雇用保険被保険者資格喪失届の書き方や提出時に必要な添付資料などを解説
何らかの理由で、従業員が雇用保険の加入者としての資格を満たさなくなった場合、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となります。
今回は、雇用保険被保険者資格喪失届の書き方や提出の際に添付する書類、また提出しなかった場合の罰則などを中心に解説していきます。
目次
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社会保険料は従業員の給与から控除するため、ミスなく対応しなければなりません。
しかし、一定の加入条件があったり、従業員が入退社するたびに行う手続きには、申請期限や必要書類が細かく指示されており、大変複雑で漏れやミスが発生しやすい業務です。
さらに昨今では法改正によって適用範囲が変更されている背景もあり、対応に追われている労務担当者の方も多いのではないでしょうか。
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1. 雇用保険被保険者資格喪失届とは
雇用保険被保険者資格喪失届とは、雇用保険に加入している従業員が退職や死亡などの要因により、雇用保険の加入条件を満たさなくなった場合に、雇用保険を脱退させるための手続きで提出が必要な届出書になります。
雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要なケースには上記の場合だけでなく、従業員が役員に上がり雇用保険の適用者で亡くなる場合や、労働時間が短くなることにより加入条件を満たさなくなるということが考えられます。
届出の提出漏れをしないように気を付けましょう。
関連記事:雇用保険被保険者資格喪失届が必要になるケースや書き方を解説
1-1. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となる従業員
雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となる従業員には、次のような従業員が該当します。
*退職する従業員
*亡くなった従業員
*役員などになり雇用保険の適用外となった従業員
*他の事業所へ出向した従業員
*週の所定労働時間が20時間未満となった従業員
離職した場合以外にも、雇用保険被保険者資格喪失届の提出が必要となる場合がありますので、申告漏れが無いように手続きを行いましょう。
1-2. 雇用保険被保険者資格喪失届の入手方法
雇用保険被保険者資格喪失届は、ハローワークのホームページよりダウンロードが可能です。
ダウンロードの際には、「様式のみを印刷」する方法と「内容を記入して印刷」する方法のいずれかから選択しましょう。
参考:ハローワーク「雇用保険被保険者資格喪失届」
1-3. 雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限
雇用保険被保険者資格喪失届の提出期限は、該当の従業員が雇用保険の被保険者で無くなった日の翌日から10日以内に届出を行います。届出先は事業所所轄のハローワークとなります。
2. 雇用保険被保険者資格喪失届の書き方
雇用保険被保険者資格喪失届は氏名変更届を兼ねた様式となっています。
そのため、雇用保険被保険者資格喪失届として使う場合には、「氏名変更届」の部分を二重線で消して使う必要があります。記入をする際には、鉛筆またはシャープペンシルを使用するようにしましょう。
なお、雇用保険被保険者資格喪失届には合わせて26項目が設けられています。ここでは主に記入時に注意すべき項目を10項目取り上げ、説明します。
2-1. 個人番号
従業員の個人番号の記入を行います。記入する個人番号は、マイナンバーとなります。
個人番号を記入する前には、必ず雇用保険の資格を喪失する本人かどうかの確認を行う必要があります。
マイナンバーを記入せずに提出する場合は、マイナンバーでの届出が不可である旨の記載をしておきましょう。
2-2. 被保険者番号
被保険者番号には、雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号をそのまま記入します。1981年7月6日より前に発行された被保険番号は16桁となっているため、記入の際には被保険者番号の下10桁の数字を記載して残り1枠を空欄にしておきましょう。
2-3. 事業所番号
事業所番号は、下記の方法で確認することができます。
①適用事業所台帳(雇用保険適用事業所設置届事業主控)
②雇用保険被保険者資格取得届等確認通知書(事業主通知用)
③適用事業所台帳を再発行する
お手元に適用事業所台帳をお持ちではない場合は、管轄のハローワークにて発行できますので、そちらで確認するようにしましょう。
2-4. 資格取得年月日
従業員が雇用保険に加入した日を記入します。元号部分については、昭和を3、平成を4、令和を5で記入します。
2-5. 離職年月日
