休職期間はいつまで?目安や決め方、給与を解説
更新日: 2025.7.11
公開日: 2025.2.19
jinjer Blog 編集部
休職とは、従業員が自己都合や病気などの理由により、雇用契約を維持しながら一定期間仕事を休める制度です。
人事・労務担当者にとって、休職期間の設定や給与の取り扱い、手続きの進め方など、実務上の判断に迷う場面も多いのではないでしょうか。
本記事では、休職期間の扱われ方や期間の目安、各種手当から復職に向けた準備まで、実務の視点から休職期間について詳しく解説します。
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1. 休職期間とは
はじめに、休職期間の扱われ方について解説します。
- 欠勤・休業との違い
- 休職期間は会社ごとに規定
それぞれ見ていきましょう。
1-1. 欠勤・休業との違い
休職・欠勤・休業は、それぞれ従業員が休む理由・期間・手当が異なります。
休職期間は、何かしらの要因によって働けない状態の社員に対して、会社側が休暇を与える期間です。心の不調やケガといった要素が含まれます。労働する義務は医師からの診断書によって免除される場合が多いです。
欠勤は、従業員の自己都合による一時的な不就労状態を指します。突発的な体調不良や私的な事情など、短期的な対応となるケースが一般的です。原則として給料は支払われず、事前に連絡を入れずに休むと無断欠勤扱いとなり、契約違反と見なされる場合もあります。
休業は会社都合による労働免除を意味し、主に育児休業や経営上の理由による一時帰休が該当します。従業員には労働義務がないため、休業手当が支給される場合があります。
1-2. 休職期間は会社ごとに規定
休職期間がどれくらいかは、各企業の裁量次第です。労働法制上の明確な規定が存在しないため、常識的な範囲内で企業規模や業態に応じた期間を設定できます。
例えば、大手企業では最長2年までの休職を認めるケースがある一方、中小企業では3ヵ月から6ヵ月程度が一般的です。各企業の人事戦略や経営方針によっても期間は変わってきます。
勤続年数に応じ、段階的に休職期間を設定するケースもあるでしょう。例えば、1年以上の勤続で3ヵ月、5年以上で6ヵ月といった具合に、従業員の貢献度に応じて休職期間を延長する仕組みを採用する企業もあります。
なお、就業規則に「休職期間が満了しても復帰できない場合は退職とする」といった規程が盛り込まれている場合、休職期間を終えても回復できないのであれば自然退職として扱われます。
2. 休職期間の目安
休職期間に関しては、休職の理由や企業の規程によって期間が変わってきます。ここでは次のような種類別の休職期間の目安を解説します。
- 私傷病休職
- 自己都合休職
- 留学休職
- 出向休職
- 組合専従休職
- 公職就任休職
- 起訴休職
- 事故欠勤休職
2-1. 私傷病休職
多くの企業は、3ヵ月から1年ほどの期間を私傷病休職として設定し、必要に応じて延長する体制を取っています。復職に際しては医師の診断書提出や産業医面談などを義務付けている企業が多く、療養状況や職務復帰の可能性を慎重に判断するケースが一般的です。
2-2. 自己都合休職
資格取得や介護など、自己都合による休職期間は数週間から数ヵ月が一般的です。職場の理解度や業務への影響を考慮しながら、個々の状況に応じて期間を設定します。
介護の場合、最初は1ヵ月程度の短期間で申請し、状況に応じて延長を検討するケースが多く見られます。介護休業制度を利用すれば、法定で最大93日間の休業が認められており、長期的な介護をしなければならない従業員には、制度の活用も視野に入れて対応が必要です。
人事・労務担当者は、自社の就業規則や各種制度を確認しながら、従業員の休職の目的と照らし合わせ、適切な休職期間を設定するようにしましょう。
2-3. 留学休職
留学休職は、在職したまま留学や研修を目的として長期間学びに専念する休職形態です。企業によっては人材育成の一環として制度を設けており、1年程度を目安に設定するケースが見られますが、留学先のプログラムやコース期間に合わせて2年程度まで認める企業も存在します。復職後のキャリア設計と合わせた制度設計が行われる場合があります。
2-4. 出向休職
