タイムカードを紛失した場合の対策とは?罰則や勤怠記録の残し方も解説
更新日: 2023.9.1
公開日: 2022.2.6
jinjer Blog編集部
タイムカードの作成は義務ではありませんが、労働時間の把握は労働基準法108条で義務付けられています。仮に違反した場合は、労働基準法120条によって30万円の罰金が科されるため注意が必要です。
今回は、タイムカードを紛失した場合の対策や罰則に繋がるケースを詳しくご紹介します。また、タイムカードの紛失に備えて勤怠記録の残し方、相談先について解説しています。タイムカードに代わる勤怠記録の残し方を検討中の方もぜひご覧ください。
目次
1. タイムカードを紛失した場合の対策とは?
タイムカードを紛失した場合は賃金を計算する方法がなくなると考えますが、労働時間を証明するものはタイムカード以外にもあります。まずは、タイムカードを紛失した場合の対策方法をご紹介します。
1-1. タイムカードの代わりになるもの
タイムカードの代わりとして、
- Excelで管理している勤怠記録
- 入退館記録
- シフト表
- パソコンの起動時間
- メールやチャットの送信履歴
- 残業指示書
- 家族や他の従業員からの証言
などが使えます。
手続きで労働時間を証明する必要がある場合でも、理由を説明し、真摯に対応すれば応じてもらえる場合があります。タイムカードを紛失した場合には、以上の代わりになる物を応用し、普段から勤務に関する記録はこまめに記録・保存するように心がけるのが大切です。
2. タイムカードを紛失が罰則に繋がるケースもある
タイムカードを紛失してしまい、労働時間を把握できるものがなくなってしまうと、労働安全衛生法66条8の3「労働時間の把握義務」に反してしまいます。この法律に罰則はありませんが、労働基準法第109条ではタイムカードを含めた労働に関する重要な書類を5年保存することを定めており、違反すると30万円以下の罰金刑となります。
さらに、タイムカードは従業員の労働時間を正確に記録し、相応の賃金を支払うためのものなので、タイムカードを紛失すると賃金台帳を調製できなかったり、賃金が正しく支払われなかったとして裁判に発展したりする可能性もあります。
賃金台帳の調製も労働基準法第108条に定められた義務であり、違反すると30万円以下の罰金に処せられる可能性があります。
また、実際に賃金の支払いについて裁判で争った例では、タイムカードに打刻された時刻を出勤・退勤の記録として、有力な証拠になるとしています。
「残業代を支払いたくない」「賃金が支払えないからタイムカードを紛失した」など故意の理由でなくても、働いた時間分の賃金が貰えなかったとしてトラブルに発展する可能性があるため注意が必要です。
3. タイムカードに代わる勤怠記録の残し方
先ほども少し触れたとおり、全ての企業がタイムカードによって労働時間を管理しなければならないわけではありません。従って、労働時間を正しく管理できればタイムカード以外の方法でも使用可能。ただし、労働基準法109条に則って、労働時間を記録する賃金台帳も5年間保存する必要があるため、保存できるツールでの管理がポイントです。
具体的には
- パソコンのログイン・ログアウト記録
- ICカードによる入退館履歴
- 勤怠管理アプリ
などがあります。
厚生労働省が定める労働時間の適正な把握に関するガイドラインには、「使用者が、自ら現認することにより確認すること」「タイムカード・ICカード・パソコンの使用時間の記録等の客観的な記録を基礎として確認し、適切に記録すること」と記載があります。
一方で、自己申告で管理を行う方法もありますが、ガイドラインにはやむを得ずと記載があるので、できるだけ避けましょう。万が一自己申告を行う場合は、パソコンの使用履歴や入退館履歴と照らし合わせ、正しく申告されているか確認しなければなりません。
また、賃金台帳は労働者ごとに、
- 労働日数
- 労働時間数
- 休日労働時間数
- 時間外労働時間数
- 深夜労働時間数
を項目ごとに分けて記入しなければなりません。
ICカードで管理を行った場合、休日分野残業代は分けて記録する必要があるため、労働時間を管理する従業員の負担が増加する可能性があります。
[出典]厚生労働省「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン」
関連記事:タイムカードからICカード打刻による勤怠管理にかえるメリットとは?
