1on1は意味ないもの?失敗する理由や抱える課題・解決策を解説
更新日: 2025.5.27
公開日: 2025.5.17
jinjer Blog 編集部
「1on1は意味ないのでは?」
「1on1を成功させるコツは?」
1on1ミーティングがうまくいかず、上記の悩みや疑問を抱えている人事労務の担当者もいるのではないでしょうか。
1on1は、上司と部下が1対1でミーティングをおこなうことで、部下の成長や信頼関係の構築を図る場です。
本来は、1on1で大きなメリットをもたらす取り組みですが、実施方法を誤ると「意味がない」と感じるケースもあります。
本記事では、1on1が意味ないと言われる理由や、抱える課題、メリットを解説します。意味ない状況になっている場合の解決策も解説するので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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1. 1on1が意味ないと言われる理由
従業員から1on1が意味ないと言われるおもな理由は、以下の3つです。
- 1on1の目的を理解できていない
- 上司が傾聴できていない
- 1on1を重視した運用をしていない
具体的に解説していきます。
1-1. 1on1の目的を理解できていない
1on1の目的を正しく理解していないと、「意味がない」と言われる傾向が見られます。
例えば、雑談ばかりで業務に活かせるフィードバックがないと、部下はミーティングに意味が見いだせず、1on1へのモチベーションが下がりかねません。
目的が共有されていなければ「ただ話すだけの時間」と捉えられやすいので、部下の育成や上司との信頼関係構築の目的があることを説明しましょう。
1-2. 上司が傾聴できていない
上司が部下の話を傾聴できず、一方的に話しているようなケースでも、1on1は意味がないと言われます。
部下が話す余地がなくなれば、部下の相談や本音を引き出せず、本来の目的からブレる可能性があるためです。
1on1は、上司と部下がコミュニケーションを取りながら、部下の成長をサポートしたり、不安や課題を解消したりする場です。
しかし、上司に対する遠慮や心理的な距離感、緊張感から、部下側はうまく会話を進められない可能性も考えられます。会話しやすいよう適度にフォローしつつ、相手の発言を待つ姿勢をもつことが大切です。
1-3. 1on1を重視した運用をしていない
1on1を重視した運用をしていない場合も、従業員から意味がないと言われがちです。
例えば、上司が面談を「業務のついで」のように扱うと、部下にも温度感が伝わります。
何度も同じ質問を繰り返されたり、不機嫌そうに対応されたりすると、部下は「向き合ってもらえていない」と感じるものです。
また、忙しさを理由に1on1の延期や中止を繰り返すことも避けましょう。1on1を価値ある取り組みとして機能させるには、継続的かつ前向きに運用する取り組みが重要です。
2. 1on1の抱える課題
1on1の抱える課題は、以下の4つです。
- 部下が本音を話せない
- 人的コストがかかる
- 心理的負担になる
- 上司と部下の関係性に亀裂が生じる
詳しく見ていきましょう。
2-1. 部下が本音を話せない
1on1の抱える大きな課題として、部下が本音を話しにくいことが挙げられます。
部下と上司との心理的距離が遠いと、緊張感からなかなか本音を言えず会話がぎこちなくなりがちです。
1on1の効果を十分に発揮させるには、上司側が部下の本音を引き出し、本質的な悩みや課題に対してフォローを入れることが欠かせません。
2-2. 人的コストがかかる
1on1を開催するには人的コストがかかる取り組みです。
ミーティング自体に限らず、テーマを考える時間や打ち合わせ場所の確保など、上司と部下それぞれの時間や手間がかかります。
意味のない1on1を実施した場合、成果が得られず、「わざわざ時間を割く必要はあるのか?」と感じる人もいるでしょう。
受け持つ部下の数が多い管理職にとっては、業務と両立するうえで大きな負担となりかねません。
2-3. 心理的負担になる
1on1の進め方によっては、上司と部下の心理的負担になる場合もあります。
特に1on1に意味がないと感じている場合には、積極的に話題を出そうとすること自体がストレスになります。その結果、1on1の質が悪化し、ますます面倒に感じる悪循環に陥りやすくなるでしょう。
1on1に目的が伝わっていないまま、上層部や企業側の一方的な方針で実施すると「強制されている」と感じやすく、不信感を抱くきっかけになります。
状況によっては、離職につながる恐れもあるので注意が必要です。
2-4. 上司と部下の関係性に亀裂が生じる
1on1が十分に機能していない状態を続ければ、上司と部下の関係性に悪影響を及ぼすおそれがあります。
部下の悩みや課題をうまく汲み取れなかったり、成長につながるフィードバックがなかったりすると「話しても意味がない」と感じ、不満や不信感が募ります。
次第にミーティングの場で本音を話すことはなくなり、受け身の姿勢になると、「やる気が感じられない」と判断せざるを得なくなるでしょう。
