年末調整がめんどくさい4つの理由と楽にするコツを解説
秋が近づくと年末調整のことを考え始めるという人事担当者は多いかもしれません。年末調整は作業の煩雑さから、面倒に感じやすい業務のひとつです。
本記事では、年末調整が面倒と思われる理由について解説し、関連業務を楽にするポイントを紹介します。
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1. 年末調整がめんどくさいと思われている理由
年末調整は年に一度しかない手続きのため、書類作成に慣れていない従業員も多く、「書類がなかなか揃わない」「記入ミスが多い」など、スムーズに作業が進められない要素が色々とあります。
総務や経理の業務負担を減らし年末調整を効率化させるためにも、まずは年末調整が面倒に感じる4つの理由について知っておきましょう。
1-1. 申告書類が期日までに揃わない
年末調整は作業に時間がかかることから、どの企業も提出期日を設けて、従業員に期日厳守を周知徹底させています。
全従業員の申告書を期日までに回収できれば、年末調整の作業もスムーズに進みますが、なかなか担当者の思い通りにならないケースもあります。例えば、「年度末で多忙」などの理由により、従業員が期日を守れないこともあるでしょう。
期日を過ぎている従業員がいる場合、個別に提出を促す対応をしなければならず、作業工程が余計に増えてしまいます。また、期日までに提出されても、年末調整の申告書類が足りなかったり、控除証明書が添付されていないなどの場合も、同様な対応が必要となります。
▼スムーズに書類を集めたいかたはこちらの記事をチェック
年末調整の必要書類の集め方|スムーズに手続きするためには?
1-2. 記入ミスなどで修正依頼をしなければならない
年末調整の申告書は、普段聞きなれない税務上の用語が多く登場します。また、年に一度しか書類を作成しないため、従業員が記入方法を覚えていないことも多いでしょう。
これらの理由によって、記載を間違ったまま従業員から申告書が提出されることがあります。この場合にも、個別に従業員へ書き方の指導をおこなうなど、別途作業が発生します。
このように、紙で年末調整をおこない、従業員が手書きで記入する場合、数字が読みにくかったり、記載ミスが発生したりすることで、業務がスムーズに進まないといったお悩みを抱えているご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。当サイトでは年末調整を電子化することで、年末調整のどの業務をラクにできるのかをまとめた資料を無料でお配りしています。年末調整の電子化にご興味のある方は、こちらから「3分でわかる!システム化で変わる年末調整」をダウンロードして、忙しい年末調整業務のお悩み解決にお役立てください。
▼訂正方法を伝える際に気を付けることはこちら
年末調整の書類で間違いに気づいたときの正しい訂正方法
1-3. 所得控除の内容が個々に違うためチェックや計算が煩雑になる
年末調整で扱う所得控除の数は、全部で11種類あります。申告される所得控除の内容は、従業員それぞれで異なるため、個別に計算が必要となってきます。
もちろん、従業員数が多い企業では計算にかかる手間や時間も膨大です。また、令和2年度の制度改正のように、年末調整のルールや計算方法が変わると、新制度にあわせて計算しなくてはならないため、慣れないうちは時間がかかってしまうかもしれません。
そのため、年末調整の作業前に改正された事項がないかどうか確認しておく必要もあります。
1-4. 税務署と自治体へ提出する報告書類を作成しなければならない
各従業員の計算が終わったら、計算結果に応じて過不足分を従業員へ還付、または徴収します。
また、税務署や従業員が居住する各自治体へ提出する報告書類を作成しなければなりません。報告書類には、支払調書や法定調書合計表、源泉徴収票、給与支払報告書などがあります。
このように、煩雑な計算が終わっても、やらなくてはいけない作業が多くあります。
2. 年末調整をおこなわないことによるリスク
年末調整は、非常に骨の折れる業務でありますが、だからといって年末調整を実施しないと、企業や従業員に大きなリスクが生じます。
どのようなリスクが発生するのか、具体的にみていきましょう。
2-1. 罰則が科される可能性がある
企業が年末調整を実施することは、所得税法上で義務付けられています。
年末調整を実施しないと、10年以下の懲役もしくは200万円以下の罰金が科される可能性があります。また、徴収した所得税を期日までに納付しない場合、期日の翌日から遅れた日数に対して延滞税を原則支払わなくてはいけません。
