有給休暇の賃金計算方法とは?3つの計算方法と事例、注意点を解説
更新日: 2026.6.30 公開日: 2020.4.24 (特定社会保険労務士)

従業員が有給休暇を取得した際の賃金計算方法は、労働基準法で定められており、企業が独自ルールを設定することはできません。そのため、法律に則った方法で賃金計算をおこなう必要があります。
有給休暇の賃金計算方法は、「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つです。自社の給与体系や働き方に合わせて、適切な方法を選択しましょう。
本記事では、有給休暇の3つの賃金計算方法の詳細や具体的な計算例、注意点、効率化のポイントについて、わかりやすく解説します。
関連記事:有給休暇の計算方法とは?出勤率や付与日数、取得時の賃金をミスなく算出するポイントを解説
有給休暇では給与が発生するため、適切な方法で計算して従業員に支給する必要があります。
当サイトでは、本記事でご紹介している有休取得時の給与計算方法3つに加え、計算例つきでよりわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。
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目次
1. 有給休暇の賃金計算の3つの方法


有給休暇を取得した日の賃金計算方法は、労働基準法第39条第9項にて、次の3つの方法が認められています。
- 通常勤務した場合と同じ賃金を支払う方法
- 平均賃金を支払う方法
- 健康保険法の標準報酬月額を基準に支払う方法
ここでは、それぞれの計算方法や具体的な計算例を解説します。
1-1. ①通常勤務と同じ賃金を支払う
有給休暇取得日に「通常通り出勤した」とみなして賃金を支払う方法です。もっとも一般的な方法であり、多くの企業で採用されています。
月給制のフルタイムの従業員であれば、有給休暇を取得したとしても、通常と変わらず月給を支払えばよいため、給与計算がシンプルです。従業員にとっても、有給休暇を取得しても賃金額が変わりにくいため、理解しやすい点が特徴です。
時給制のパート・アルバイトなどの従業員も、「所定労働時間」を基準に計算します。
【計算例①:月給制の場合】
- 月給:300,000円
- 所定労働日数:月20日
- 有給休暇取得日数:2日
この場合、有給休暇を取得しても通常通り勤務したものとして扱うため、賃金額は変わらず月額300,000円です。
【計算例②:時給制パートの場合】
- 時給:1,200円
- 所定労働時間:1日5時間
- 有給休暇取得日数:2日
この場合、有給休暇1日に対して6,000円(1,200円 × 5時間)を支払うので、2日間取得した場合は合計で12,000円となります。
なお、シフト制の従業員では、「どの時間数を所定労働時間として扱うか」でトラブルになるケースもあるため、契約書や就業規則であらかじめ定めておきましょう。
1-2. ②平均賃金を求めて支払う
有給休暇取得日に対して「平均賃金」を支払う方法です。平均賃金は、次の2つの方法で計算し、金額が高い方を採用します。
【計算方法】
次のいずれか金額の高い方
- 直近3ヵ月の賃金の総額 ÷ その期間の暦日数
- 直近3ヵ月の賃金の総額 ÷ その期間の勤務日数 × 0.6
【計算例】
2026年4月~6月の賃金状況が次のとおりだったとします。
- 3ヵ月の賃金総額:1,000,000円
- 暦日数:91日
- 労働日数:61日
①の計算:1,000,000円 ÷ 91日 = 10,989.01円(1銭未満切り捨て)
②の計算:1,000,000円 ÷ 61日 × 0.6 = 9,836.06円(1銭未満切り捨て)
この場合は、金額が高い①の「10,989.01円」が1日あたりの平均賃金となります。
そのため、有給休暇を2日取得した場合は、
10,989.01円 × 2日 = 21,978円(1円未満四捨五入)
が支払う金額です。
平均賃金方式は、月給制・日給制・時給制を問わず適用できます。そのため、さまざまな雇用形態の従業員がいる企業では、計算ルールを統一しやすい点がメリットです。
一方で、過去3ヵ月の賃金総額や労働日数を毎回確認する必要があるため、事務負担が増えるというデメリットがあります。また、祝日などが多い月などは暦日数に対して賃金総額が少なくなり、通常勤務時より有給休暇中の賃金が低くなるケースもあります。
そのため、従業員から「有給休暇を取ると賃金が減る」と受け止められ、不満を招きかねないため注意が必要です。
関連記事:労働基準法の平均賃金とは?必要になるケースや計算方法を解説
1-3. ③健康保険法の標準報酬月額を基準に支払う
健康保険法の標準報酬月額を基準に「標準報酬日額」を算出し、有給休暇取得日の賃金を計算する方法です。
【計算方法】
標準報酬日額 = 標準報酬月額 ÷ 30
【計算例】
- 標準報酬月額:300,000円
- 有給休暇取得日数:2日
標準報酬月額から標準報酬日額は、次のように計算できます。
標準報酬日額 = 300,000円 ÷ 30 = 10,000円
この場合、有給休暇1日に対して10,000円を支払うので、2日間取得した場合は合計で20,000円です。
標準報酬月額は社会保険の手続きですでに決定されているため、毎回平均賃金を計算する方法よりも簡便です。
ただし、社会保険に加入していないパート・アルバイトなどには標準報酬月額が存在しないため、別途計算が必要となります。また、ほかの2つの方法と比べて賃金額が低くなるケースもあります。
なお、この方法を採用するためには、労使協定の締結が必要です。就業規則へ記載するだけでは足りないため、注意しましょう。
1-4. 【結論】どの賃金計算方法を採用すべき?