雇用保険被保険者であった最終日を記入します。一般的には、最後に就労した日を記載しますが、退職や役員就任、病気やけがによる長期欠勤をしていた場合などは「労働者として最後に就労した日」を、死亡により資格を失う場合は「死亡年月日」を記載します。
元号部分は、資格取得届に記載するときと同様に、該当する番号を選択し「ー」に続けて記載します。
2-6. 喪失原因
雇用保険の資格を喪失する理由について、以下の区分に従い番号を記入します。
「1」:離職以外の理由
死亡、在籍出向、出向元への復帰、船員保険の加入
「2」:3以外の離職
自己都合による退職、定年退職、役員就任、契約期間の満了、懲戒解雇など
「3」:事業主都合の離職
会社都合による解雇、退職勧奨による任意退職
2-7. 離職票交付希望
離職票の交付希望有無を記入します。離職票は、退職する従業員が次の就職先が決まっていないなどで失業手当の給付を希望している場合に必要になります。交付を希望する場合は「1」を、希望しない場合には「2」を選択します。
2-8. 1週間の所定労働時間
従業員の離職日当日における1週間の所定労働時間を記入します。
2-9. 補充採用予定の有無
離職する従業員の代わりに補充採用をする予定があれば「1」を記入します。採用予定がない場合には空欄にしておきましょう。
2-10. 被保険者でなくなったことの原因
離職する従業員が被保険者でなくなることの具体的な原因について記入します。こちらの内容によっては、基本手当の内容に影響するため、なるべく詳細に記入するようにしましょう。
3. 雇用保険被保険者資格喪失届提出時の添付書類を解説
雇用保険被保険者資格喪失届を提出する時には、次の6つの添付書類が必要となります。
◇「雇用保険被保険者資格喪失届」提出の際の添付書類6つ
① 出勤簿
② 退職辞令発令書類
③ 労働者名簿
④ 賃金台帳
⑤ 退職届など離職理由が確認できる書類
⑥ 離職票の交付が必要な場合は雇用保険被保険者離職証明書
雇用保険被保険者離職証明書は、退職者が離職票の交付を希望する際に必要となる書類です。ハローワークから会社宛てに送られてきたところで退職者に渡します。
もし退職者の年齢が離職日時点で59歳以上の場合も、雇用保険被保険者離職証明書が必要となるので、忘れずに渡すようにしましょう。
3-1. 離職票が不要な場合
退職する従業員の転職先がすでに決まっている場合は、基本的に手当の受給申請は行いません。離職票が不要になるので、雇用保険被保険者離職証明書も不要になります。そのため、上述した①~⑥の中で、①~⑤までの書類を添付してハローワークに提出します。
関連記事:離職証明書とは?必要なケースと退職証明書との違い
関連記事:離職票と離職証明書の違いや交付されるまでの流れも解説
4. 雇用保険被保険者資格喪失届の作成する際の注意点
雇用保険被保険者資格喪失届を作成する際には、「1-2. 雇用保険被保険者資格喪失届の入手方法」に記載のある通り、ハローワークのホームページからダウンロードしましょう。
なお、書類印刷の際には、次の6つの点に注意しましょう。
◇「雇用保険被保険者資格喪失届」印刷時の注意点6つ
- 第1面と第2面を両方とも印刷する
- A4 の白色用紙に印刷する
- 印刷の際には等倍で印刷する
- OCR読取時の基準マーク(3点の■)が印刷されている
- 印刷した様式が用紙に対して極度に傾いていない
- 印刷後の様式の文字や枠線にかすれがない、また2重に印刷されていない
これら6つの注意点については、様式を印刷する前に一旦確認をしておくとよいでしょう。万が一、様式が正しく印刷されていない場合には、書類が受理されない場合もありますので、注意が必要です。
5. 雇用保険被保険者資格喪失届を提出しない場合の罰則
また、離職日の翌日10日以内に雇用保険被保険者資格喪失届を提出が遅れてしまった場合には、退職者が失業給付の受給ができなくなるため、早めに手続きを行いましょう。
離職した従業員とのトラブルを避けるためにも、遅延や不備のないよう手続きを行うようにする必要があります。また、雇用保険以外の社会保険である健康保険や厚生年金保険の期限は、離職日の翌日5日以内と各保険によって異なります。そのため、広義の意味での社会保険のそれぞれの違いを明確にしておかなければ、トラブルや罰則につながりうるのでご注意ください。当サイトでは、そのようなトラブルを未然に防ぐために、社会保険の基礎知識や手続きで担当者がすべきこと、気を付けるポイントなどをまとめた資料を無料で配布しております。
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6. 雇用保険被保険者資格喪失届の正確な書き方を理解しスムーズな手続きを行おう
今回の記事を参考に、雇用保険被保険者資格喪失届の正確な記入方法や提出の際の添付書類を理解し、スムーズな手続きにつなげましょう。
また、手続きの遅延や不備などがあると、離職者が失業給付を受けられないだけでなく、事務作業の負荷増大にもつながりますので注意しましょう。
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