夜勤から日勤の連続勤務はNG?違法になるケースや注意点を解説
更新日: 2025.10.9 公開日: 2021.9.3 jinjer Blog 編集部

医療関係や公共交通機関関係の仕事など、従業員に夜勤をさせる必要がある企業は非常に多く存在しています。
夜勤明けは体力を消耗するため、しっかりと休みを取らせることが大切です。しかし、人手不足や業務の関係上、夜勤の連続勤務が必要になるケースもあるかもしれません。そのため、担当者の方は夜勤の連続勤務が法律違反になるのかどうかを把握しておく必要があります。
ここでは、夜勤の連続勤務に関する法律やシフトを組む際の注意点について詳しく解説していきます。
目次
労働基準法は基本的な内容であるため、「夜勤から日勤は違法?」「夜勤明けから次の勤務はいつからしてよい?」など夜勤と連勤の関係性がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは夜勤と連勤のルールについて、まとめた資料を無料配布しています。
例を挙げてわかりやすく解説しているので、ご興味のある方はこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
1. 夜勤から日勤へ連続勤務させるのはNG?

夜勤から日勤への連続勤務は、労働基準法上での問題はないのか、いまいちよくわからないという担当者の方もいるかもしれません。あいまいな知識で連続勤務をさせてしまうと、法定休日を守れなかったり、労働者に余計な負担をかけてしまったりするため、正確な知識を身につけておきましょう。
ここでは、夜勤の連続勤務が可能な日数や、夜勤から日勤への連続勤務の可否について解説します。
1-1. 夜勤の連続勤務は何日まで問題ない?
夜勤の連続勤務は、労働基準法で上限日数が明確に定められているわけではありません。法定休日のルールに基づいて、最大12日連続で勤務させることができます。なぜなら、「法定休日は週に1日もしくは4週間に4日与えなければならない」と決められているからです。
そのため、以下のようなスケジュールであれば、最大12日連続で夜勤をさせることは可能です。
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月(休み) |
火(勤務) |
水(勤務) |
木(勤務) |
金(勤務) |
土(勤務) |
日(勤務) |
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月(勤務) |
火(勤務) |
水(勤務) |
木(勤務) |
金(勤務) |
土(勤務) |
日(休み) |
とはいえ、夜勤はただでさえ負担が大きい業務になるため、上記のような連続勤務はできるだけ避けたほうが良いでしょう。
また、夜勤明けの休日の扱いにも注意が必要です。休日とは0時から24時までの休みを指します。そのため、従業員が夜勤明けに休日を取得する際は夜勤明けから翌日0時までの間は休日とカウントされず、翌日の0時から休んだとみなされます。
上記の例だと、2週目の土曜日の勤務が0時を超える場合、日曜日は法定休日とみなされず、翌日の月曜日の24時までが法定休日となります。また、36協定を労使間で締結している場合は、法定休日に労働させることも可能になるため、36協定の上限の範囲内であれば、夜勤を連続でさせることが法律違反に直結することはありません。
しかし、企業には「安全配慮義務」があり、これに違反しているとみなされた場合は法律違反となるため注意しましょう。
夜勤は生活リズムが通常とは異なるため、連続すると負担に感じる従業員もいます。従業員の健康面に配慮しながら、適切にシフト管理をおこないましょう。
1-2. 夜勤から日勤の連続勤務日数に制限はある?
夜勤から日勤の連続勤務日数に関しては、労働基準法での明確な規定はないため、法定休日を適切に与えていれば法律違反にはなりません。
例えば、月曜日の午後9時から火曜日の午前6時まで夜勤をした場合、その3時間後の9時から日勤を開始して午後6時まで働いても、労働基準法上の問題はないのです。
ちなみに、労働基準法では深夜0時を超える夜勤をした場合、始業時刻が属する日の労働日として扱うことを規定しています。つまり、月曜の夜勤は月曜日分の労働時間と判断され、火曜の日勤は火曜日分の労働時間と判断されるということです。深夜0時を境に労働日を2日に分けてしまうと、休憩時間や残業時間の面で労働者が不利になることがあるため、このような規定が設けられています。
1-3. 日勤から夜勤への連続勤務は問題ない?
日勤から夜勤への連続勤務の場合は、1日のうちに2回就業時間が発生してしまうため、扱い方には注意が必要です。
例えば、月曜日の午前9時から午後6時まで勤務し、3時間の休憩を挟んで午後9時から火曜日の午前6時まで働いたとします。この場合、たとえ日勤と夜勤の間に3時間の休憩があっても一勤務として扱われます。
この日の労働時間は「勤務時間から休憩時間を控除した時間」で、8時間を超えた労働時間には25%の割増賃金が発生します。企業は割増賃金を支払っていれば、日勤から夜勤の連続勤務をさせても問題ありません。
夜勤から日勤が連続する場合であっても、夜勤の始業時間が日勤と同一の日付の場合は、このケースと同様の扱いです。ただし翌日の始業時間以降は、新たな所定労働日としてカウントします。ポイントは「夜勤と日勤の始業時間が同じ日付かどうか」という点であることを覚えておきましょう。
2. 夜勤から日勤への連続勤務で法律違反になるケース

