労働者派遣法26条による労働者派遣契約の内容や注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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労働者派遣法26条による労働者派遣契約の内容や注意点を解説

法律

派遣労働者を雇う場合、派遣元事業主と派遣先事業主間で「労働者派遣契約」を締結する必要があります。

労働者派遣契約は労働者派遣法26条で定められている契約で、条文に定められた内容を記載し、遵守しなくてはなりません。

ここでは、労働者派遣法26条による労働者派遣契約の概要や注意点、遵守のポイントを解説するので、これから派遣労働者を雇用する場合や派遣元事業主として派遣労働者を派遣する場合の参考にしてください。

▼そもそも労働者派遣法とは?という方はこちらをお読みください。
労働者派遣法とは?その内容や改正の歴史を詳しく紹介

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1. 労働者派遣法26条による労働者派遣契約とは?

本

派遣元事業主が派遣労働者を派遣する場合、労働者派遣法26条に定められた事項を守った上で、労働者派遣契約を締結する必要があります。

労働者派遣契約とは、”契約の当事者の一方が、相手方に対し労働者派遣することを約する契約”で、基本契約と個別契約の両方を締結することが一般的です。基本契約の項目は雇用者が決められますが、個別契約は労働者派遣法26条において項目が定められているので注意しましょう。

ここでは、派遣元事業主と派遣先事業主で締結しなければならない、基本契約と個別契約について解説します。

参照:第7 労働者派遣契約|厚生労働省

1-1. 基本契約

労働派遣契約のうち、基本契約では主に次の項目について契約を締結します。

  • 契約の目的
  • 派遣料金と支払い方法、支払い時期
  • 派遣労働者が起こした賠償責任の規定
  • 秘密保持の定め
  • 債務不履行の際の遅延損害金
  • 契約期間と更新の方法

上記以外にも、派遣労働者の個人情報の取り扱いや、中途解約の取り決めも基本契約で取り扱います。

基本契約には、具体的な業務内容の契約は含まれません。また、法的な定めのない労働契約です。

加えて、労働者派遣基本契約書には派遣元と派遣先の責任に関する事項が明記されることが重要です。たとえば、派遣先の企業は派遣労働者に対して指揮命令権を行使する一方で、派遣元事業者は労働者の雇用管理と給与の支払について責任を負います。

このため、双方の義務や権利を明確にすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。また、契約書の定期的なレビューや法改正に対応した見直しも推奨されており、特に労働者派遣法に基づく必要事項が漏れなく定められていることを確認する必要があります。

1-2. 個別契約

個別契約も基本契約と同様に、派遣元事業者と派遣先事業者で締結します。

労働者派遣法26条で定められている個別契約の内容は、次のとおりです。

  • 業務内容
  • 就業の場所
  • 直接指導者の役職および氏名
  • 派遣の期間と就業する日
  • 業務の開始・終了の時刻と休憩時間
  • 派遣労働者の安全・衛生に関する事項
  • 苦情の申し出があったときの対応方法
  • 雇用安定措置
  • 紹介派遣に関する事項(紹介派遣の場合)
  • 派遣元責任者と派遣先責任者の氏名・連絡先
  • 就業時間の延長に関する取り決め
  • 派遣労働者の福祉増進に関する事項
  • 派遣受入期間の制限を受けない業務に関する事項

個別契約を定めている労働者派遣法は、派遣労働者の保護を目的とする法律です。そのため、派遣労働者が働く環境や労働条件に関する内容を記載します。

派遣労働者の労働条件に関する契約ですが、派遣労働者が閲覧することはなく、あくまで派遣元事業主と派遣先事業者との契約です。

さらに、個別契約には法令に基づいた重要な項目が含まれており、両者の責任を明確にするためには、契約書の内容を正確に反映させることが不可欠です。特に、派遣期間の設定や業務の具体的な内容に関する取り決めは、派遣労働者の雇用安定や職場環境の向上に寄与します。

そのため、契約が締結される際には、派遣元事業主と派遣先事業者は緊密に連携し、合意内容が双方にとって相応しいものであるか確認することが求められます。また、契約内容の定期的な見直しも、法改正や業務環境の変化に適応するために重要です。

2. 労働者派遣法26条による労働者派遣契約の注意点

注意

労働者派遣法26条で定められている個別契約を結ぶときは、いくつかの注意点があります。また、法的な定めはないものの、基本契約も重要です。

ここでは、労働者派遣契約を締結する上で注意したいポイントを解説します。

2-1. 基本契約の必要性

労働者派遣法26条では個別契約のみを定めており、基本契約は法的定めのない契約です。そのため、基本契約を結ぶ必要はないのではと思うかもしれません。

しかし、個別契約には企業間の取り決めが含まれていないため、基本契約を締結しない場合は、基本契約に記載する内容を個別契約に盛り込む必要があります。個別契約を締結する頻度が高い場合、その都度すべてを記載するというのは非効率的です。

基本契約と個別契約を別途締結させれば、締結の効率化につながり、トラブル防止の観点からも有効なので基本契約は必要といえるのです。

2-2. 就業場所と派遣先事務所が異なる場合

下記のとおり、労働者派遣法26条では、就業場所を明記する必要があります。

二 派遣労働者が労働者派遣に係る労働に従事する事業所の名称及び所在地その他派遣就業の場所並びに組織単位

引用:労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律|e-Gov法令検索

しかし、実際の就業場所と派遣事務所の場所が異なる場合は、就業場所の記載に迷うかもしれません。

結論、事業所と派遣先が異なる場合には、実際の就業場所と派遣事務所の場所の両方を明記する必要があります。
これにより、派遣される労働者が就業場所を正確に把握できるようになります。

