賃金支払基礎日数とは?離職票や育児休業給付との関係や注意点を解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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賃金支払基礎日数とは?離職票や育児休業給付との関係や注意点を解説

オフィス

賃金支払基礎日数とは、賃金の支払対象となる日数のことです。雇用保険の基本手当(いわゆる失業手当)や育児休業給付の手続きをする場合に必要となり、人事担当者にとっては正しい理解が欠かせません。

本記事では、賃金支払基礎日数の定義や基本的な算定方法だけでなく、従業員が有給休暇を取得したり、休職期間があったりする場合など、イレギュラー時の取り扱いも解説します。

賃金支払基礎日数の理解を深め、雇用保険の手続きにかかる時間を減らすヒントとしてご活用ください。

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1. 賃金支払基礎日数とは?

日数を計算する

賃金支払基礎日数とは、「企業が従業員に賃金を支払う対象となった日数」を指します。

離職票や育児介護休業給付など、雇用保険の手続きにかかわる用語です。

まずは賃金支払基礎日数の定義と、間違えやすい類似用語との違いを確認しましょう。

1-1. 賃金支払基礎日数の定義

賃金支払基礎日数とは、対象期間において「賃金支払の基礎となった日数」を指します。

実際に労働した日だけでなく、年次有給休暇を取得した日など、出勤していなくても賃金が発生する日であれば賃金支払基礎日数に計上します。

賃金支払基礎日数は、賃金が支給された日ではなく、賃金の支払対象となった期間に応じて計上する点に注意しましょう。

例えば毎月末締め・翌月15日払いの企業の場合、5月15日の賃金は4月分の労働に対する支給です。そのため、賃金支払基礎日数は4月分として計上する必要があります。

毎月末締め・翌月15日払いの企業の場合の賃金支払基礎日数の考え方

1-2. 基礎日数と賃金支払基礎日数の違い

離職票や育児介護休業の休業開始時賃金月額証明書には、賃金支払基礎日数のほかに「基礎日数」を記載する欄があります。

  • 賃金支払基礎日数: 雇用保険の被保険者期間を算定するための日数。基本手当や各種給付の受給資格があるかを判断する際に使います。
  • 基礎日数: 各月の賃金支払対象期間で、実際に賃金支払いの対象となった日数。

用語の意味は異なりますが、数え方のルールは同じです。計算期間が同じ部分は賃金支払基礎日数と基礎日数の日数も同じになるため、チェック時の目安にしてください。

参考:離職証明書の書き方~初めての方向け~|厚生労働省

1-3. 支払基礎日数と賃金支払基礎日数の違い

支払基礎日数は、健康保険や厚生年金保険などの社会保険の手続きで用いる言葉です。主に被保険者の標準報酬月額を算定する際に使います。

言葉としてはよく似ていますが、賃金支払基礎日数は雇用保険の手続きで用いる概念で、社会保険では使用しません。

2. 賃金支払基礎日数が関係する手続き

予定を確認する様子

賃金支払基礎日数は雇用保険の各種給付手続きで、受給資格を判断したり、給付額を算定したりする場合に用いられます。賃金支払基礎日数が関係する手続きを確認しましょう。

2-1. 離職証明書・離職票

離職証明書・離職票は従業員が退職する際に作成する書類です。離職票にもとづいて雇用保険の基本手当、いわゆる失業手当が支給されます。

基本手当を受給できるのは、原則として賃金支払基礎日数が11日以上ある月(被保険者期間)が離職の日以前2年間に12ヵ月以上ある場合です。

基本手当の金額は離職前の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある直近6ヵ月間の賃金額に基づき計算されます。

離職票の詳しい書き方は関連記事をご覧ください。

関連記事:離職証明書の書き方は?注意点や必要な書類を解説

2-2. 育児休業給付・出生時育児休業給付・育児時短就業給付

育児休業給付・出生時育児休業給付・育児時短就業給付は、子を養育する期間に対する給付金です。それぞれの内容を表にまとめました。

 

育児休業給付

出生児育児休業給付

育児時短就業給付

概要

子を養育するための休業に対する給付

子を養育するための休業に対する給付

子を養育するために労働時間を短縮した場合の給付

対象期間

原則として子が1歳に達するまで

原則として子の出生日から8週間のうち28日以内

子が2歳に達するまで

支給要件(賃金支払基礎日数に関係するもの)

休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上

休業開始日前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上

育児時短就業開始日前2年間に、賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上(※)

支給額の計算基礎となる賃金額

最初の休業開始前(産前産後休業から連続して取得する場合は産前産後休業開始前)の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月6ヵ月分の賃金額

最初の休業開始前直近の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月6ヵ月分の賃金額

育児時短就業開始前の期間のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある月直近6ヵ月分の賃金額(※)

※育児休業から引き続く育児時短就業の場合は、子の出産時点が基準となります。

育児関係の給付金は毎年改正があり年々複雑になっています。関連記事で法改正の内容を押さえ、手続きミスを発生させないようにしましょう。

関連記事:育児休業給付金とは?2025年4月の改正点や支給条件、申請、計算方法をわかりやすく解説!

