加算税とは?延滞税の違いや種類と税率、端数計算について詳しく解説!
更新日: 2024.5.27
公開日: 2022.8.2
jinjer Blog 編集部
加算税とは、国税の過少申告や無申告、不納付などの問題が起きたときに本来の税額に加算して課せられる税金のことをいいます。
所得税や法人税、相続税などの税金は申告納税方式または源泉徴収によって納税する必要があります。この納税が適切におこなわれなかったときには、ペナルティとして加算税が課せられることになるのです。
加算税には過少申告加算税や無申告加算税、不納付加算税、重加算税といった種類があります。この記事では、それぞれの加算税の税率について、また端数計算の方法について紹介していきます。
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1. 加算税の種類と延滞税との違い
加算税とは申告内容に不備があったり、申告の期限を超過した場合に課される附帯税の一種です。加算税と混同されやすいものに「延滞税」があります。延滞税も附帯税の一種で、加算税と延滞税は発生する要件が納税に関する不備である点は共通しています。
しかし、加算税は納税の不備があった事実に対するペナルティとして課されるものであるのに対し、延滞税は納付期限からの超過日数に比例して課されるペナルティであるという点が異なっています。
加算税には以下の4つの種類があります。
- 過少申告加算税
- 無申告加算税
- 不納付加算税
- 重加算税
それぞれの加算税が適用となるケースについて見ていきましょう。
1-1. 過少申告加算税
過少申告加算税は、修正や更生によって過少申告が明らかになったときに課される税金です。申告書を期限内に提出していた場合でも、申告内容に問題があれば過少申告加算税を課されるため、注意が必要です。
過少申告が明らかになったときには、追徴課税を言い渡されることがあります。
この追徴課税額を50万円と比較し、いずれか多い金額までの部分に対しては加算税の税率は10%、これを超えた部分があるときには加算税の税率が15%となります。
過少申告をしたあとに自主的な追加納付をした場合でも、上記の税率は変わりません。
ただし、正当な理由がある場合や、更生を予知しない修正があるときには過少申告加算税が不適用となるケースもあります。
関連記事:過少申告加算税とは?計算方法や過少申告加算税が課されないケースも解説
1-2. 無申告加算税
定められた申告期限までに申告書を提出しなかったときには、無申告加算税が課せられます。
所得税法では、毎年1月1日から12月31日までに発生した所得について、翌年2月16日から3月15日の間に確定申告をする旨が定められています。この期限を過ぎてから申告をしたときには無申告加算税を課せられることになります。
申告がおこなわれていない場合、税務署の調査を受ける可能性もあるので注意が必要です。
無申告加算税は、納付額のうち50万円までの部分について15%、それ以上の部分について20%の税率で計算されます。
ただし、自主的な期限後申告をしたときには、その税率が5%に軽減されます。うっかり申告期限が過ぎてしまったというときでも、迅速に申し出て期限後申告をおこなえば加算税を抑えることが可能となるのです。
関連記事:無申告加算税が発生するのはどんな時?課税の税率や課税されないための対策も紹介
1-3. 不納付加算税
不納付加算税とは、給与などの源泉徴収税額を定められた納期限までに納付しなかったときに課せられる税金です。ただし、期限から1ヵ月が経過するまでに納付し、さらに過去1年以内に源泉所得税を適切に納付しているときには不納付加算税が免除されます。
不納付加算税の税率は10%に設定されています。
ただしこれは、税務署から告知を受けた場合に納付する加算税の税率です。自主的な納付をおこなったときには税率が5%に軽減されます。
無申告加算税と同じように、不納付加算税を課されるおそれがあるときにも、できるだけ早く自主的な納付をおこなったほうがよいでしょう。
関連記事:不納付加算税とは?課税対象となるケースや税額の計算方法についても解説
1-4. 重加算税
重加算税は、事実の仮装や隠蔽をしたことが明らかになったときに課される税金のことを指します。
重加算税の税率は、どのような仮装や隠蔽がおこなわれたかによって異なります。
仮装や隠蔽を伴う過少申告がおこなわれたときには、過少申告加算税に代えて35%の税率で重加算税が課されます。また、不納付加算税に代えて重加算税を課すときの税率も35%となっています。
事実の仮装や隠蔽によって申告がおこなわれなかったときには、無申告加算税に代えて40%もの重加算税が課せられます。
関連記事:重加算税が適用されるケースを確認!税額や会計処理方法についても解説
2. 加算税の計算における端数の切り捨て
国税通則法 第118条と第119条には、加算税の端数計算のルールが定められています。これによると、附帯税の額を計算するときにその計算の基礎となる税額に10,000円未満の端数があるときと税額が10,000円未満であるときには、その端数または全額を切り捨てて計算することが可能です。
また、加算税の確定金額に100円未満となる端数があるときには、その端数金額を切り捨てることができます。さらに、附帯税の確定金額が1,000円未満、加算税の確定金額が5,000円未満となるときには全額が切り捨てとなります。
地方税法の第20条にも、延滞金または加算金の金額を計算するときに1,000円未満の端数があるときと税額が2,000円未満であるときには、端数または全額を切り捨てる旨が定められています。
つまり、加算税の税額が低いときや数日のみの延滞で延滞税が低額だったときには、その金額が切り捨てとなり加算税がかからない場合もあります。
3. 加算税や各種税金の納付が遅れてしまったときの問題点
加算税の納付には一定の期間が定められています。国税通則法の35条3項と36条2項では、賦課決定通知書や納税告知書が発行された日の翌日から数えて1ヵ月以内に納付しなければならないと記載されています。
各種税金を定められた納期限までに納付しなかった場合、加算税とともに延滞税の支払いが必要となります。延滞税は納期限の翌日から発生し、納付する日までの超過日数に応じて加算されます。
延滞税の税率は、納期限翌日から2ヶ月目までは未納付額の7.3%または、特定基準割合+1%のいずれか低い金額が課せられます。2ヵ月を経過した場合には未納税額の14.6%に税率がアップします。ただし、延滞税の税率は現状の金利に応じて調整されることがあります。
なお、申告や納税が不適切だったときや国税庁の査察による脱税の事実が明らかになり、無申告や不納付に該当する場合には、加算税の納付義務とともに刑事罰が課される場合もあります。
4. 加算税は企業に損失を与える可能性があるので注意が必要
確定申告が遅れてしまったときや期限までに納税ができなかったときには、ペナルティとして加算税が課せられることになります。
加算税には端数を切り捨てて計算するルールがあるため、ごく少額であれば加算税の納税が免除されることもあります。その一方、期限が大幅に過ぎてしまったときや悪質な隠蔽があったときには高額の加算税が課せられるリスクもあります。確定申告の不備に伴う加算税の徴収は企業にとって大きな損失になるため、十分注意しましょう。万一申告や納付が間に合わない場合には税務署に連絡したり、一旦書類を提出して相談したりと適切に早期に適切な対応をおこなうことが大切です。
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