人事評価の項目はサンプルやテンプレートを見て自社オリジナルにしよう
更新日: 2022.12.9
公開日: 2022.5.1
吉田 菜穂子
ネットで検索すると、人事評価の項目のサンプルやテンプレートが多数あります。質が高く公平性のある人事評価を行い、企業の武器とするためには、サンプルやテンプレートを参考に自社オリジナルの人事評価を行うことが重要です。
この記事では人事評価で重要な項目や、サンプルを参考にして業種や職種の違いを意識した人事評価を作成する方法、人事評価のコメントの書き方や評価の反映方法を紹介します。
関連記事:人事評価はなぜ必要?導入して考えられるメリットやデメリット
目次
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
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1. 人事評価で重要な項目は3つ「成果・能力・情意」
人事評価の基本となる重要項目は、「成果・能力・情意」の3つです。この3つの項目をバランスよく組み込んだ評価を行えば、人事評価の質を高め、公平性も維持できます。評価項目は職種や役職などを考慮して、個別に決める必要がありますが、それぞれの項目がどのような内容なのかを確認しておきましょう。
1-1. 成果
成果は文字通り、従業員が目標をどれだけ達成できたかに関する項目です。成果や業績、目標達成率は数値化できるので、評価する側としても判断しやすく、評価される側にとっても客観的に自分の評価が正当なものなのか判断できます。
特に成果や業績が数値化しやすい営業職では、この項目が大きなウェイトを占めます。それ以外の職種でも、数値化できそうな内容を見つけて盛り込むことで、客観性や公平性のある評価がしやすいです。
また、技術職やバックオフィス部門の場合は、プロセスも成果として評価できます。プロセスは数値化しづらいですが、上司や同じチームのメンバーなどの評価も取り入れるといいでしょう。
1-2. 能力
能力は業務において必要な能力を持っているか、またその能力を業務で発揮できたかを評価する項目です。成果が数値化しづらい技術職やバックオフィス部門の人事評価では、能力のウェイトが営業職よりも高くなる傾向にあります。
具体的には業務を遂行するうえでの計画力や問題解決能力やリーダーシップ、また業務遂行に欠かせない個人の能力・スキルの習得など、数値化できない能力が挙げられます。
持っている能力を業務において、発揮できたかが重要なポイントとなるため、いくら能力があってもそれが生かせていないのであれば評価の対象とはなりません。
1-3. 情意
情意とは、勤務態度に関する項目です。いくら成果が出せていたり、能力が高い従業員でも、勤務態度が悪ければ職場の雰囲気を壊してしまいます。
情意の項目は評価する人の主観が入りやすく、公平性のある評価が難しい項目でもありますから、評価する人は常にそのことを意識しておく必要があるでしょう。
具体的には会社の規則を守っているか、主体的な行動ができているか、同僚と協力して業務を進められているか、責任を持って仕事を遂行しているかなどが挙げられます。また遅刻・早退や、社会人としてのマナーやモラルも情意として評価できるでしょう。
成果や能力だけで判断できない人間性や、今後の伸び代を評価できるので、まだ入社したばかりで経験が浅い従業員の人事評価にはこの情意の評価が適しています。
2. 業種や職種によって異なる人事評価の項目はサンプルを参考に作成
人事評価の軸となるのは、先ほど紹介した「成果・能力・情意」の3つです。ただ全ての業種・職種を同じ評価項目で人事評価しても、効果的な人事評価はできません。
人事評価の項目は、「成果・能力・情意」を踏まえて、業種や職種ごとの評価項目を設定する必要があります。1から作成するのは大変であるため、サンプルを参考にしながら、自社オリジナルの人事評価項目を作成するのがおすすめです。サンプルを参考にしながら作成する方法を紹介します。
関連記事:人事評価制度の運用に欠かせない「人事評価マニュアル」の作成方法や注意点
2-1. 人事評価を行う組織の目的を決める
まず重要なのが、人事評価を行ううえでの組織の目的です。人事評価制度を運用することで、人材をどのように変えていきたいか、組織の工場に生かしたいかを考えます。この目的には、企業理念やビジョン、行動指針などを盛り込むのが一般的です。
サンプルや他社の事例を参考にしながら、自社の企業理念・ビジョン・行動指針にどうやって落とし込めば目的を達成できるのかを考えてみましょう。
2-2. 評価基準を定める
役職や職種ごとに組織に対してどのような役割を求めるのかを考え、細分化して評価基準を決めていきます。この時、役職別や職種別のサンプルを参考にすれば、設定しやすくなるでしょう。サンプルを参考にしながら、自社にはどのような役割ができる従業員が必要なのかを考え、それを評価基準として盛り込みます。