グループ会社や関連企業へ出向した従業を、出向元が休職扱いにするのが出稿休職です。出向休職を導入している企業の多くが1年から3年程度を一区切りとしています。出向先との契約期間や業務上の必要性を踏まえ、さらに延長される場合もあります。
2-5. 組合専従休職
組合専従休職は、労働組合の専従役員や担当者として活動するための休職です。会社としては在籍扱いとしながらも、従業員は労働組合活動に専念します。1年ごとに再任や任期更新を行う例が多く、組合役員としての任期が数年にわたる場合には、その期間中専従を続ける形で運用されます。
2-6. 公職就任休職
公職就任休職は、国会議員や地方議会の議員などの公職につくための制度です。公職の任期が4年または6年などである場合、在籍中に休職という形を取りながら企業の業務からは離れます。任期を終えた後に復職を希望する場合は、在職期間や職務内容の見直しを含めて社内規定に沿って対応されます。
2-7. 起訴休職
起訴休職は、刑事事件で起訴された従業員が判決確定まで就業を停止される場合に適用される形態です。休職期間が判決確定までと、長期に及ぶ場合もあります。また、企業側としては有罪・無罪の結果や判決内容に応じて継続雇用の可否などを検討することになります。
2-8. 事故欠勤休職
事故欠勤休職は、不慮の事故などにより長期間の療養が必要となった場合に、一定の欠勤期間を超えた段階で休職扱いとするケースです。私傷病休職と同様に3ヵ月から1年程度を一区切りとして設定する企業が多く、治療経過や回復状況に応じて延長を認めることもあります。
3. 休職期間を決める判断材料
休職期間を決める際は自社の就業規則を参考にしましょう。
就業規則には、一般的に休職に関する具体的な規定が含まれています。休職の条件・期間・給与の取り扱いなどが明記されているため、就業規則をもとに人事・労務担当者が休職期間を決めます。
また、多くの企業では勤続年数に応じて休職期間に差を設けており、長期間勤務している従業員は長い休職期間が認められやすいです。
他にも、従業員の職務内容や復職後の人員配置も休職期間を決める際の判断材料になります。加えて、労働基準法や労働契約法に違反していないか、法律のチェックも行わなければなりません。求職中の手当や、業務上の病気・ケガに関しては労働者災害補償保険法が適用されるため、従業員の権利を守るために必ず法律に目を通す必要があります。
3-1. 医師の判断で判断する
病気・ケガなどによる休職の場合は、回復にどれだけの時間が必要なのかを医師の診断書から判断するのも大切です。
診断書に書かれた病名や症状の程度、医学的に必要な療養期間を参考に、適切な休職期間を設定します。また、自社に産業医が在籍している場合は、専門的な見地からアドバイスをもらう必要もあるでしょう。
4. 休職期間中の給与
ここからは、休職期間中の給与の支払いについて解説します。
- 給与は基本的に支払われない
- 休職期間中に利用できる手当
休職期間中に利用できる手当についても解説するので、併せてご覧ください。
4-1. 給与は基本的に支払われない
休職期間中は労働義務が免除されるため、原則として給与は支払われません。
ただし、各企業が福利厚生の一環として、支援制度を設けている場合があります。例えば、条件に応じて休職中も給与の一部を支給するといった制度です。休業者への支払いの制度が自社にあるかどうか、もしくは該当する条件に応じて人事・労務担当者は対応する必要があるでしょう。
また、人事・労務担当者は、給与の支払いが発生しない旨について、従業員に説明することが重要です。就業規則や関連規程についてしっかり説明し、企業・従業員の双方が納得した形で休職を促しましょう。
4-2. 休職期間中に利用できる手当
従業員が休職期間中に利用できる手当には、「傷病手当」と「休業手当」があります。それぞれの手当の概要について以下の表にまとめました。
名称 | 支給目的 | 対象 | 支給期間 | 支給額 |
傷病手当 |
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休業手当 |
