貸倒引当金における個別評価を形式基準や一括評価との違いから詳しく紹介 - ジンジャー(jinjer)|人事データを中心にすべてを1つに

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貸倒引当金における個別評価を形式基準や一括評価との違いから詳しく紹介

貸倒引当金には個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の2種類の計上方法があり、債権の種類に応じてどの方法を使うのかは決まっています。今回は、個別評価金銭債権について解説します。

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1. 貸倒引当金の個別評価金銭債権とは

注意

はじめに、貸倒引当金と個別評価金銭債権とは何か、詳しく解説します。

1-1. 貸倒引当金とは

貸倒引当金とは、貸倒れによって損失になるかもしれない金額を予め予想し、計上する引当金です。対象となる債権と対象とはならない債権があるため注意してください。対象となる引当金は以下の通りです。

・売掛金
・貸付金
・未収金
・受取手形

一方、貸倒手当金の対象とならない債権は以下のようなものがあります。

・預け金
・敷金
・手付金
・前払金
・仮払金

関連記事:貸倒引当金を対象となる債権や貸倒損失との異なる点を詳しく紹介

1-2. 貸倒損失との違い

貸倒引当金と似た言葉に、貸倒損失という言葉があります。貸倒損失とは、回収ができないことが確定した際に使う科目です。貸倒引当金は今後予想される場合に使用するので、確定かそうでないかでの違いがあります。

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1-3. 個別評価金銭債権とは

貸倒引当金には、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の2つの計上方法があるのが特徴です。まずははじめに、個別評価金銭債権について解説します。

個別評価金銭債権とは、債権それぞれの事情に応じて回収が不能になる見込額を算定し計上する方法です。個別評価金銭債権として計上しなければいけない債権が、長期棚上げ債権、実質基準による債権、形式基準による債権の3点あります。

1-3-1. 長期棚上げ債権

長期棚上げ基準とは、様々な事由により長期的に債権の回収が見込めない場合や、長期的に分割で債権を回収する場合に用いられる基準です。

長期棚上げ基準が用いられる事由とは、会社更生法や金融機関の更生手続の特例等に関する法律、民事再生法によって更生計画認可が決定された場合などが挙げられます

長期棚上げ債権の場合の、繰入限度額は、以下の計算式で計算します。

・繰入限度額=対象となる個別評価金銭債権ー特定の事由が生じた事業年度末の翌日から5年を経過するまでの弁済予定額ー取立等見込額

取立等見込額とは、質権や抵当権、信用保険等で担保されている金額のことをいいます。

1-3-2. 実質基準による債権

実質基準による債権とは、債務超過の状態が悪化したり、災害などで損失を被るなどの、実質的な事由から債権の回収が不能になっている債券のことです。

実質基準による債権の繰入限度額の計算式は以下の通りです。

・繰入限度額=対象となる個別評価金銭債権-取立ての見込みがある金額

1-3-3. 形式基準による債権

形式基準による債権とは、債務者に対して、会社更生法等による再生手続き開始の申立て、破産法による破産手続き開始の申立、民事再生法による再生手続き開始の申立てなどの一定の事情が発生した場合の債券のことです。

形式基準による債権の繰入限度額は、以下の計算式で計算をします。

繰入限度額 =(対象となる個別評価金銭債権-実質的に債権と認められない部分の金額-担保権実行による回収見込額-金融機関等により保証されている部分の金額)×50%

関連記事:貸倒引当金における法定繰入率とは?計算方法や注意点を解説

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2. 一括評価との違い

比較

貸倒引当金の計上方法は、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の2種類があると先述しました。ここからは、一括評価金銭債権について、個別評価金銭債権との違いについて解説します。

2-1. 一括評価金銭債とは

一括評価金銭債権とは、個別評価金銭債権で解説した債務超過や取立が不能になった債権を除いた債券のことをいいます。一括評価金銭債権の対象となるのは以下の通りです。[注1]

