給与計算をエクセル(Excel)でする方法とは?メリット・デメリットや注意点を解説!
更新日: 2025.4.18
公開日: 2020.12.9
jinjer Blog 編集部
表計算ソフト「エクセル(Excel)」を使用すれば、毎月の給与計算の一部を自動化することができます。
手計算の給与計算に限界を感じているのなら、エクセルを使って簡単、手軽に給与計算を始めてみましょう。
今回は、エクセルを使った給与計算の方法と、エクセルで給与計算をおこなうメリット・デメリット、導入時の注意点などをまとめました。
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算方法を11ステップに分けて解説!注意点・効率化のポイントも】
目次
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
・標準報酬月額の算定や月変にも対応しており、計算ミスを減らせる
・Web給与明細の発行で封入や郵送の工数を削減し、確実に明細を従業員へ渡せる
システムを利用した給与計算についてさらに詳しく知りたい方は、こちらからクラウド型給与計算システム「ジンジャー給与」の紹介ページをご覧ください。

1. エクセル(Excel)で給与計算をおこなう方法
給与計算をエクセルでおこなう方法は、自分で給与計算用のエクセルシートを作成するか、テンプレートをダウンロードしておこなうかの2つの方法があります。
どちらにもメリット・デメリットがありますが、中には無料で配布されているテンプレートもあります。コストを抑えつつスピード感を持って作成したい場合は、無料テンプレートの利用がおすすめです。
自作する場合とテンプレートを用いる場合、それぞれのメリット・デメリットを以下に解説します。
1-1. 給与計算シートを自作する場合
エクセルの給与計算シートを自作する場合、自社の給与体系にあわせて自由に作成できるメリットがあります。そのため、使い勝手の良い給与計算システムに仕上げることが可能です。
しかし、ゼロから給与計算用のエクセルシートを作成するのは手間と時間がかかり、エクセルに関するそれなりの知識も必要になります。よほどのこだわりがない限りは、給与計算シートをエクセルで自作するのはおすすめしません。
1-2. テンプレートを使用する場合
インターネット上には、無料の給与計算テンプレートが数多く用意されています。デザインやレイアウトはシートごとに異なりますが、給与計算に必要な項目や基本的な機能は網羅されているので、エクセル初心者でも簡単に使いこなすことが可能です。
また、テンプレートを自社のニーズにあわせてカスタマイズすれば、ゼロからエクセルで給与計算シートを作成するよりも、時間や手間を削減できます。ただし、インターネット上でテンプレートをダウンロードする際に、コンピュータウイルスに感染しないよう、「信頼できるサイトから取得する」「ダウンロード後にウイルススキャンを実施する」など、セキュリティには十分注意しましょう。
2. 給与計算用エクセルシートの基本的な使い方
ここでは、給与計算用エクセルシートの基本的な使い方について詳しく紹介します。なお、使用するものによって、大きく仕様が変わることもあるので注意しましょう。
2-1. 従業員情報の入力
まずは給与の締日や支給日といった給与情報のほか、アルバイトやパートタイムなどを含む従業員ごとの氏名や生年月日、入社日、社会保険および雇用保険加入日などの情報を入力します。
2-2. 給与データの入力
従業員ごとに、基本給や交通費、扶養家族の人数など、給与計算に必要なデータを入力します。
基本データを入力すると、シートが料率を自動判定したうえで、健康保険料や厚生年金保険料、雇用保険料、源泉所得税などを計算してくれます。
2-3. 賃金データの設定
時間外労働や休日労働、深夜労働などの諸手当についての情報を入力します。自社の賃金規程をよく確認し、必要であれば割増率の設定なども変更しましょう。
2-4. 勤怠管理シートに出勤状況を入力する
設定が終わったら、勤怠管理シートに従業員ごとの出勤状況を入力します。
勤怠管理シートと給与計算シートを連携させることで、従業員一人ひとりの給与を効率よく計算することができます。
関連記事:給与計算業務の流れ|月間と年間のスケジュールも紹介!