有給休暇取得時の賃金計算方法には、それぞれメリット・デメリットがあります。
| 賃金計算方法 | メリット | デメリット | 採用に適した業種・職場 |
| ①通常の賃金 |
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| ②平均賃金 |
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| ③標準報酬日額 |
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ここで紹介した具体例のとおり、計算方法によって支給額に差が生じることがあります。そのため、単に計算のしやすさだけでなく、従業員への影響と運用負担を踏まえて、自社に合った賃金計算方法を選択することが重要です。
実際には、「通常勤務と同じ賃金」を採用している企業がもっとも多い傾向があります。計算がシンプルで、従業員にとっても給与が減りにくく、有給休暇取得を促進しやすいためです。
なお、「正社員は通常の賃金」「パート・アルバイトは平均賃金」というように、従業員区分ごとに有給休暇取得時の賃金計算方法を分けることもできます。その場合は、正社員就業規則とパート・アルバイト就業規則などで、それぞれ適用する賃金計算方法を明確に定めておかなければなりません。
2. 2026年以降の法改正で「通常賃金」へ一本化される?

2026年以降の労働基準法改正に向けた検討項目のひとつとして、有給休暇取得時の賃金計算方法の見直しが挙げられています。
厚生労働省の労働政策審議会「労働基準関係法制研究会」の報告書では、有給休暇取得時の賃金算定方法について、原則として「通常の賃金」に一本化する方向性が示されました。
背景には、現行制度では「平均賃金」や「標準報酬月額方式」を採用した場合、とくに時給制・日給制で働く従業員において、有給休暇取得時の賃金が通常勤務時より低くなりやすいという課題が挙げられます。その結果、「有給を取ると給与が減るため取得しづらい」という問題につながる可能性が指摘されています。
また、企業側にとっても、平均賃金方式は計算が煩雑であり、給与計算ミスや未払い賃金トラブルの原因になりやすい点も課題です。
今後、通常賃金方式への一本化が実現した場合、企業には次のような対応が求められる可能性があります。
- 就業規則・賃金規程の見直し
- 給与計算システムの設定変更
- パート・アルバイトの有給計算ルールの整理
- シフト制従業員の「所定労働時間」の明確化
- 管理職・現場担当者への運用周知
法改正の具体的な施行時期や内容は今後変更される可能性がありますが、将来的な制度変更も見据え、自社の有給休暇の運用ルールを早めに整理しておくことが重要です。
参考:「労働基準関係法制研究会」の報告書を公表します|厚生労働省
シフト制のパート・アルバイトが多い企業では、「有給休暇日の労働時間を何時間として扱うか」が重要なポイントになります。
しかし実際には、曖昧なまま運用されているケースをよく見かけます。就業規則や賃金規程に計算方法の定めがなかったり、担当者ごとの判断で処理されていたり、従業員からの問い合わせをきっかけに発覚することも少なくありません。
今後、「通常の賃金」への一本化が進めば、企業には「誰が計算しても同じ結果になる状態」がより求められます。
そのため、雇用契約書の所定労働時間やシフト決定ルールも含めて整理しておくことがおすすめです。あわせて、勤怠管理システムや給与計算ソフトの設定が現在の運用と一致しているかも、確認しておくと安心でしょう。
3. 【こういう場合は?】賃金計算に関する有給休暇のイレギュラー対応

年次有給休暇の対応は、通常の取得だけでなく、「取得予定日に出勤した」「退職時に未消化分が残っている」など、イレギュラーなケースが発生することがあります。
ここでは、現場でよく質問されるケースについて、適切な対応方法を解説します。
3-1. 有給休暇取得日に出勤することになった場合
有給休暇を取得する予定だった日に出勤することとなった場合、その日の有給休暇は取り消しとなり、消化されません。企業は通常の労働日に対する賃金を支払い、有給休暇残日数も減らしません。
