スーパーフレックス制度とは?メリット・デメリットや導入方法・注意点を解説
更新日: 2026.6.1 公開日: 2021.9.2 jinjer Blog 編集部

スーパーフレックス(フルフレックスタイム制)とは、フレックスタイム制度の一種です。「コアタイム」を設けず、従業員が始業・終業時刻を完全に自分で決められることが特徴で、柔軟な働き方を後押しします。
ただし、制度の特徴やルールを正しく理解しないと、思わぬ誤解や運用上の問題が生じる可能性があるため注意が必要です。
本記事では、スーパーフレックス制度の基本からメリット・デメリット、導入方法や注意点までを丁寧に解説します。自社で活用を検討する際の参考にしてください。
目次
フレックスタイム制の導入には、労使協定の締結や就業規則の変更・届出など、複雑な手続きが存在します。
また、フレックスタイム制を導入した後に、「出勤・退勤時間が従業員によって異なるので、勤怠管理が煩雑になった」「残業時間の計算方法と清算期間の関係がよく分からない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向け、「フレックスタイム制度を実現するための制度解説BOOK」をご用意しました。
資料では、フレックスタイム制導入の流れや手続の他に、残業の数え方や効率的な勤怠管理の方法も解説しておりますので、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。
1. スーパーフレックスとは


スーパーフレックス(フルフレックス制度)について、厚生労働省は「始終業時刻を本人が決定し且つ就労義務のあるコアタイムのない制度」と定義しています。つまり、スーパーフレックス制度は所定の期間内における総労働時間を満たせば、従業員が働く時間を自由に決められる制度です。
フレキシブルな働き方ができるため、海外とのやり取りが多い企業や情報通信業で導入が進んでおり、多様な働き方を実現する方法としても注目を集めています。
参考:長時間労働削減に向けた各企業の好事例~「働き方・休み方改善ポータルサイト」掲載例~|厚生労働省
1-1. フレックスタイム制との関係
スーパーフレックス制は、フレックスタイム制の一種です。
フレックスタイム制は、労働基準法に基づき、一定の期間内における総労働時間を定め、その範囲内で始業・終業時刻を柔軟に設定できる制度です。
一般的なフレックスタイム制では、1日の中に必ず出勤しなければならない時間帯(コアタイム)と、その前後の自由に出退勤できる時間帯(フレキシブルタイム)を設定します。この場合、コアタイム中は必ず勤務している必要があり、出退勤の自由度には一定の制限があります。
一方、スーパーフレックス制ではコアタイムを設けないため、すべての時間帯がフレキシブルタイムとして扱われます。ただし、完全に自由な時間設定が可能という意味ではなく、就業規則や労使協定で定めた勤務可能時間帯や、法定労働時間の総枠、深夜労働に関する制限などの範囲内で勤務時間を柔軟に配分する制度である点に注意が必要です。
関連記事:コアタイムなしのフレックスタイム制とは?導入メリット・デメリットも紹介
1-2. 裁量労働制との違い
スーパーフレックス制は、「必ず出勤しなければならない時間帯がない」という点で裁量労働制と似ていますが、両者には根本的な違いがあります。
裁量労働制は、あらかじめ定めた「みなし労働時間」分働いたものとみなす制度で、実際の労働時間に関係なく賃金計算や労働時間管理がおこなわれます。
例えば、みなし8時間と決めた場合、実際7時間しか働かなくても8時間分の給与が支払われ、一方で9時間(深夜・休日労働等を除き)働いても残業代は発生しません。対象となる業務も専門的な職種など限定されています。
スーパーフレックス制はこれとは異なり、実際に働いた時間がそのまま勤務時間として管理され、実労働時間に応じた賃金を支払います。また、スーパーフレックス制は職種を問わず導入可能である点も違いといえます。
関連記事:裁量労働制とは?適用できる職種とメリットやデメリットを解説
1-3. 「スーパーフレックス制」の誤解されやすいポイント
