社会保険適用事務所とは?適用拡大を受けた社会保険加入要件や遡及適用について解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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社会保険適用事務所とは?適用拡大を受けた社会保険加入要件や遡及適用について解説

オフィス

事業が拡大して、法人化や従業員を雇い入れて少しずつ規模が大きくなっていくと、社会保険への加入について考えなくてはいけなくなります。
一定の要件を満たして社会保険適用事務所に該当すると、必ず社会保険に加入しなければいけなくなるため注意が必要です。

この記事では、社会保険適用事務所の概要と社会保険の加入要件について解説します。
自社が社会保険適用事務所に該当するかどうかの判断材料として、ぜひ役立ててみてください。

▼社会保険の概要や加入条件、法改正の内容など、社会保険の基礎知識から詳しく知りたい方はこちら
社会保険とは?概要や手続き・必要書類、加入条件、法改正の内容を徹底解説

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1. 社会保険適用事業所とは?

オフィス一般的に社会保険は、事業所単位で適用されます。
社会保険の適用を受ける事業所のことを、「社会保険適用事務所」と呼びます。

一口に社会保険適用事務所と言っても、2種類の事業所に分類することが可能です。
まずは、社会保険適用事務所の種類について詳しく見ていきましょう。

1-1. 強制適用事業所

強制適用事業所は、法律によって社会保険への加入が義務付けられている事業所のことです。
雇用主や従業員の意思に関係なく、必ず加入しなくてはいけないため注意しましょう。

対象となるのは、以下の2つの事業所です。

①法律で定められた17業種の個人の事業所で常に5人以上の従業員を使用する事業所
法定17業種の例は以下です。
製造業、土木建築業、鉱業、電気ガス事業、運送業、清掃業、物品販売業、金融保険業、保管賃貸業、媒介周旋業、集金案内広告業、教育研究調査業、医療保健業、通信報道業など

法人又は国、地方公共団体の事業所で常に1人以上従業員を使用している事業所

法人の場合は、法人の種類や従業員の人数にかかわらず社会保険適用事務所に該当します。
合同会社や有限会社の場合や、従業員が社長1人しかいない場合でも、社会保険に加入する必要があります。

反対に個人の事業所の場合、法定17業種に該当しなければ、たとえ常時5人以上の従業員を雇い入れていても強制適用事業所に該当しません。該当しない業種の主なものは飲食店や美容室などの接客娯楽業、農業などの第一産業、神社や寺院などの宗教業です。

強制適用事業所に当てはまるのは、健康保険法および厚生年金保険法に定められた業種と法人のみです。

参考:全国健康保険協会 | 適用事業所とは?

1-2. 任意適用事業所

任意適用事業所とは、強制適用事業所に当てはまらない事業所のうち、厚生労働大臣の認可を受けて社会保険の適用が認められた事業所のことです。

その事業所で働く人で被保険者となる予定の人のうち2分の1以上が適用事業所になることに同意した場合、事業主が申請して認可を受けることで適用事業所になることができます。

任意適用事業所となった場合、被保険者の要件を満たす従業員は全員社会保険へ加入しなくてはいけません。
保険料や受けられる給付は、強制適用事業所と同様です。被保険者の4分の3以上が希望した場合は、適用事業所から脱退することが可能です。

2. 社会保険の加入要件(2024年4月~適用拡大)

要件
自社が社会保険適用事務所に該当する場合は、従業員を社会保険に加入させる必要があります。
しかし、すべての労働者を社会保険に加入させなければいけないのかというと、実はそういうわけではありません。

この章では、社会保険の加入要件について詳しく解説します。

2-1. 健康保険と厚生年金の加入要件

健康保険と厚生年金に加入するための基本的な要件は、先述したとおりです。

社会保険の適用事業所で働く者は、代表者や役員、正社員、使用期間中の従業員、パート・アルバイトなどの雇用形態に関わらず加入要件を満たすと健康保険と厚生年金に加入しなければなりません。

ただし、従業員50人以下の適用事業所で働くパートやアルバイトなどの短時間労働者の場合には、週の所定労働時間や月の所定労働日数が正社員やフルタイム方の3/4未満であれば加入する必要はありません。

変わって、従業員51人以上の適用事業所で働くパートやアルバイトなどの短時間労働者の場合は、以下の要件を満たすと加入義務があります。

  • 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上であること
  • 1ヵ月あたりの決まった賃金が8万8,000円以上であること
  • 雇用期間の見込みが2ヵ月を超えること
  • 学生でないこと

なお、健康保険と厚生年金については、従業員数要件を段階的に廃止する方向となっており適用拡大が予定されています。

参考:厚生労働省 | 人を雇うときのルール
参考:政府広報オンライン | パート・アルバイトの皆さんへ 社会保険の加入対象が広がっています。
参考:厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト | 社会保険適用拡大ガイドブック

2-2. 2024年4月に社会保険適用拡大

2022年10月1日からは従業員数101人以上の企業、2024年10月1日からは従業員数51人以上の企業が適用拡大の対象となりました。

具体的には、ここでいう従業員数は、被保険者数に基づいており、加入条件を満たしている必要があります。これに伴い、現行では従業員数が51人以上の事業所は、短時間労働者でも条件を満たせば社会保険に加入させる義務が生じます。未加入のまま営業を続けると、法律違反となり、罰則や差し止め命令が課せられる可能性があるため、企業側は十分に注意を払いましょう。

関連記事:社会保険の加入条件とは?2022年の適用範囲の拡大や未加入時の罰則について解説!

