所得税と住民税の違いは?高いのは?計算方法の違いについても解説
更新日: 2025.12.23 公開日: 2022.3.8 jinjer Blog 編集部

所得税と住民税はどちらも個人の所得にかかる税金ですが、納付先や計算方法が異なります。給与計算上の徴収方法にも違いがあるため、それぞれの特徴を正しく理解しておくことが大切です。
本記事では、所得税と住民税の違いについて、納付先や課税対象の年度、税率、控除額、計算方法など、多角的な視点から詳しく解説します。また、年末調整や確定申告を通じた両者の関係性についても紹介します。
目次
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1. 所得税と住民税の違い


所得税も住民税も、個人の1年間の所得額に応じてかけられる税金ですが、それぞれ納める先が異なる全く別の種類の税金です。
所得税と住民税、それぞれの税金にどのような違いがあるのか、さらに詳しく見てみましょう。
1-1. 国税と地方税の違い
税金は大きく分けると2種類あります。国に納める国税と、都道府県や市町村など地方公共団体に納める地方税です。このうち、所得税は国税、住民税は地方税に該当します。
さらに、国税・地方税は、納税義務者と納付者が同じである直接税と、納税義務者と納付者が異なる間接税に分けられます。なお、所得税は国税の直接税、住民税は地方税の直接税です。
本来は、所得税も住民税も納税者義務者がそれぞれの納付先へ直接納税するものですが、会社員の場合は事業主が代わりに徴収して納税する仕組みになっています。
1-2. 課税対象年度の違い
所得税はその年の所得に対して課税されるのに対し、住民税は前年の所得に基づいてその年の課税額が決まるといった違いもあります。
具体的に説明すると、所得税の場合、その年の所得額に対して年末調整または確定申告をおこなうことで、最終的な所得税額を確定させます。概算で支払った所得税額に過不足があった場合は、年末調整後または確定申告後に還付または納付します。
一方で、住民税の場合は、前年の1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて算出され、今年の6月から来年の5月にかけて支払うこととなっています。
1-3. 税率の違い
日本の所得税は累進課税制度が採用されており、所得が増えるにつれて段階的に税率が上がる仕組みとなっています。税率は5%~45%の範囲で7段階に分けられており、所得に応じて税率を適用させます。さらに、平成25年から令和19年までの期間は、復興所得税(2.1%)が課せられているため、合わせて計算も必要です。
住民税については所得税と異なり、税率は一律10%です。このうち道府県民税(都民税)が4%、市町村民税(区民税)が6%となっています。
参考:No.2260 所得税の税率|国税庁
参考:個人住民税|総務省
1-4. 所得控除の違い
所得控除とは、税額を計算する際に一定の額を所得から差し引くことのできる制度のことです。所得控除についても、次のように所得税と住民税では控除額に違いがあります。
|
所得控除 |
所得税(令和7年分) |
住民税(令和8年度) |
|
基礎控除 |
最高95万円 |
最高43万円 |
|
配偶者控除 |
最高38万円 ※老人控除対象配偶者は最高48万円 |
最高33万円 ※老人控除対象配偶者は最高38万円 |
|
配偶者特別控除 |
最高38万円 |
最高33万円 |
|
扶養控除 |
・一般:38万円 ・特定:63万円 ・老人:48万円(同居:58万円) |
・一般:33万円 ・特定:45万円 ・老人:38万円(同居:48万円) |
|
特定親族特別控除 |
最高63万円 |
最高45万円 |
|
障害者控除 |
27万円 ※特別障害者は40万円(同居:75万円) |
26万円 ※特別障害者は30万円(同居53万円) |
|
寡婦控除 |
27万円 |
26万円 |
|
ひとり親控除 |
35万円 |
30万円 |
|
勤労学生控除 |
27万円 |
26万円 |
|
社会保険料控除 |
支払った額 |
支払った額 |
|
小規模企業共済等掛金控除 |
支払った額 |
支払った額 |
|
生命保険料控除 |
最高12万円 |
最高7万円 |
|
地震保険料控除 |
最高5万円 |
最高2.5万円 |
参考:個人住民税|東京都
参考:説明資料〔個人住民税について〕|内閣府
なお、令和7年度の税制改正により、基礎控除額の見直しや特定親族特別控除の新設などがおこなわれ、控除額の水準に変更が加えられています。
また、このほかにも「雑損控除」「医療費控除」「寄附金控除」といった所得控除があります。これらも同様に所得から一定額を差し引く仕組みですが、総所得金額等(各種所得金額の合計額に純損失や雑損失などの繰越控除を適用した後の金額)により控除額が変動する点に注意が必要です。
1-5. 均等割の有無の違い
住民税は、所得に応じて課税される「所得割」と、所得に関わらず定額で課される「均等割」の2種類で構成されています。ただし、生活保護を受けている人や、所得が一定以下の人などは、均等割・所得割のいずれも課税されず、いわゆる「住民税非課税世帯」となります。
均等割の標準額は、原則として4,000円(都道府県民税1,000円、市町村民税3,000円)です。さらに、令和6年度からはこれに加えて、国税として森林環境税1,000円が徴収されます。
参考:個人住民税|総務省
2. 所得税と住民税の決定の仕組み


