年末調整の計算方法5ステップや注意点を分かりやすく解説 - バックオフィスクラウドのジンジャー(jinjer)

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年末調整の計算方法5ステップや注意点を分かりやすく解説

年末調整を計算している従業員

年末調整の計算方法を理解していないと、1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額を求めることはできません。年末調整の計算方法は5ステップであり、しっかりと計算したいところです。そこで今回は、年末調整の計算方法について説明します。

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1. 年末調整の計算方法5ステップ

年末調整の計算方法を5ステップで説明する従業員

会社など給与の支払者は、役員又は従業員に対して給与を支払う際に所得税及び復興特別所得税の源泉徴収を行っています。会社が源泉徴収を行う額は会社がその1年間に支払う予定の給与額に基づいて計算されていますが、実際に1年間に支払うべき給与額はその予定額とは異なることが多いです。

したがって、その年1年間に給与から源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額は、その人が1年間に納めるべき税額とはならない事が通常です。

そのため、1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税額を、実際に支払うべき給与の額から計算して、1年間に源泉徴収をした所得税及び復興特別所得税の合計額と一致させる必要があります。この手続のことを年末調整といいます。

年末調整は、以下の5ステップで行います。

▼先に基本のルールを知りたい方はこちら
年末調整の計算方法|知っておきたい基本ルール7つ

1-1. ステップ1

先ず、その年1年間に支払うべきことが確定した給与の合計額から、給与所得控除後の給与等の金額を求めます。給与所得控除後の給与等の金額は、「年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表」で求めます。

参照:年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表|国税庁

なお、子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除の適用がある場合には、その所得金額調整控除の額を、給与所得控除後の給与の額から差し引きます。

1-1-1. 子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除

子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除は、その年の給与等の収入金額が850万円を超える給与所得者で、(1)のa,b,cのどれかに該当する給与所得者の総所得金額を計算する場合に、(2)の所得金額調整控除額を給与所得から控除するものです。

(1)適用対象者
a本人が特別障害者に該当する人
b年齢23歳未満の扶養親族がいる人
c特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族がいる人

(2)所得金額調整控除額
{給与等の収入金額(1,000万円超の場合は1,000万円) - 850万円}×10%=控除額(1円未満の端数があるときは、その端数を切り上げます。)

年末調整においてこの控除の適用を受けようとする給与所得者は、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに、会社に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。

この控除は、同一生計内のいずれか一方のみの所得者に適用するという制限がありません。そのため、例えば、夫婦ともに給与等の収入金額が850万円を超えていて、夫婦の間に年齢23歳未満の扶養親族である子が一人いるような場合には、その夫婦の両方が、この控除の適用を受けることができます。 

1-2. ステップ2

ステップ1により求めた金額から、扶養控除などの所得控除を差し引きます。

年末調整を経ることで受けられる所得控除は、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、障害者控除、寡婦控除、ひとり親控除、勤労学生控除、扶養控除、配偶者控除、配偶者特別控除、基礎控除です。

1-2-1. 社会保険料控除

納税者が自分又は自分と同じ生計で暮らしている配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。

控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

関連記事:年末調整の社会保険料控除とは?対象となる保険の種類まとめ

1-2-2. 小規模企業共済等掛金控除

納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について所得控除が受けられます。これを小規模企業共済等掛金控除といいます。小規模企業共済等掛金控除の金額は、その年に支払った掛金の全額です。

1-2-3. 生命保険料控除

納税者が生命保険料、介護医療保険料、個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。

1-2-4. 地震保険料控除

納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除といいます。

地震保険料控除の金額は以下の通りです。

 区分              年間の支払保険料の合計     控除額  
(1)地震保険料        50,000 円以下
50,000 円超           
支払金額の全額
一律50,000円
(2)旧長期損害保険料           10,000円以下
10,000円超
20,000円以下
支払金額の全額
支払金額×1/2+5,000円 15,000円  
(1)・(2)両方がある場合  ー   (1)、(2)それぞれの方法で計算した金額の合計額(最高50,000円)    
1-2-5. 障害者控除