スーパーフレックス制は柔軟な働き方が可能な制度ですが、「24時間いつでも自由に働ける制度」と誤解されることがあります。しかし、実際には就業規則や労使協定で定めた条件の範囲内で運用される制度であり、無制限に勤務できるものではありません。
多くの企業は就業規則で「深夜〇時〜早朝〇時は勤務不可」「〇時以降の勤務は事前申請が必要」などの制限を設けています。また、法定労働時間の総枠や時間外労働の上限規制も適用されるため、長時間労働が自由に認められる制度ではない点にも注意が必要です。
「いつでも無制限に働いてよい」という意味ではなく、「決められた範囲内で柔軟に労働時間を配分できる」制度だと理解しましょう。
また、深夜労働の割増賃金はフレックスタイム制でも適用除外されません。22時~翌5時に勤務した場合は法定どおり25%の割増賃金を支払う必要があります。深夜労働は従業員の健康にも影響するため、そもそも22時以降の勤務を原則禁止とする企業も見られます。
2. スーパーフレックス制導入のメリット


スーパーフレックス制は、勤務時間の柔軟性を高めることで、多様な働き方への対応や業務効率の向上につながる可能性があります。特に、時間帯によって業務量が変動する職種や、従業員ごとの生活事情に配慮する必要がある企業においては、有効な選択肢となり得る制度です。
一方で、制度の効果は導入するだけで自動的に得られるものではなく、適切な制度設計や運用ルールの整備が前提となります。
ここでは、スーパーフレックス制の代表的なメリットについて解説します。
2-1. 多様な働き方を実現できる
スーパーフレックス制の大きなメリットの一つは、従業員がそれぞれの事情に応じた働き方を選択しやすくなる点です。
例えば、育児や介護を担っている従業員の場合、保育園や介護サービスの時間に合わせて勤務時間を調整できることで、仕事と家庭の両立がしやすくなります。また、通院や資格取得のための学習時間を確保したい場合にも、勤務時間を柔軟に配分できる点は大きな利点といえるでしょう。
このような働き方の柔軟性は、従業員のワークライフバランスの向上につながる可能性があります。結果として、従業員満足度の向上や離職率の低下といった効果が期待される場合もあり、人材の定着や長期的な人材活用の観点からも一定のメリットがある制度です。
2-2. 採用で差別化につながる
スーパーフレックス制を導入している企業はまだ多くありません。厚生労働省の『令和6年就労条件総合調査の概況』によれば、フレックスタイム制自体の導入率は全企業のわずか7.2%程度にとどまります。
多くのフレックスタイム制導入企業ではコアタイムを設定しているため、スーパーフレックス制導入企業の希少価値が高まり、採用活動で他社と差別化できるでしょう。
近年は特に自分らしい働き方やプライベートを大切にする働き方が重視されるようになり、自由度の高い企業ほど、若い人に注目されやすくなりました。企業の未来を担う、若くて優秀な人材を採用するには、スーパーフレックス制を採用している点は強みになるでしょう。
2-3. 労働時間の平準化が可能
通常の労働時間管理では業務が暇な日でも所定労働時間分は働く必要があり、一方で忙しい時期には残業が増える傾向がありました。
スーパーフレックス制では、清算期間内の総労働時間の範囲内で勤務時間を調整できるため、業務量の変動に応じた柔軟な働き方が可能です。例えば、業務量が少ない日には労働時間を短めに設定し、業務が集中する日には必要な範囲で労働時間を確保するなど、業務の繁閑に応じた時間配分がしやすくなります。
また、集中して成果を出せる時間帯に働き、それ以外は思い切って休むというメリハリのある働き方が可能です。例えば、海外とのやり取りが多い業務では夕方から夜間に勤務時間をずらすことで、残業せずに済むケースもあります。
ただし、清算期間内の総労働時間の管理は必要なので、長時間労働を防止するための管理体制を併せて整備することが重要です。
2-4. 成果評価制度との親和性が高い
労働時間ではなく成果で評価する企業文化の醸成を目指しているなら、スーパーフレックス制は有効です。従業員が自分の最も生産性の上がる時間帯に集中して働けるため、アウトプット重視の働き方と親和性が高いです。また、自由度の高い環境では自ら目標を立てて成果を出せる人が力を発揮しやすいため、自己管理能力の高い優秀な人材が集まりやすくなるともいわれています。
