従業員エクスペリエンスとは?人事担当者が知っておくべき向上施策と事例 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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従業員エクスペリエンスとは?人事担当者が知っておくべき向上施策と事例

仕事に充実感をもつ女性

従業員エクスペリエンス(EX)という言葉を聞いた経験はありませんか。

「社員の離職率が上がっている」「組織に一体感がなく、生産性が低い」「優秀な人材を採用できない」

このような課題があるなら、その根本原因は従業員エクスペリエンスの低下にあるかもしれません。

この記事では、人事担当者向けに従業員エクスペリエンスの基本から、具体的な改善施策とその進め方までを事例も踏まえてわかりやすく解説します。


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従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

そのような方に向けて当サイトでは、「従業員満足度のハンドブック」を無料でお配りしています。
従業員満足度調査の方法や調査ツール、調査結果の活用方法まで解説しているので、従業員のモチベーション向上や社内制度の改善を図りたい方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご活用ください。

1. 従業員エクスペリエンスとは

チェックとはてな

従業員エクスペリエンスとは、従業員がその会社で働く中で得られる体験や経験のことです。”Employee Experience”の頭文字を取って「EX」とも呼ばれます。

EXが高まるということは、自社でしか経験できない価値が豊富にあるということであり、人材の流動が激しい現代において定着率を高めるために重要なポイントのひとつです。

具体的に、従業員の経験とは、会社組織で働く中での経験のほかに、自身の健康状態、スキルアップの目標、満足度など、会社にいる時間に経験できる全ての要素を指します。

つまり、働く人が会社で過ごす体験や気持ちを大切にし、満足度や幸福度を高める考え方を従業員エクスペリエンスと表すのです。

1-1. 従業員エクスペリエンスと従業員エンゲージメントとの違い

従業員エクスペリエンスは従業員エンゲージメントと混同されることも多く、どちらも会社に対する満足度や意欲に関係するものですが、意味合いがやや異なります。

従業員エンゲージメントは、従業員が「会社に対して貢献したいという意欲」や「会社に対する信頼感」などを指すものです。一方で、従業員エクスペリエンスは、「職場での体験によって変化する心理状態」を意味します。

従業員エクスペリエンスのほうがより広義の意味を持っており、職場での心理状態だけでなく、従業員のライフサイクル全体に関係するものです。

また、従業員エクスペリエンスを高めると従業員エンゲージメントも向上するため、双方は密接な関係にあります。

1-2. なぜ従業員エクスペリエンスが注目されているのか

終身雇用の時代には、従業員は企業の論理や方向性に従うことが当然とされてきました。しかし近年では終身雇用の制度が崩壊し、転職しながらスキルアップを目指すビジネスパーソンが増加しつつあります。人材が流出しやすい今の時代だからこそ重要視されており、企業の成長や存続には欠かせないものになりつつあります。

また、これまでの「従業員満足度(ES)」や「従業員エンゲージメント」が、福利厚生や働きやすさといった特定の要素に焦点を当てていたのに対し、従業員エクスペリエンスは、入社前から退職後に至るまでの、企業と従業員のすべての接点(タッチポイント)を包括的に捉える点が特徴です。

働く環境や価値観が多様化している今、従来の画一的な福利厚生だけでは、一人ひとりの働くモチベーションを維持することが難しくなっています。EXを向上させることは、優秀な人材の定着や組織全体の生産性向上に直結する重要な経営戦略なのです。

2. 従業員エクスペリエンスを向上させる3つのフェーズと具体的な施策

オフィス街を歩くビジネスマン

従業員エクスペリエンスは、次の3つのフェーズに分けて考えることで、具体的な施策を検討しやすくなります。

2-1. フェーズ1:入社前(採用プロセス)

このフェーズは、求人応募から内定、入社までの期間です。候補者が抱く会社への期待や信頼感を高める重要な時期で、取り組める施策の例には、次のようなものが挙げられます。

【施策例】

  • 採用ページの充実: 企業の理念やビジョンを伝えるだけでなく、実際の社員の働き方やリアルな声などを掲載すると効果的です。
  • 面接体験の最適化: 質問内容を工夫し、候補者の個性やキャリア志向に寄り添った面接をおこないましょう。結果的に不採用となっても、自社に魅力を感じた候補者が周囲におすすめする可能性があります。
  • 内定者フォロー: 内定者向けの懇親会やオンライン交流会を開催し、入社への不安を解消します。昨今の新卒採用では、内定から入社までの期間が長期化する傾向があるため、定期的なフォローアップも必要です。

