領収書発行マニュアル!発行の流れから書き方、注意点まで網羅的に解説
更新日: 2024.10.7
公開日: 2021.10.14
jinjer Blog 編集部
個人事業主でも法人でも様々な場面で「領収書」を発行・受領します。
しかし、「なぜ領収書が必要なのか分からない」「領収書の作成方法に決まりはあるの?」と疑問を抱えたまま、何となく領収書を扱っている人も多いのではないでしょうか。
間違った知識で領収書を発行すると、大きなトラブルや不正に巻き込まれるかもしれません。
今回は領収書の発行が必要な理由を解説します。また、領収書の発行時に押さえておきたい正しい書き方や注意点もあわせてご紹介します。
2023年からのインボイス制度の施行にともなって、領収書やレシートもインボイス制度に適切に対応しなければなりません。
とはいえ、「そもそも内容が複雑で難しい…」「情報収集したけど、いまいち理解できてない」「対応するために、具体的になにをしたらいいのかわからない」などお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
そのような方にむけて、基本的なインボイス制度の概要や対象となる事業者、具体的な対応方法までとにかくわかりやすくまとめたルールBOOKをご用意いたしました。
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目次
1. 領収書の発行が必要な理由
仕事をする上で「領収書を切る」「領収書を受領する」というやり取りは頻繁におこなわれます。
このように領収書が必要となる背景には「金銭授受の証拠を示す」「発行する義務がある」という2つの理由があります。
1-1. そもそも領収書とは
領収書は、ビジネスにおいて取引の「証憑書類」として扱われる書類の一つです。領収書があることで、受取人が支払者から代金を受け取ったことを証明することができます。あらゆる種類の経理書類がありますが、領収書は特に使用される頻度の多い書類なので、取り扱いを正確に理解しておくことが重要です。
1-2. 金銭の授受が完了した証拠を示す
領収書は「金銭の授受が完了した」という証拠を示し、二重に請求や支払いがおこなわれるのを防ぐ役割を持っています。
例えば、買い手が売り手への支払いを済ませたものの、領収書は発行されなかったとしましょう。すると、売り手が再度支払いを請求してきても、買い手は支払いが完了している証拠を示せず、もう一度支払わなければならなくなる可能性があります。また、買い手が「まだ支払っていない」と勘違いして、二重に支払ってしまうこともありえます。
領収書があれば、お互いに支払いの完了を確認できるため、トラブルを未然に防ぐことができます。
1-3. 請求された場合には領収書を発行する義務が生じる
民法486条では「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」とされています。
つまり、支払いが完了した買い手は、売り手に対して領収書を発行するよう請求でき、売り手はそれに応じる義務が生まれるのです。
なお、銀行振り込みでは振込金受領書が領収書代わりとなりますが領収書ではないため、請求を受けた場合には領収書を発行する義務が生じます。
一方、クレジットカード決済は金銭のやり取りではないため、領収書発行義務はありません。
1-4. レシートや領収証との違い
領収書とかなり似ている言葉として領収証とレシートがあります。まずレシートに関してですが、特に大きな違いははなく、唯一の違いは宛名を記載するかしないかです。領収書は宛名を記載する必要がありますが、レシートは特にその必要はありません。
領収証に関しても特に大きな違いはないようです。その時の状況や人によって呼び方を変えるだけで、ほとんど同じ語句だという認識で良いでしょう。
2. 領収書発行の流れ
領収書発行に関する流れ主に下記の6つです。
- 取引がおこなわれる
- 取引に関する領収書を発行
- 領収書に記載事項を記載(日付や金額など)
- 取引額に応じて収入印紙を貼り付ける
- 領収書の控えを保管する
- 先方に領収書を渡す
全体の流れを把握してミスのない領収書発行をおこないましょう。
3. 領収書の発行方法(書き方)のポイント