  • 売掛金、貸付金
  • 未収の譲渡代金、未収加工料、未収請負金、未収手数料、未収保管料、未収地代家賃等または貸付金の未収利子で、益金の額に算入されたもの
  • 他人のために立替払をした場合の立替金
  • 未収の損害賠償金で益金の額に算入されたもの
  • 保証債務を履行した場合の求償権
  • 売掛金、貸付金などの債権について取得した受取手形
  • 売掛金、貸付金などの債権について取得した先日付小切手のうち法人が一括評価金銭債権に含めたもの
  • 売買があったものとされる法人税法上のリース取引のリース料のうち、支払期日の到来していないもの


一方、以下の場合は一括評価金銭債権には当てはまらないので注意が必要です。

  • 預貯金およびその未収利子、公社債の未収利子、未収配当その他これらに類する債権
  • 保証金、敷金、預け金その他これらに類する債権
  • 手付金、前渡金等のように資産の取得の代価または費用の支出に充てるものとして支出した金額
  • 前払給料、概算払旅費、前渡交際費等のように将来精算される費用の前払として、一時的に仮払金、立替金等として経理されている金額
  • 金融機関における他店為替貸借の決済取引に伴う未決済為替貸勘定の金額
  • 証券会社または証券金融会社に対し、借株の担保として差し入れた信用取引に係る株式の売却代金に相当する金額
  • 雇用保険法、雇用対策法、障害者の雇用の促進等に関する法律等の法令の規定に基づき交付を受ける給付金等の未収金
  • 仕入割戻しの未収金
  • 保険会社における代理店貸勘定の金額
  • 法人税法第61条の5第1項(デリバティブ取引に係る利益相当額の益金算入等)に規定する未決済デリバティブ取引に係る差金勘定等の金額
  • 法人がいわゆる特定目的会社(SPC)を用いて売掛債権等の証券化を行った場合において、その特定目的会社の発行する証券等のうちその法人が保有することとなったもの

2-2. 個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の違い

個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の違いは、不良債権かそうでないかという点です。個別評価金銭債権は不良債権を意味していて、一括評価金銭債権は不良債権以外の債券のことを指します。

一括評価金銭債権では、差額処理と洗替処理と呼ばれる方法が用いられることがあります。これは前期の貸倒引当金よりも当期の貸倒引当金の額が少なくなった場合に、その差額を戻入することになるのですが、その際に用いられる方法です。

差額処理とは、前期と当期の貸倒引当金の差額を計算する方法です。一方洗替処理とは、前期の貸倒引当金を貸倒引当金戻入で全額処理し、当期分の貸倒引当金を再計算し全額繰り入れる処理をする方法です。税法上は洗替処理が原則で、会計的には差額処理を原則として行うようになっています。

関連記事:貸倒引当金における差額補充法とは?具体例や注意点を解説
関連記事:貸倒引当金戻入について仕訳例や繰入を踏まえて詳しく紹介

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3. 貸倒引当金の節税効果

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ここまで、貸倒引当金についてや、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権の2種類があることを解説しました。ここで気になるのが、貸倒引当金にどれだけ節税効果があるかという点です。最後に、貸倒引当金の節税効果について解説します。

一括評価金銭債権の繰入額は貸倒れにならない場合があるので、その場合は経費として損金算入することができ、その結果節税になることがあります。しかしこれは1年目までの話で、翌年からは貸倒引当金戻入として収入に計上しなければいけないため、2年目からは節税効果には繋がりません。

関連記事:貸倒引当金の計上で損金算入によって期待できる節税効果とは

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4. 貸倒引当金は2種類の計上方法がある!債権の種類に応じて決めよう

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ここまで、貸倒引当金についてや、個別評価金銭債権について解説しました。不良債権の場合は、個別評価金銭債権として処理することが求められます。処理の方法や該当する債権などは細かく定められているので、正しく処理をすることが大切です。

[注1]国税庁|No.5500 一括評価金銭債権に係る貸倒引当金の対象となる金銭債権の範囲

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MEGURO

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HR NOTEのライター、総合求人サイトとシニア向け情報メディアの立ち上げを経て、現在はjinjer blogの運営に携わっています。 事業視点から、バックオフィスの重要性を啓蒙するコンテンツを作っています。 保有資格:ファイナンシャル・プランニング技能士(3級)

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