直行直帰とは?労働時間管理の考え方や方法をあわせて解説
更新日: 2024.9.11
公開日: 2021.9.7
OHSUGI
外回りが多い営業職などでは、どうしても始業時間と同時に顧客のもとを訪問しなくてはいけないケースが出てきます。反対に終業時間の間際にアポイントを取り、終業時間を超えて業務を終えるケースもあるかもしれません。このようなときによく採用されるのが、「直行直帰」という働き方です。
今回は、直行直帰の意味や労働時間の考え方について紹介します。直行直帰の正しい運用方法を理解して、適切に従業員の労働時間を管理しましょう。
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1. 直行直帰の意味とは
直行とは「会社へ向かわず、自宅から現場に直接行くこと」を指し、直帰とは「会社から現場に向かってそのまま帰ること」を指します。つまり直行直帰とは、会社に行かずに直接目的地へ向かい、そのまま現地から直接自宅に帰ることです。朝一番や終業前に顧客を訪問しなくてはいけないときは、この直行直帰がよくおこなわれます。
直行直帰が多い業種としては、顧客を訪問することが多い営業職、毎日訪問先が異なるホームヘルパーや家庭教師などが一例として挙げられます。
直行直帰は出退勤の手間を省いて時間を有効活用できる一方で、労働時間を管理しにくいという点に注意が必要です。
また直行直帰はドライバーなどの運送業にも多い傾向があります。下記の記事では運送業での労働時間の管理について労働時間の上限や2024年問題など網羅的に解説しておりますので興味のある方はぜひご覧ください。
関連記事:運送業向け!ドライバーの労働時間の上限(残業)規制内容を徹底解説
2. 直行直帰における労働時間の基本的な考え方
直行直帰をおこなう際は会社で打刻をすることができないので、正確な労働時間の管理がしにくくなってしまいます。しかし、従業員の労働時間を管理することは企業の義務であるため、「いつからいつまでが労働時間なのか」を明確に把握しておくことは非常に重要です。ここからは、直行直帰における労働時間の基本的な考え方について説明します。
2-1. そもそも労働時間とは?
そもそも、労働時間とは何なのでしょうか。労働時間の定義を理解できれば、直行直帰における労働時間の考え方が見えてきます。
労働基準局の行政解釈によれば、以下のように定義されています。
労働時間とは、使用者の指揮命令下に置かれている時間のことをいい、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たる
つまり、「労働者が企業や上司の指揮命令下におかれているかどうか」が、労働時間であるかそうでないかを決めるというわけなのです。この原則を踏まえ、直行直帰が労働時間に含まれるケースと含まれないケースについて見ていきましょう。
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2-2. 直行直帰が労働時間に含まれるケース
直行直帰が労働時間に含まれるのは、以下のようなケースです。
①移動中も業務を行なっている場合
- 現場に向かっているときや帰っているときも電話対応しなくてはいけない
- 顧客のエスコートをおこなっている
②会社の指示に従っている場合
- 会社の指示で物品や機密書類の管理を行なっている
- 取引先の接待のために会食をして直帰する
企業や上司の命令で直行直帰をしているときや、移動中も仕事をしないといけない場合は、すべて労働時間に含まれます。
例えば、所定労働時間が10時~19時の企業で、上司の命令によって9時に現場に直行し、19時30分まで接待して直帰した場合、この日の労働時間は9時~19時30分となり、1時間30分の残業手当が必要になるということです。
2-3. 直行直帰が労働時間に含まれないケース
反対に、以下のように直行直帰が労働時間に含まれないケースもあります。
①上司からの命令がない場合
同僚と相談して待ち合わせ時間を決定し、直行する
②移動時間を自由に使える
移動中に居眠りや読書などをすることができる