労働基準法の観点からみれば、夜勤から日勤への連続勤務は法令違反になりません。しかし、場合によっては、違法とみなされてしまうケースもあるため注意が必要です。「夜勤」や「日勤」の記載はないとしても、労働基準法では勤務に関する規定が細かく決められています。
そこでここでは、企業が気をつけておきたい、夜勤から日勤への連続勤務が違法になるケースを4つ紹介します。
2-1. 安全配慮義務に違反している
企業には、従業員の安全を確保したうえで働かせる義務があります。実際、労働契約法5条には以下のような条文が記載されています。
(労働者の安全への配慮)
第五条 使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする。
企業が、労働者の安全を確保しつつ労働させる義務を「安全配慮義務」といい、これに違反すると法令違反とみなされてしまいます。最悪の場合、従業員からの損害賠償請求が発生することもあるため注意が必要です。
何を基準に「安全配慮義務違反」とみなすかは、判断が難しいかもしれません。
しかし、少なくとも夜勤が連続したり、次の勤務までに十分な休息を取る時間がない状態が頻発したりしている場合は、従業員の安全を確保できているとは言えません。このような労働環境になってしまっている場合は、健康に問題が生じる前に、早めの是正を心がけましょう。
2-2. 割増賃金を支払わない
法定労働時間を超えて勤務しているにも関わらず、適切な割増賃金を支払わない場合は労働基準法違反に該当します。
労働基準法第37条では、法定労働時間を超えて労働させる際には割増賃金を支払うことと定めています。
時間外労働をおこなったときの割増賃金は25%です。そのため、始業時間が同じ日付内であって、実際に働いた労働時間が8時間を超えた場合は、超えた時間に対して25%の割増賃金が発生します。
また、労働時間が22時~5時までの深夜帯にあたる場合は、25%以上の割増賃金が必要となり、時間外労働時間と重なった場合の割増率は50%以上になります。
これは、週に40時間の労働時間を超えてしまったときも同様です。不規則なシフトや時間外労働が多くなりやすい企業は、割増賃金を正しく計算することを徹底しましょう。
【関連記事】残業による割増率の考え方と残業代の計算方法をわかりやすく解説
【関連記事】深夜残業による割増はどれくらい?計算方法を詳しくご紹介
2-3. 法定休日を与えない
労働基準法35条では、企業は従業員に対して週に1日もしくは4週に4日の法定休日を与えることと規定しています。この法定休日を与えない場合も、法律違反となるため注意しましょう。ただし、36協定で休日労働について労使間の合意をしていれば、その限りではありません。
また、夜勤明けに休日を与える場合は、原則午前0時から午後12時までのいわゆる「暦日単位」で休ませる必要があります。例えば夜勤明けの土曜を休みとし、日曜日に出勤させるというケースは休日を与えたことになりません。この場合、夜勤明けの土曜を休みとし、さらに日曜の午前0時から午後12時までの休みを与え、月曜以降に出勤させなくてはいけないのです。
この原則を知らずにシフトを組んでしまうと、従業員に休日を与えていないと判断されてしまう可能性があります。
【関連記事】法定休日と所定休日の違いや運用方法をわかりやすく解説
2-4. 36協定の上限を超えた労働
労働者に時間外労働をさせるときは、必ず労働者代表と「時間外・休日労働に関する協定(36協定)」を締結し、労働基準監督署に提出しなければいけません。
36協定では1日、1ヵ月、1年単位の限度となる時間外労働について規定します。万が一この規定をオーバーする時間外労働をさせた場合、36協定違反に該当します。。
例えば、36協定に残業は1日5時間までと規定しているにも関わらず、日勤や夜勤が連続して時間外労働が8時間になってしまった場合、罰則の対象となってしまいます。
残業時間を1日10時間などと長く設定しておけば36協定違反にはなりませんが、このような規定を作成すると、先に説明した安全配慮義務に該当する危険性があります。また、2019年4月の法改正によって、時間外労働の上限が法律で規定されました。36協定で設定できる時間にも限度があるため注意しましょう。
【関連記事】36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!
3. 夜勤から日勤のシフトを組む際の注意点


