年末調整の提出先は?意外と知らない書類の行方について解説 | jinjerBlog

年末調整の提出先は?意外と知らない書類の行方について解説

基本的に毎年必ず行う必要がある年末調整。必要な書類も多く、負担が多い、年末は気が重いと感じている担当者も少なくないでしょう。年末調整に関する書類は、社内で保管すればいいものと、税務署や市区町村に提出するものに分けられます。

年末調整を怠ると、懲役や罰金を課せられてしまう可能性もあるため注意が必要です。

本記事では、年末調整の提出先や提出書類の種類・注意点などに関して、詳しく解説していきます。

1. 年末調整の提出先は?誰が提出する?

従業員より社内の年末調整担当者へ提出された書類については、会社の担当者が取りまとめて処理を行います。社内で保管すべき書類、新たに作成して税務署や市区町村に提出が必要な書類など、いくつか分かれていますので、次の項でしっかりと確認しておきましょう。

2. 年末調整の提出書類の種類と注意点

年末調整において、税務署や市区町村に提出が必要な書類の種類を説明していきます。

2-1. 社員から集めて社内で保管しておく必要がある書類

年末調整で社員から集める必要のある書類は次のとおりです。いずれも、税務署より要請があったときには提出できる状態で保管しておく必要があります。

2-1-1. 給与所得者の扶養控除等(異動) 申告書

扶養控除などの諸控除を受けるために必要な書類です。年末調整では、扶養している家族の人数が何人いるかということによって、控除額が異なってきます。

そのため、扶養している配偶者や親族の名前と生年月日、マイナンバーなどの情報が記載してある、「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」が必要となるのです。

2-1-2. 給与所得者の配偶者控除等申告書

従業員の中に配偶者がいる際は、配偶者の所得によって、配偶者控除や配偶者特別控除を受けられます。そのため、配偶者の名前や生年月日、マイナンバーやその年の所得などの情報が記載されている給与所得者の「配偶者控除等申告書」が必要となります。

2-1-3. 給与所得者の保険料控除申告書

地震保険料や生命保険料などの各種保険料を支払っている際には、保険料控除を受けられます。そのため、支払ってある保険料の金額や、保険会社名等が記載してある「給与所得者の保険料控除申告書」が必要となります。

保険料控除申告書には、地震保険や生命保険の控除証明書の添付が必要です。

2-2. 税務署に提出が必要な書類

税務署に提出する必要のある書類は次のとおりです。

2-2-1. 給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表

1年間の給与額の合計や、その給与より徴収した所得税額、税理士や弁理士など外部へと支払った1年間の報酬額、その報酬より徴収した所得税額等が記載されている書類です。これは、翌年の1月31日までに作成し、税務署へ提出することが必要となります。

2-2-2. 支払調書

税理士や弁理士の報酬等、組織の外部に支払った報酬などが記載されている調書です。一定の支払額を超えるものは、支払調書を法定調書合計表などに添付をし、税務署へと提出することが必要です。原則1年間に5万円以上というのが、提出の目安となります。

2-2-3. 源泉徴収票

会社役員やその従業員などに1年間に支払った金額を、個人ごとにまとめた帳票です。税務署に提出の必要な源泉徴収票には、以下の2つが存在します。

・給与所得の源泉徴収票

個人ごとに、給与や賞与などの1年間の金額や社会保険料控除などの所得控除の金額情報などを記載してあるものになります。年末調整を行っている際は、1年間の支払いが、会社役員であれば150万円を超える方、従業員であれば500万円を超える方の分を、税務署へと提出します。

・退職所得の源泉徴収票

その年に退職金の支払いのあったときに、退職金や退職所得控除などの情報を記載したものです。一般的には、法人企業の役員に対して支払った退職金のあった際に、税務署へと提出を行います。

2-3. 市区町村に提出が必要な書類

次に、市区町村に提出の必要な書類は、以下のとおりです。

2-3-1. 給与支払報告書(個人別明細書)

給与や賞与などの1年間の金額や、社会保険料控除などの所得控除額やその情報などが記載されているものです。一般的に、源泉徴収票と記載内容は同じようになっています。

2-3-2. 給与支払報告書(総括表)

市区町村ごとに作成を行う、給与支払報告書の表表紙のようなものになります。給与を支払う企業名や、その所在地などの情報、その会社の全ての従業員のうちの何人が、その市区町村に住んでいるのかといった情報を記入していきます。