労働者が直行直帰できるにもかかわらず、自分の判断で会社や途中でどこかに立ち寄ることを決めたときや、移動時間が会社の指揮命令下にない場は、労働時間に含まれません。もちろん、移動中に私用で買い物に立ち寄ったり喫茶店で休憩したりする時間も、労働時間外です。
労働時間に含まれない直行直帰の移動時間は、通常の通勤時間と同様の扱いとなるため賃金は発生しません。
3. 直行直帰における労働時間管理のポイント
上記で直行直帰における労働時間の考え方を紹介しましたが、「判断が難しい」と困惑されている方もいらっしゃるかもしれません。従業員にきちんと労働時間の基準を理解してもらったうえで管理するためには、いくつかのポイントを押さえておく必要があります。
最後に、直行直帰における労働時間管理のポイントを解説します。
3-1. 始業・終業時間の取り扱い方を定めておく
直行直帰を行なう従業員が多い企業では、始業・終業時間の取り扱いを明確に決定しておかなければなりません。直行直帰では「どこからどこまでが労働時間」なのかがわかりにくくなってしまうため、終業規則などで具体的なルールを規定しておきましょう。
たとえば、以下のように規定しておくと従業員を混乱させることなく労働時間を管理できます。
- 直行:最初の訪問先を尋ねた時間が始業時間
(所定始業時刻よりも遅い場合、所定始業時刻を適用) - 直帰:最後の訪問先を出た時間が終業時間
(所定終業時刻よりも早い場合、所定終業時刻を適用) - 休日出勤:訪問先の対応時間のみ労働時間とみなす
先述したとおり、特別な指示がない限り、基本的に移動時間は労働時間に含めないことが原則です。しかし実務上では、移動時間も含めて所定時間労働したこととして集計することもあります。
あまり厳密な規定を作ってしまうと管理に手間がかかって効率的ではないため、柔軟に対応できる就業規則を作成することを推奨します。
3-2. 直行直帰する場合の勤怠ルールを設定しておく
従業員に直行直帰をさせるときは、必ずルールを設定しておきましょう。直行直帰という制度を悪用し、適切に仕事しない従業員が出てきてしまう恐れがあるためです。
直行直帰が多い従業員には、「どのようなプロセスで仕事をしているか」が客観的にわかるように報告させることが大切です。「1日のスケジュールを共有する」「日報を毎日提出させる」などといったルールを設定することで、適切に直行直帰の制度を利用しているかどうかを把握することを意識しましょう。
3-3. 直行直帰でも打刻できるクラウド型勤怠管理システムを導入する
従業員の直行直帰が多くて勤怠管理が大変だという企業は、クラウド型勤怠管理システムの導入を検討しましょう。クラウド型勤怠管理システムは、インターネットを通じて打刻ができるシステムです。外出先からもスマートフォンで簡単に出勤時間と退勤時間の打刻ができるため、正確な勤務時間の把握に役立ちます。簡単に打刻が完了するため直行直帰が発生する企業では、勤怠管理の効率化に期待できます。
近年は、交通系ICカードをかざすだけで交通費の精算ができるクラウド型勤怠管理システムも増えてきており、勤務時間だけではなく交通費の管理もしやすくなりました。直行直帰の勤怠管理に課題を抱えている企業は、ぜひこれを機にクラウド型勤怠管理システムの導入を検討してみてください。
当サイトでは、勤怠管理システムとタイムカードの機能や運用方法の違いをまとめた資料を用意しています。タイムカード管理で発生するリスクについても紹介しているので、勤怠管理の方法について見直したい方におすすめです。興味がある方は、こちらから資料をダウンロードして確認しましょう。
4. 直行直帰の労働時間管理はルールの規定が重要!
従業員の直行直帰が多い会社では、いつが始業でいつが終業なのかを明確に定め、ルール内で適切に労働時間を管理することが大切です。直行直帰だと、どうしても「いつどこで何をしているのか」が不明瞭になりやすいため、スケジュールの共有や日報の提出などで従業員の仕事ぶりを管理しましょう。
直行直帰をする従業員の労働時間を正確に管理することは、企業にとって大変なことです。外出先から打刻できるクラウド型勤怠管理システム「ジンジャー」であれば、正確に勤務時間を管理できます。この機会にぜひ活用をご検討ください。
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