夜勤から日勤のシフトを組む際は、労働時間に注意し、労働基準法と36協定の内容に違反しないようにしなければなりません。
長時間勤務のポイントや労働基準法で定められている内容を改めて確認しておきましょう。
3-1. 24時間や16時間の連続勤務でも必ずしも違法ではない
労働基準法では「1日8時間以内、1週間40時間以内」を法定労働時間としています。これを超えた労働は労働基準法違反になるため、24時間や16時間のような長時間勤務は本来できません。
しかし、36協定を結んでいる場合は1日8時間を超える労働が可能になります。
36協定では月の時間外労働の上限は45時間と定められていますが、1日の時間外労働の上限はありません。そのため、変形労働時間制と36協定のルールに則った範囲内であれば、24時間や16時間の連続勤務も違法ではなくなります。
ただし、長時間勤務は労働者の大きな負担になります。しっかりと休日を与えるとともに、繁忙期の限られた期間に限定するなど、長時間勤務が常態化しないように配慮しましょう。
関連記事:36協定における残業時間の上限を基本からわかりやすく解説!
3-2. 労働基準法は厳守しなければならない
24時間や16時間の長時間勤務が可能であることがわかりました。しかし、そのような特殊な勤務形態だとしても、労働基準法は厳守しなければなりません。
割増賃金の支払い
変形労働時間制を採用している場合でも、所定労働時間を超えた労働や深夜労働などに対しては割増賃金が発生します。
休憩時間の取り扱い
労働基準法では、労働時間が6時間を超えた場合は45分、8時間を超えた場合は1時間の休憩を取らせることが定められています。
また、休憩時間としてみなされるルールも定められているため、これらは必ず守るようにしましょう。
安全配慮義務
企業には労働者が安全に働けるように必要な配慮をする義務があります。これを怠ると安全配慮義務違反に該当します。
長時間労働によって労働者が健康を損なわないように十分に注意しましょう。
4. 当直明けの勤務も違法ではない