また、これによって年5日の取得義務を満たせなくなる場合には、別日に適切に取得させる必要があります。
なお、有給休暇は労働者の権利であり、原則として労働者が希望した日に取得させなければなりません。事業の正常な運営を妨げる場合に限り、企業は時季変更権を行使して取得日を変更できます。
ただし、正当な理由なく出勤を求めたり、従業員の同意なく有給休暇を取り消したりすることは違法と判断される可能性が高いです。
関連記事:有給休暇義務化における「基準日」とは?5日間の取得義務についても解説
関連記事:時季変更権とは?行使するための条件や注意点を徹底解説
3-2. 退職時に未消化の有給休暇を買い取る場合
たとえ従業員が希望していても、原則として有給休暇の買い取りは認められていません。ただし、次のようなケースに限り、買い取りが認められています。
- 法定付与日数を超えて、企業が独自に付与している有給休暇がある場合
- 退職までに消化できなかった有給休暇がある場合
- 時効により消滅する有給休暇がある場合
有給休暇の買い取りは法律上の義務ではないため、実施するかどうかは企業の判断によります。また、買い取り時の単価についても、通常の有給休暇取得時と同じ計算方法を適用する必要はなく、企業で自由に決めることが可能です。
ただし、買い取り額を高く設定しすぎると「取得せずに買い取りを待った方が得」と考える従業員が増え、有給休暇取得の促進を妨げる可能性があります。そのため、退職時のみ認める、通常賃金相当額で統一するなど、あらかじめ運用ルールを明確にしたうえで、制度設計をおこないましょう。
関連記事:有給休暇の買い取りは違法?認められる例外と実務対応、トラブル事例を解説
4. 有給休暇取得日の賃金計算に関する注意点


有給休暇の賃金計算では、計算方法を正しく理解するだけでなく、押さえておくべきポイントがいくつかあります。ここでは、有給休暇取得時の賃金計算に関する注意点を6つ紹介します。
4-1. 賃金計算方法は就業規則に記載する
労働基準法第89条では、就業規則の絶対的必要記載事項として「休暇」や「賃金」が定められています。年次有給休暇の賃金の計算方法についても、「年次有給休暇を取得した日は、所定労働時間どおりに勤務したときに支払われる通常の賃金を支払う」など、具体的に就業規則へ明記する必要があります。
また、実際の運用でも、就業規則で定めた方法にもとづき、計算しなければなりません。就業規則に記載したルールと実際の運用が異なる場合、労務トラブルや行政指導につながる可能性もあります。従業員との信頼関係にも影響するため、規程と実務を一致させることが重要です。
なお、正社員とパート・アルバイトなど、雇用区分ごとに異なる計算方法を定めること自体は可能です。その場合は、それぞれの就業規則や賃金規程で明確に定めておきましょう。
関連記事:有給休暇の義務化で就業規則を変更する場合の注意点と記載例
4-2. 通勤手当は原則不支給だが運用ルールの明文化が必要
通勤手当は、従業員が出勤する際にかかる通勤費用を補填する目的で支給されるものです。そのため、有給休暇取得日は実際の通勤が発生しないことから、日額支給の場合は原則として支給不要と考えられます。
一方で、1ヵ月定期代や6ヵ月定期代を支給している企業では、有給休暇取得日に応じて減額調整をおこなわないケースも一般的です。
そのため、「有給休暇取得日の通勤手当をどう扱うか」を、企業の支給方法に合わせて明確に定めておくことが大切です。例えば、「定期代は有給休暇取得日数に関わらず全額支給する」「日額支給の場合は実出勤日のみ支給する」など、就業規則や賃金規程に具体的に記載しておけば、従業員との認識違いを防止できます。
4-3. 時間単位の有給休暇を取得した場合の1時間あたりの計算
労使協定の締結によって、有給休暇は1日単位だけでなく、時間単位の取得も可能です。ただし、時間単位年休として取得できるのは、年5日分までに限られます。
時間単位年休の1時間あたりの賃金は、前述した3つの計算方法のいずれかで算出した「1日あたりの賃金」を、「1日の所定労働時間」で割って計算します。例えば、「通常の賃金」で計算する場合、次のようになります。
【計算例】
- 月給:300,000円
- 所定労働日数:月20日
- 1日の所定労働時間:8時間
