36協定届の押印・署名が廃止に!その背景や企業の対応を紹介
更新日: 2026.2.27 公開日: 2021.9.2 jinjer Blog 編集部

2021年3月までは、36協定届を提出する際に、必ず使用者(企業の代表者)が署名・押印をする必要がありました。しかし、労働基準法の改正にともない、2021年4月1日からは36協定届の署名・押印が原則として不要になりました。
36協定届は毎年提出するものなので、面倒な署名・押印がなくなったことは企業にとって朗報ですが、一方で注意しなければならない点もいくつかあります。
本記事では、36協定届の押印が不要になった背景や、押印廃止にともなって気を付けたいポイント、企業として対応すべきことについて解説します。
目次
毎年対応が必要な36協定の届出。しかし、働き方改革関連法による上限規制の変更や複雑な特別条項など、正確な知識が求められる場面は増え続けています。
36協定届の対応に不安な点がある方は、今のうちに正しい手順と注意点を確認しませんか。
◆この資料でわかること
- 働き方改革関連法による上限規制の変更点
- 罰則を避けるための「特別条項」の正しい知識と運用
- ミスなく進めるための締結・届出の具体的な手順
- 【記入例付き】新しい届出様式の書き方
本資料では、届出作成~提出の流れまで36協定の届出について網羅的に解説しており、毎年発生する煩雑な業務の効率化に役立ちます。ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. 2021年4月1日から新様式変更に伴い押印・署名が廃止


2021年4月1日から、36協定届が新様式に変更され、これまで必須とされていた押印・署名が原則的に不要となりました。従来、シャチハタであっても押印が必要でした。
押印不要になった改正は、業務の効率化を促進するものであり、企業にとっては、手続きが簡素化されることにより、労務管理がよりスムーズにおこなえるようになります。
しかし、注意が必要なのは、この改正により押印・署名が不要となるのは36協定届のみであり、36協定書については今まで通り労使間の押印・署名が必要です。
そのため、36協定書に労使間の押印・署名がない場合、有効な労使協定とは認められない可能性があるため、企業は新様式導入後も36協定書の取扱いに十分な注意を払う必要があります。
関連記事:36協定とは?残業上限規制・特別条項や罰則、協定書の基本を解説
2. 36協定届の押印が不要になった背景

36協定届で押印が不要になった背景には、政府によるテレワーク・デジタル化の推進があります。
政府は、すべての働く人が、個々の事情に合わせて多様かつ柔軟な働き方を自分で選択できるよう、2019年4月1日から「働き方改革関連法案」を順次施行することを決定しました。
その一環として、国を挙げて推進しているのが、時間や場所にとらわれず働くことができるテレワークです。
もともとは、家事や育児、介護との両立や、通勤時間の削減、オフィスコストの節約、人材確保などを目的に推進されたテレワークですが、2020年初頭から全世界で猛威をふるっている新型コロナウイルスの影響により、感染拡大防止の手段としても注目を集めるようになりました。
しかし、未だにアナログ文化が根付いている日本では、すべての業務をテレワークでおこなうのは難しく、会社にある書類を確認したり、上司に印鑑をもらったりするために出社を余儀なくされる人も少なくありませんでした。
そこで政府では、かねてより推奨していたテレワークのさらなる普及と、新型コロナウイルスの感染拡大防止、そして書類のデジタル化による業務効率の向上を目指すために、数ある行政手続きのほとんどについて署名・押印の廃止を決定しました。
そのうちの1つに36協定届も含まれており、2021年4月1日付で完全移行される新様式では、押印の欄が削除されているのです。
3. 36協定届の押印廃止による注意点


