静かな退職(Quiet Quitting)とは?増加の原因や対策を解説
更新日: 2025.4.15
公開日: 2025.4.15
OHSUGI
「静かな退職とは?」
「静かな退職が増加する原因は?」
上記のような疑問をお持ちではないでしょうか。
近年、職場における静かな退職(Quiet Quitting)が増加傾向にあります。静かな退職は通常の退職とは異なり、表面上は業務を遂行しているため、企業側が気づかないことも珍しくありません。
しかし、静かな退職を選択した従業員を放置していると、企業に悪影響を及ぼす可能性があるため早急な対応が必要です。
本記事では、静かな退職が増加する原因や企業に与える影響、検討している従業員の特徴を解説します。静かな退職を予防し、企業の成長を促進しましょう。
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1. 静かな退職(Quiet Quitting)とは
静かな退職(Quiet Quitting)とは、必要最低限の仕事のみをこなし、退職したような余裕をもって働く従業員のことを指します。仕事とプライベートを明確に区別し、ワークライフバランスを重視した働き方です。
表面上は業務をこなしているように見えますが、静かな退職を選択した従業員は企業への忠誠心や責任感をほとんど持っていません。やりがいや自己実現を求めないため「頑張りすぎない働き方」ともいわれます。
世論調査をおこなっているGALLUP(ギャラップ)社は、世界160ヶ国以上・15歳以上の労働者・12万以上を対象に、仕事への関与に対する意識調査を実施しました。調査結果では、労働者の59%が「静かな退職をしている」と回答しています。
参考:「静かな退職」は世界的な現象で、その損失は8.8兆ドル…調査対象の労働者の59%が該当 | Business Insider Japan
2. 静かな退職が増加する原因
静かな退職が増加する主な原因は、以下のとおりです。
- 多様な就業形態
- 仕事に対する意識の多様化
- エンゲージメントの低下
2-1. 多様な就業形態
テレワークやフレックスタイム制度など、多様な就業形態が増えたことが静かな退職が増えている原因の一つです。在宅ワークなどで組織に関わることが少なくなり、静かな退職を選択する従業員が増えています。
働き方の変化とともに私生活を見直し、よりプライベートを充実させたいと考える人が増えたといえるでしょう。
2-2. 仕事に対する考え方の変化
仕事に対する考え方が変化したことも、静かな退職が増加する原因の一つです。働き方改革の影響もあり、ワークライフバランスに重きを置く人が増えました。
Job総研がワークライフバランスの理想を調査した結果、「プライベートを重視したい」と回答した人は72%を超えています。理想と現実は異なるものの、仕事よりも自分の人生を大切にしたい意識が強まっているのです。
また、「ワークライフバランスが仕事のモチベーションに影響している」と回答した人は73%でした。アンケート結果からも、プライベートを重視した働き方を理想とする人が多いことが明らかといえるでしょう。
参考:Job総研による『2023年 ワークライフ実態調査』を実施 理想はプライベート重視7割 実際は仕事に偏りギャップ顕著 | パーソルキャリア株式会社のプレスリリース
2-3. エンゲージメントの低下
従業員のエンゲージメントの低下も、静かな退職が増加する原因の一つです。エンゲージメントとは会社にどれだけ貢献したいかの意欲を指します。
従業員のエンゲージメントが低下する要因の例は、以下の通りです。
- 昇進のチャンスがない
- 新たなスキルを学ぶ機会がない
- 業務量が報酬に見合っていない
- 上司のリーダーシップが不足している
- 人事評価に透明性がない
従業員のエンゲージメントが低下すると、「必要最低限の業務をこなせばよい」と考えるようになり、積極的に仕事に取り組む意識が薄れます。組織へ貢献したい意欲がなくなると、目の前の業務をこなすだけになるでしょう。
3. 静かな退職が企業に与える影響
静かな退職が企業に与える影響は、以下のとおりです。
- 生産性の低下
- 人間関係の悪化
- 退職率の増加
3-1. 生産性の低下
静かな退職が増加すると、組織全体の生産性が低下するリスクがあります。最低限の業務しかおこなわないと、業務効率が悪化するためです。