2-3-3. 年末調整を行う上での注意点

年末調整を行う上で、次の条件に該当する場合には注意が必要です。

2-4. 障害者控除の対象と記載に関する注意点

従業員自身であったり、同一生計配偶者、あるいは扶養親族が、所得税法上の障害者に当てはまるとされる際には、該当者と障害の等級区分を記入してもらう必要があります。

障害者控除は、扶養控除が適用されない16歳未満の扶養親族であっても、適用がなされます。障害の重度により、記載する欄が変更となりますので、気を付けてください。

また、該当者数と障害の区分では、控除額が変わります。そのため、漏れのないように確認してください。重度の精神障害や知的障害、身体障害などがあると判断された「特別障害者」であれば、障害者手帳の種類や障害の等級などがきちんと記載されている必要があります。

2-5. 本人が勤労学生の場合の記載の際の注意点

所得者本人が、大学や高校、一定条件を設けた専修学校や各種学校に通う学生、あるいは職業訓練法人の行う認定職業訓練を受ける訓練生であるときは、「勤労学生」欄にチェックを入れます。

勤労学生と見なされる適用条件は、令和2年度の所得の見積額が75万円以下であり、給与所得等以外の所得が10万円以下とされています。[注1]

また、専修学校や各種学校の生徒や、職業訓練法人の訓練生の際には、「文部科学大臣あるいは厚生労働大臣の証明書の写し」と「学校長あるいは職業訓練法人の代表者の証明書」の添付が必要です。

[注1]国税庁:No.1175 勤労学生控除

2-6. 「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」欄における注意点

同居している家族に2人以上の所得者がいるときには、扶養親族はいずれか1人の所得者でしか扶養控除を受けられないようになっていますので気を付けてください。

具体的な例として、共働きの夫婦のケースでは、扶養する子供の情報は夫婦いずれかの扶養控除申告書に「控除対象扶養親族」として記載をします。

「扶養しない親」の扶養控除申告書には、「他の所得者が控除を受ける扶養親族等」欄に対象となる子どもの氏名や、扶養控除を受けるパートナーの氏名等を記載していきます。

3. 年末調整を行わなかった際のペナルティー

仮に年末調整を行わなかった場合には、会社へのペナルティーが発生してしまいます。そのペナルティーは以下となります。

・年末調整を行わないまま、従業員より金額徴収を行わなかったとき:1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金

次に、年末調整を行ったけれどもペナルティーの発生してしまう場合は以下の通りです。

・年末調整を行ったけれど、徴収額を納付せずにいる場合:10年以下の懲役あるいは200万円以下の罰金

このように、年末調整を怠ってしまうことのペナルティーは、思うよりも重いのです。きちんと法令を遵守し、上記のような悲惨な結果となってしまわぬよう、企業全体で努力していきましょう。

また、懲役刑や罰金刑となってしまうと、その企業自体のイメージや、利益の損失にも結び付きます。社会的な評価のことを考えても、年末調整は漏れのないように行う必要のある作業です。

3-1. 年末調整における書類の保管に関して

年末調整に使用した書類は、7年間保管しておき、税務署より請求された際にはきちんと提出できるようにしておく必要があります。この7年間については、年末調整の年の翌年の1月10日の翌日より7年間とされています。

保存対象となる書類は、次のとおりです。

●給与所得者の配偶者控除等申告書
●給与所得者の扶養控除等(異動)申告書
●公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
●従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書
●給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書
●給与所得者の保険料控除申告書・退職所得の受給に関する申告書

年末調整は、きちんと行わなければ懲役や罰金となってしまい、管理の出来ていない会社であるとの印象を持たれてしまう可能性もあります。一度そのようなイメージが付いてしまうと、会社の損益へも繋がってしまうものです。

書面での業務は非常に手間もかかりますが、最近では年末調整を電子化へと移行させる動きも活発になってきています。電子化をうまく活用していくことで、書類の処理にかかる時間を減らすこともできるでしょう。

4. 年末調整の負担軽減のためには書類の電子化も効果的

毎年の年末調整業務は骨の折れる作業ですが、申告作業や納付を怠ってしまうと懲役や罰金刑になってしまうだけでなく、社会的な信用自体も落としてしまう可能性があります。

年末調整は負担の大きい作業ですが、漏れのないように確認していきましょう。 年末調整にかかる負担を軽減するためには、書類の電子化も効果的です。書面での作業を電子化すると、従業員の入力間違いなども減少し、最終的に担当者の負担そのものを削減することにもつながります。

この機会に電子申告技術を取り入れ、より一層の業務効率化を図っていきましょう。