もちろん制度導入だけで即座に成果主義が定着するわけではありません。しかし、成果で評価することを徹底し、自己裁量の拡大によって従業員が自律的に働くようになれば、大きな効果を発揮するでしょう。
3. スーパーフレックス制導入のデメリット


スーパーフレックス制は柔軟な働き方を実現できる一方で、制度設計や運用を誤ると労務管理上のリスクや業務上の支障が生じる可能性があります。特に、労働時間の管理やコミュニケーション体制の整備が不十分な場合、業務効率の低下や長時間労働の発生につながるおそれがあります。
また、制度の自由度が高いほど、従業員個々の働き方の差が大きくなりやすいため、評価や業務分担の公平性を確保することが課題となる場合もあります。
ここでは、導入前に把握しておきたい主なデメリットについて解説します。
3-1. コミュニケーションが取りにくくなる
コアタイムがなく、従業員の出勤・退勤時間がバラバラになると、社内でリアルタイムの連携・相談がしにくくなる懸念があります。
例えばプロジェクトを進める際、全員が顔を合わせる時間帯が確保できないと打ち合わせや意思決定に時間がかかったり、情報共有の漏れが生じたりする可能性があります。特に緊急の案件が発生した場合、担当者が不在だとスピーディーな対応が難しいでしょう。
対策としては、情報共有の仕組みを工夫する(スケジュール共有やチャットツールの活用など)や、どうしても全員で集まる必要がある場合は特定の時間帯にミーティングをおこなうルールを定めるなどが考えられます。(※「5-4. 特定時間に会議を義務付けることの可否」章で詳しく説明します)
コミュニケーション不足によるトラブル防止策を講じ、マネジメント側が適切にフォローすることが重要です。
3-2. 労働時間把握が複雑化する
スーパーフレックス制では、従業員ごとに始業時刻や終業時刻が異なるため、従来の固定勤務制と比較して労働時間の管理が複雑になりやすい傾向があります。特に、清算期間内の総労働時間を正確に把握し、時間外労働の発生状況を適切に管理する必要があるため、勤怠管理の仕組みが整備されていない場合には運用が困難になるでしょう。
また、フレックスタイム制においても、時間外労働の上限規制は適用されます。清算期間内の総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた場合には時間外労働として扱われるため、月単位や年単位での労働時間の管理が重要となります。特に、清算期間を1か月を超える期間として設定している場合には、月ごとの時間外労働時間の上限規制との関係を踏まえた管理が必要です。
このような管理を適切におこなうためには、リアルタイムで勤務時間を把握できる勤怠管理システムの導入や、管理者向けの運用ルールの整備が不可欠になります。
3-3. 清算期間中の過重労働リスク
スーパーフレックス制では、清算期間内の総労働時間を満たすことが前提となるため、特定の期間や月に労働時間が集中し、過重労働が発生するリスクがあります。
例えば、月初や納期直前などに業務が集中した場合、一時的に長時間労働が続き、心身の負担が増加する可能性があります。特に、清算期間を1ヵ月を超える期間として設定している場合には、期間前半の労働時間が増えすぎても後半で調整できるという認識から、長時間労働が見過ごされやすくなる点に注意が必要です。
また、フレックスタイム制であっても、長時間労働の抑制や健康確保措置の実施は企業の責任として求められます。そのため、清算期間全体だけでなく、週単位や月単位でも労働時間の推移を確認し、一定時間を超えた場合には管理者が早期に対応できる仕組みを整備することが重要です。
定期的な労働時間のモニタリングや業務量の平準化を図る体制づくりが、過重労働の防止につながります。
3-4. 従業員に自己管理スキルが必要
自由度が高い働き方は、自己管理能力が要求される働き方でもあります。決められた始業・終業時刻がないことで生活リズムが不規則になり、睡眠不足の乱れから体調を崩すおそれもあるでしょう。
また、「後日まとめて働けばいいや」と労働時間を後倒しにしてしまうと、清算期間の最後に膨大な労働時間が集中する場合も考えられます。特に、在宅勤務制度と併用している場合には、勤務開始や終了の切り替えが難しくなることがあるため、労働時間の自己管理に関する教育やルールの整備が求められます。
