雇用保険被保険者離職証明書の書き方や注意するポイント
更新日: 2023.3.17
公開日: 2022.1.17
YOSHIDA
雇用保険被保険者離職証明書は、従業員が退職する際にハローワークに提出するもので、失業給付の手続きに必要な書類です。
今回は、雇用保険被保険者離職証明書の書き方や記入時に注意するポイント、また、紛失した際の再発行の方法について解説していきます。
目次
1. 雇用保険被保険者離職証明書はどうやって書く?書き方を解説
雇用保険被保険者離職証明書は、退職の決まった従業員が失業保険の給付を受ける際に必要となる証明書で、3枚綴りの用紙となっています。
そのうち1枚目は事業主控えの離職証明書、2枚目はハローワーク提出用の離職証明書、そして3枚目が退職者に渡す「離職票-2」にあたります。これらの用紙は複写式となっていますが、一部の用紙に署名や押印が必要な箇所がありますので、作成の際には注意しましょう。
1-1. 雇用保険被保険者離職証明書に記載する内容
雇用保険被保険者離職証明書に記載する内容には、次の16項目があります。以下、記載すべき内容について具体的に解説します。
*雇用保険被保険者番号
雇用保険被保険者番号は、退職者の雇用保険被保険者証に11桁で記載されていますので、こちらをそのまま転記します。1981年7月6日より前に雇用保険に加入した場合には、16桁の番号となっているため、最後の10桁の番号のみを記載し、11桁目は空欄にしておきます。
*雇用保険の事業所番号
雇用保険の事業所番号には、雇用保険適用事業所設置届事業主控などに記載されている自社の事業所番号を記載します。
*離職者氏名
退職する従業員の名前を記載します。
*離職年月日
退職した年月日を記載します。こちらに記載する日付は、「雇用保険被保険者資格喪失届」と同様の日付となります。
*事業所・事業主
事業所の名称と所在地・電話番号、また事業主の住所と氏名を記載します。
*離職者の住所または居所
退職者の住所と電話番号を記載します。
*被保険者期間算定対象期間
離職日を起点に1ヶ月ずつさかのぼり、記載をしていきます。一般被保険者と高年齢被保険者はA欄に、短期雇用特例被保険者はB欄に記載します。
*被保険者期間算定対象期間における賃金支払基礎日数
被保険者期間算定対象期間をもとに、賃金の支払いを行った日数を記載します。
月給制の従業員は1ヶ月の全日数を記載し、時給制もしくは日給制の従業員は、実働日数で記載します。
*賃金支払対象期間
賃金締切日から1ヶ月ずつさかのぼり、期間を記載します。
*賃金支払対象期間における基礎日数
賃金支払対象期間に対して、実際に賃金支払いの基礎となる日数を記載します。この日数には、有給休暇の取得日や休業手当の対象日も含めます。
*賃金額
月ごとに支払われる賃金額を記載します。月給制ではA欄に、日給制もしくは時給制の場合にはB欄に記載します。記載しない欄には斜線を引きます。
*離職理由
19パターンの離職理由が記載されていますので、該当するものを選び、○を記載します。
また、具体的事情記載欄には、具体的な退職理由を記載します。
*備考
未払い賃金の有無等について記載します。
*賃金に関する特記事項
毎月の賃金以外に発生した賃金が3ヶ月の期間ごとにある場合は記載します。記載内容は、賃金の支払日・名称・支給額となります。
2. 記入時に注意するポイントを確認
ここでは、雇用保険被保険者離職証明書を記入する際に注意すべきポイントを4つ取り上げ紹介します。
◇雇用保険被保険者離職証明書記入時の注意点
1. 離職理由に応じた書類を添付する
2. 休業手当支払い時はその旨記入する
3. 退職者の署名・捺印が必要な箇所がある
4. 手続きをしなかった場合は法令違反となる場合もある
2-1. 離職理由に応じた書類を添付する
雇用保険被保険者離職証明書を提出する際には、離職理由に応じた書類を添付する必要があります。
主な添付書類として、賃金台帳や労働者名簿、タイムカードや就業規則などがありますので、退職者の離職理由を確認の上、内容を確認できる書類を準備するようにしましょう。
2-2. 休業手当支払い時はその旨記入する
退職者に休業手当を支払った場合には、備考欄に記入する必要があります。支払いをした日数と手当について確認しておくとよいでしょう。
2-3. 退職者の署名・捺印が必要な箇所がある
雇用保険被保険者離職証明書に記載されている内容が、そのまま失業給付金の算定内容に関係します。
そのため、書類に記載されている内容を退職者本人にあらかじめ確認してもらわなければなりません。
退職者本人から署名および捺印をしてもらうようにしましょう。
2-4. 手続きをしなかった場合は法令違反となる場合もある
雇用保険被保険者離職証明書の提出期日は、退職日の翌々日から10日以内とされています。
何らかの事情で手続きを行わなかった場合には法令違反となり、6カ月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金となります。
本記事では雇用保険について解説しましたが、健康保険や厚生年金保険は離職日の翌日から5日以内に喪失届を提出しなければなりません。同じ社会保険でも届出の期限が異なることを忘れないようにしましょう。
当サイトでは、社会保険の届出期限などの基礎知識から手続き時に担当者がすべきことなどを解説した資料を無料で配布しております。資格喪失の内容だけでなく資格取得時に関しても解説しているため、社会保険の手続きの漏れに不安があるご担当者様は、こちらから「社会保険の手続きガイド」をダウンロードしてご確認ください。
3. 離職票を無くしたら再発行することは可能
退職者が離職票を紛失もしくは損傷した場合、離職票の再発行が可能です。
離職票の再発行はハローワークで受け付けていますので、再発行の依頼をする場合には必要書類を準備した上で申請手続きを行いましょう。
最もスムーズに手続きを進められるのは会社を管轄するハローワークとなりますが、会社の管轄外のハローワークでも手続きを行うことができます。
ただし、会社の管轄外のハローワークでは、再発行までに1週間程度の期間が必要となりますので注意が必要です。
3-1. 離職票の再発行に必要な書類
離職票の再発行を行う際には、次の3つの書類を準備しましょう。
*雇用保険被保険者離職票再交付申請書
*顔写真付きの身分証明書(運転免許証など)
*離職票を損傷した場合は、損傷した離職票
ハローワークに行って再発行を申請する場合には、印鑑と雇用保険被保険者証を準備のうえ、手続きを行いましょう。
関連記事:離職票と離職証明書の違いや交付されるまでの流れも解説
3-2. 離職票の再発行は郵送や電子申請でも可能
離職票の再発行は、郵送および電子申請でも可能です。
郵送で申請する場合は、書類のほかに返信用封筒(離職票返送先の住所と宛名を記載し、切手を貼付したもの)を同封の上、会社を管轄するハローワーク宛てに郵送しましょう。
電子申請の場合には、「e-Gov」(電子政府の総合窓口)から、必要事項を記載した申請書をアップロードして手続きします。
4. 従業員退職時は雇用保険被保険者離職証明書の作成および申請が必要
従業員が退職する際は、雇用保険被保険者離職証明書を作成し、ハローワークに提出して雇用保険の資格喪失手続きを行わなければなりません。
雇用保険被保険者離職証明書の申請をする場合には、退職者とのトラブルを避けるためにも、書類提出前には退職者本人からの署名・捺印をもらうようにしましょう。
また、退職者が離職票を紛失もしくは損傷してしまったときには、ハローワークへ申請を行うことで再発行が可能です。スムーズな再発行を依頼するのであれば、会社を管轄するハローワークへ直接申請を行うのが近道となります。
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