2-3. 介護休業給付

介護休業給付は、要介護状態にある家族を介護するための休業に対して支給される給付金です。介護休業給付の手続きの際にも、賃金支払基礎日数を求めます。

介護休業給付も育児休業給付と同様に、介護休業開始前2年間に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が通算して12ヵ月以上ある場合に支給されます。

支給額の基礎になる休業開始時賃金月額も、休業開始前の賃金支払基礎日数が11日以上ある6ヵ月分の賃金に基づき算出します。

2-4. 高年齢雇用継続給付

高年齢雇用継続給付は、定年後の再雇用などで60歳以降の賃金が60歳時点より一定割合下がった場合に支給される給付です。

高年齢雇用継続給付の支給額を算出する際に用いる賃金月額は、60歳到達した月以前のうち、賃金支払基礎日数が11日以上ある直近6ヵ月の賃金の額に基づき計算します。

3. 賃金支払基礎日数の数え方

計算する様子

賃金支払基礎日数の数え方は賃金形態により異なり、次の3つに分けられます。

  1. 完全月給制の場合
  2. 日給月給制の場合
  3. 日給制・時間給制の場合

3-1. 完全月給制の場合

完全月給制とは、欠勤しても賃金が控除されない賃金形態で、主に管理監督者が対象となります。

完全月給制の場合、欠勤の有無にかかわらず賃金が満額支払われるため、暦日全てが賃金支払基礎日数に含まれます。

3-2. 日給月給制の場合

日給月給制とは、月給制のうち、欠勤した日数分の賃金が控除される賃金形態です。

日給月給制の場合も完全月給制と同様、原則は暦日数をそのまま賃金支払基礎日数として算定します。

ただし欠勤控除があった場合は、就業規則などに定められている日数から欠勤日数を引いた数が賃金支払基礎日数です。

3-3. 日給制・時間給制の場合

日給制・時間給制(時給制)は、実際の出勤日数や年次有給休暇を取得した日数が賃金支払基礎日数となります。いずれも勤務実績に応じて賃金が支払われるためです。例えば日給制の従業員が月・水・金に働いた場合、その週の賃金支払基礎日数は3日となります。

時給制の場合でも、1日の労働時間の長さは関係ありません。4時間勤務の日も8時間勤務の日も同じ1日としてカウントします。

4. 賃金支払基礎日数の算定で間違えやすいケース

考えるビジネスマン

賃金支払基礎日数は賃金形態による違いのほか、有給休暇取得時や休職期間の扱いなど、イレギュラー対応が必要なケースも複数あります。

ここからは、賃金支払基礎日数の算定方法で間違えやすいケースを詳しく紹介します。

4-1. 有給休暇

年次有給休暇(有給休暇)は、労働基準法第39条で定められた「有給」の休暇のことです。有給休暇を取得した日は、「出勤はしていない」と扱われるものの賃金は支払われます。そのため、賃金支払基礎日数に含める必要があります。

特に日給制・時給制の場合の賃金支払基礎日数の算定方法を「出勤した日数」と覚えていると、有給休暇取得日の計上を漏らしやすいため注意しましょう。

関連記事:年次有給休暇とは?をわかりやすく解説!付与日数や取得時期も紹介

4-2. 土日

土日の扱いは、賃金形態によって異なります。

完全月給制・日給月給制の場合は、原則として暦日数がそのまま賃金支払基礎日数になるため、土日が休日であっても賃金支払基礎日数に含めます。

日給制や時給制の場合は、実際に賃金が発生した日だけが賃金支払基礎日数に含まれます。

そのため、土日など賃金が発生しない休日は、賃金支払基礎日数には入りません。

4-3. 欠勤・休職

欠勤または休職した期間は、原則として賃金が支払われないため、賃金支払基礎日数には含めません。

また、休職中に健康保険から傷病手当金を受け取れる場合がありますが、これは「賃金」にはあたりません。そのため、傷病手当金を受け取っていても、その日は賃金支払基礎日数には含まれないことに注意しましょう。

休職などで無給の期間があった場合は、雇用保険の受給資格を判断する算定期間が最大4年まで延長される特例があります。

4-4. 遅刻・早退

賃金支払基礎日数は、その日に賃金が発生しているかどうかで判断します。遅刻や早退で減額されても、賃金が支払われていれば「1日」としてカウントされます。

午後だけの出勤なども0.5日とはせず、必ず1日として扱われるため注意が必要です。

4-5. 特別休暇(無給休暇)