領収書は確定申告や年末調整の際に税務署に提出する正式な書類です。そのため、書き方のルールも厳密に定められています。
ここでは、領収書の書き方を1つ1つ確認していきましょう。
3-1. 領収書発行の記載項目と例
領収書発行で記載する項目は以下の6つです。
- 発行日
- 宛名
- 金額
- 但し書き
- 収入印紙
- 発行者情報
これらの項目は忘れず記載するようにしましょう。
3-2. 領収書の書き方
■タイトル:「領収書」と上部中央か左に記載します。一目で領収書だと分かるよう大き目の文字で記すことも大切です。
■宛名:相手の氏名や会社名を正式名称で記載します。「株式会社」も(株)と省略せずに記入します。
■金額:金額が改ざんされないよう次の手順で記載します。
- 数字の頭に「¥」をつける
- 数字3桁ごとに「,」を打つ
- 末尾には「-」を書く
※数字の頭に「金」、末尾に「也」でも構いません。
内訳欄には税抜金額と消費税額を記入します。
但し書き:どのような商品やサービスに対する支払いがおこなわれたのかを記します。「お品代」など曖昧な表現は避け、「書籍代として」「印刷費として」など誰が見ても何に使ったか分かるよう具体的に記述しましょう
■発行者:領収書を発行する人・会社名と住所や連絡先を記載します。住所印を用いることも可能です。
上記の項目に加えて2023年からはインボイス制度が施行され、税額の項目に関してさらに詳細に記載する必要があります。当サイトではインボイス制度に関してわかりやすくまとめた「インボイス制度総まとめルールブック」を無料配布しております。インボイス制度の概要から、その対応方法まで網羅的に解説しておりますので、法改正に対して適切に対処したい方は、ぜひこちらから無料でダウンロードしてご覧ください。
3-3. 収入印紙
領収書の金額が5万円以上になると「印紙税」の課税対象となります。
印紙税とは、一定額以上の取引に付随する「文書」に課せられる税金のこと。
印紙税は郵便局などで「収入印紙」を購入し、領収書の金額に応じた価格の収入印紙を貼って消印することで納税できます。
領収書に貼り付ける収入印紙の金額は以下の通りです。
領収書の金額 | 収入印紙の金額(印紙税額) |
5万円未満 | 非課税 |
5万円以上100万円以下 | 200円 |
100万円超200万円以下 | 400円 |
200万円超300万円以下 | 600円 |
300万円超500万円以下 | 1,000円 |
500万円超1,000万円以下 | 2,000円 |
1,000万円超2,000万円以下 | 4,000円 |
2,000万円超3,000万円以下 | 6,000円 |
3,000万円超5,000万円以下 | 1万円 |
5,000万円超1億円以下 | 2万円 |
1億円超2億円以下 | 4万円 |
2億円超3億円以下 | 6万円 |
3億円超5億円以下 | 10万円 |
5億円超10億円以下 | 15万円 |
10億円超 | 20万円 |
収入印紙を貼らなければならない領収書であるにも関わらず、収入印紙を貼り忘れてしまうと、納付しなかった印紙税の3倍(収入印紙を貼っていないことを自主的に申し出た場合は1.1倍)の過怠税が課されてしまいますので注意が必要です。
関連記事:領収書における収入印紙の金額や貼り方、購入方法を解説
4. 領収書を発行する際の注意点
ここでは、領収書を発行する際に押さえておきたい注意点をご紹介します。
4-1. 領収書を書き間違えた場合はできるだけ再発行する
領収書を書き間違えた場合、
- 不備のある箇所に二重線を引く
- 訂正印や会社の角印などを押す
- 正しい内容を記載する
という手順で訂正可能です。
なお、修正液や修正テープによる訂正は認められていません。
ただし、領収書は正式な書類であるため、訂正を認めていない企業もあります。また、日付や金額などの重要な項目を安易に訂正すると、トラブルや不正に巻き込まれるリスクが高まります。
領収書に間違いや不備が見つかった場合には、再発行する方が安心です。書き損じの領収書と控えには大きく×をつけ、保管しておくのを忘れないようにしましょう。なお、領収日と発行日とが違う別の取引として悪用できてしまいます。そのため、領収日、発行日の変更は認められません。
4-2. 領収書の控えの保管と保存期間について