3. エクセルで給与を計算する際に使うExcel関数
エクセルで給与計算をする場合、計算式を作成しなければなりません。
使用すると便利な関数をピックアップしましたので、エクセルで給与計算をおこなう際の作り方の参考としてください。
3-1. 日付から曜日を返すWEEKDAY関数
日付に対応する曜日を数字で表示させることができる関数です。
WEEKDAY関数を使うことによって、曜日入力の手間を減らし、毎月の給与計算のフォーマットも時間をかけずに作成することができます。
3-2. 円未満の端数処理(CEILING関数、FLOOR関数、MROUD関数)
1時間あたりの賃金額および割増賃金額に円未満の端数が生じた場合、50銭未満の端数を切り捨て、それ以上を1円に切り上げることができる関数です。ただし、同じ端数処理でも、残業時間などを15分単位などで端数処理することは違法となる可能性が高いので注意しましょう。
関連記事:タイムカードの計算で15分や30分の切り捨ては違法!正しい勤怠管理を解説
3-3. 法定労働時間や遅刻早退時間の集計(IF関数)
IF関数はエクセルで頻繁に使用される関数の一つで、ある値と期待値を論理的に比較できる仕組みになっています。IF関数を用いれば、2つのセルを比較し、時間が一致していたら「残業なし」、一致していなければ「残業あり」と簡単に判断できる仕組みを作り出すことができます。
4. 1分単位で計算するには10進法に整える
給与は原則として1分単位で計算する必要があります。
しかし、勤務時間を「○○:○○」と入力している場合、そのままでは計算できません。「○○:○○」表記の労働時間に時給を掛け合わせると、明らかに金額があっていないことがわかるでしょう。これは、Excelでは「24:00」を1として、それまでの時間を1以下の数値として認識しているためです。労働時間が入力されているセルの書式設定を「標準」に変更すると、1以下の数字になります。
労働時間を1分単位で計算するためには、1時間を1とする10進法(○.○○)に変えなければなりません。10進法には「1日の労働時間 × 24」と計算することで変更できます。
もし10進法にしたときに「00:00」と表示されてしまう場合は、セルの書式設定を変更してください。
10進法に直した労働時間に時給を掛け合わせることで、1分単位の給与を正しく計算できます。
関連記事:残業は1分単位?タイムカードで残業時間を正しく計算する方法
5. エクセルで給与計算をするメリット
エクセルで給与計算をすればさまざまなメリットが得られます。ここでは、エクセルで給与計算をするメリットについて詳しく紹介します。
5-1. 無料で始められる
給与計算用のエクセルシートは、ネット検索すれば無料配布されているものがたくさん見つかります。
エクセルソフト自体は有料ですが、既に仕事でエクセルを活用している場合、新たなコストをかけずに給与計算用シートを使うことができます。
一般的な給与計算用ソフトは有償のものが多いので、導入コストを丸々カットできるのは大きなメリットでしょう。
5-2. 操作に慣れている従業員も多い
エクセルはさまざまな業務に活用できる万能ソフトで、普段の業務でエクセルを使用している人も多いことでしょう。使い方をマスターしようとすると、それなりの知識やスキルが必要ですが、給与計算程度ならエクセル初心者でも簡単に使いこなすことが可能です。
普段から使い慣れているエクセルなら、シートを見ただけで直感的に操作できるため、導入したその日からスムーズに作業できます。
5-2. 手書きよりも時間と手間を省ける
給与計算は決して複雑なものではありませんが、従業員一人ひとりの状況に応じて計算しなければならないため、手書きの場合かなりの時間と手間がかかります。
また、手動の計算はヒューマンエラーが起こりやすく、賃金が適切に支払われなかったり、逆に多く支給しすぎたりするミスが生じる可能性もあります。
エクセルなら正しく設定すれば、あとはコンピュータが正確かつスピーディーに計算してくれるので、人的ミスを防止し、業務を効率化できます。
5-3. 勤怠管理シートと連携しやすい
手書きで給与計算する場合、別に作成・保管している勤怠管理表と照らし合わせながら作業をしなければならないため、効率が悪くなってしまいます。
勤怠管理表とセットになっているエクセルシートを選べば、勤怠管理シートと給与計算シートを簡単に連携できるので、2つの資料を照らし合わせて作業する手間を省けます。
6. エクセルで給与計算をするデメリット・注意点
手書きよりもエクセルのほうが、人的ミスを減らし、効率よく給与計算できます。しかし、エクセルでの給与計算にもデメリットがあります。ここでは、エクセルで給与計算をするデメリットや注意点について詳しく紹介します。
6-1. 法改正に手動で対応しなければならない
従業員に給与を支給する際は、あらかじめ総支給額から所得税や住民税、雇用保険料、社会保険料などを差し引く必要があります。このような給与計算に必要な社会保険料や税金といった情報は、法改正が繰り返しおこなわれています。
エクセルを使って給与計算をしている場合、手動で法改正に対応しなければなりません。保険料率や税率の改定の反映漏れが生じると、給与の未払いや過払いが発生するほか、保険料や税金の未納・過払いが起こる可能性もあるので注意しましょう。