2-2. フェーズ2:入社後(オンボーディングからキャリア形成)

このフェーズは、入社から日々の業務、評価、成長に至るまでの期間です。従業員の成長を支援し、積極的に貢献意欲を高めましょう。

【施策例】

  • 1on1ミーティングの導入: 上司と部下の定期的な面談を通じて、個別のキャリアプランを支援します。必要に応じて、直属の上司以外との1on1ミーティングを設けるのもよいでしょう。
  • 社内コミュニケーションの活性化: 社内SNSやイベントを通じて、部署間の壁を取り払い、心理的安全性の高い職場環境を構築します。共通の趣味を通じてコミュニケーションの幅が広がる、部活動の導入もおすすめです。
  • 公正な評価制度: 成果だけでなく、プロセスや挑戦する姿勢も評価する制度を導入し、納得感を高めます。

フェーズ3:退職後(アルムナイ・ネットワーク)

このフェーズは、退職した元社員との関係を継続する期間です。良い関係を築くことで、再雇用や新たなビジネスチャンスに繋がる可能性があります。

【施策例】

  • アルムナイ・ネットワークの構築: アルムナイとは、人事領域では「企業の退職者」を指す言葉です。退職者向けのコミュニティを立ち上げ、情報交換や交流の場を提供し、繋がりが切れないようにします。
  • 退職時インタビュー: 従業員が退職する本当の理由をヒアリングし、組織改善に役立てます。

3. 従業員エクスペリエンスを向上させるメリット

喜んでいる様子

従業員エクスペリエンスの向上によって、企業には以下のような数多くの良い効果がもたらされます。

3-1. 帰属意識が高まりやすくなる

従業員エクスペリエンスを向上させるよう意識すれば、従業員の帰属意識は高まりやすくなります。

帰属意識とは企業という集団に所属している自覚のことです。終身雇用の時代、多くの会社員には当然のように帰属意識が身についていました。しかし近年ではよりよい環境を求めて転職するのが当たり前となっていることから、帰属意識も低下しやすくなっています。

帰属意識の低下は従業員の離職につながりやすくなります。多くの従業員が離職した場合には日々の業務に支障が生じやすくなる上、人材の確保にも大きな手間やコストがかかってしまいます。
従業員の離職を防いで定着率を上昇させるためにも、従業員エクスペリエンスの向上は欠かせません。

3-2. 生産性が向上しやすくなる

従業員エクスペリエンスの高い企業ほど事業の生産性向上が実現できているといわれます。従業員が多くの良い体験をして充実した日々を送ることによって、個々のモチベーションは上昇し、パフォーマンスも向上しやすくなります。

個人のパフォーマンス向上はやがてチーム全体に伝播します。結果として、生産性向上という良い効果が企業全体にもたらされやすくなるのです。

3-3. 企業価値の向上につながる

従業員エクスペリエンスの向上は企業価値を向上させることにもつながります。

従業員が日々の仕事に充実感を覚え、高いモチベーションを維持して取り組んでいる企業では、不平や不満が噴出することはほぼありません。結果として企業の評判が良くなり、優良企業として認識されやすくなります。

優良企業であるという認識が広がれば企業のブランディング力も自然と向上します。好循環を生み出すためにも、ぜひ従業員エクスペリエンスを意識した施策を実践してみましょう。

このように、従業員エクスペリエンスを向上させることにはいくつかのメリットがあります。

そもそも、従業員エクスペリエンスを向上させるには、現在従業員がどのような点に満足し、どのような点に不満を持っているのかをしておくことが必要です。当サイトでは、そのような従業員の会社に対する満足度をはかる「従業員満足度調査」の方法や調査後の満足度向上策を解説したハンドブックを無料でお配りしています。従業員エクスペリエンスの向上に必要なことを知りたい方は、こちらから「従業員満足度のハンドブック」をダウンロードして参考にしてみてください。