テレワークが普及しているにもかかわらず、36協定届を提出する際には押印が必要であることから、36協定の締結業務は多様化している働き方に対して、対応できていませんでした。
そこで、厚生労働省は労務関連の書類に対して押印の必要性を見直し、2021年4月から36協定届の押印を不要とする方針が示されました。
3-1. 押印が不要になる代わりにチェックボックスへのチェックが必要
36協定の新様式では、押印欄が削除された代わりに、協定の当事者について確認するためのチェックボックスが新設されました。
協定の当事者に関するチェックボックスは2つあり、内容は以下のようになっています。
- 上記協定の当事者である労働組合が事業場の全ての労働者の過半数で組織する労働組合である、又は、上記協定の当事者である労働者の過半数を代表する者が事業場の全ての労働者の過半数を代表する者であること
- 上記労働者の過半数を代表する者が、労働基準法第41条第2号に規定する監督又は管理の地位にある者ではなく、かつ、同法に規定する協定等をする者を選出することを明らかにして実施される投票、挙手等の方法による手続により選出された者であって使用者の意向に基づき選出されたものでないこと
以上2項目は、労働基準法施行規則第6条の2で定められた労働者代表の要件をまとめたものです。
36協定を締結する労働者代表は、これら2つの要件を満たしている必要があるため、36協定届では署名・押印を求めない代わりに、これら2項目の内容をきちんと確認したうえで、チェックボックスにしっかりチェックを入れる必要があります。
チェックを入れずに提出した場合、書面は受理されず、36協定届も有効になりませんので注意しましょう。
上記のように、厚生労働省が36協定届の記入例を提供しているので、こちらを参考に36協定届を記入することをおすすめします。記入例は以下の参考ページからご覧になれます。
関連記事:36協定の新様式について旧式との変更内容や、いつから使うかを解説
3-2. 押印が必要なケースもある
協定届における署名・押印の廃止は、企業にとって面倒な手続きを省けるというメリットがあります。しかし、36協定を締結する際に作成する協定書の扱いによっては、これまで通り署名・押印が必要になる場合もあります。
協定書とは、36協定の必要事項をすべて記載した書面のことです。労働基準法第36条では、36協定を締結するにあたり、労使間で書面による協定をすることを義務づけているため、届出とは別に協定書も作成する必要があります。
ただ、協定書と協定届はほぼ内容が共通しているため、協定届の控えをそのまま協定書の代わりにすることもできます。その場合には、これまで通り、労働基準法で義務づけられている協定書としての要件を満たすため、協定書を兼ねた協定届には使用者と労働者代表双方の署名・押印が必要になります。
なお、36協定届とは別に協定書を作成する場合は、協定届への押印は不要ですが、協定書には署名・押印する必要があります。
どちらの方法を採用するかは企業が任意で決められますが、協定書をどのように作成するかによって押印の要・不要に違いがありますので、間違えないようにしましょう。
関連記事:36協定の協定書とは?協定届との違いや書くべき項目を解説
3-3. 社内文書のフォーマット更新
36協定届の押印廃止による新様式の導入に伴い、社内で使用している36協定に関する文書フォーマットの更新が求められます。旧様式のまま作業を進めてしまうと、提出段階で不備となり再作成が必要になる場合があるので注意してください。
また、関連文書として労働者代表選出の記録や協定内容の社内承認書など、周辺資料の形式も新様式と整合性を持たせることが求められます。特に複数拠点を持つ企業では、部署ごとに異なるフォーマットが残っていることが多く、統一ルールの整備が不可欠です。
最新様式に合わせたフォーマットを一元管理し、担当者が迷わず利用できる状態を整えることで、届出作業の標準化とミスの防止につながります。
4. 36協定届の押印廃止に伴う企業の対応


36協定届の押印廃止に伴い、企業が実施すべき対応は下記の2点です。
- 36協定届の押印廃止を社内に周知する
- 36協定届の押印廃止を機に電子申請の採用を検討する
ここでは、企業が実施するべき対応を解説します。
4-1. 36協定届の押印廃止を社内に周知する
36協定届の新様式の施行日は2021年4月1日とつい最近のことなので、新様式の内容や、旧様式からの変更について、まだまだ周知されていないのが実状です。
36協定届を作成・提出するのは使用者(企業の代表)ですが、労働者がいつでも36協定の内容を閲覧・確認できるよう、協定の内容を労働者に周知する義務があります。協定届の控えをコピーして職場に掲示したり、労働者に配布したりすることなどが、周知方法の一例です。その際、以前と違って書面に押印がないこと、見慣れないチェックボックスがあることを不審に思う従業員が出てくる可能性もあります。また、従業員のなかには「36協定届には押印は必要」と思っている人もいるかもしれません。
このような余計な混乱を招かないよう、2021年4月1日より36協定届に押印は不要になったこと、労働者代表が適正に選ばれたことを確かめるためのチェックボックスが新設されたことなどを、あらかじめ社内で周知させておいた方がよいでしょう。
4-2. 36協定届の押印廃止を機に電子申請の採用を検討する
36協定届は、窓口手続きや郵送のほか、電子申請で提出することもできます。
電子申請を利用すると、書面の作成から提出まで、すべてオンラインで手続きできるので、わざわざ労働基準監督署に足を運んだり、封筒や切手を用意したりする手間を省けるところが利点です。
ただ、これまでは電子申請をおこなうために、あらかじめ電子証明書を取得する必要がありました。
電子証明書を取得するには、法務局で申請書とデータを提出して発行手数料を支払うか、もしくはICカードリーダライタを利用してマイナンバーカードをパソコンで読み込み、電子署名をおこなうかのいずれかを選択しなければなりません。
そのため、電子申請を検討しつつも、電子証明書取得の手間を嫌って、なかなか書面の手続きから移行できないという企業も少なくありませんでした。
ところが、2021年4月1日の押印廃止にともない、電子申請でも電子署名・電子証明書の添付が不要になりました。別に署名・押印のある36協定書を作成していれば、パソコンで書面を作成・提出するだけで、36協定の届出が完了します。
紙の書面に比べて大幅に手間と時間を省けるのはもちろん、すでに大企業でスタートしている電子申請の義務化が、今後中小企業にまで広がる可能性を考慮すると、今のうちに電子申請の導入を検討しておくのがおすすめです。
関連記事:36協定の提出方法3つと変更内容・注意点を分かりやすく解説
5. 電子申請を活用して押印廃止のメリットを最大化する方法