納税者自身、同一生計配偶者、扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。障害者控除の額は、障害者:27万円、特別障害者:40万円、同居特別障害者:75万円です。

関連記事:年末調整の障害者控除とは?その範囲や金額を詳しく解説

1-2-6. 寡婦控除

納税者が寡婦であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを寡婦控除といいます。寡婦控除の控除額は27万円です。

1-2-7. ひとり親控除

納税者がひとり親であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これをひとり親控除といいます。ひとり親控除の控除額は35万円です。

関連記事:年末調整における「ひとり親控除」の対象や寡婦控除の違い

1-2-8. 勤労学生控除

納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。勤労学生控除の控除額は27万円です。

1-2-9. 扶養控除

納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。

扶養控除の金額は以下の通りです。

●一般の控除対象扶養親族:38万円
●特定扶養親族:63万円
●老人扶養親族 同居老親等以外の者:48万円
        同居老親等            :58万円

1-2-10. 配偶者控除

納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。

配偶者控除額の金額は以下の通りです。

老人控除対象配偶者とは、控除対象配偶者のうち、その年12月31日現在の年齢が70歳以上の人をいいます。なお、配偶者が障害者の場合には、配偶者控除の他に障害者控除27万円(特別障害者の場合は40万円、同居特別障害者の場合は75万円)が控除できます。

関連記事:年末調整は結婚したら何が変わる?書類の書き方のポイント

1-2-11. 配偶者特別控除

配偶者に48万円を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

配偶者特別控除の金額は以下の通りです。

1-2-12. 基礎控除

確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つに基礎控除があります。基礎控除の金額は以下の通りです。

納税者本人の合計所得金額                 控除額
2,400万円以下   48万円  
2,400万円超2,450万円以下               32万円  
2,450万円超2,500万円以下 16万円  
2,500万円超           0円  

1-3. ステップ3

ステップ2で求めた金額の1,000円未満を切捨てた後に、以下の所得税の税率を当てはめて税額を求めます。

課税される所得金額             税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで          5%      0円
1,950,000円から 3,299,000円まで    10%        97,500円  
3,300,000円から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円から 8,999,000円まで 23%        636,000円  
9,000,000円から 17,999,000円まで                 33% 1,536,000円  
18,000,000円から 39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上               45%        4,796,000円

1-4. ステップ4

年末調整で住宅借入金等特別控除を行う場合には、ステップ3で求めた金額から住宅借入金等特別控除の控除額を差し引きます。

住宅借入金等特別控除については以下をご参照ください

【参照】住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1213.htm

1-5. ステップ5

ステップ4で求めた金額に102.1%をかけた金額から100円未満を切捨てた金額が、その人が1年間に納めるべき所得税及び復興特別所得税になります。

2. 年末調整の計算方法の注意点

年末調整を計算する際に注意すべきポイント

年末調整の対象となる人は、「給与所得者の扶養控除等申告書」を提出している人です。

ただし、2,000万円を超える給与の支払を受ける人は、年末調整の対象になりません。

3. 年末調整の計算方法に迷ったときには?

年末調整の計算方法でわからなくなる従業員

年末調整の計算方法に迷った時には、国税庁の相談窓口に相談することも解決方法のひとつです。国税庁が用意した相談窓口については以下をご参照ください。

参照:税についての相談窓口|国税庁

4. 年末調整の計算方法をマスターして正しい納税額を求めよう

正しく計算をして納税額を求めた女性

ここまで、年末調整の計算方法の5ステップや注意点などについて説明してきました。年末調整の計算方法についてよく理解できたという方もいらっしゃることでしょう。

是非、年末調整の計算方法をマスターして、正しい納税額を求めて下さい。

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MEGURO

MEGURO

HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

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