そのため、導入時には自社従業員の適性を見極めることが大切です。事前に研修やトライアル期間を設けて自己管理の意識づけをおこなったり、成果評価の仕組みを整えたりすることで、ルーズな働き方を防止しましょう。
4. スーパーフレックス制度の導入方法


スーパーフレックス制(コアタイムを設けないフレックスタイム制)を導入する場合には、労働基準法に基づいた手続きと制度設計を適切におこなう必要があります。単に勤務時間の自由度を高めるだけでは制度として成立せず、清算期間や総労働時間などの基本要素を明確に定めなければなりません。
また、制度導入後の運用を円滑に進めるためには、事前の業務分析や管理体制の整備も重要となります。ここでは導入の基本ステップを5つに分けて説明します。
4-1. スーパーフレックス制を就業規則に規定する
スーパーフレックス制を導入するには、就業規則に「始業・終業の時刻を従業員が自由に決定できる」旨の記載が必要です。対象となる従業員の範囲や清算期間、定める場合は勤務可能時間帯など基本的な制度設計を文書化しましょう。
特に休憩時間の取り扱いには注意が必要です。労働基準法では原則「事業場の全員に一斉に休憩を与える」ことになっていますが、スーパーフレックスの場合には、労使協定を締結して一斉休憩の適用除外をする必要があります。
関連記事:フレックスタイム制に関わる就業規則のポイント・記載例を紹介!
4-2. 労使協定を締結する
フレックスタイム制導入には、事業所の過半数労働組合または事業所の過半数代表者との労使協定の締結が必要です。
労使協定では、次の事項を話し合い、決定する必要があります。
- 対象となる従業員の範囲:全従業員か、特定の部署のみか、など
- 清算期間:1~3ヵ月の間で決定
- 清算期間中の総労働時間:法定労働時間の枠内で決定
- 標準となる1日の労働時間:1日7時間など。有給休暇取得時の算定基礎となる
- フレキシブルタイム(任意):勤務可能な時間帯
清算期間について、1ヵ月を超える場合は、管轄の労働基準監督署に届出が必要です。また、フレキシブルタイムの設定は任意ですが、会社が深夜労働を避けたい場合などは、あらかじめ設定しておくとよいでしょう。
当サイトでは、フレックスタイム制の概要や導入手順を図を用いて解説した資料を無料で配布しております。概要や導入方法だけでなく、裁量労働制などの類似制度との違いまでまとめてあります。テキストよりも図やイラストがあった方が理解しやすいという方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
関連記事:フレックスタイム制に関する労使協定のポイントを解説
4-3. 清算期間が1ヵ月を超えるの場合は労働基準監督署へ届け出る
清算期間が1ヵ月を超える場合、管轄の労働基準監督署への届出が必須です。
一般的には給与計算期間に合わせて1ヵ月単位で設定されることが多いですが、業種によっては繁忙期や閑散期に応じて、2ヵ月または3ヵ月の清算期間を設けることもあります。導入をスムーズに進めるためにも、清算期間の設定と届出をしっかりとおこなうことが重要です。
4-4. 運用ルールの明確化と周知
運用上の社内ルールを明文化し、周知徹底することも欠かせません。スーパーフレックス制を円滑に活用するには、具体的な運用ルールの策定と従業員への周知が不可欠です。
例えば、「出勤・退勤予定は事前にチームで共有する」など、会社として望ましい運用方法をガイドライン化します。社内イントラネットへ掲載するほか、初めて制度を導入する場合は部署ごとに責任者から直接説明したり、Q&A資料を配布したりして理解を深めてもらうことが望ましいです。
4-5. 勤怠管理システムで労働時間を適正に管理する
スーパーフレックス制では、勤怠管理が複雑になりがちです。導入時には勤怠管理の方法を見直し、必要に応じてシステム導入を検討しましょう。
紙のタイムカードや手計算で管理している場合、清算期間が長くなるほど計算ミスのリスクが高まり、管理担当者の負担も増大します。
勤怠管理システムを活用すれば、各従業員の出退勤時刻・労働時間を自動で記録・集計でき、人為的ミスや法令違反を防止できます。