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傷病手当金の申請では医師の診断書が必要です。休業手当については、会社指定の証明書類を作成し、保管することが求められます。
また、傷病手当金の受給期間中は、標準報酬月額の変更や保険料の納付に対応が必要な場合もあるので注意してください。
申請手続きを適切に進めるには、書類準備と提出時期の調整が大切です。人事・労務担当者は申請に必要な書類一式をまとめておき、整備しておくことが望ましいでしょう。
5. 休職期間中の注意点
ここからは、従業員が休職している間の注意点として、人事・労務担当者がやらなければならない対応について解説します。
- 従業員が休職中に企業側が行うこと
- 復職に向けた準備
- 休職期間延長の判断
5-1. 従業員とコミュニケーションを図る
場合によって、人事・労務担当者は休職中の従業員と定期的にコミュニケーションを図り、状況に応じて休職期間の延長や支援などをおこないます。
病気・ケガによる休職の場合、療養中の従業員の症状について、定期的に把握する必要があります。回復状況を様子見しながら、休職期間の延長を検討する必要も出てくるためです。
自己都合による休職の場合、目的に応じて進捗状況を確認する必要があります。例えば、資格取得であればカリキュラムがどの程度進んでいるか、介護であれば何か支援できることはないかなどを確認します。
5-2. 復職に向けた準備
人事・労務担当者は、休職者のスムーズな職場復帰を実現するため、段階的な対応が必要な場合があります。主に以下の2つのケースです。
- 休職理由が病気やケガであるケース
- 休職が長期に渡ったケース
休職理由が病気やケガの場合、従業員の心身のコンディションが完全に戻っていないケースもあるでしょう。そうした場合、まずは時短勤務やリモートでリハビリ出勤するなど、従業員に負担が少ない形を採用して働いてもらう必要があります。
休職期間が長期に渡った場合も同様です。長期間職場を離れていた従業員がいきなりフルタイムで復職すると、身体や思考が適応できず、過度なストレスになってしまう場合もあります。
従業員にヒアリングを行い、必要に応じて時短勤務やリモート勤務でのリハビリ出勤も検討してみてください。
5-3. 休職期間延長の判断
休職中の従業員とコミュニケーションを取りつつ、休職期間の延長が必要かどうかを判断します。業務に復帰可能なのか、社内規定、休職者との合意内容に照らし合わせて考慮し、必要に応じて休職期間延長を決定しましょう。
6. 休職期間終了後のやりとり
人事・労務担当者は、およそ1ヵ月前から休職期間が満了までの対応について準備する必要があります。
まず休職している従業員の意向を確認し、具体的に希望している復職の日にちや勤務形態についてヒアリングを行います。病気・ケガを理由に休職している場合は、復職にあたって医師の復職可能診断書を提出してもらわなければなりません。
専任の産業医がいる場合は、従業員と産業医との面談も必要です。産業医のアドバイスを参考に、勤務時間の調整や業務の制限などの就業条件をすり合わせ、意見書として記録します。
これらの内容をもとに、人事・労務担当者は該当部署の管理職と復職について協議し、最終的な受け入れ態勢を整えます。注意点として、休職した従業員に関する社内での情報共有は必要最低限に留め、プライバシーに配慮した復職支援をおこなうようにしましょう。
7. 休職期間を確保して従業員の健康を守ろう
休職制度は、従業員の健康や生活を守る大切な制度です。人事・労務担当者は、就業規則や法律を正しく理解し、従業員の状況に応じて適切な休職期間を確保する必要があります。一般的に休職期間は大企業であれば2年、中小企業は3ヵ月から半年ほどですが、自社の就業規則や医師の診断書などをベースに判断しましょう。
休職制度の運用は、従業員の心身の健康を守るだけでなく、企業の生産性向上にもつながります。スムーズに復帰できるように、休職者とは日頃からコミュニケーションを取っておくことが大切です。また、必要に応じて休職期間の延長を判断しましょう。
制度についての理解を深め、従業員が安心して休職できる環境を整備し、働きやすい職場づくりを実現しましょう。
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