所定休日と法定休日の違いとは?休日出勤時の割増賃金の考え方も解説
更新日: 2025.9.29 公開日: 2021.9.8 jinjer Blog 編集部

会社が労働日を決めるときは、従業員に与える休日についても考えなくてはいけません。休日には「所定休日」と「法定休日」の2種類があり、それぞれの定義や運用方法は異なるため、きちんと区別することが大切です。
この記事では、所定休日と法定休日の違いを説明します。正しく意味の違いを把握して、法律を遵守して休日の管理をしていきましょう。
人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。
そこで当サイトでは、労働基準法にて定められている内容をもとに、振休や代休など休日を取得させる際のルールを徹底解説した資料を無料で配布しております。
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1. 所定休日と法定休日の違い

従業員にとっては、所定休日も法定休日も同じように感じるかもしれませんが、両者は法的な扱いがまったく異なります。さっそく、それぞれの違いについて見ていきましょう。
1-1. 所定休日(法定外休日)とは
所定休日とは、「法定外休日」とよばれることもある休日です。その名の通り法に定められている休日ではなく、会社が独自に決められる休日のことを言います。
一般的に多く見られるのは、週末2日間の休みのうち、土曜日を所定休日と決めている会社です。勘違いされやすいのですが、国民の休日は労働基準法上で定められている休日ではありません。
したがって、休みにするためには所定休日として規定しておく必要があります。休ませる日数やスケジュールは、会社が自由に決めることが可能です。なお、決めた所定休日は、就業規則や休日規程などで明確にしておくことが重要です。
関連記事:所定休日とは?その意味や設定のポイント・注意点を解説
1-2. 法定休日とは
法定休日とは、労働基準法で定められた休日のことです。同法35条では、週に1日もしくは4週に4日の休日を与えることが義務付けられています。
この最低限の休日が、法定休日なのです。なお、日数の要件さえ満たしていれば、1週間のうちいつ法定休日を取得させても問題ありません。日曜日に法定休日を決めている会社が多いですが、火曜日や水曜日などを法定休日とすることも可能です。
注意したいのが、法定休日だけでは所定労働時間の要件を満たせない会社が多い点です。労働基準法の32条では、1日8時間、週に40時間を超えて仕事させてはいけないと定めています。
1日8時間労働の会社で週1日の法定休日のみで休日を運用してしまうと、週の労働時間が法定労働時間(40時間)を超えてしまいます。1日8時間勤務の会社は1日所定休日を与える、週6日勤務の会社は1日6時間40分未満の労働時間にするなど、法律に違反しないための工夫が必要になります。
指定休日とは
指定休日とは、企業があらかじめ特定した休日を指す実務上の用語で、法定休日を特定した日を指す場合や、所定休日の中で明示された日を指す場合など、用い方は企業によって異なります。
例えば、会社が「毎週日曜日を法定休日とする」と就業規則などで定めた場合、この日曜日を「指定休日」とよぶこともありますが、法律上の正式な用語ではありません。そのため、指定休日という言葉の意味や取り扱いは、各企業の就業規則や勤務制度に基づいて確認することが重要です。
1-3. 所定休日と法定休日を分ける理由
所定休日と法定休日は、そもそも定義や要件が異なるため区別されています。しかし、ほかにも両者を分けて考えておくべき理由はあります。詳しくは次の章で紹介しますが、両者では休日出勤をしたときに発生する手当や割増賃金が異なるためです。
会社にとっては法定休日に働かせるほうがコストが大きいため、区別したうえで休日出勤させる必要があります。会社側はもちろん、従業員側にも各休日の違いを理解してもらい、正しい賃金について把握してもらうことが大切です。
関連記事:法定休日と祝日の違いとは?重なる場合の処理や注意点を解説
2. 所定休日や法定休日の割増賃金について