2-3. 従業員数51人以上で適用拡大の対象になった場合の手続き

社会保険に加入できる従業員の人数を正確に把握し、必要な手続きを怠らないことが重要です。

併せて、適用拡大の影響を受ける従業員との面談も欠かせません。具体的には、今後の労働時間や勤務形態についての意向をしっかりヒアリングし、必要なサポートを提供する体制を整えることが求められています。例えば、労働時間の柔軟性や、育児や介護を目的とした制度の整備についても、現場に即した意見を反映させることが望ましいです。

これらの手続きや対話を通じて、企業全体の労働環境をより良くする取り組みが求められるでしょう。今回の法改正に該当する場合は、対象の従業員の保険加入手続きをおこなう必要があるため、当サイトでは、本章で解説した法改正について、法改正の概要だけでなく対象者や事業所がすべき対応などを解説した資料を無料で配布しております。

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2-4. 労働保険と雇用保険の加入条件

一般的に社会保険というと健康保険と厚生年金を指しますが、労働保険や介護保険を含めてひとくくりに社会保険という場合もあります。
そのため、あわせて押さえておきたい労働保険と介護保険の加入条件についても紹介しておきます。

労働保険は、雇用形態にかかわらず労働者を1人でも雇っている事業所であれば必ず加入しなければいけません。
労働保険に加入するための要件は、以下のとおりです。

◎労災保険

  1. 労働者を1人でも雇っている事業所

◎雇用保険

  1. 1週間の所定労働時間が20時間以上の者
  2. 31日以上引き続き雇用されることが見込まれる者

従業員が1人でもいる事業所は労災保険に加入しなければいけませんが、雇用保険に関しては適用となる従業員が限られるため注意してください。

介護保険は、健康保険に加入している65歳以上の人(第1号被保険者)と、40歳から64歳までの人(第2号被保険者)が支払う必要のある保険です。[
健康保険の適用事業所で対象となる従業員がいる場合は、こちらもあわせて押さえておきましょう。

参考:厚生労働省 | 労災保険への特別加入
参考:厚生労働省 | 介護保険制度について

関連記事:雇用保険の加入条件とは?雇用形態ごとのケースや手続き方法について

3. 二以上事業所勤務届の対象になる場合の社会保険

分岐する様子近年はフリーランスや個人事業主、副業を始める人が増えたため、複数の企業から収入を得ている人は珍しくなくなりました。
さまざまな働き方で2ヵ所以上から報酬を得ている人は、2つの会社で社会保険加入手続きをおこなわなくてはいけない「二以上事業所勤務届」の対象者に該当するかもしれません。

2つの企業において社会保険への加入要件を満たす場合は、両方の会社で社会保険の資格を取得し、メイン事業所とサブ事業所を選択します。
そのうえで、各事業所の標準報酬額に応じた比率で保険料を按分して支払うことになります。

二以上事業所勤務届の対象となる従業員がいる場合は、その事実が発生してから10日以内に「健康保険・厚生年金保険 所属選択・二以上事業所勤務届」を届け出てもらいましょう。
提出先は、選択する事業所の所在地を管轄する年金事務所です。被保険者本人が手続きする必要があることを説明してください。

参考:日本年金機構 | 複数の事業所に雇用されるようになったときの手続き

4. 遡及適用とはどのような制度?

足元

遡及適用とは、社会保険の強制適用事業所であったのにもかかわらず、加入手続きをしなかった場合にさかのぼって社会保険に加入する制度です。

社会保険の資格取得手続きや確認請求をした日から最大2年間さかのぼれますが、行政の指導を受けて遡及適用となった場合、過去2年間の保険料を一括請求されるケースがあるため注意が必要です。

万が一、遡及適用となって保険料を一括納付した場合でも、従業員の許可なく給与から今までの保険料を控除することはできません。
従業員の生活もあるため無理のない範囲で保険料を控除していくことになるため、企業の負担は非常に大きくなるでしょう。

参考:労働法ナビ | 昭和2年2月5日 保発112号

関連記事:社会保険の遡り加入をすべきケースや支払い方法について

5. 社会保険適用事務所の要件を理解して適切な企業経営を

経営者従業員の健康的な暮らしや生活を守る社会保険に加入することは、雇用主にとっての義務です。
社会保険適用事務所に該当する場合は、必ず社会保険の加入手続きをおこなっておきましょう。

社会保険の加入要件は保険の種類によって異なるうえに、「二以上事業所勤務届」や「遡及適用」などの関連制度も多岐にわたります。さらに、法改正によって適用範囲が拡大されているため、従来は適用されていない従業員であっても加入の必要があります。なお、社会保険の資格取得手続きや確認請求をした日から最大2年間さかのぼれるものの、行政の指導を受けているなら過去2年間の保険料を一括請求されるケースがあります。雇用主や人事・経理担当者は正しい知識を身につけ、適切に運用することが大切です。

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「これで合っているだろうか?」と不安になる瞬間もあるのではないでしょうか。

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