また、静かな退職を選んだ従業員は問題が発生しても対処する姿勢がないため、問題が放置されるケースが多くあります。小さな問題が次第に大きくなり、企業の運営に重大な影響を及ぼすリスクもあるでしょう。
組織の目標達成に向けた意欲の低下や問題解決力が不足するため、企業全体のパフォーマンスに悪影響を与えます。静かな退職を選択した従業員の存在は、熱意をもって働いている従業員のモチベーションも下げかねません。
一定の業務しかこなさない従業員が増えれば、企業の成長は見込めないでしょう。
3-2. 人間関係の悪化
静かな退職が増えることで、社内の人間関係の悪化が懸念されます。静かな退職を選択した従業員は必要以上の業務をこなさず、ほかの従業員の業務量が必然的に増えるためです。
特定の人に業務が集まると、業務量が増えた従業員は、不満やストレスを感じやすくなります。静かな退職をしている従業員への印象が悪くなることは避けられないでしょう。
結果として、従業員同士の人間関係が悪化することも珍しくありません。企業全体の労働環境が悪くなり、健全性が失われます。
3-3. 退職率の増加
静かな退職が原因で、退職率が増加するリスクがあります。静かな退職は、企業への不満が原因で発生している場合があるためです。
問題を放置していると、退職する選択をする従業員が増えるでしょう。退職する従業員が増えると、残された従業員の業務負担が増え、さらに退職者が生まれる悪循環も発生しやすくなります。
4. 静かな退職を考えている従業員の兆候
静かな退職を考えている従業員には、以下のような兆候が見られます。
- 残業や追加業務を避ける
- ミーティングで発言が減る
- 周りの従業員の業務量が増えている
- 同僚や上司とのコミュニケーションが減る
- 社内イベントに参加しない
- 不満を口にすることが増えている
業務に対する積極性が著しく低下した従業員は、静かな退職を考えている可能性が高いといえるでしょう。周囲へ悪影響を及ぼす可能性があるため、早急な対応が求められます。
5. 静かな退職を防止するための対策
静かな退職を防止するために、以下のような対策を講じることが有効です。
- 人事評価制度の見直し
- ワークライフバランスの推進
- キャリア成長の機会の提供
5-1. 人事評価制度の見直し
静かな退職を防止するために、人事評価制度を見直すことが効果的です。公正な人事評価は、従業員のモチベーションに直結します。
透明性や公平性がない人事評価制度のままでは、企業に対する貢献意欲は向上しません。成果が認められない状況が続けば、業務に対する熱意をさらに失うでしょう。
人事制度を見直す際は、第三者から見てもわかりやすく、公平な制度を導入することが重要です。
5-2. ワークライフバランスの推進
多様な働き方を導入し、ワークライフバランスを推進することも静かな退職の予防に効果的です。プライベートが充実することで、仕事に対する意欲が変わる可能性があります。
具体的には、リモートワークやフレックスタイム制度などの導入を検討するとよいでしょう。育児・介護の休暇制度や、福利厚生を充実させるなどの手段も有効です。
柔軟な働き方を提供し、従業員のライフステージに変化があっても働きやすい環境を整えておけば、企業への満足度やエンゲージメント向上につながります。
5-3. キャリア成長の機会を提供
従業員のキャリア成長の機会を提供することも、静かな退職を予防する対策の一つです。成長の機会があることで仕事への意欲が湧き、従業員の将来の不安を軽減できます。
スキルアップやキャリアアップの支援があると、企業への帰属意識が高まり、積極的に業務に携わるようになるでしょう。
従業員が望むキャリアプランを実現できるよう、定期的な面談やアンケート調査などを実施することも有効です。
6. 静かな退職を防止し企業の成長を促進しよう
静かな退職の増加は、企業にとって大きな課題です。問題を放置していると、生産性の低下や人間関係の悪化を招き、結果として退職率を増加させるリスクがあります。
静かな退職を防ぐためには、従業員の満足度を高め、安心して働ける環境を整えることが大切です。
従業員のモチベーションやエンゲージメントを向上させるために、積極的に職場環境の改善に取り組み、企業の成長を促進しましょう。
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