従業員にとっては法定休日と所定休日のいつ出勤しても「休日出勤」であることに変わりませんが、会社側の給与計算はどちらに該当するかで大きく異なってきます。
ここからは、それぞれの割増賃金について詳しく見ていきましょう。
2-1. 法定休日に出勤したときの割増賃金
労働基準法で義務付けられている休日は「法定休日」です。法定休日に労働させた場合、労働基準法第37条に基づき、通常の賃金に35%以上の割増率を掛けて休日手当(休日労働の割増賃金)を支払う必要があります。
例えば、時給1,500円の労働者が法定休日に10時間働いた場合、「1,500円 × 1.35 × 10時間 = 20,250円」の休日手当が発生します。なお、法定休日の労働はすべて休日労働として取り扱われ、時間外労働とは別に計算されるため、時間外労働の時間数に含めないよう注意が必要です。
関連記事:休日手当とは?割増賃金率の種類や計算方法、休日出勤でも手当が発生しない場合を解説
2-2. 所定休日に出勤したときの割増賃金
所定休日は法で定められた休日ではないため、休日手当は発生しません。ただし、所定休日に法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超える労働をさせた場合、25%以上の時間外手当(時間外労働の割増賃金)を支払わなければなりません。なお、その月の時間外労働が60時間を超える場合は割増率が25%以上から50%以上に引き上げられる点にも注意が必要です。
例えば、月〜金で8時間ずつ勤務している会社で、土曜日(所定休日)にさらに8時間働かせた場合、週の労働時間が48時間となるため、超過分の8時間に対して時間外手当を支払う必要があります。一方で、週全体の労働時間が40時間以内に収まっている場合であれば、たとえ所定休日に8時間働かせても、割増賃金の支払い義務は発生しません。
関連記事:休日出勤は残業に含まれる?残業代・残業時間の計算方法や割増賃金の取り扱いも解説!
3. 振替休日と代休の違い
「振替休日」と「代休」の違いは、労働者の給与計算にも関わってきます。ここを理解しておかなければ労使間のトラブルにもつながりかねません。認識があいまいな方はここで理解しておきましょう。
まず振替休日は、あらかじめ休日と定められている日を労働日とし、その代わりに他の労働日を休日とすることを指します。一方で代休は、休日出勤がおこなわれた後に、その代償として以後の特定の労働日を休みとする制度です。つまり、振替休日は「事前に休日と勤務日を入れ替えること」であり、代休は「休日勤務した代わりに休みを取ること」を意味しています。

振替休日と代休の違いは、休みを決めるタイミングと給与の計算方法の2つありますが、こちらの記事では給与の支払い方法に絞って解説します。違いを詳細まで確認したい場合は参考記事をご参照ください。
関連記事:振休(振替休日)と代休の違いとは?をわかりやすく徹底解説!
3-1. 振替休日と代休では休日出勤時の割増賃金が異なる
振替休日とは、あらかじめ定められた休日と勤務日を事前に入れ替えておく制度です。この場合、たとえ入れ替えた日がもともとの法定休日であっても、事前に振替が成立していれば休日出勤とはみなされず、35%の割増賃金(休日手当)は不要です。
ただし、振替先の休日が翌週など週をまたぐ場合、振替元の週の労働時間が40時間を超えているときは、超過時間について25%以上の時間外手当が必要となります。これは振替により「法定休日労働」は回避されていても、「時間外労働」としての割増が必要ということです。
一方、代休は、休日出勤の後の別日に休みを与える制度であり、法定休日に実際に労働させた事実は消えないため、休日手当(35%以上)は必ず支払わなければなりません。なお、代休で相殺できるのは通常賃金分のみであり、割増部分の支払い義務は残ります。
また、所定休日に出勤させた場合でも、その週の労働時間が40時間を超えると、超過分に対して25%以上の時間外手当が必要になります。逆に週内で40時間以内であれば、所定休日の労働に対する割増は不要です。正しい割増賃金を支払わないと労働基準法違反になるケースもあるので、しっかり理解しておきましょう。
当サイトでは、休日・休暇や振替休日・代休の違いを労働基準法に沿ってまとめた資料を無料で配布しております。休日労働をさせた場合の割増賃金の考え方も解説しておりますので、休日・休暇に関して不安な点がある担当者様は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
4. 所定休日や法定休日の運用ポイント

