年末調整の計算方法|知っておきたい基本ルール7つ | jinjerBlog

年末調整の計算方法|知っておきたい基本ルール7つ

2020年は新型コロナウイルスのため、在宅勤務が主流になったので、同僚に気軽に聞けないですし、基礎控除や給与所得控除の改正があったので、昨年より書く資料が多いです。

そのため、例年よりも、悩むことが多いのではないでしょうか。ぜひ、本記事を確認して、正確に年末調整の手続きをしてください。

1. 年末調整の計算方法7ステップ

まず、年末調整の計算を始める前に、なぜ年末調整を行うかご存じですか?

理由、対象者、手続きの順に説明していきます。

1-1. 年末調整を行う理由

年末調整を行う理由は、「毎月の給与の源泉徴収は、概算で計算されているので、その不一致を精算し、年間の源泉所得税を正しく計算するため」です。

年末調整で発生する差額は、後日の給与で、追加徴収又は還付されます。住宅ローンがあるかたは、大きな金額の還付があって、嬉しい時期ですね。

追加徴収又は還付が大きくなるかたの主な理由は、次のようなものがあります。決して、給与計算の担当者のミスではないので、安心してください。

●年の中途で給与の額に変動があった
●年の中途で扶養親族等に異動があった
●配偶者特別控除、生命保険料や地震保険料の控除、住宅ローン控除などがある

年末調整により、毎月の概算の所得税が、年間の正しい所得税となり、概算との差額が本人に還付又は追加徴収となります。

1-2. 年末調整の対象となる人

原則的に年末調整は、給与の扶養控除等申告書を提出している人の全員について行います。例外的に、年末調整の対象とならない人もいます。

年末調整の対象とならない主な人は次にあてはまる人です。

●年間の給与収入が2,000万円を超える人
●2カ所以上から給与の支払いを受けている人で、扶養控除等申告書を提出していない人
●継続して同一の雇用主に雇用されない、いわゆる日雇労働者など

役員の方を除き、多くの人は年末調整の対象となると覚えましょう。

1-3. 年末調整の事務手順

年末調整は、次の手順で行います。

(1)従業員等から申告書を入手
(2)給与総額・徴収済税額の集計
(3)給与所得控除後の給与等の金額の計算
(4)課税給与所得金額の計算
(5)年税額の計算
(6)過不足額の精算
(7)源泉徴収票の発行

それぞれの手順を詳しくみていきましょう。

1-3-1. 各種申告書の入手

従業員の方から入手する申告書等は合計で4種類です。 

(1) 扶養控除等(異動)申告書 
扶養控除等(異動)申告書で扶養親族の申告をします。 
(2)基礎控除申告書等 
2020年からできた申告書です。
次の控除を受けるために記入する申告書です。

●基礎控除
●配偶者控除又は配偶者特別控除
●所得金額調整控除

(3)保険料控除申告書
個人契約の生命保険がある場合は、控除証明書に基づき、金額を記載しましょう。
(4) 住宅借入金等特別控除申告書
住宅ローンがある方は、住宅借入金等特別控除申告書(税務署から取得したもの)と残高証明書(金融機関から取得したもの)に基づいて、金額を計算しましょう。

1-3-2. 給与総額・徴収済税額の集計

その年の毎月の給与(賞与も含みます)、徴収済源泉税額、給与から控除した社会保険料についてそれぞれの総額を集計します。 年の途中で入社した人で、その年の前社からの給与がある場合は、その前社から発行された源泉徴収票の金額も合算して年末調整行うことになります。 

1-3-3. 給与所得控除後の給与等の計算

その年の給与の総額を、年末調整等のための給与所得控除後の給与等の金額の表にあてはめて、給与等の金額欄に対応する給与所得控除後の給与等の金額欄の金額を求めます。 

1-3-4. 課税給与所得金額の計算

給与所得控除後の給与等の金額から、保険料控除や扶養控除等の所得控除額の合計額を控除した残りの金額が課税給与所得金額です。

1-3-5. 年税額の計算

復興特別所得税の創設により、給与等から源泉徴収する税額は所得税と復興特別所得税の合計額となっておりますので、年末調整も所得税と復興特別所得税の合計額で行います。

まず、課税所得金額に応じ、年末調整のための所得税額の速算表の税額欄に示されている算式に従って算出年税額を計算します。

次に算出年税額から住宅借入金等特別控除額を控除し年調所得税額を求め、その税額に102.1%を乗じて年調年税額(復興特別所得税を含む)を求めます。 

1-3-6. 過不足額の精算

その年の給与所得に対する年税額を求めた後は、その年税額と前記(2)で集計した徴収済税額の合計額を比べて過不足額を求め、その精算をしなければなりません。

徴収済税額が年税額よりも多いときは、その差額分だけ納め過ぎていたことになるので、その差額(過納額)は、その過納となった人に還付することになります。これに対し、徴収済税額が年税額よりも少ないときは、その差額だけ納め足りないことになるので、その差額(不足額)はその不足となった人から徴収することになります。

