給与計算を自動化するメリット・デメリット、具体的な方法や手順も紹介
更新日: 2024.5.16
公開日: 2020.12.14
OHSUGI
一歩間違えると労務関係のトラブルにも発展してしまう給与計算は、給与計算業務担当負担負担を軽減し、業務を効率化するためにも自動化の検討が必要です。
今回は、給与計算を自動化するメリット・デメリットのほか、給与計算の自動化をおこなう方法についてご紹介していきます。
【給与計算業務のまとめはコチラ▶給与計算とは?計算方法や業務上のリスク、効率化について徹底解説】
給与計算のアウトソーシングでは従業員数が増えるとその分費用も高くなるため、従業員が増えてきた企業様では「どうにか内製化して給与計算にかかるコストを削減できないか?」とお悩みになることがあるのではないでしょうか。
そのような方に向け、当サイトでは給与計算システム・Excel・アウトソーシングのメリット・デメリットや、システムで給与計算がどのように効率化できるかをまとめた資料を無料で配布しております。
給与計算システム・Excel・アウトソーシングのどれが自社に合っているかを比較検討したい方は、ぜひ資料をダウンロードしてご覧ください。
目次
1. 給与計算業務の流れ
給与計算業務には、多くの工程があります。また、対応する従業員の形態という切り口で捉えた際に、「現在所属している従業員」「新たに入社した従業員」「退職する従業員」の三者に対して、1か月という時間軸の中で並行して別々の対応を進めていかなければなりません。
また、労務担当者は給与計算だけでなく、勤怠管理や社会保険の手続き、安全衛生管理など他の業務もあるため、素早く正確に計算業務を進めていく必要があります。
しかし、一連の作業の中には、名前やデータの入力など定型化している作業もあるはずです。定型化している作業や繰り返しおこなう作業は自動化しやすいポイントです。具体的に給与計算のどのような場面で自動化ができるかを把握し、業務の効率化につなげていきましょう。
【給与計算の流れを詳しく知りたい方はコチラ▶給与計算業務の流れ|月間と年間のスケジュールも紹介!】
2. 給与計算を自動化する方法
給与計算を自動化するには以下の種の方法が考えられます。
- エクセルの数式を用いて勤務時間や時間外手当などの計算・集計をおこなう
- 自社にあった条件でスクラッチ開発する
- 自社サーバーへ給与計算ソフトウェアを導入する
- クラウドベースの給与計算サービスを導入する
エクセルは使い慣れている人が多く操作しやすいメリットがある半面、従業員が増えた際の管理が行き届かなかったり、税率の変更の反映漏れによる給与計算ミスなどのデメリットが懸念されます。
自社開発する場合、自社の要望に合ったシステムを開発することは出来ますが、メンテナンスが大変です。
エクセルや自社開発と比較して、給与計算ソフトウェアやクラウドベースの給与計算サービスなどの給与計算システムは、情報の登録から計算・給与明細の発行まで、一連の業務が完結でき、法改正や多様な働き方にも対応できるメリットがあります。
また、サービスを提供している開発元がメンテナンスを随時おこなう為、管理・維持コストの面でもメリットもあります。
ここでは、給与計算を自動化する最適の方法として、給与計算システムを用いて自動化をした場合を想定して解説します。
3. 給与計算システムで自動化ができるもの
給与計算システムではさまざまなプロセスを自動化できます。自動化できるプロセスはシステムによって異なりますが、ここではほとんどのシステムに搭載されている自動化の機能を紹介します。
3-1. 給与明細書の作成
給与計算システムには、フォーマットが多数用意されているため作成する必要が無く、必要項目を入力すればエクセルの定型よりも見栄えのよい請求書がすぐに完成します。
また、あらかじめ設定しておいた発行日に自動的に給与明細書が発行・送付される機能も搭載されているので、工数削減に役立てることができます。
3-2. 次月度への更新処理
給与計算システムは、当月度の給与計算が終了したら、次月度への更新処理をおこないます。
更新処理をおこなった際、当月度の全従業員の給与明細を確定して翌月度の給与計算が実施できるため、次月度への更新処理の前に次の作業を終了することが可能です。
自動化をしておけば、全従業員が更新を終えていたり賞与の終了処理を完了していたりするなど、更新をおこなうための正しいフローを踏むことができるのです。
ただし、次月度への更新処理と賞与の終了処理の順番を間違えると、累計額が正しく集計されないため注意しましょう。
3-3. 経費や給与の個人申請
勤怠管理をしていても、申請の入力漏れや内容の誤りなど、正確な経費情報を申請できていない場合があります。そのような際には、給与計算システムに搭載されている自動メールやアラート経由で通知を出すことができます。
自動化をおこなうことによって、従業員自身が経費や勤怠情報の誤りや申請漏れに気が付くことができるので、労務担当者から従業員に連絡をして修正してもらうなどの手間削減につながります。
3-4. 社会保険の月変処理
標被保険者の報酬が昇給や降給によって増減したときや、パートから正社員に雇用契約を変更したときなど、給与が大きく変わる場合は標準報酬月額の随時改定が必要です。社会保険料の計算の基礎となる標準報酬月額を変更するには、「月額変更届」などの届け出を提出する必要があります。
給与計算システムを使えば、給与証明書や月額変更届を提出する際に、RPAやツールを使用することで自動化が実現できます。
その際には、過去のデータや既定の値段を参照しながら、社会保険の月変処理も効率化していきましょう。
【給与計算にかかる社会保険料の計算方法を知りたい方はコチラ▶給与計算で社会保険料を算出する方法を分かりやすく解説】
3-5. 給与計算実行