3-1. タイムカード以外で勤怠記録を残すなら勤怠管理システムの導入がおすすめ
- 労働時間を正確に記録できる
- 休日や残業分などを分けて記録できる
- 5年間確実に保存できる
- 紛失する可能性が少ない
などの課題を解決できるのが、勤怠管理システムです。
勤怠管理システムなら大元のデータを紛失しなければ、労働時間の記録を失うことがありません。しかも、最近ではクラウドを使って障害対策を行っていることが多いため、不測の事態にも備えられます。
また、勤怠管理システムなら労働者ごとに記録をまとめたり、項目ごとにデータを整理したり、ファイルを管理したり、労働時間を管理する手間が軽減できます。さらに、システムによっては残業時間を計算して労働時間の超過を通知する機能も搭載されています。
労働時間の管理に手間取っている方は、人間の入力ミスによる間違いが発生しにくく、紛失する可能性も少ない勤務管理システムの導入を検討するのがおすすめです。
関連記事:タイムカードはもう不要?GPSで打刻できる勤怠管理システムとは
4. 残業代については誰に相談したらいい?
最後に、残業代に関するおすすめの相談先をご紹介します。企業側が残業代に関して相談を行うなら、弁護士がおすすめです。中でも、企業法務を専門に取り扱っており、労務・労働問題に詳しい弁護士事務所なら、あらゆるケースに対応できます。
労働時間を正しく管理し、労働者に対して残業代をしっかり支払っていれば問題になることはありませんが、労働者とのトラブルで裁判沙汰になる可能性もあります。実際に裁判所で問題とみなされると、以下のペナルティが科されるため、注意が必要です。
- 付加金
- 遅延損害金
過去の判例には残業代請求に関する裁判で企業側が敗訴し、300万円や700万円の支払いを命じられたケースがあります。
また、労働者が「残業代を正しく支払ってもらえなかった」として労働基準監督署に相談する場合もあります。労働基準監督署の判断によって異なりますが、問題が深刻な場合には指導勧告が入る場合があります。
また、労働基準監督署が定期的に行う調査(臨検)でも、労働時間と残業代の支払いが適切に行われているか確認を行います。万が一労働時間の管理に不手際があった場合には、労働時間に詳しい弁護士事務所への相談がおすすめです。
5. タイムカードを紛失した場合は入退館記録やパソコンの起動記録でも代替可能!紛失に備えて勤怠管理システムの導入がおすすめ
タイムカードは労働時間を管理し、適切な賃金を支払うためには欠かせません。しかし、紙でタイムカードを打刻し、管理している場合はタイムカードごと紛失してしまう可能性があります。タイムカードがないこと自体は法律違反ではありませんが、労働時間を正しく記録できていないことに対しては30万円以下の罰金が科されます。
また、タイムカード以外にもICカードの入退館記録やパソコンの起動履歴から労働時間を確認する方法もありますが、残業時間や休日労働時間を別で管理しにくいため、勤怠管理システムの導入がおすすめです。
勤怠管理システムの機能によっては労働時間を管理するだけでなく、整理整頓を自動でこなし、法定の残業時間超過を通知する機能もあります。また、バックアップすることでデータの紛失に備えているため、紛失しにくいのもポイントです。ぜひ検討してみてください。
関連記事:勤怠管理システムを導入する目的とは?メリット・デメリットも確認
タイムカードや出勤簿などで勤怠管理をしてる場合、以下のような課題はないでしょうか。
・打刻漏れの確認や労働時間の集計だけで数日かかってしまう
・有給休暇の残日数確認の問い合わせ対応が業務を圧迫している
・シフトの収集や作成に時間がかかって他の業務ができない
そのようなお悩みをお持ちの方におすすめなのが、勤怠管理システムの導入です。システムであれば打刻漏れを減らせるほか、労働時間は自動集計されるため、ミスと工数を減らすことが可能です。
このほかにも便利な機能で勤怠管理の工数削減ができるため、勤怠管理システムで何ができるか気になる方は、以下のボタンからクラウド型勤怠管理システム「ジンジャー勤怠」の紹介ページをご覧ください。
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