1日分年休賃金(通常の賃金)
→ 300,000円 ÷ 20日 = 15,000円/日
時間単位年休1時間分
→ 15,000円 ÷ 8時間 = 1,875円/時間
とくに月給制の従業員の場合、時給単価を把握していないこともあるので、問い合わせを受けた際に答えられるよう、正しく理解しておきましょう。
なお、半日単位の有給休暇は、法律上の制度ではありませんが、従業員が希望し企業が同意すれば導入できます。その場合、時間単位年休とは異なり労使協定を締結する必要はありませんが、トラブル防止のために就業規則に規定する必要があります。
4-4. 最低賃金の改定にあわせた定期的な見直し
有給休暇の賃金計算は、法律で認められた方法に基づいて計算する必要があります。ただし、算出した賃金が各都道府県で定める最低賃金を下回っていた場合、故意ではなくとも最低賃金法違法となります。
とくに、平均賃金方式を採用している場合や、時給制のパート・アルバイトが多い企業では注意が必要です。
また、最低賃金は毎年改定されるため、一度見直しただけでは将来的に下回る可能性もあります。毎年の最低賃金改定時に、有給休暇取得時の賃金計算についても問題がないか確認しましょう。
4-5. 有給休暇の賃金計算は業務負担になることがある
有給休暇の賃金計算は、通常の給与計算に追加して発生する業務です。とくに、平均賃金方式を採用している場合は、取得のたびに過去3ヵ月分の賃金や労働日数を確認する必要があり、担当者の負担が大きくなりやすい傾向があります。
また、有給休暇の取得状況そのものを正確に管理できていないと、賃金計算ミスや年5日取得義務違反につながるリスクもあります。
そのため、勤怠管理システムや給与計算ソフトを活用し、有給休暇の取得状況や賃金計算を自動化・可視化することも有効です。とくに人員が限られる中小企業では、担当者個人の経験や手作業に依存しすぎない運用体制を整えましょう。
4-6. 年5日取得義務違反は1人あたり30万円以下の罰金
年10日以上の年次有給休暇が付与される従業員に対して、企業は毎年5日以上取得させる義務があります。この義務に違反した場合、労働基準法第120条に基づき、対象従業員1人につき30万円以下の罰金が科されるおそれがあります。
例えば、7人の従業員に年5日の有給休暇取得義務を果たしていなかった場合、最大で「7人×30万円=210万円」の罰金となる可能性があります。
直ちに罰則が適用されるわけではなく、まずは労働基準監督署から是正指導がおこなわれるケースが一般的です。
しかし、有給休暇の取得管理が不十分な企業は、労務管理体制そのものに問題があると判断されるおそれもあります。企業イメージや従業員との信頼関係にも影響するため、有給休暇の取得管理は軽視せず、適切な運用体制を整えましょう。
関連記事:年次有給休暇の基本をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介
5. 有給休暇の賃金計算を効率化する方法


有給休暇の賃金計算は、計算ルールが複数存在するうえ、従業員ごとの有給残日数管理も必要になるため、担当者の負担が大きくなりやすい業務です。ここでは、有給休暇の賃金計算を効率的におこなうための方法を紹介します。
5-1. 計算ルールを統一して就業規則に明記する
有給休暇取得時の賃金は、企業が採用する計算方法によって異なります。そのため、まずは自社でどの計算方法を採用するかを明確にし、就業規則や賃金規程に具体的に記載しておくことが重要です。
正社員と非正規社員(契約社員やパート・アルバイトなど)で異なる計算方法を採用することも可能ですが、計算が複雑になるとミスや管理コストの増加といったリスクが高まります。担当者による計算のばらつきや誤りを防ぐためにも、可能な限り計算方法を統一し、シンプルなルールでの運用が望ましいでしょう。
さらに、通勤手当や時間単位年休など、例外的な取り扱いが発生しやすい項目についても、あらかじめルールを整理しておきましょう。就業規則と合わせて、社内マニュアルや担当者向けフローまで整備しておくと、運用が安定しやすくなります。
5-2. 勤怠管理システムで有給休暇の取得状況を正確に記録する