2-3. 評価項目を設定する
設定した評価基準に基づき、評価項目を作成します。評価項目は組織の中長期的な計画を踏まえたうえで細分化させ、短期的な目標を組み込むことで、最終的には中長期的な計画達成につながるでしょう。
具体的には、個人の売り上げ目標や、短期間で達成すべきプロセスなどを組み込みます。サンプルを参考にしながら、自社独自の視点で項目を設定することで、評価される側にとってもわかりやすい評価項目になるでしょう。
また、評価項目も役職や職種ごとに役割や求める能力を考え、異なる項目を設定することが重要です。他社事例を参考にしながら作成しても構いませんが、完全にコピーするのではなく、自社のオリジナルに作り込むことで、人事評価制度のオリジナル性が自社の強みになっていきます。
関連記事:人事評価制度で重要な3つの基準の評価項目について解説
3. 人事評価のコメントの書き方
人事評価制度は優秀な人材を確保し、育てていくうえで重要な制度です。ただ重要性は理解していても、人事評価の際に、どんなコメントを書けばよいのかと悩んでしまう人も多いかもしれません。人事評価コメントを書くときのポイントを紹介します。
関連記事:人事評価の書き方一つで同じ人物でもガラリと変わる!
関連記事:評価者や上司が行う人事評価のコメントは公平性や具体性が重要
関連記事:職種別・職業別の人事評価に対するコメントの例文をご紹介
3-1. 具体的な評価できる点・問題点を書く
人事評価のコメントは、目標を達成した・未達成だったということを書くだけでなく、評価できる点や問題点を具体的かつ簡潔に書くようにしましょう。書式は多種多様ですが、コメントを書く欄が無限にあるわけではありません。評価できる点・問題点の外せないポイントをできるだけ端的に書くことが大切です。
3-2. 客観的に書く
人事評価にコメントをする際は、どうしても私的な感情に影響を受けそうになってしまうかもしれません。特に情意や能力といった数値化できない項目は、主観が入ってしまいやすいです。しかしそれでは人事評価の公平性が欠けてしまいます。
人事評価のコメントを書くときは、必ず客観的に書くようにしましょう。そのように評価する根拠を示すと、客観的な評価になりやすいです。
3-3. モチベーションアップになるように締める
人事評価のコメントで評価できる点や問題点について書くことは重要ですが、それだけで終わってしまっては、今後のモチベーションにつながりません。どのような評価コメントを書いたにしろ、最後はモチベーションアップにつながるようなコメントを結びとしましょう。
モチベーションを上げるためのコメントを残すことは人事評価の重要な役割の一つです。
しかし、従業員へのフィードバックの効果を最大限高めるには、30分以上の面談時間を設けることが理想的です。当サイトで無料配布している「わかりやすい!人事評価の手引き」では効果的なフィードバックの仕方や、面談で話すべき内容についてより詳細に記載しています。
せっかく人事評価を実施するなら効果を最大化したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。こちらから無料でダウンロードして頂けますので、効果的な人事評価の実施にお役立てください。
4. 評価の反映方法
人事評価の結果をどのように反映させていくかを考えておかないと、人事評価を生かしきれなくなってしまいます。
一般的には給与や昇給に反映させることが多いです。
また、人事評価を人材育成を目的として運用する場合は、社内表彰に反映させる方法もあります。金銭や表彰など、目に見える形で評価を反映させることが、従業員のモチベーションアップにつながります。
5. 人事評価は自社のオリジナル性があれば強みになる
人事評価制度を運用する際は、サンプルや他社事例を参考にしたうえで、自社オリジナルの人事評価に落とし込みましょう。サンプルや事例通りの人事評価項目では、自社の強みとなる人事評価にはなりません。企業理念やビジョンを考慮し、どんな役割を従業員に求めるのかを考えて、効果的な人事評価項目を作成しましょう。
人事評価制度は、健全な組織体制を作り上げるうえで必要不可欠なものです。
制度を適切に運用することで、従業員のモチベーションや生産性が向上するため、最終的には企業全体の成長にもつながります。
しかし、「しっかりとした人事評価制度を作りたいが、やり方が分からない…」という方もいらっしゃるでしょう。そのような企業のご担当者にご覧いただきたいのが、「人事評価の手引き」です。
本資料では、制度の種類や導入手順、注意点まで詳しくご紹介しています。
組織マネジメントに課題感をお持ちの方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
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