領収書を発行した際には、必ず控えを保管しておきましょう。
もし控えを保管していないと、領収書を発行した後に「日付が間違っている」などの不備を指摘されても、確認・対応ができなくなってしまいます。
また、法人の場合は取引の記録をつけた「帳簿」と、その取引のために作成・受領した「書類」を7年間保管することが義務づけられています。
この「書類」の中には領収書も含まれていますので、7年間は捨ててしまわず保管しておく必要があります。
関連記事:領収書の保管期間は5~10年!知らないとまずい基礎知識
4-3. 紙ではなく電子媒体での発行がおすすめ
領収書はパソコンやスマホで作成し、PDFなどの電子媒体で発行することも可能です。
電子媒体の場合、紙での「文書」が発行されていないため、文書が課税対象となる印紙税はかかりません。そのため、領収書の金額が5万円以上となっても収入印紙は不要です。
また、電子媒体であれば保管場所にも困らず、必要な時にすぐ取り出せるメリットもあります。
さらに、2021年5月21日には民法486条が改正され、元々の「弁済をする者は、弁済と引換えに、弁済を受領する者に対して受取証書の交付を請求することができる」という文章に加え、「2. 弁済をする者は、前項の受取証書の交付に代えて、その内容を記録した電磁的記録の提供を請求することができる。ただし、弁済を受領する者に不相当な負担を課するものであるときは、この限りでない」という第2項が新たに設けられました。
これは、買い手は単に領収書の発行を請求できるだけでなく、電子データでの請求も可能になったということ。もちろん、すぐに対応するのが難しい場合には従来通り紙の領収書での対応も可能ですが、デジタル化を推し進めようとする国の方針を見ると、少しずつ電子媒体での領収書に移行しておく方がこれからの社会の流れに適応しやすいと考えられます。
5. 領収書の発行が不要な場合
ここまで領収書の発行に関して説明してきましたが、場合によっては領収書が不要となるケースもあります。
例えば公共交通機関の運賃です。日々の営業活動の中で取引先へ移動する時に電車やバスなどを利用することがあるとおもいます。電車やバスでは領収書が発行されないことがほとんどです。またクレジットカードなどを利用したキャッシュレス決済においても領収書は発行されないことが一般的です。
6. 領収書発行に関するよくある質問
ここでは領収書発行においてよくある質問について解説します。発行についてのルールやタイミングなどを確認しておきましょう。
6-1. 領収書発行のルールは?
領収書発行のルールとして支払側は受取側に対して領収書の発行を求める権利が認められており、受取側は支払側に対して領収書を発行する義務があります。(民法486条において)詳細はこちらよりご確認ください。
6-2. 領収書の発行はいつまで?
領収書発行に関して特に期限はありません。支払い側が領収書を要求すれば、確認が取れ次第いつ発行しても良いです。また再発行を依頼されても断ることができます。
詳細はこちらからご確認ください。
6-3. 領収書の書き方の内訳は?
領収書発行で記載する内訳は以下の6つです。
- 発行日
- 宛名
- 金額
- 但し書き
- 収入印紙
- 発行者情報
詳細はこちらよりご確認ください。
7. 領収書で取引相手からの信用を勝ち取ろう
領収書は正式な書類のひとつ。そのため、領収書に不備が多いと「仕事も雑なのかもしれない」と取引を避けられたり、「ガバナンスを軽視した企業だ」とつけ込まれて詐欺や不正などのトラブルに巻き込まれたりするリスクがあります。
取引相手から信用を得つつ、安心・安全に業務に取り組めるよう、領収書の正しい書き方や扱い方は十分理解しておきましょう。
2023年からのインボイス制度の施行にともなって、領収書やレシートもインボイス制度に適切に対応しなければなりません。
とはいえ、「そもそも内容が複雑で難しい…」「情報収集したけど、いまいち理解できてない」「対応するために、具体的になにをしたらいいのかわからない」などお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
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