企業によっては慶弔休暇やリフレッシュ休暇、夏季休暇、年末年始休暇などの特別休暇を設定している場合もあるでしょう。特別休暇は法律で定められた休暇ではないため、賃金の有無は企業が自由に決められます。

特別休暇を無給とする場合、取得日は賃金が支払われず、賃金支払基礎日数に含めません。一方、有給で賃金が支払われる場合は、年次有給休暇と同様、賃金支払基礎日数に含めるため気を付けましょう。

関連記事:特別休暇とは?種類や日数の例、有給休暇との違い・取得した場合の給料を解説

4-6. 休業手当が支払われる場合

休業手当とは、労働基準法に定められた、企業側の都合(使用者の責に帰すべき事由)によって労働者を休ませた日に支払わなければならない金銭のことです。

休業手当は賃金とみなされるため、支給される日は賃金支払基礎日数に含めます。

4-7. 育休・産休

育児休業や産前産後休業の期間はほかの事由による休職と同様、賃金の支払いが発生しないのであれば賃金支払基礎日数に含まれません。

ただし企業の規定で産休を有給としている場合は、賃金支払基礎日数に含める必要があります。

4-8. 夜勤(深夜労働)

夜勤(深夜労働)をおこなって翌日に及んだ場合でも、勤務としては前日から連続しているため、賃金支払基礎日数は原則1日としてカウントします。

例外として、次の要件に当てはまる場合は翌日の勤務を1日と数え、前日の勤務と合わせて2日分として算定します。

  • 勤務が翌日にわたること
  • 翌日の勤務のうち、所定労働時間の労働が8時間を超えること

例えば所定労働時間が8時間で、22時~翌7時(休憩1時間)に勤務する場合、日をまたいだ後の所定労働時間は休憩を除き6時間のため、賃金支払基礎日数は1日です。

一方、所定労働時間が10時間で、22時~翌9時(休憩1時間)に勤務する場合、翌日にわたって勤務し、翌日の所定労働時間が8時間を超えているため、賃金支払基礎日数は2日と数えます。

参考:2日にわたって労働した場合の賃金支払基礎日数について|厚生労働省

5. よくある質問

木のブロック

最後に賃金支払基礎日数に関するよくある質問を確認しておきましょう。

5-1. 賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月とは?

雇用保険事務手続きの手引」などを参照すると「賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月」という言葉が出てきます。

完全月とは、月の初日から末日までが確保できている期間です。例えば4月20日に離職した場合、4月21日以降は離職票には記載しないため、4月は完全月には該当しません。

離職票などの作成では、賃金支払基礎日数が11日以上ある完全月が12ヵ月以上ある場合や、基礎日数が11日以上ある完全月が6ヵ月以上となる場合、それ以前の期間は記入を省略できます。

5-2. 賃金支払基礎日数が不足している場合は?

病気やケガ、育児・介護などで長期間休職していて、離職前2年以内に賃金支払基礎日数が11日以上ある月が12ヵ月以上ない場合は、原則として雇用保険の基本手当は受給できません。

しかし、賃金の支払いを30日以上受けられなかった期間がある場合、その期間の日数分だけ最長4年まで遡って受給資格を判断する特例があります。

また賃金支払基礎日数が11日以上ない月でも、労働時間が80時間以上であれば被保険者期間とみなされます。

5-3. パートタイマー・短時間労働者の扱いは?

パートタイマーや短時間労働者など、いわゆる正社員より勤務時間が短い従業員の場合も考え方は変わりません。

賃金支払基礎日数は勤務時間や日数ではなく、月給制か日給制・時給制かといった賃金形態によって算定方法を判断します。

なお、健康保険や厚生年金の標準報酬月額を計算する場合、パートタイマーや短時間労働者に該当すると支払基礎日数の日数要件が変わりますが、雇用保険にこのルールはありません。混同しやすい点のため注意しましょう。

6. 賃金支払基礎日数の数え方を押さえて手続きミスをなくそう

働く女性

賃金支払基礎日数は雇用保険の基本手当や育児休業給付などの受給資格の確認で使用するため、正しく理解し、正確に算定する必要があります。

賃金形態によって算定方法が異なるだけでなく、有給休暇や休職など、日数に含めるかどうかのルールが細かく決まっています。賃金支払基礎日数に関する業務を効率化するには、給与計算ソフトや勤怠管理システムなどのITツールの導入も有効です。

実際にシステムを導入した企業がどのように現場のお悩みを解決したのか、担当者の生の声が気になる方はぜひこちらからジンジャー給与事例集を無料ダウンロードしてご覧ください。

賃金支払基礎日数のポイントを押さえ、手続きの抜け漏れを発生させないよう心がけましょう。

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