雇用契約と請負契約の違いとは?それぞれの内容や注意点、委任契約との違いも解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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雇用契約と請負契約の違いとは?それぞれの内容や注意点、委任契約との違いも解説

話し合う男性

雇用契約と請負契約は似ている部分もあり、混同されやすい契約のひとつです。しかし、明確な違いがあるため、中小企業や一人親方はそれぞれの契約内容や違いの判断基準を十分に把握しておかなければいけません。

従業員を雇用する場合、雇用主側が雇用契約と請負契約の違いを理解しておくことは、思わぬトラブルを引き起こさないためにも非常に重要です。

本記事では、雇用契約と請負契約、それぞれの内容や注意点について解説していきます。

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1. 雇用契約と請負契約の違い

AとBを比べる女性

結論から述べると、雇用契約と請負契約の違いは「労働者性の有無」です。

労働者とは、「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用される者で、賃金を支払われる者」と労働基準法9条で定められており、雇用主は労働基準法などの法令に従って労働者を雇用しなければなりません。

雇用契約の場合は、雇用される側は「労働者」となるため、労働関係の法令の保護を受けることができます。しかし、請負契約の場合は、雇用主と労働者という関係ではなく、注文者と請負人という関係となります。

請負人は労働関係の法令における労働者ではないため、労働者としての保護を受けることができません。

2. 雇用契約と請負契約、委任契約の具体的な意味・内容

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雇用契約と請負契約の具体的な内容を見ながら、双方の特徴と違いを深堀りしていきましょう。加えて、委任契約についても解説します。

2-1. 雇用契約とは

雇用契約の根拠になるのは民法第623条で、労働者がおこなう労務に対して雇用主が報酬を支払うという関係です。時給、日給、月給といった労働に対する報酬が支払われている場合は、雇用契約であると判断される可能性が高いでしょう。

また、雇用契約では、始業・終業の時刻が定められていたり、就業する場所が決められていたりするなど、雇用主に指揮命令権があります。

労働者に仕事についての指示や命令を拒否する自由がない、あるいは拒否したくてもできない状況であれば、指揮命令権があると判断されて雇用契約に該当する可能性は高くなります。

関連記事:雇用契約とは?法的な位置付けと雇用契約書を作成すべき理由を解説

2-2. 請負契約とは

請負契約は注文者と受注者に分けて考えるもので、受注者は委託された業務を完遂することを約束し、注文者は成果に対して報酬を支払う関係です。

請負契約では注文者からの指揮命令がないため、依頼を拒否することができます。

雇用契約では、雇用主が材料や機材を提供することになりますが、請負契約では受注者は必要な機械や資材を自分で用意しなければなりません。

そして非常に重要なのは、民法632条では「請負は、当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。」と定められている点です。

したがって請負契約では、成果物を引き渡さないと報酬が支払われません。

そのほか、請負契約が雇用契約と異なるポイントとして仕事が完成する前であれば契約を解除することが可能である点が挙げられます。ただし、これにより注文者に損害が生じた場合、受注者は損害賠償責任を負わなければなりません。

雇用契約 請負契約
指揮命令 あり なし
労働者側に求められる要件 「労働」に対して
報酬が支払われる
「成果物」に対して
報酬が支払われる
労働基準法による保護 あり なし
契約解除 雇用主側から一方的に
契約解除はできない
仕事が完成しない間であれば
損害を賠償して契約解除が可能

2-3. 委任契約とは

委任契約は、発注者が依頼した業務の提供やその成果を目的とする契約です。

請負契約が結果に対して責任を負うのに対し、委任契約では業務の過程が求められるため、発注者の期待に沿った結果でなくても報酬を請求できます。

似た契約類型に準委任契約があります。委任契約では法律行為の委託を目的としますが、準委任契約では法律行為以外の事務処理の委託を目的とする点が両契約の主な違いです。民法では、委任契約の効力は承諾によって生じると定義されています。

3. 雇用契約や請負契約を結ぶ際の注意点

注意のイメージ

最後に、雇用契約・請負契約を締結する際の注意点を解説します。法令や契約の有効性に関係する重要な部分もあるため、契約を結ぶ際は十分に留意しましょう。

3-1. 雇用契約かどうかは労働者の実態によって決まる

雇用契約における重要な注意点は、契約上は雇用契約でなくても、働く人が労働者の実態を備えていれば雇用契約と見なされるという点です。

たとえば、雇用契約以外の形態で契約していても、働く人に業務を拒否する選択肢がなかったり、業務に必要な材料や用具を会社が用意していたりする場合などが該当します。

雇用に該当すると判断される場合や、会社側に指揮命令権があるとされる場合は、契約の名称が異なる場合でも雇用契約と見なされます。

3-2. 雇用契約の労働者は労働関係の法令で保護される

雇用契約の場合、労働者は労働基準法や労働契約法などの労働関係法規で保護されているため、雇用主としては、この点をよく覚えておく必要があります。

たとえば雇用契約を締結している労働者には、以下のような権利が与えられています。

・残業代の請求や有給休暇の申請がおこなえる

・労働者は雇用主の指示や命令の元に業務をおこなうので、ある程度の範囲の損害は雇用主が負担する

・客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない解雇を拒否できる

これらは、会社の就業規則に関係なく与えられている権利であり、たとえ就業規則に「残業代は支給されない」などと書かれていても無効となり、労働基準法の基準が適用されます。

3-3. 請負契約は労働者にとって不利な点が多い

請負契約は、雇用契約と比較して請負人に不利な点が多くあります。

請負契約を締結した場合、労働基準法などの保護を受けられなくなるからです。そのため、時間外労働に対する割増賃金(残業代)や、有給休暇の付与、休業手当といった保障を受けることはできません。

また、労働安全衛生法上の安全配慮義務や、社会保険(健康保険・厚生年金)・雇用保険の適用対象にもならないため、万一の事故や失業時に十分な補償を受けられない点も不利といえます。(労災保険に特別加入している場合を除く)

請負契約を結ぶ際は、相手方の負担やリスクを考慮し、双方にとって納得できる契約内容とすることが求められます。

3-4. 偽装請負と判断された場合は罰則が適用される

請負契約を結ぶ際には、偽装請負にも注意が必要です。偽装請負とは、働き方の実態が雇用契約や労働者派遣であるにも関わらず、請負契約と偽ることを指します。

たとえば、始業や終業の時間が決められていたり、企業が作業内容を直接指示していたりする場合は、故意でなくても偽装請負とみなされる可能性が高いでしょう。

偽装請負の内容によっては、職業安定法や労働者派遣法、労働基準法の罰則が適用される恐れがあります。さらに、偽装内容が悪質だと判断されれば、社名公表の行政処分が科されることもあるため、適切に契約を締結することが重要です。

4. 雇用契約と請負契約は契約内容から判断しよう

書類と虫眼鏡

雇用契約と請負契約は似たようなものだと受け止められることが多いですが、実際には大きな違いがあります。締結する際は違いを十分に理解しておきましょう。

また、契約の名称が雇用契約や請負契約になっていても、契約内容に問題があれば別の契約であるとみなされることがあります。

契約を結ぶ際は契約の名称と内容が合致していることも確認し、後にトラブルにならないように十分に注意することが重要です。

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jinjer Blog 編集部

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