5. スーパーフレックス制度導入時の注意点


スーパーフレックス制を導入する際には、制度の柔軟性だけに着目するのではなく、法令上求められる要件や実務上の運用上の留意点を十分に理解しておくことが重要です。
特に、時間外労働に関する36協定の締結や、残業代の適切な計算、業務運営上必要な会議の取り扱いなどは、制度運用の適否を左右する重要な要素となります。また、業務内容や職種によって制度との適合性が大きく異なるため、導入前に慎重な検討をおこなう必要があります。
ここでは、スーパーフレックス制導入時の注意点について解説します。
5-1. 時間外労働は36協定の締結が必要
スーパーフレックス制においても、法定労働時間を超える労働(残業)が必要な場合は、あらかじめ時間外労働に関する36協定(時間外・休日労働に関する協定)の締結・届け出が必要です。36協定がないまま残業した場合、法律違反になり、罰則が発生する可能性があります。
フレックスタイム制では清算期間内の総労働時間で時間外労働の有無を判断する仕組みですが、その総労働時間が法定労働時間の総枠を超えた場合には、時間外労働として扱われます。この際、36協定が締結されていない場合には、たとえ従業員の自主的な勤務であっても違法な時間外労働とみなされる可能性があります。
また、36協定には時間外労働の上限時間を定める必要があり、原則として月45時間、年360時間を超えない範囲で設定することが求められます。制度導入時には、想定される業務量や繁忙期の状況を踏まえ、実態に即した上限設定をしましょう。
さらに、締結した36協定は労働基準監督署へ届け出る必要があるため、手続き漏れがないよう注意が必要です。36協定の締結について詳しく知りたい方はこちらの関連記事を参考にしてください。
関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説
関連記事:フレックスタイム制で残業代は減る?残業の考え方や計算方法も紹介
5-2. 勤務時間に対する残業代の計算
スーパーフレックス制における勤務時間に対する残業代の計算は、特に注意が必要です。
基本的に、清算期間全体で法定労働時間の総枠を超えた時間数が時間外労働となり、残業代の支払いが発生します。特に、清算期間が1ヵ月を超える場合、各月の実労働時間の週平均が50時間を超えると時間外労働となります。法定労働時間の総枠を超えた時間数に応じた残業代を計算する際、重複して計算しないよう注意が必要です。
また、深夜勤務(22時~翌5時)や法定休日の出勤に関しては、それぞれ深夜割増や休日割増を別途払う必要があります。残業代の計算誤りは未払い賃金の問題につながる可能性があるため、制度導入時には給与計算の方法を明確にし、勤怠管理システムとの連携を図ることが重要です。
5-3. 特定時間に会議を義務付けることの可否
スーパーフレックス導入においてよく議論になるのが、「〇曜朝は特定時間に全員参加の会議をしたいが、コアタイムがない中で強制して良いか」という点です。コアタイムを設けていない以上、特定の時間帯に会議出席を命じることは、実質的に隠れたコアタイムを設定すると解釈される場合があり、制度の趣旨に反します。
実務上、どうしても全員が参加すべき打ち合わせは、各従業員のスケジュールを調整してミーティング候補時間を決めるべきでしょう。また、重要な会議は可能な限り早めに日時を周知し、参加が必要な人が自主的に予定を合わせられるようにすることも有効です。
5-4. 職種との相性を判断する
スーパーフレックス制はすべての職種・業務に適しているわけではありません。導入にあたっては、自社の業種や職種との相性を見極めることが重要です。
向いている職種の例としては、エンジニア・プログラマー・デザイナー・企画職・研究開発職などが挙げられます。これらの仕事は個人で進める部分が多く、外部や他部署との調整依存が比較的少ないため、自分のペースで業務を進めやすい傾向があります。また成果物ベースで評価しやすい仕事でもあり、スーパーフレックスとの親和性が高いと言えます。
反対に、接客業・サービス業のように顧客と対面でおこなわなければならない仕事や、コールセンターのように対応時間が決まっている業務、工場の生産ラインのように他の従業員と同時に作業する必要がある業務はスーパーフレックスに適さないでしょう。これらの仕事は一定の時間帯に人が揃っていないと成り立たないためです。