所得税と住民税の違いについておおよそ理解ができたところで、次はそれぞれの計算方法の違いについても詳しく見てみましょう。
2-1. 所得税の計算方法
所得税の計算は、まず1年間の総収入額のうち、課税対象となる「課税所得」を次の計算式で算出します。
①1年間の総収入額 – 必要経費 – 各種所得控除 = 課税所得
課税所得が算出できたら、次は「基準所得税額」を算出します。計算式は次のとおりです。
②課税される所得金額 × 税率 – 課税控除額 = 基準所得税額
基準所得税額を求めるための速算表については、国税庁のサイトを参照してください。
参考:No.2260 所得税の税率|国税庁
基準所得税額の算出ができたら、税額控除を引き、所得税額を確定します。計算式については次のとおりです。
③基準所得税額 – 税額控除 = 所得税額
参考:No.1200 税額控除|国税庁
さらに、2037年までは、「復興特別所得税」を納付する義務があります。
④基準所得税額 × 2.1% = 復興特別所得税額
参考:個人の方に係る復興特別所得税のあらまし|国税庁
関連記事:所得税計算の税率は?所得税計算の基礎や控除を解説!
2-2. 住民税の計算方法
住民税は、先に述べたとおり、「所得割」と「均等割」の2種類で構成されており、それぞれ「都道府県民税」と「市区町村民税」に分かれています。
なお、一部の自治体では法令の範囲内で独自の上乗せ(超過課税)をおこなっている場合もあります。ここでは、標準的な税率をもとに、住民税の計算方法を説明します。
所得割は、課税所得に対して一律10%を掛けて求めます。この際、所得税と住民税で控除額に差があることを調整するための「調整控除」や、住宅ローン控除などの「税額控除」が適用されます。
均等割は、所得に関係なく一律で課される税金で、現行は都道府県民税1,000円、市区町村民税3,000円、森林環境税1,000円の合計5,000円です。
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3. 給与計算における所得税と住民税の計算・徴収方法