2-3. 派遣料金の割増設定

労働者派遣法26条に基づく労働者派遣契約では派遣料金を設定しますが、基本料金だけでなく、時間外労働の割増料金に関しても記載が必要です。

派遣料金は賃金の扱いではなく、あくまで派遣サービス料の取り扱いとなります。そのため、基本料金のみの記載でも労働基準法の適用はなく、契約は成り立ちます。

しかし、基本料金のみの契約では、派遣労働者の残業に対する派遣先事業主からの派遣料の支払いはありません。派遣元事業者は、派遣労働者に対して時間外労働の賃金を支払う必要があるため、労働者派遣契約に割増料金を記載しておかないと派遣元事業主の利益が減少することになります。

そのため、労働者派遣契約では基本料金とは別に、時間外労働の割増料金も記載することを忘れないようにしましょう。

2-4. 派遣先より契約に必要な情報を提供してもらう

契約の締結にあたり、比較対象労働者の待遇等に関する情報を派遣先から事前に提供してもらう必要があります(派遣法第26条第7項、派遣則第24条の3第1項)。比較対象労働者とは、派遣しようとしている労働者と最も待遇が近い派遣先の労働者のことです。

提供が必要となる情報は、「派遣先均等・均衡方式」または「労使協定方式」どちらを採用するかで異なるため、事前に派遣先としっかり打ち合わせておく必要があるでしょう。

また、派遣可能期間の抵触日についても、派遣先は派遣元へ通知しなくてはいけません(派遣法第26条第4項、派遣則第24条の2)。派遣可能期間は同一事業所において3年までと決められており、3年を過ぎた翌日が抵触日に該当します。

派遣先から受けるべき情報は色々とあるため、契約を締結する前に漏れが無いか確認しておきましょう。

参照:派遣労働者を受け入れるためには必要な対応があります!改めてご確認を|厚生労働省

3. 労働者派遣法26条による労働者派遣契約を遵守するには?

コンプライアンス

労働者派遣契約は、ただ契約を締結すれば良いというものではありません。労働者派遣法26条で定められた契約なので、締結後は内容を遵守することが重要です。

ここでは、労働者派遣契約を遵守するときの注意点について、派遣元事業主と派遣先事業主に分けて解説します。

3-1. 派遣元事業主の注意点

労働者派遣法26条によって定めた労働者派遣契約を遵守するため、派遣元事業主は以下の点に注意しましょう。

  • 派遣労働者が契約に記載した事業内容外の業務を担当していないか
  • 定められた就業場所で業務をおこなっているか
  • 苦情申立があった場合に正しく対応しているか
  • 3年を超えて同じ派遣先の同じ部署に派遣していないか

上記は、派遣元事業主が犯しやすいミスです。

労働者派遣契約の個別契約は、派遣労働者を保護する目的で制定された法律です。そのため、派遣元事業主は、労働者派遣契約に則って派遣労働者の不利益にならないように対応する必要があります。

特に、3年ルールと呼ばれる同じ派遣先への3年を超えた派遣をしていないか、派遣の期間が3年を超えることのないように注意しましょう。

3年以降は別の派遣労働者を派遣したり、同じ派遣先の別の部署へ派遣したりして対応するようにしてください。

参照:派遣元事業主の皆さまへ|厚生労働省

3-2. 派遣先事業主の注意点

派遣先事業主も、労働者派遣契約を遵守しなくてはなりません。派遣先事業主が気を付けたい注意ポイントは、次のとおりです。

  • 労働者派遣契約に基づいた就業時間が徹底されているか
  • 有害業務に就かせる場合は健康診断を実施しているか
  • 派遣労働者から苦情申立のあった場合に派遣元事業主と連携して対応しているか

労働派遣契約に基づいた就業時間・就業日数・就業内容を遵守しているか、派遣先事業主は現場の管理に努める必要があります。

また、派遣労働者を有害業務に従事させる場合は、特殊健康診断の実施が必要です。

労働者派遣法26条では、派遣労働者の安全と衛生に関する事項の記載が定められています。派遣労働者の安全を確保するため、有害業務に就かせている場合は特殊健康診断を受けさせることも忘れないでください。

4. 労働派遣契約は基本契約と個別契約で異なることを理解しておこう

悩んでいる女性今、多くの企業で人材不足が問題となっているため、労働者派遣の利用は今後も増加していくことが考えられます。そのため、労働派遣契約が適切に締結されていることは、トラブル防止の観点からみても重要といえるでしょう。

「基本契約は法律の定めがないから」とおろそかにしてしまうと、業者間のトラブルが発生した場合、解決に時間がかかるかもしれません。また、個別契約に労働者派遣法26条の規程事項が盛り込まれていなかったりすると、余計な業務負担が増えてしまいます。

このような事態を避けるためにも、労働派遣契約の各項目内容は事前にしっかり定めておきましょう。

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クラウド型勤怠管理システムジンジャーの営業、人事向けに採用ノウハウを発信するWebメディアの運営を経て、jinjerBlog編集部に参加。営業時代にお客様から伺った勤怠管理のお悩みや身につけた労務知識をもとに、勤怠・人事管理や給与計算業務に役立つ情報を発信しています。

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