こうしたすれ違いが評価や信頼に影響を与え、関係性の亀裂につながるリスクもあります。
3. 1on1の実施で得られるメリット
適切に1on1を実施すれば、以下のようなメリットを享受できます。
- 部下と上司の間に信頼関係が構築できる
- 部下の成長をサポートできる
- 従業員の定着率が向上する
具体的な内容は次のとおりです。
3-1. 部下と上司の間に信頼関係が構築できる
部下と上司の間に信頼関係が構築できるのが、1on1の大きなメリットです。
上司が部下の話にしっかり耳を傾けることで、部下には「自分を理解してくれている」「悩みを共有できる」と安心感が生まれます。
徐々に本音を話しやすくなり、積み重ねによって信頼関係が育まれれば、業務上の連携やコミュニケーションも取りやすくなります。
結果として組織全体の風通しがよくなり、働きやすい環境づくりにつながるでしょう。
3-2. 部下の成長をサポートできる
1on1は、部下の成長を日常的にサポートするための貴重な機会です。
お互いの理解を深める過程で、部下の抱える課題が浮き彫りになります。対話を通じて解決のヒントやアドバイスを与えれば、部下の育成につながるでしょう。
1on1を繰り返すうちに、部下の問題解決能力が向上し、自分自身で対処できるようになります。
3-3. 従業員の定着率が向上する
1on1は、従業員の定着率の向上にも有効です。
上司との間に信頼関係が構築され、自身の成長が実感できる環境であれば、部下のモチベーションは上がります。企業に対するエンゲージメントが高まり、定着率が向上するでしょう。
部下に変化があった場合、1on1の際に上司が気付きやすくなるメリットもあります。1on1を通じて部下の不安や不満に気づくことで、早期フォローが可能になり、離職を防げるでしょう。
4. 1on1が意味ない状況になっている場合の4つの解決策
1on1が意味ない状況になっている場合の解決策としては、以下の4つが挙げられます。
- 1on1の意義や目的を社内に共有する
- テーマを事前に決めておく
- 上司側から自己開示を進める
- 部下の自主性をうながすよう配慮する
詳しく見ていきましょう。
4-1. 1on1の意義や目的を社内に共有する
まずは1on1の意義や目的を社内に共有し、浸透させましょう。
1on1で得られるメリットの理解が進めば、受け身の姿勢ではなく、積極的に1on1に取り組む風潮が生まれます。
例えば、社内研修やポスターなどを通じ、実施の理由やメリットを分かりやすく伝えれば、1on1の意義や目的を共有しやすくなります。
メリットがあり、必要なものであることがわかれば、1on1に対する従業員の意識は変化するでしょう。
4-2. テーマを事前に決めておく
1on1で話すテーマを事前に決めておくのも有効です。
ノープランで1on1にのぞんだ場合、「何を話せばよいかわからない」状態になり、1on1に対して消極的になる可能性があるため注意が必要です。
事前に話すテーマを決めておけば、話題を準備しておけるため、部下の心理的負担を減らせます。
4-3. 上司側から自己開示を進める
上司側から自己開示を進めるのもおすすめです。
1on1の主役は部下ですが、上司に対して初めから本音で話すのは、部下にとってハードルが高いといえます。
上司が進んで自分の話をすれば、打ち解けた雰囲気を作りやすく、話題のきっかけ作りも可能です。
ただし、上司が自分の話をしすぎると、部下が話をする時間が確保できません。上司の自己開示は、あくまで話しやすい雰囲気づくりの一環として、適切なバランスを意識しましょう。
4-4. 部下の自主性をうながすよう配慮する
1on1の際には、部下の自主性をうながすよう配慮しましょう。
部下が抱える課題に対し、初めから一方的に答えを与えると、自ら考える力が育ちにくくなります。
例えば、「どうするのが最適だと思う?」と問いかけるように、ヒントや選択肢を示したうえで、部下自身に判断させる機会をつくることが大切です。
1on1は、部下が試行錯誤を通じて成長する場でもあります。必要以上に介入せず、部下の自主性や問題解決力の向上をうながすよう見守るのが大切です。
5. 1on1は意味ないという認識を変えて効果的な面談を実施しよう
「1on1は意味がない」と感じる背景には、目的の理解不足や運用の誤りがあると考えられます。正しい方法で継続的に実施すれば、部下と上司の間に信頼関係が構築でき、部下の成長につながるでしょう。
まずは1on1の目的を上司と部下の双方で共有し、事前にテーマを決めるなどして会話を進めるのが大切です。
1on1に対する前向きな認識を社内に広げるためにも、自社に合った形で見直しましょう。
人事評価制度は、従業員のモチベーションに直結するため、適切に設計・見直し・改善をおこなわなければ、最悪の場合、従業員の退職に繋がるリスクもあります。
しかし「人事評価制度に改善したいが、いまの組織に合わせてどう変えるべきか悩んでいる」「前任者が設計した評価制度が古く、見直したいけど何から始めたらいいのかわからない」という方もいらっしゃるでしょう。
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