所得税や住民税の決まり方を理解したうえで、次に実際の給与計算ではそれらの税金が毎月どのように差し引かれているのかを確認してみましょう。
3-1. 所得税は源泉徴収税額表を基に計算・徴収する
所得税は、従業員が給与を受け取るたびに会社が「源泉徴収税額表」をもとに計算し、あらかじめ天引きして納める仕組みになっています。税額表では、扶養親族の人数や社会保険料控除後の給与額などを基準に細かく税額が定められており、会社はその区分に従って毎月の源泉所得税額を算出します。
ただし、このとき差し引かれる所得税はあくまで概算であり、実際の年間所得や控除額とは必ずしも一致しません。そのため、年末には1年間の給与総額や保険料・扶養控除などの情報をもとに「年末調整」をおこない、過不足を精算して正しい所得税額を確定します。年末調整の結果、納めすぎていた場合は還付され、不足していた場合は追加で徴収されます。
このように、源泉徴収と年末調整の仕組みによって、原則として従業員自身が確定申告をする必要がなく、会社を通じて正確な所得税が納付されるようになっているのです。
関連記事:所得税とは?源泉所得税や定額減税など複雑な処理を詳しく解説
3-2. 住民税は特別徴収税額決定通知書を基に徴収する
会社は毎年1月に「給与支払報告書」を提出し、従業員の所得情報を市区町村に報告します。市区町村はこの情報をもとに、従業員ごとの住民税額を計算します。
その後、毎年5月頃に市区町村から会社へ「特別徴収税額決定通知書」が送られます。この通知書には、各従業員の年間住民税額と、6月から翌年5月までの毎月の徴収額が記載されています。会社はこれに基づき、6月以降の給与から住民税を毎月差し引き、納付します。
この従業員に代わって会社が住民税を徴収・納付する仕組みを「特別徴収」とよびます。なお、年度途中で入社や退職があった場合は、徴収方法を変更する手続きが必要になることもあります。
関連記事:住民税はいつから天引きして納付する?時期や手続き方法をわかりやすく解説
3-3. 納付期限は原則として翌月10日
給与から天引きした所得税・住民税は、原則として翌月10日までに納付する必要があります。具体的には、所得税は従業員の給与を支払った会社の所在地を管轄する税務署へ、住民税は従業員の住所地の市区町村へ納めます。納付が遅れると、延滞税や不納付加算税などのペナルティが発生する可能性があるため、期限を守ることが重要です。
なお、従業員が常時10人未満の事業所では「納期の特例」を利用することで、所得税・住民税を半年ごと(7月と1月)にまとめて納付できます。ただし、申請をおこなわなければ特例は適用されないので、事前の手続きが必要です。
4. 所得税と住民税の関係性


所得税と住民税は、国税と地方税という違いをはじめ、さまざまな点で異なります。しかし、まったく無関係というわけではありません。両者にはどのような関係があるのか、押さえておきましょう。
4-1. 住民税は所得税の確定申告情報を元に計算される
所得税は「申告納税方式」が採用されており、原則として自分で確定申告をおこない、納税します。確定申告の内容は税務署だけでなく市区町村にも通知され、住民税の計算に利用されます。
そのため、住民税は所得税の申告情報を基に賦課されることになります。つまり、所得税と住民税は性質の異なる税金ですが、どちらも同じ所得情報をもとに算出されるので、所得の申告が両方の税額計算の基礎になっているという関係にあります。
4-2. 年末調整をおこなっている場合は確定申告は不要
給与所得者(会社員やパート・アルバイト)の所得税は、原則として会社が年末調整によって計算・確定し、納税まで代行します。そのため、年末調整を受けた給与所得者は、通常、確定申告をおこなう必要はありません。また、会社が年末調整の結果を反映した「給与支払報告書」を従業員の居住する市区町村に提出することで、自治体は翌年度の住民税を計算できます。
ただし、給与収入がその年に2,000万円を超える場合など、年末調整の対象外となる従業員は、自分で確定申告をおこなう必要があります。また、副業による所得が20万円を超える場合や、医療費控除・雑損控除・寄附金控除などを受ける場合も、年末調整だけでは対応できないため、従業員自身による確定申告が必要です。
関連記事:年末調整の対象者とは?必要書類や確定申告との関係も解説
4-3. 副業所得が20万円以下の場合でも住民税申告は必要
年末調整を受けており、副業で得た所得が20万円以下の場合、原則として所得税の確定申告は不要です。しかし、住民税については、たとえ副業の所得が20万円以下でも申告が必要です。
本業の給与所得に加えて副業の所得を市区町村に申告することで、正確な課税額が算出されます。特に給与所得のみで年末調整を受けている場合は、副業の所得を申告しなければ、住民税に反映されません。
申告を怠ると、市区町村から問い合わせが入ったり、誤った課税額で住民税が課されたりする可能性があります。少額であってもほかに所得がある場合は、必ず住民税の申告をおこなうよう従業員に案内しましょう。
5. 所得税と住民税に関連するよくある質問