6. スーパーフレックス制で是正指導を受けやすいケース


スーパーフレックス制は柔軟な働き方を可能にしますが、労働時間管理が不十分だと労働基準監督署から是正指導を受けるリスクがあります。
特に、従業員が自由に勤務時間を決められる制度であるため、始業・終業時刻の記録や清算期間中の労働時間集計、36協定に基づく時間外労働の上限遵守が適切におこなわれていない場合に問題となりやすいです。
ここでは、是正指導を受けやすいケースを解説します。
6-1. 始業終業時刻の把握が不十分
スーパーフレックス制度では、従業員が自由に始業・終業時刻を設定できるため、勤務時間の記録が曖昧になるケースがあります。
例えば、紙のタイムカードや自己申告のみで勤怠を管理している場合、実際の労働時間の把握が不十分となり、労働基準監督署から是正指導を受ける可能性があります。法令上、労働時間の記録は正確に管理する義務があり、虚偽や未記録があると法的リスクが高まります。
対策としては、クラウド勤怠システムや自動打刻システムを活用し、従業員の勤務時間をリアルタイムで把握・集計できる環境を整備することが重要です。また、管理者による定期的な確認や集計結果のチェックも欠かせません。
6-2. 清算期間中の時間外集計漏れ
スーパーフレックス制では、清算期間内に所定労働時間を満たせばよいため、清算期間が長い場合に時間外労働の集計漏れが生じやすくなります。
例えば、3ヵ月の清算期間中に特定の月だけ労働時間が集中した場合、その超過分が適切に集計されないと残業代未払いの問題が発生します。これは労働基準法第32条の労働時間規制に抵触する可能性があり、是正指導の対象となります。
この状況を回避するには、清算期間中の労働時間を月単位や週単位で定期的に確認し、時間外労働が発生した場合は即時に残業代計算に反映させることが必要です。勤怠管理システムを活用すれば、集計漏れのリスクを大幅に軽減できます。
6-3. 36協定上限の超過
スーパーフレックス制を導入しても、法定労働時間を超える労働には36協定の締結が必要です。しかし、従業員が自由に勤務時間を設定できることから、意図せず36協定で定めた時間外労働の上限を超えてしまうケースがあります。
例えば、清算期間内の総労働時間が法定枠を超え、さらに週平均で50時間以上働いた場合、時間外労働の上限違反となり是正指導の対象となります。企業は、制度導入前に36協定の上限を明確に定め、勤怠管理システムで週・月単位の労働時間を常時モニタリングすることが重要です。
また、従業員への周知徹底や管理職による労働時間の確認も、違反防止に有効な手段となります。
7. スーパーフレックス制度の特徴を理解して自社でも活用しよう


スーパーフレックス制度は、コアタイムを設けないため、通常のフレックスタイム制よりも柔軟に働ける制度です。
一方で、労務管理の複雑化やコミュニケーション面の課題などクリアすべき点もあります。制度の導入を成功させるには、メリット・デメリットを踏まえ、自社の実情に合った形で設計・運用することが重要です。
自社の業務特性にマッチする範囲でスーパーフレックス制度を取り入れれば、従業員のモチベーションアップや優秀人材の確保といった効果が期待できます。ぜひ本記事の内容を参考に、スーパーフレックス制度の特徴を正しく理解した上で、自社でも上手に活用してみてください。
関連記事:フレックスタイム制とは?清算期間の仕組みやメリット・デメリットを解説



フレックスタイム制の導入には、労使協定の締結や就業規則の変更・届出など、複雑な手続きが存在します。
また、フレックスタイム制を導入した後に、「出勤・退勤時間が従業員によって異なるので、勤怠管理が煩雑になった」「残業時間の計算方法と清算期間の関係がよく分からない」といったお悩みをお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そのような方に向け、「フレックスタイム制度を実現するための制度解説BOOK」をご用意しました。
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