会社が健全な仕事環境を整えるためには、休日の違いを押さえたうえで、適切に運用することが欠かせません。
ここからは、所定休日や法定休日を運用するときのポイントを見ていきましょう。
4-1. 労働基準法の要件を満たす
休日を決定して運用するときは、労働基準法の要件を満たさなくてはいけません。
同法では、「週に1回以上または4週間に4回以上の休日」と「1日8時間、週に40時間の労働時間」を定めているため、これに違反しないように休日を決める必要があります。
極端な話、「4週間のうち月末の4日でまとめて休日を取らせる」ということも可能です。しかし、これでは法定労働時間(週40時間)の要件を満たせなくなる可能性が高く、労働者の健康を確保する点から好ましくはありません。あくまでも4週4日の休日は例外という扱いになります。
法定休日と労働時間の双方をクリアできるよう、休日の管理をしなくてはいけません。なお。休日は、原則として0時から24時の暦日単位で与える必要があります。夜勤を導入している事業者では、シフトの組み方に注意が必要です。
参考:休憩・休日|厚生労働省
関連記事:夜勤明けは休みの日扱いになる?例外や有給休暇で処理できるかも解説!
4-2. 休日出勤があるときは36協定を締結する
36協定とは、1日8時間・週40時間の法定労働時間を超える時間外労働、および法定休日の出勤が発生するときに締結しなくてはいけない協定です。
正式名称は「時間外・休日労働に関する協定書(届)」ですが、労働基準法第36条に記載されている内容であるため、一般的に36協定とよばれています。
対象となる従業員が1人でもいれば協定の締結と労働基準監督署への届出が必要であり、未提出で時間外労働や休日労働をおこなわせた場合は労働基準法違反となります。とくに法定休日に労働を行わせる場合は、36協定の締結が不可欠であるため、事前に適切な手続きをしましょう。
関連記事:36協定の届出とは?作成の方法や変更点など基本ポイントを解説
4-3. 就業規則にルールを明記する
労働基準法では、休日の最低基準(週1回または4週4日以上の法定休日)を定めているのみで、具体的な曜日や運用方法については企業の裁量に委ねられています。そのため、自社で設定した休日の取り扱いや運用方法は、就業規則に明記しておきましょう。
とくに「いつが法定休日で、いつが所定休日なのか」「休日出勤時の賃金や割増率」については、労使間での認識のズレを防ぐためにも、明示しておくことが重要です。また、休日出勤が発生しやすい業態の場合は、振替休日や代休の制度とその扱い(割増賃金の有無など)も明確にしておくことで、将来的なトラブルを未然に防ぐことができます。
4-4. 所定休日・法定休日の有給取得に注意
退職する従業員の中には、退職日までに残りの有給休暇が消化できないからと、所定休日や法定休日に有給休暇を申請してくるケースもあるようです。
本来、有給休暇は労働義務のある日に休みを取るための休暇であるため、労働義務のない所定休日や法定休日に取得することはできません。
退職までに有給休暇の取得が難しい場合には、未消化分について会社が買い取ることも可能です(※退職時の未取得分に限り買い取りは違法ではありません)。トラブルを防ぐためにも、従業員との事前の調整や明確な説明が重要となります。
関連記事:有給休暇の買い取りは違法?退職時の対応やトラブル事例を解説
4-5. 雇用・労働形態の違いに注意する
雇用形態や労働形態の違いに注意することは、所定休日や法定休日の運用において非常に重要です。
労働者がパートやアルバイト、契約社員など異なる雇用形態で働いている場合、休日出勤手当の取り扱いは同様に適用されますが、派遣社員の場合は派遣元との36協定が必要になるため、とくに注意が必要です。
また、労働者が年俸制やフレックスタイム制で働いている場合は、給与の内訳や休日出勤手当に関する取り決めが異なるので、これを確認することが大切です。
年俸制においては、休日手当が年俸の内訳に含まれているのか否かによって、支払いの必要性が異なり、休日手当が年俸の内訳に含まれていない場合は別途支払が必要です。また、フレックス制においても、多くの場合は休日労働が想定されていないため、休日手当の支払が必要です。
このように雇用形態や労働形態を把握することで、適切な対応ができ、労働環境の向上につながります。
5. 所定休日と法定休日に関連するよくある質問