所得税と住民税に関連するよくある質問への回答を紹介します。
5-1. 所得税と住民税どちらが高い?
控除の内容や金額は人によって異なるので、所得税と住民税のどちらが高くなるかは一概には言えません。一般的には、所得が低い人ほど「所得税<住民税」となりやすく、所得が高い人ほど「所得税>住民税」となる傾向があります。そのため、所得の少ない人は住民税の負担が相対的に重く感じられることがあるでしょう。
所得税は課税所得に応じて税率が変わる累進課税制度(5%~45%)で、所得が高くなるほど税率も高くなります。一方、住民税の所得割は原則として一律10%です。また、住民税には所得に関係なく課される「均等割」があり、これも低所得者にとって負担の一因となります。
5-2. 住宅ローン・ふるさと納税が控除されるのは?
住宅ローンやふるさと納税については、所得税と住民税で控除を受けられる制度があります。それぞれ「住宅ローン控除(住宅借入金等特別控除)」と「寄附金控除」とよばれ、通常の控除とは仕組みが異なります。
住宅ローン控除では、年末時点のローン残高に応じた一定額が、まず所得税から控除されます。控除しきれない分については、住民税からも一定の上限内で控除されます。会社員の場合、ローンを組んだ初年度は確定申告が必要ですが、2年目以降は年末調整で控除手続きが可能です。
参考:所得税から住宅ローン控除額を引ききれなかった方|総務省
ふるさと納税(寄附金控除)については、自治体に寄附した金額のうち、2,000円を除く全額(※上限あり)が所得税・住民税から控除されます。控除を受けるには原則として確定申告が必要ですが、会社員の場合はワンストップ特例制度を利用すれば確定申告を省略できます。ただし、ワンストップ特例制度を利用する場合、所得税からの控除はおこなわれず、その分も含めて翌年度の住民税から控除されます。
住宅ローン控除とふるさと納税を同時に利用する場合、住宅ローン控除の住民税からの控除上限の関係で、ふるさと納税をワンストップ特例制度で手続きした方が有利になることがあります。一方で、減税額に影響がない場合は、ワンストップ特例ではなく確定申告をおこなうことで、所得税からの還付を受けられるため、現金を早めに手元に戻せる可能性があります。
5-3. 退職金からも所得税と住民税を徴収すべき?
退職金は所得税と住民税が課されます。しかし、「退職所得」に区分されるため、給与や賞与といった「給与所得」と計算・徴収方法が異なります。
まず、所得税については、退職金の支給時に源泉徴収されます。この際、「退職所得の受給に関する申告書」を提出していれば、退職所得控除を反映した税額で源泉徴収されます。申告書を提出していない場合は控除が適用されず、税額が高くなる可能性があるので注意が必要です。
参考:No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)|国税庁
次に、住民税も退職金に課されますが、支給時に差し引かれ、退職した年の1月1日時点で住んでいた市区町村に納付されます。住民税の課税方式は、原則として現年分離課税主義に基づき、退職所得のみを対象に計算されます。そのため、給与所得とは別に課税される点が特徴です。また、「普通徴収」を選択している場合でも、退職金は「特別徴収」によって徴収されるので注意が必要です。
参考:地方税法第328条~第328条の7|e-Gov法令検索
6. 所得税と住民税の違いを理解して正確な計算と説明ができるようにしよう


所得税と住民税はいずれも個人の所得に課される税金ですが、納付先や計算方法には違いがあります。例えば、所得税は国に納めるのに対し、住民税は居住する自治体に納める必要があります。また、税率や控除額、課税の仕組みも異なるため、正確な計算には注意が必要です。
このような違いを踏まえ、給与計算や年末調整を正確におこなうには、必要な情報を入力するだけで自動計算してくれる給与計算ソフトの活用が効果的です。これにより、納税ミスを防ぎつつ、業務効率の向上も期待できます。



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