労働時間を正しく理解してタイムカード打刻のミスをなくそう
更新日: 2026.2.27 公開日: 2020.1.28 jinjer Blog 編集部

タイムカードによる打刻は、労働時間を記録するものとして重要です。しかし、使用者が「労働時間」の正確な定義を理解していないと、従業員に正しく出退勤の打刻をさせることができず、残業代未払いなどの問題が発生しかねません。
本記事では、労働時間の定義やタイムカード打刻の正しいタイミング、打刻ミスを防ぐ方法などを詳しく解説します。
関連記事:なぜ打刻は必要なのか?打刻忘れによるリスクを知り、必要性を理解しよう
目次
毎月の恒例となっている、タイムカードの押し忘れや不備の対応。その場しのぎの確認・修正作業で済ませていませんか?
実はその対応、コンプライアンス違反と隣り合わせかもしれません。
従業員を守り、会社の信頼を維持するためにも、日々の業務効率化と法令を遵守した管理体制の両立が求められます。
◆この資料でわかること
- 法律で定められた正しい「労働時間の管理・記録義務」とは
- ついやりがち?「減給」や「欠勤扱い」に関する法的な注意点
- 押し忘れや府不備を根本から減らすための環境・ルールの設定方法
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1. 労働時間の法的な定義とタイムカードの押し方

「労働時間」とはよく耳にする言葉ですが、その定義を理解している人は意外と少ないです。労働時間の法的な意味を理解していなければ、使用者と労働者との認識に齟齬が生まれ、トラブルに発展することもあるので注意が必要です。
ここでは、労働時間の法的定義やタイムカードを打刻するタイミングについて解説します。
1-1. 労働時間の法的定義と出退勤の時間とは
労働時間は厚生労働省が出しているガイドラインによって、以下のように定義されています。
労働時間とは使用者の指揮命令下に置かれている時間であり、使用者の明示又は黙示の指示により労働者が業務に従事する時間は労働時間に当たること
つまり、使用者が明示・黙示した指示により従業員が業務に従事していた時間は、全て労働時間とみなされ、賃金を支払わなければなりません。
例えば、直接業務に従事していなくとも、参加が義務付けられている研修や、使用者の指示による学習時間は労働時間に該当します。
労働時間の定義に照らし合わせると、出勤(始業)時間は「労働者が使用者の指揮命令下に入った時間」であり、退勤(終業)時間は「労働者が使用者の指揮命令下から完全に外れた時間」となります。
したがって、事業場にタイムカードを設置して従業員に打刻をさせる場合は、労働が始まった時間と終わった時間にタイムカードを押させなければなりません。
1-2. タイムカードを打刻するタイミングとは?
タイムカードは給与計算の元となる情報であるため、労働が始まった時間と終わった時間に打刻させなければなりません。残業代未払いの裁判でも、会社が立証できなければ、基本的にはタイムカードに印字された時間が実労働時間とみなされます。
とはいえ、多くの企業ではタイムカードに打刻された時間は労働の始まりと終わりの時間というよりも「事業場にいた時間」であることが多いでしょう。
そのため、労働が始まって終わった時間ぴったりに打刻させることは現実的ではなく、運用方法を工夫する必要があります。
2. タイムカードで労働時間を正しく管理する方法

