることもあるでしょう。申請時には、内容や添付資料を丁寧に確認し、余裕を持って準備を進めることが大切です。
5-3. 同一労働同一賃金・最低賃金を守る
外国籍の従業員に対しても、「同一労働同一賃金」の原則や最低賃金法は適用されます。
遵守しないと違法となり、企業は未払い分の賃金をさかのぼって支払う義務が生じます。
さらに、外国籍の従業員の給与が日本人よりも著しく低い場合、就労を前提とした在留資格が認められない可能性があるため十分な注意が必要です。
6. 外国人の雇用に必要な書類は事前に確認しよう
外国籍の従業員を採用する際には、必要な書類を事前に確認し、適切に準備しておくことが不可欠です。
外国人が日本で働くためには、在留資格の取得や変更、就労資格証明書の申請など、手続きが多岐にわたります。
求められる資料は、法的に定められた手続きを守るためだけでなく、労働環境の適正化を図るためにも重要です。
企業として適切な準備を進め、外国人の雇用を円滑かつ法令遵守のもとでおこなえるようにしましょう。
入社手続きは確実に対応する必要がありますが、社会保険の資格取得手続きや雇用契約の締結など対応しなくてはならない項目が多く、漏れや遅れが発生してしまうこともあるのではないでしょうか。
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