4. 【実践編】明日からできる従業員エクスペリエンスを向上させる方法

ロードマップに沿ってゴールに向かう男性

従業員エクスペリエンスの向上は、企業や従業員に多くのメリットがありますが、単に待遇を良くすれば従業員エクスペリエンスが向上するというわけではありません。ここからは、従業員エクスペリエンスを向上させるためのポイントについて実践的に解説します。

4-1. ステップ1:調査を実施し会社が抱える課題を理解する

従業員エクスペリエンスを向上させるためには、まず自社の課題を深く理解することが不可欠です。個々の従業員を十分に理解することが、従業員エクスペリエンスを高めることにつながります。従業員と日常的なコミュニケーションを取ることに加え、こまめな面談や調査の機会を設けることも重要なポイントです。面談や調査によって企業の問題や従業員が抱える悩みが明らかになり、早期解決をしやすくなります。

まずは、従業員アンケートやサーベイを実施し、社員がどのような体験に不満を抱えているのかを具体的に把握します。特に、「入社前後でギャップを感じた」「評価制度が不公平だと感じる」といった具体的な声を集めましょう。

従業員が普段の業務の中で何を体験しているのか、現状にどのような不満を抱いており何を求めているのか、といった情報をシステムを用いて定期的に収集しましょう。その内容を細かく分析すれば、実用的なフィードバックを得られます。

4-2. ステップ2:課題に対する施策を立案し実行する

ステップ1で特定した課題に基づき、具体的な施策を立案します。例えば、「評価制度への不満」が課題であれば、「OKR(目標と主要な結果)の導入」や「360度評価の導入」を検討します。

成功事例:株式会社B社の事例(従業員数50名)

課題: リモートワーク導入後、社員同士の交流が減少し、部門間の連携が低下した。
施策: 日報機能付きの社内SNSを導入した。日々の業務報告だけでなく、感謝のメッセージを送り合う「サンクスメッセージ機能」を活用した。
結果: 従業員間のコミュニケーションが活性化し、他部署の業務内容への理解が深まり、部署横断的なプロジェクトも増加した。EX向上により、離職率も前年比で半減した。

失敗事例から学ぶ

課題: 従業員エンゲージメント向上を目的として、全社で1on1ミーティングを義務化した。
結果: 上司が多忙で1on1が形骸化してしまいました。部下は「自分のために時間を割いてくれない」と感じ、かえって信頼関係を損ねる結果に終わりました。
教訓: 施策は「やる」だけでなく、「どのようにやるか」が重要です。事前に目的と進め方を共有し、関係者全員が納得して取り組める体制を整えることが不可欠です。

4-3. ステップ3:PDCAを回しながら継続的に取り組む

従業員エクスペリエンスの向上は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。施策を実施したあとは、従業員満足度調査や従業員エンゲージメントサーベイなどを用いて、フィードバックを募りましょう。従業員の声に耳を傾け、PDCAサイクル(計画・実行・評価・改善)を回しながら、継続的に施策を実行していくことが成功への鍵となります。

4-4. 従業員エクスペリエンスを向上させるコツ

紹介したステップを基本に、さらに従業員エクスペリエンスを向上させるコツを紹介します。

4-4-1. 従業員自身の主体性を意識する

従業員エクスペリエンスの改善を上層部だけでおこなおうとしても、なかなかスムーズに進みません。

従業員を置き去りにした施策を実行すると、かえって疎外感から従業員のモチベーションが低下してしまう可能性も考えられます。

組織は従業員が一丸となって動かしていくものと考え、従業員を巻き込むような改善策を検討しましょう。主体性を意識して従業員エクスペリエンスの改善をすれば、従業員はアクティブな気持ちを持てるようになっていきます。

4-4-2. オフィス環境を改善する

オフィス環境の改善も従業員エクスペリエンス向上に効果を発揮します。

良好なオフィス環境が整っていれば従業員はクリエイティビティな刺激を受けることができ、良いアイディアが生まれやすくなります。また、従業員同士の活発なコミュニケーションが展開されやすいのもオフィス改革を進める良さです。

オフィスは単に仕事をする場ではなく、従業員が一日の大半の時間を過ごす重要な拠点です。従業員エクスペリエンス向上を目指し、ぜひオフィスの環境改革に踏み切りましょう。