当直とは「当番を決めて通常の勤務時間帯以外に交代で勤務する勤務形態」を指す言葉です。そのため、日中の当直を指す日直、夜間の当直を指す宿直などに分けて使われます。
当直明けというと、一般的には夜間の当直明け、つまり夜勤明けを指します。医療業界で使われることが多い表現ですが、基本的なルールは前述した夜勤から日勤へのシフトと同様です。
加えて、医療従事者の健康と安全を守るために以下の内容が法律によって推奨、努力義務とされています。
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連続勤務時間の制限 |
厚生労働省のガイドラインでは連続勤務時間は24時間以内が望ましいとされています。 |
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勤務間インターバル制度の導入 |
1日の勤務終了後、次の出勤までの間に11時間以上の休息時間を確保することが望ましいという制度です。導入は企業の努力義務とされています。 |
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代償休息の取得 |
勤務間インターバルが取れない場合は、その代わりに休息時間を設けるという考え方です。 ただし可能な限り勤務間インターバルを取ることが望ましいです。 |
当直明けの勤務は長時間勤務になりやすく、人手不足の現場ではやむを得ず長時間勤務が連続してしまうこともあります。
しかし、労働者の健康と安全を守るために、できる限りの休息や勤務間インターバルを取り、長時間勤務が常態化しないように環境を整備しましょう。
5. 夜勤・当直明けからの連続勤務になる際の注意点

夜勤や当直明けからの勤務で連続勤務時間が長くなる場合は、労働時間や割増賃金の計算が複雑になりやすいです。労働基準法を守った働き方ができるように、以下の点には十分に注意しましょう。
5-1. 労働時間の上限や法定休日を守る
夜勤や当直明けからのシフトが長時間になる場合、日をまたいだ労働時間が発生します。
その場合、どこで1日を区切るのか、時間外労働時間はどれくらいになるのか、休日は何日必要なのかなど、通常の勤務とは異なる計算が必要になります。
どのような環境においても、労働基準法や36協定によって定められている労働時間の上限と法定休日は厳守しなければなりません。間違いのないように計算し、法律を守ったシフトにしましょう。
5-2. 割増賃金を正しく計算する
変形労働時間制を採用している場合でも、所定労働時間を超えた分や深夜労働に該当する部分などには割増賃金が発生します。
どこから割増賃金が発生するのか、割増率はどうなるのかなど、十分に注意して計算しましょう。
割増賃金の計算は複雑でミスが発生しやすいです。勤怠管理システムなどを導入し、間違いのないように計算しましょう。
5-3. 定められた休憩時間を必ず取らせる
休憩時間は法律で定められていることに加え、従業員の健康を守るうえで欠かせないものです。肉体だけでなく、精神面の健康維持にも必要なため、必ず適切に取得させましょう。
人手不足である場合や、繁忙期は休憩を取りにくくなります。そのような場合は現場の意見を取り入れつつ、分割や交代をしながら休憩を確保することが求められます。
また、勤務間インターバルにも十分に配慮し、連続勤務や長時間勤務のあとは十分な休息がとれるようにしましょう。
5-4. 従業員の体調に十分に配慮する
連続勤務や長時間勤務は従業員の大きな負担になります。
肉体的な疲労はもちろんですが、精神的にも追い詰められることがあるため、従業員の体調には十分に気を配りましょう。
安全配慮義務違反にもなるおそれがあるため、従業員のライフワークバランスにも配慮し、連続勤務や長時間勤務が続かないようにしましょう。
6. 夜勤から日勤の連続勤務は労働時間の上限や休憩に注意しよう

夜勤から日勤の連続勤務は法律違反になりませんが、労働基準法の要件を満たしつつ、従業員の健康を維持できるように労働させることが非常に大切です。また、きちんと法定休日を与えなかったり、割増賃金を支払ったりしないと違法とみなされてしまう恐れがあるため、企業は夜勤や日勤のシフトを慎重に組むようにしましょう。
ただでさえ、夜勤は労働者にとって負担が大きい働き方です。たとえ法律違反にならなくても、無理なシフトで働かせることは避け、ワークライフバランスを実現できる労働環境を整えましょう。
【関連記事】夜勤の定義や労働時間の正しい計算方法を解説



労働基準法は基本的な内容であるため、「夜勤から日勤は違法?」「夜勤明けから次の勤務はいつからしてよい?」など夜勤と連勤の関係性がよく分からないという方も多いのではないでしょうか。
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