電子申請を活用すると、押印廃止による業務効率化のメリットを得られます。ただし、ただ電子申請を導入するだけでなく、下記のようにメリットを最大化する方法があります。
- 社内承認フローを簡略化するステップ
- 初めての電子申請でも失敗しないためのチェックリスト
ここでは、電子申請を活用することで得られるメリットの具体例と、メリットを最大化する方法を解説します。
5-1. 電子申請導入で削減できる作業時間の具体例
電子申請を導入すると、書面作成・押印依頼・郵送といった一連の作業時間を大きく削減できます。
従来は押印のために複数部署へ書類を回付したり、郵送準備に時間を割いたりするケースが多く、担当者の負担となっていました。電子申請では、データ入力後にオンラインで提出できるため、承認プロセスを含む全体の時間を短縮できます。
また、郵送期間を考慮する必要がなく、提出期限ぎりぎりの対応も可能になります。こうした作業時間の削減は、担当者の生産性向上につながり、他業務へのリソース配分をおこなう余裕が生まれます。
5-2. 社内承認フローを簡略化するステップ
電子申請の導入に合わせて承認フローを見直すことで、社内手続きを大幅に簡略化できます。まず、現行の承認ルートを整理し、必要以上に多くの承認者が設定されていないか確認しましょう。そのうえで、申請システム内で承認権限を設定すると、押印を前提とした従来の回付作業負担が軽減されます。
また、紙書類に依存しないプロセスを構築することで、担当者が場所を問わず承認・処理できるようになるため、業務の停滞を防ぐ効果も期待できます。承認フローを標準化することで、担当者変更時の引き継ぎも容易になります。
5-3. 初めての電子申請でも失敗しないためのチェックリスト
電子申請を初めておこなう場合は、入力内容の誤りや必要書類の添付漏れが発生する可能性があるため、事前準備としてチェックリストを用意しましょう。
チェックリストには、「使用する様式の確認」や「申請者情報の整合性」、「協定内容の記載漏れの有無」「労働者代表選出手続きの記録の準備」などを含めると効果的です。
また、申請手続きをおこなう担当者が複数いる場合は、操作方法や申請権限を統一しなければなりません。そのためにも、チェックリストは有効です。提出前に別の担当者が内容を確認する仕組みを設けることで、誤申請の防止につながります。
6. 36協定届に押印は不要!ただし例外もあるので注意


これまでは36協定届を提出する際に署名・押印が必要でしたが、2021年4月1日からは押印なしで届け出ることが可能になりました。
ただ、36協定届を協定書として使用する場合は、これまで通り、署名・押印が必要になるので要注意です。なお、押印が廃止されるのは紙の書面だけでなく、電信申請の電子署名・電子証明書の添付も廃止されました。
電子申請なら、オフィスにいながら36協定届を作成・提出できますので、押印廃止を機に、電子申請による手続きを検討してみてはいかがでしょうか。
関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説



毎年対応が必要な36協定の届出。しかし、働き方改革関連法による上限規制の変更や複雑な特別条項など、正確な知識が求められる場面は増え続けています。
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