4-4-3. 従業員の能力開発や学習の機会を積極的に作る

新しいスキルを身に着けたり、保有している能力を伸ばしたりといった、スキルアップを目指せる機会を会社側が作ることも大切です。

自分の成長を実感でき、それが評価されれば従業員エクスペリエンスは非常に高くなります。同時に「もっと貢献したい」という意識も生まれるため、人材の育成も効率的に進みます。

勉強会や資格取得の補助など、会社独自の手当支給も含めてぜひ検討してみましょう。

5. 従業員エクスペリエンスを向上させるエンプロイジャーニーマップとは

フィードバックから改善までの道のり

従業員エクスペリエンスを可視化するためにエンプロイジャーニーマップを作成する企業もあります。

エンプロイジャーニーマップとは、従業員が職場で体験できる事柄を時系列ごとにまとめた表のことです。エンプロイジャーニーマップを作ることによって従業員エクスペリエンスは可視化され、従業員の体験と心情の変化を具体的に理解できます。

従業員が抱く不満や問題点を事前に把握しやすくなるのも、エンプロイジャーニーマップを作成するメリットです。採用から退職までの一連のフローを盛り込み、従業員がどの場面でどんなエクスペリエンスを得るのかを整理しましょう。

5-1. エンプロイジャーニーマップの作成方法

エンプロイジャーニーマップの作成は、次のステップで体系的におこないます。

  • ペルソナの設定:
    マップの対象となる従業員の典型的なモデル(例:新卒入社の若手社員、中途入社のベテラン社員)を設定します。モデルを複数設定することでより深く掘り下げることが可能です。
  • 従業員の体験フェーズを記入:
    従業員の会社での体験を、主要なステージに分けます。例えば、入社前、オンボーディング、成長・活躍期、転換期、退職といったフェーズです。
  • 各フェーズにおける「やりたいこと」や「心境」の把握:
    それぞれのフェーズで従業員が何を期待し、どのような感情(喜びや不安、期待など)を抱いているかを想像し、記入します。従業員へのインタビューやアンケート結果が、ここでの重要な情報源となります。
  • 直面しやすい「問題」や「トラブル」の特定:
    各フェーズで従業員が遭遇しやすい障壁や不満点を洗い出しましょう。これは、改善すべき具体的なポイントとなります。
  • EXを向上させるための「対策」を記入:
    特定された問題点に対して、EXを向上させるための具体的な改善策を検討し、マップに記載します。例えば、新入社員の不安解消のために「メンター制度の導入」や「定期的な1on1の実施」などが考えられます。
  • 定期的な「評価」と「振り返り」の実施:
    作成したマップは、一度作ったら終わりではありません。定期的に見直し、施策の効果を測定し、マップを更新する事で、継続的なEX向上に繋げられます。

5-2. エンプロイージャーニーマップ作成時の注意点

エンプロイジャーニーマップは従業員データやインタビュー結果をもとにペルソナを作成するところから始まります。

このとき、ペルソナの解像度が低かったり、実際の従業員像とかけ離れていたりすると作成しても意味をなさないので注意が必要です。

また、従業員像は会社規模が大きくなったり、採用基準の変更などで大きく変化します。

一度作成したマップをずっと使い続けるのではなく、定期的に見直して更新していきましょう。

6. 従業員エクスペリエンスを向上させて会社の発展につなげよう

笑顔で話す女性

終身雇用制度の崩壊によって離職率が増加の一途をたどり、人手不足に悩まされる企業も増えてきました。その対策として大きな効果を発揮するのが従業員エクスペリエンスの考え方です。

従業員エクスペリエンスとは従業員が組織の中で経験すること全てを指します。従業員エクスペリエンスを改善することによって定着率アップやモチベーション向上といった多くの効果が見込めます。

ステップごとに紹介した実践的な取り組みをおこない、また、エンプロイジャーニーマップを作成し従業員の視点で改革をするなどの工夫で、従業員エクスペリエンスを向上させましょう。

\ 離職率が高い・新入社員がすぐやめる / このようなお悩みを抱えていませんか?

従業員の定着率の低さが課題の企業の場合、考えられる要因のひとつに従業員満足度の低さがあげられます。
従業員満足度を向上させることで、従業員の定着率向上や働くモチベーションを上げることにもつながります。
しかし、従業員満足度をどのように測定すれば良いのか、従業員満足度を知った後どのような活用をすべきなのかわからないという人事担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。

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jinjer Blog 編集部

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