給与計算システムのツール経由によって、給与支給日や従業員名、控除額などの計算ができます。ツールを活用すれば、エクセルに計算式を記入しなくても、情報を入力するだけで正確な給与計算を実行できるので、従業員への給料の支払いをスムーズにおこなうことができます。
関連記事:給与計算ソフトの選定ポイント7つ!メリット・デメリットをおさえて自社に合うシステムを
4. 給与計算システムで自動化できないもの
給与計算の業務の中には、自動化できないプロセスも多く存在します。
業務の効率化につなげるためにも、事前に自動化できないプロセスを把握し、情報収集を進めていきましょう。
4-1. 従業員の勤怠打刻修正
打刻修正は社員が主導で修正し、労務担当者が手動で直す仕組みになっています。
しかし、打刻修正理由を確認した上で修正承認は手動でおこなわれているため、自動化はまだ実現できていません。
また、エクセル経由で自動化は出来ますが、勤怠管理系のシステムでは機能として運用されていないサービスがほとんどです。将来的には、パソコンの開閉で打刻が出来たり、会社の出入りを察知して勤怠打刻が出来たりするなど、自動化の余地はありますが、現段階での自動化は難しいのが実情です。
4-2. 人事発令、給与の更新
会社、退職、異動などの発令情報およびそれに伴う給与情報などは、突然決まるものなので自動化はできていません。
数値的な人事評価に伴う給与改定は自動化の余地はありますが、人事異動は要因も様々であり、不定期で実施される形になっています。欠員や従業員の勤務態度による判断、会社の経営状況によって発令されるため、自動化で管理するのは難しいでしょう。
5. 給与計算を自動化するメリット・デメリット
5-1. 給与計算を自動化するメリットとは
給与計算担当者の負担軽減や手作業で発生する記入ミスの減少、人件費の削減など、給与計算の自動化には多くのメリットがあります。では、これらのメリットを具体的に見ていきましょう。
①給与計算担当者の負担が軽減
給与計算のプロセスの多くを自動化すれば、計算業務担当者の負担が軽減されるため、他の業務の進捗の改善にもつなげることができます。ただし、システムにはさまざまな機能が搭載されているので、給与計算を自動化できる具体的なツールや使用方法などは、担当者の仕事量も考慮しながら選定していきましょう。
②手作業で発生しがちなミスが減少
給与計算の自動化は、手作業の計算で発生しがちなミスを減らすことにもつながります。例えば、日付を間違えたり、源泉徴収票の計算を間違えたりするなどのミスは、会社や従業員のお金に関係してくるため、間違いは許されません。
とは言え、人間が手作業でおこなっていれば、どんなに気を付けていても間違えることがあります。給与計算を自動化して、手作業で記入する箇所やケアレスミスを無くしていきましょう。
③人件費の削減が可能
給与計算の自動化をおこなうことで、計算に関わる業務時間が減れば、人件費の削減も期待できます。自動化をおこなうツールの設定やメンテナンスは他の部署に委託し、システムを動かすタイミングを労務の仕事量に合わせて設定することで、人件費以外のコストの削減も可能になるかもしれません。
5-2. 給与計算を自動化するデメリットとは
給与計算の自動化にはメリットがある一方、セキュリティへの不安や人員確保、教育に関するデメリットが挙げられます。では、どのようなデメリットがあるのか見ていきましょう。
①セキュリティへの不安
担当者が手作業で業務をおこなえば、基本的にセキュリティへの不安はありません。しかし、給与計算を自動化するということは、システムで給与関係のデータを扱うことにもつながるため、セキュリティへの不安があるというデメリットがあります。
当然ですが、給与計算システムにはセキュリティも搭載されています。しかし、重要なデータが外部流出することが無いよう、給与計算自動化を検討する際には、万全のセキュリティ体制を敷いておく必要があります。
②自動化にあたっては人員確保や教育が必要
計算業務自動化を遂行するためには、運用に関わる人員の確保や教育をおこなわなければならない、というデメリットがあります。十分な人員がいて、システムに詳しい従業員がいれば問題ありませんが、新たに確保したり教育をおこなったりするのは手間も時間もかかります。
また、システムを使いこなせるようになるための時間が必要になるため、運用開始までの習熟期間も考慮しなければなりません。
ここまで自動化のメリットデメリットについて説明しましたが、システムを導入するかエクセルなどの無料ツールで自動化させるか迷う方が多いでしょう。当サイトでは、エクセルを使用した場合とシステムを導入する場合の違いを解説した資料を無料で配布しています。
給与計算の業務で必要な業務から自動化できる業務まで確認できるので、自動化をお考えの担当者の方は、こちらから資料をダウンロードしてご確認ください。
6. 給与計算の自動化は業務効率化につながる
Excelに入力した後に修正をしたり、人事部が給与情報を再度修正したりなど、給与計算には様々な要因で業務負担が増加します。しかし、自動化をおこなえば、ツールに情報を入力した後、金額の承認と確認作業を経るだけで業務が完了します。Excelへの入力やデータ加工の手間を減らすためにも、給与計算の自動化で負担を減らしていきましょう。
また、労務管理担当者には年末調整という大変な業務もあります。しかし、保険会社が保険料控除や地震保険料控除の書類のペーパーレス化を開始したり、国税庁も提出書類のペーパーレス化を推奨したりするなど、少しずつIT化・簡素化の流れが進んでいます。 年末調整書類の郵送などで業務負担が大きくなる場合は、給与計算システムの連携ツールを活用して、業務のペーパーレス化の流れにも注目してみましょう。
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