罰則が科せられるだけでなく、もしメディアなどで取り上げられてしまうことがあると、社会的な信用を失うことにもなりかねません。年末調整を実施しないことは、企業にとって非常に大きなリスクとなるため、期日に間に合うよう実施しましょう。
なお、源泉所得税の納付期限は翌年の1月10日、書類の提出期限は翌年の1月31日となります。期限に遅れてしまった場合、すぐに罰則を科せられることはありません。遅れそうな場合は、予め税務署に連絡をいれることで数日の猶予をもらえるのが一般的です。
参照:所得税法|eーGOV法令検索
参照:No.9205 延滞税について|国税庁
関連記事:年末調整しないことによる罰則内容を詳しく紹介
2-2. 従業員の税額や作業の負担が増える
年末調整をしないことは、企業が罰せられるだけではなく、従業員にも大きな負担を与えてしまいます。まずは年末調整によって、戻るはずだった所得税の還付金が返金されず、所得税を多く支払うことになってしまいます。
さらに、年末調整がおこなわれないと、従業員が個々に確定申告をおこなわなくてはなりません。
従業員にとっては金銭面でも手間の面でも負担となる可能性があるため、注意しましょう。
関連記事:年末調整をしないとどうなる?考えられる5つのリスクを解説
3. めんどくさい年末調整を楽にするポイント
年末調整は作業量が多いことから、少しでも手間を省き、余裕をもって作業を終わらせたいものです。ここでは、年末調整の業務効率につながるポイントについて解説します。
3-1. 年末調整の作業スケジュールを作成する
年末調整の作業スケジュールを組んでおくことで、いつ何をやるかが明確となり、スムーズに作業を進めることができます。
参考までに、年末調整の作業スケジュールの一般的な流れについて紹介します。
(10月下旬~11月)
- 年末調整の申告書の配布・注意事項の周知
- 年末調整の申告書への記入・回収
- 申告書のチェック・不備箇所の修正依頼
(12月)
- 年末調整の計算
- 源泉徴収簿の作成
(1月)
- 源泉所得税の納付
- 法定調書の作成・提出
年末調整の記入ミスが多いと修正依頼の手間が増えるため、年末調整の作業スケジュールにも影響が出てしまうかもしれません。とくに経験の浅い若手社員などは、よく分からないままに記入してしまい、ミスにつながっているケースもあるでしょう。
こういったミスを減らすためには、年末調整の記入マニュアルを作成しておくのがおすすめです。とくに記入ミスの多い内容については、あらかじめ注意事項として従業員に周知しておくとよいでしょう。
▼年末調整のやり方について知りたい方はこちら
年末調整のやり方・手引きをイチから分かりやすく解説
3-2. 年末調整の申告を電子化する
用紙でおこなっていた年末調整の申告を、電子化することで色々な手間を省くことができます。電子化されることで、以下のようなメリットがあります。
- 用紙での回収作業が不要となり、コスト削減もできる
- 従業員側での控除額の計算や記入が簡略化できるため、ミスが減る
- 給与システムと連携させることで、年税額の計算が容易になる
- 用紙での保管が不要となる
- 控除証明書の電子データでのやり取りが可能となる
年末調整の申告を電子化するには、専用のソフトウェアの導入が必要となります。
国税局が無償で提供している「年調ソフト」を利用するほか、民間企業が取り扱っている多機能なクラウド型システムを導入する方法もあります。
関連記事:年末調整の電子化はここまで進んでいる!気になる手続きの方法
関連記事:年末調整手続きの電子化は義務?令和2年からの改正内容
3-3. 会計ソフトを導入する
給与計算や年末調整を手計算している場合は、会計ソフトを導入することで、計算にかかる手間や時間を大幅に削減することができるでしょう。
機能が充実している会計ソフトは多く、なかには給与計算のみならず年末調整の計算もおこなえるものもあります。
なお、こうした会計ソフトは年末調整の時だけでなく、普段の給与計算にも活用できるため、導入を検討するのもひとつの手です。
4. 年末調整の手間を省いて効率よく作業を進めよう
年末調整を「面倒に感じさせる」理由には、期日までに書類が揃わない、書類の不備、計算やチェックの煩雑さ、報告書類の作成などがありました。
これらは、記入マニュアルの準備、年末調整の申告の電子化、給与システムの導入によって解決できます。
年末調整が面倒だからといって実施しないのは、企業や従業員にとって大きなリスクとなります。
今回紹介した内容を参考に、手間を減らして効率よく作業を進めましょう。
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