ここでは、所定休日と法定休日に関連するよくある質問への回答を紹介します。
5-1. 週休2日制(土日休み)の場合はどちらが所定休日?
週休2日制(土日休み)の企業においては、日曜日を「法定休日」、土曜日を「所定休日」として運用しているケースが多くあります。ただし、法定休日を特定することは法律上の義務ではなく、また日曜日を必ずしも法定休日に定める必要もありません。
なお、週休2日制(土日休み)を採用し、法定休日を特定していない状態で日曜日と土曜日の両方に労働があった場合には、暦週(日~土)のうち後順に位置する土曜日が法定休日労働の取り扱いとなります。また、行政通達(昭和23年5月5日基発682号、昭和63年3月14日基発150号)においても、法定休日を具体的に定めることが望ましいとされています。
法定休日が特定されていない場合で、暦週(日~土)の日曜日及び土曜日の両方に労働した場合は、当該暦週において後順に位置する土曜日における労働が法定休日労働となる。4週4日の休日制を採用する事業場においては、ある休日に労働させたことにより、以後4週4日の休日が確保されなくなるときは、当該休日以後の休日労働が法定休日労働となる。
5-2. パートやアルバイトにも所定休日・法定休日は必要?
パートやアルバイトなどの短時間労働者にも労働基準法は適用されます。そのため、週1日以上もしくは4週4日以上の法定休日を確保しなければなりません。
ただし、1日2時間のみ働くなど労働時間が極端に短いケースでは、法定労働時間(1日8時間・週40時間)を超えることがなく、所定休日を設けなくても直ちに違法とはならないことがあります。ただし、労働条件の明示や働き方の実態に応じた適正な休日管理は求められます。
5-3. シフト制の場合の所定休日と法定休日の考え方は?
シフト制の職場では、各従業員の勤務日や休日を事前に決める必要があるため、所定休日および法定休日はシフト表に基づいて設定するのが一般的です。とくに1週間単位ではなく4週間を通じて4日以上の休日を確保する「変形休日制」を導入する場合には、労働基準法施行規則第12条の2に基づき、あらかじめ4週間の起算日を就業規則などで明確に定めておくことが義務付けられています。これを怠ると、法定休日が適切に確保されていないと判断される可能性があるため十分に注意が必要です。
6. 所定休日と法定休日の違いや割増率を理解して適切に運用しよう

法定休日とは、労働基準法第35条に基づき、原則として週1日、例外として4週4日以上の休日を与える必要があると定められた休日です。一方、所定休日は会社が独自に設定できる休日であり、法定休日を上回る日数を休日として運用する際に用いられます。両者では法律上の取り扱いや割増賃金の計算が異なるため、明確に区別して運用することが重要です。
法定休日の要件を満たしていれば、所定休日の設定は会社の裁量に任されますが、就業規則などで明示し、従業員に周知する必要があります。労働者の健康やワークライフバランスにも配慮しながら、業務内容に応じた適切な休日管理をおこないましょう。
関連記事:休日・休暇とは?違いや種類・賃金の注意点など勤怠管理のポイントを解説
人事担当者の皆さまは、労働基準法における休日・休暇のルールを詳細に理解していますか?
従業員に休日労働をさせた場合、代休や振休はどのように取得させれば良いのか、割増賃金の計算はどのようにおこなうのかなど、休日労働に関して発生する対応は案外複雑です。
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