有給休暇の賃金を正しく計算するためには、従業員ごとの有給休暇取得状況や残日数を正確に把握することが不可欠です。紙やExcelで管理している場合、付与日数や取得日数の入力漏れ、残日数の計算ミスなどが発生しやすく、結果として賃金の過不足や年5日取得義務違反につながるリスクがあります。
勤怠管理システムを導入すれば、有給休暇の付与・取得・残日数を自動で管理できるため、ヒューマンエラーの発生を大幅に抑え、正確な有給管理が可能です。
また、時間単位年休や半日単位年休にも対応できるシステムであれば、複雑な有給管理も効率化しやすくなります。近年は、有給取得義務のアラート機能を備えたシステムも増えており、法令遵守の観点でも有効です。
5-3. 給与計算ソフトで自動的に賃金を算出する
有給休暇取得時の賃金を手作業で計算すると、端数処理や計算式の誤りによってミスが発生しやすくなります。とくに従業員が多い企業では、一人ひとりの給与計算を手作業でおこなうことが大きな負担となるでしょう。
給与計算ソフトを活用すれば、事前に計算方法を設定するだけで、有給休暇取得日の賃金計算を自動でおこなえます。さらに、勤怠管理システムとの連携によって、有給休暇の取得状況を自動反映し、勤怠集計から賃金計算までを一気通貫での処理も可能です。
計算ミスの防止だけでなく、給与計算業務全体の効率化にもつながるでしょう。
6. 有給休暇の賃金計算が誤っていた場合の対処法


有給休暇取得時の賃金計算は、注意していてもミスが発生してしまうこともあるでしょう。万が一、支給額に誤りがあった場合は、「不足」と「過払い」によって対応方法が異なります。ここでは、それぞれの対処法を解説します。
6-1. 支払いが不足していた場合
有給休暇の賃金が本来より少なく支払われていた場合、不足分を追加で支払う必要があります。判明した場合は、まず対象者・対象期間・不足額を確認し、速やかに追加支給をおこないましょう。
また、従業員に対しては、「どの計算が誤っていたのか」「不足額はいくらか」「いつ支払うか」の丁寧な説明が欠かせません。説明不足のまま対応すると、従業員の不信感や労務トラブルにつながる可能性があります。
なお、賃金請求権には時効があり、現在は5年(当分の間は3年)です。誤りが長期間継続していた場合は、過去分まで遡って支払いが必要になるケースもあります。
計算ミスを防ぐために、就業規則や賃金規程、給与計算ソフトの設定内容を見直し、運用ルールと実際の計算方法が一致しているか確認しましょう。
6-2. 過払いしていた場合
有給休暇取得時の賃金を本来より多く支払っていた場合、企業として返還を求めることが可能です。ただし、実務上は慎重な対応が求められます。
過払いが判明した場合は、まず事実関係と金額を整理し、従業員へ事情を説明したうえで返還方法を協議することが重要です。
とくに注意したいのが、会社が一方的に給与から天引きすることです。従業員の同意なく過払い分を控除すると、「賃金全額払いの原則」に違反する可能性があります。企業側から一方的に控除を通告するのではなく、書面などで必ず本人の同意を得たうえで、翌月給与から分割控除するなどの対応を検討しましょう。
また、企業側のミスによる過払いである以上、高圧的な返還請求は避け、丁寧に説明しながら進めることが重要でしょう。過払いについても、再発防止のために、給与計算フローやシステム設定、担当者チェック体制を見直すことが大切です。
7. 有給休暇の賃金計算は法令遵守と業務効率の両立を


有給の賃金計算方法は、「通常の賃金」「平均賃金」「標準報酬日額」の3つがあります。それぞれメリット・デメリットが異なるため、自社の従業員構成や運用体制に合わせて適切な方法を選択することが重要です。
また、採用した計算方法は、就業規則や賃金規程へ明記し、実際の運用と一致させるようにしましょう。
有給休暇の賃金計算は、従業員一人ひとりの有給休暇消化数を把握しなければならないため、企業にとっても大きな業務負担です。計算ミスや管理漏れを防ぐためにも、給与計算システムや勤怠管理システムを活用し、法令遵守と業務の効率化を両立できる体制を整えていきましょう。
有給休暇では給与が発生するため、適切な方法で計算して従業員に支給する必要があります。
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