【社会保険料と給与計算について詳しくはコチラ▶社会保険料の計算方法とは?給与計算や社会保険料率についても解説】
【住民税の計算について知りたい方はコチラ▶給与計算における住民税とは|住民税の計算・納付・注意点について解説】
【所得税の計算について知りたい方はコチラ▶所得税とは?|源泉所得税の計算方法や税額表の見方を解説】
6-2. エラーや書き換えが起きやすい
給与計算にエクセルを用いる場合、関数の設定ミスや参照セルの間違いなどによって、エラーが発生しやすいデメリットもあります。また、権限をきちんと設定していない場合、意図しない書き換えにより、正しい給与計算ができなくなる恐れもあります。
このような事態を防止するためにも、データを更新する前に、バックアップを取ることを徹底しましょう。また、改ざんを発生させないよう、アクセス権限をきちんと付与し、特定の人しか編集できないように設定することが大切です。
6-3. 複雑な給与計算に対応しづらい
昨今では働き方改革の影響もあり、フレックスタイム制や裁量労働制などの多様な働き方を導入する企業も増えています。柔軟な働き方を採用する場合、それにあわせて給与計算の仕組みも変更しなければなりません。
複雑な給与計算に対応させるためには、エクセルの関数やマクロも変更しなければならず、大きな時間や手間がかかります。また、エクセルの給与計算シートを更新する場合、計算式の設定間違えなど、人的ミスも起きやすくなるので慎重に対応することが重要です。
6-4. 他のシステムとの連携がしにくい
エクセルの給与計算シートはカスタマイズしやすいメリットがある一方で、勤怠管理システムや会計ソフトなどのITシステムとデータを連携させようとするには、フォーマットを調整し直さなければなりません。CSVデータなどで統一すれば、他のシステムに連携できることもありますが、データ入力・出力といった作業を完全になくすことは難しいです。
本章で説明したデメリット・注意点を気にすることなく給与計算できるシステムをご存じでしょうか。「ジンジャー(jinjer)」のシステムを用いれば、人事労務・勤怠・給与計算・タレントマネジメントなどに関する情報をひとつのデータベースで一元管理できます。また、法改正にも自動で対応し、業務を効率化することが可能です。
当サイトでは、エクセルを用いた給与計算との違いを、給与計算の流れに沿って解説した資料を無料で配布しております。エクセル以外での給与計算の方法も把握しておきたい方はこちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
7. エクセルに限界を感じたら給与計算ソフトの導入がおすすめ
エクセルでの給与計算に限界を感じたら、給与計算ソフトの導入を検討するのがおすすめです。ここでは、給与計算ソフトのメリットや選び方について詳しく紹介します
7-1. 給与計算ソフトのメリット
給与計算ソフトを用いれば、勤怠の集計から給与の算出までを自動化し、ワンストップでおこなうことができます。そのため、人的ミスを防止し、業務を効率化することが可能です。また、アクセス権限付与やバックアップなどの機能が搭載されているシステムを活用すれば、自社のニーズにあわせてセキュリティも強化できます。
ただし、給与計算ソフトを導入するには、コストがかかります。まずは予算や目的を明確にし、複数のシステムを比較したうえで、自社にあった給与計算ソフトを選ぶことが大切です。
7-2. 給与計算ソフトの選び方
給与計算ソフトを選ぶ際は、自社の採用する給与計算を実現できる機能が搭載されたシステムを選ぶことが大切です。また、複数の料金プランが用意されているのであれば、自社の規模にあったプランを選ぶことで、コストを最適化することができます。
そのほか、導入スピードや使いやすさ、セキュリティ、サポートなども踏まえて、総合的な観点から自社のニーズにあった給与計算ソフトを選びましょう。
関連記事:給与計算ソフトとは?メリットや選定ポイント7選を一挙ご紹介
8. 自社のニーズにあった方法で給与計算を効率化しよう!
給与計算は、従業員に支給する賃金を算出する責任重大な業務であり、スピードと正確さが求められます。
手書きでの計算は手間や時間がかかるうえ、ミスも起こりやすいので、エクセルを使って給与計算した方が業務の効率化を図れます。
給与計算用のエクセルシートは無償でダウンロードできますが、そのぶん、機能や仕様にはある程度の限界があります。
1度エクセルの給与計算シートを使ってみて、「もっとこうだったらいいな」「こういう機能があればいいのに」といった不満が出てきたら、専用の給与計算ソフトの導入を検討してみることをおすすめします。
【給与計算のアウトソーシングについて知りたい方はコチラ▶給与計算のアウトソーシング・代行のメリット・デメリットと相場をご紹介】
【自動で給与計算をしてくれる勤怠管理システムについて知りたい方はコチラ▶勤怠管理システムと給与計算を連携させるには?選定ポイントを解説】
給与計算を手計算しているとミスが発生しやすいほか、従業員の人数が増えてくると対応しきれないという課題が発生します。 システムによって給与計算の内製化には、以下のメリットがあります。
・勤怠情報から給与を自動計算
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