発注書が必要となる場面や正しい作成方法を解説
更新日: 2024.1.17
公開日: 2021.11.20
jinjer Blog 編集部
外部の企業または個人と取引を行う際、ほとんどの場合で発注書が作成されます。
発注書は、取引に関する内容が記されている大切な書類ですので、どんな時に必要なのか、どのように作成するのか、しっかり把握しておきましょう。
今回は、発注書が必要になる場面や、正しい作成手順、作成の際に注意したいポイントなどについて解説します。
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1.発注書が必要となる場面
発注書とは、商品やサービス等を発注や注文する際に必要となる書類のことです。
たとえば、工事現場で必要な材料を仕入れたり(売買契約)、WEBサイトの構築をデザイナーに依頼したりする場合(請負契約)などに発注書が作成・発行されます。
1-1.発注書が必要な理由
民法では、売買契約および請負契約にあたり、必ずしも書面の発行を義務づけておらず、発注者・受注者がともに約束し、合意すれば契約が成立すると定めています。[注1]
そのため、発注書は法的に作成を義務づけられたものではありませんが、実際にはほとんどの企業が商品・サービスを注文するにあたり、発注書を作成・発行しています。
その理由は、発注内容を巡るトラブルを防止するためです。
口頭のみで発注した場合、聞き取りミスや認識違いなどが起こりやすく、希望通りの内容で商品やサービスを受けられない可能性があります。
その場合、発注者と受注者の間で言った・言わないの水掛け論に発展したり、予定していた商品・サービスを受けられなかったことで業務に支障を来したりするおそれがあります。
発注内容や金額などを明記した発注書を作成し、双方がその内容をしっかり認識しておけば、無用なトラブルを防止することができます。
[注1]e-Gov法令検索「民法」
1-2.発注書の発行が義務づけられているケースもある
一般的な売買契約や請負契約では発注書の作成は必須ではないと説明しましたが、例外として下請け事業者に対して製造委託等を行った場合は、給付の内容や下請代金の額、支払期日、支払い方法、その他必要事項を記載した書面の交付が下請代金支払遅延等防止法(下請法)で義務づけられています。[注2]
発注者(親事業者)が受注者(下請事業者)よりも経済的に優越した立場にあるパターンでは、下請法の対象になる可能性が高いので、必ず発注書を作成・交付しましょう。
1-3.注文書との違い
発注書と同じく、商品・サービスの注文時に作成される書類に「注文書」というのがあります。
名前が違うので、発注書と注文書は別物と思われがちですが、その内容に明確な違いはなく、同じものと考えて問題ありません。
ただ、企業によっては「有形物(商品等)の注文→注文書」「無形物(サービス等)の注文→発注書」など、注文の内容に応じて使い分けているところもあるようです。
また、有形物・無形物に関係なく、高額な注文の際には発注書、そうでない場合は注文書など、金額に応じて使い分けているケースもあります。
いずれのパターンでも記載されている内容に違いはありませんが、会社独自のルールがある場合は、それに従って発注書・注文書を作成しましょう。
関連記事:発注書と注文書の違いとは?それぞれの役割や作成方法を解説
2.発注書の正しい作成手順
発注書を作成する方法を3つの段階に分けて説明します。
関連記事:発注書の書き方や記入項目・注意点を分かりやすく解説
2-1.発注書を作成するツール・システムを用意する
発注書は手書きでも作成できますが、企業によっては月に何枚もの発注書を作成することになりますので、PCで使えるツール・システムを利用するのが一般的です。
特に発注書の発行枚数が多い企業は、帳票作成や受発注管理に特化した専用システムを導入すると、発注書を簡単に作成することができます。
システムの特徴や機能、利用料金は多種多様ですので、それぞれのシステムをじっくり比較し、自社に合ったものを選ぶことが大切です。
2-2.データを入力する
発注書に記載するデータを入力します。
発注書の様式に明確な決まりはありませんが、一般的には以下の項目を記載します。
①発注者・受注者の事業者名・所在地・電話番号
②発注年月日
③発注の内容
④取引金額(税込)
⑤納入条件
⑥支払い条件
③では、商品・サービス名や注文量、単価、商品・サービスごとの合計金額などを記載します。
④は商品・サービスごとの合計金額をまとめた総額を税込で記載します。
⑤は希望する納期(年月日)と、納入方法(納入場所)を記載します。
⑥は④の支払期日と、支払い方法を記載します。
その他、必要に応じて発注Noや備考欄などを設けてもOKです。
特に③・④・⑤は、数値にミスがあるとトラブルに発展するリスクが高い項目ですので、間違いがないかどうかしっかりチェックしましょう。
2-3.発注書を送付する
発注書を作成したら、受注者に書面を送付します。
前述の通り、発注書はそれ自体が法的に義務づけられた書面ではありませんので、紙に印刷して郵送してもいいですし、PDFファイルなどの電子データをメールに添付して送信してもかまいません。
また、発注書はあくまで注文の内容を双方で確認するために発行されるものですので、契約書のような記名・押印は不要です。
ただ、企業によっては発注書に押印(電子データの場合は電子印鑑)するのはビジネスマナーと認識しているところもありますので、こちらも会社のルールに従いましょう。
3.発注書の作成で注意すること
発注書を作成するにあたり、注意したいポイントを2つご紹介します。
3-1.発注書を作成する時は見積書に合わせる
通常、商品やサービスを注文する際は、事前に受注先に見積書の作成を依頼します。
見積書の内容に納得したら、発注書には見積書に記載されている品名(サービス名)、数量、金額などをそのまま転記すれば記載ミスや計算ミスが生じにくくなります。
このとき、備考欄などに参考にした見積書の見積番号を記載してくことで、相手も自社で保管している見積書と照らし合わせて、内容に間違いがないかどうか確認しやすくなります。
3-2.作成した発注書は一定期間保存する必要がある
一定の事業所得がある法人または個人事業主は、1月1日~12月31日までに得た所得を計算し、翌年に確定申告を行わなけでばなりません。
所得の計算には取引内容を記録した帳簿や書類を使用しますが、これらはその事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から一定期間にわたって保存しなければなりません。[注3]
保存期間は、法人の場合は書類の種類にかかわらず原則として7年間ですが、欠損金額が生じた事業年度または青色申告書を提出しなかった事業年度で災害損失欠損金額が生じた事業年度は10年間(平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間)の保存が必要です。
一方、個人事業主の場合は、書類の内容によって保存期間が異なります。[注4]
仕訳帳・総勘定元帳などの帳簿や、損益計算書・貸借対照表といった決算関係書類、領収書、小切手控などの現金預金取引等関係書類は法人同様、7年間の保存が必要です。
上記以外の書類で取引に関して作成または受領したもの、たとえば請求書や見積書、契約書、納品書などは「その他の書類」に分類され、保存期間は5年となります。
発注書は「その他の書類」に分類されますので、確定申告の所得計算に使用した後も、5年間にわたってきちんと保管・管理しておきましょう。
[注3]国税庁「帳簿書類等の保存期間」
4.発注書は、商品やサービスを注文する際に欠かせない書類
発注書は、外部の企業や個人に商品・サービスを注文する際に発行される大切な書類です。
発注書には、取引内容や取引金額、納品条件、支払い条件など、取引に関する項目が明記されており、発注者・受注者の双方が取引内容を確認できる仕様になっています。
法的な作成義務はありませんが、取引相手との無用なトラブルを防ぐための有効な手段となりますので、正しい方法で作成し、相手方に送付しましょう。
関連記事:発注書と請書の違いやそれぞれの役割・書き方を詳しく解説
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