1-3-7. 給与所得の源泉徴収票の作成

年末調整が済んだら、給与所得の源泉徴収票を作成し、翌年1月31日までに受給者に交付します。

これで、年末調整の手順は完了です。お疲れ様でした。

2. 年末調整の計算方法の注意点

年末調整の計算方法の注意点は、住宅ローン控除と人的控除です。

年末調整のチェックがされるのは、なんといっても税務調査です。そして税務調査官に確認されるのは、年末調整の金額が大きな控除部分です。

よって、控除金額の大きい住宅ローン控除、人的控除の計算方法に注意しましょう。

2-1. 住宅ローン控除

もっとも税務調査で確認をされる論点です。税額控除(直接、所得税から控除)のため、計算ミスや転記ミスの修正のインパクトが非常に大きいです。

正式名は「住宅借入金等特別控除制度」です。

「その住宅借入金等の年末残高の合計額を基として定められた控除率により計算した金額を住宅借入金等特別控除額としてその年分の所得税の額から控除する」という制度のことをいいます。

居住者が住宅を取得・居住をした場合に、住宅ローンを有するときは、住んだ日の年度以降の一定の期間(一般的に、10年から13年が多い)に一定金額(一般的には、借入残高と、限度額、とのいずれか少ない金額の1%)を所得税から控除することができます。

住宅借入金等特別控除を受ける最初の年分については、確定申告によらなければなりませんが、その後の年分については、年末調整で受けることができます。

年末調整でこの控除を受けるためには、次の資料の添付が必要です。

①その人の住所地の税務署長発行の給与所得者の住宅借入金等特別控除申告書
②借入等を行った金融機関発行の住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書

2-2. 人的控除

次に注意すべきは、人的控除です。自分や家族などの人に関する所得控除のことで、基礎控除、配偶者控除、扶養控除、などがあります。

所得控除のため、税額に対するインパクトは、例えば扶養控除の場合、38万円×所得税率20%(仮定)=19万円となります。

年末調整における所得税の所得控除は次のようなものがあります。

1.基礎控除………48万円
2.配偶者控除
 一般の控除対象配偶者………原則38万円
 老人控除対象配偶者……… 原則48万円
 ※控除額は、控除を受ける本人の合計所得金額とその配偶者の所得・年齢により、異なります
3.配偶者特別控除……… 1万円から38万円
 ※控除額は、控除を受ける本人の合計所得金額とその配偶者の所得に応じて異なります。
4.扶養控除
 (1) 一般の控除対象扶養親族(16歳以上で、給与収入が103万円以下の人)………38万円
 (2) 特定扶養親族(主に大学生)………63万円
 (3) 老人扶養親族(70歳以上の人)………48万円
 (4) 同居老親等(老人扶養親族で同居している人)………58万円

そのほか「障害者控除」や「ひとり親控除」(旧寡婦(夫)控除)があります。

人的控除の注意は、経理側で書類の転記と計算方法が正しいことしか確認できないことです。

扶養控除欄に計上されているのに、実際はその扶養親族の所得が103万円以上ある場合は、適用できないので注意が必要です。

税務署は給与支払報告書(住民税の計算の基礎となるもの)により、アルバイトやパートなどすべてのかたの給与や所得を把握できますので、税務調査で扶養控除とすべきでないかたは、必ず指摘されます。各従業員に注意を促しましょう。

3. 年末調整の計算方法に迷ったときには?

年末調整の計算方法に迷ったときには、次の方法で確認することができます。

3-1. 国税庁で確かめる。(セミナー、ホームページ、質問電話)

■セミナー
毎年11月中旬頃に、管轄の税務署主催の年末調整の説明会が無料で開催されます。国税庁のホームページで申し込むことができますので、ぜひ参加しましょう。改正論点の学習や自分の不明点を税務職員に質問することができます。

■ホームページ
国税庁ホームページに、年末調整の「年末調整がよくわかるページ」が開設されますので、そちらを確認してみましょう。改正点や手引き、動画やQ&Aがあります。そちらを検索して確認してみましょう。

■税務署への電話相談
上記でも不明な場合は、管轄の税務署に電話をしてみましょう。「年末調整について、確認したいです。」と問い合わせをすれば、税務署の担当者が親切・丁寧に教えてくれます。

「税務署は敵だ!」みたいに思われる方がいますが、税務署は適正・公平な税務処理を促進する組織ですので、質問にも答えてくれます。

3-2. 経理担当者又は顧問税理士に聞く

給与計算や源泉所得税に詳しい経理部門の方がいる場合には、気軽に聞いてみましょう。慣れている人にとっては、年末調整は事務処理のため、簡単に解決するケースが多いように思います。

また、税理士に聞ける環境でしたら、気軽聞きましょう。税理士は年末調整や源泉所得税の調査対応を毎年、数多くこなしています。他社事例など、その経験から適切なアドバイスをしていただけるでしょう。

3-3. 国税庁の手引きが難しいという方は、簡単な書籍で概要を確認できます。

国税庁の年末調整の手引きの情報がもっとも適切で、信頼性が高いのですが、全ての人を対象としているので情報量が膨大です。

年末調整に慣れていない方は、概要を確認するためには、より優しい内容の書籍が市販されていますので、そちらを試してみましょう。

4. 年末調整で不明な点は専門家にしっかり確認しよう

年末調整を円滑に行なうには、その仕組み、正しい計算方法の流れまた、税務調査で指摘されないための注意事項を理解しておくことが大切です。

もしわからない項目がありましたらぜひ、国税庁や担当者、税理士などに相談してみてみましょう。年末調整は会社にとって大切な作業です。しっかりと理解したうえで作業を進めていきましょう。