「会社に来たら押す」「会社を出る前に押す」というルールでタイムカードを運用している場合、タイムカードに打刻された時間と実際に労働のあった時間にずれが生じ、従業員の実労働時間を正確に把握できない可能性があります。
そのため、タイムカードを使って従業員の実労働時間を正しく把握するには、運用に工夫が必要になります。ここでは、タイムカードで労働時間を正確に管理する方法をご紹介します。
2-1. 残業事前承認制や、時間外勤務指示書を導入する
始業時間の前や終業時間の後に打刻がある場合、タイムカードの情報だけでは実際に労働があったのかどうかがわかりません。そこで、始業時間の前や終業時間の後に業務をおこなう必要がある場合は、「残業事前承認制」や「時間外勤務指示書」を導入しましょう。
残業事前承認制とは?
残業事前承認制とは、従業員が残業をする前に上長に申請する制度です。事前に残業をすることがわかれば、長時間労働や過度な残業を防ぐことができるだけでなく、従業員の労働時間の管理もしやすくなります。
事前承認では「残業申請書」に、残業すべき正当な理由など必要事項を記入してもらい、上司や管理者が承認をするのが運用の流れとなります。
時間外勤務指示書とは?
時間外勤務指示書とは、上司から部下に対して残業するように指示する書類です。基本的には、従業員から残業申請書が提出された場合、それを確認し承認する際に「時間外勤務指示書」を出します。ただし、繁忙期などどうしても人手が必要な場合は、申請がなくても指示を出すこともあります。
どちらの場合でも上司から残業を言い渡すため、当然超過分の支払いが発生します。
2-2. 打刻にずれが発生した場合は報告書を提出させる
実際の労働時間と出退勤の時間にずれが発生している場合は、なぜずれが発生しているのか報告させる方法もあります。
例えば、「朝早くに来て新聞を読んでいた」「社内のクラブ活動で退勤時間が遅くなった」など、使用者からの指示に基づいた業務をおこなっていないのであれば、その理由をタイムカードに簡単に記載させるとよいでしょう。
ただし、「強制参加の社内研修があった」「仕事の引き継ぎをしていた」など、使用者からの指示によって事業場にいたのであれば「労働時間」として扱わなくてはいけません。
2-3.打刻の重要性や打刻ルールを周知する
正確な労働時間の管理は、従業員がきちんと打刻をしてくれなければ成り立ちません。
そもそも、労働時間の定義やなぜ正確に打刻する事が重要なのかを従業員全員が理解して行動に移せなければ、労働時間を正確に管理することはできないでしょう。
従業員への啓蒙をおこなうと同時に、自社内で正確に労働時間を管理できるような打刻ルールを作り、周知して徹底させるようにしましょう。
関連記事:従業員のタイムカード打刻忘れ対策として企業がおこなうべき3つのこと
3. タイムカードを打刻する正しいタイミング

労働時間というのは、人によって認識が違うことがあります。また、「これは労働時間に含まれるの?」「こんな時はいつタイムカードを押すの?」など、状況によって適切なタイミングが変わるため、疑問を持っている方も多いでしょう。
ここでは、タイムカードを打刻する時に迷いやすいタイミングをシチュエーション別に解説します。
3-1. 着替えの時間は「労働時間」に含まれる?
製造業や食品を扱う職場の場合、衛生管理のためにユニフォームが用意されていることがほとんどです。その場合、私服で出社しユニフォームに着替える前と後、どのタイミングで打刻するべきでしょうか?
「着替えてからが仕事の始まりだから、着替えの時間まで考えて早く出社するべきだ」という会社も多く見受けられます。
しかし、業務上必要な所定のユニフォームや制服に着替えることが義務付けられている場合は、「業務」としてみなされるため、着替え時間は労働時間に該当します。
したがって、タイムカードを押すのは「着替える前に打刻する」のが正しいタイミングです。私服で出社し、タイムカードを押した時点で「労働時間」として考えます。
一方、会社員や事務業務の様に、特定の制服に着替える必要がない場合はどうでしょう?自由に服装を選べる場合は、私服から自前の仕事着に着替えてもその時間は労働時間に含まれません。「着替えた後」にタイムカードに打刻すべきなので注意してください。
3-2. 休憩は労働時間に含まれる?勤務時間との違い
勤務時間と労働時間は同じような意味に思われがちですが、正確には少し違います。勤務時間は「会社が定めた始業時間から終業時間までの時間」です。労働時間は「実際に働いた時間」なので、全く別物になります。
例えば、勤務時間が午前9時から午後18時、間に1時間の休憩があるとしましょう。その場合は、「休憩も含めて9時間が勤務時間」とされます。
しかし、労働時間は休憩を除き、「実際に労働した8時間を労働時間」とみなします。
3-3. 始業時間よりも少し早めにタイムカードを打刻してもいい?
「労働が始まった時間に打刻すべき」といっても、業務が始まる前に今日の仕事を整理したりメールのチェックをおこなったりするために、始業時間よりも早めに出社する従業員は多いでしょう。
この時、「少し早めに打刻されると、本当は必要のない残業代も必要になってしまうのでは」と考えられるかもしれませんが、「時間外勤務申請書を提出させる」「15分以上の乖離があった場合は報告させる」などの運用で対処すると、実際に労働があったのかどうかが判断できるでしょう。
3-4. 出退勤の時間ぴったりにタイムカードを押すことは問題ない?
タイムカードは給与計算のために労働時間を記録するものであるため、労働が始まる始業時間や労働が終わる終業時間ぴったりに打刻すること自体は問題ありません。
ただし、業務の性質や就業規則などによっては遅刻や早退とみなすこともあります。例えば、タイムカードが事務所の入り口に設置してあり、実際の労働場所と事務所に距離があって移動が必要な場合は、出勤時間ぴったりに打刻したとしても実際の業務が始められていないため、遅刻とみなすことになるでしょう。
どのような場合を遅刻や早退とみなすかは企業によって異なるため、まずは就業規則を確認してみましょう。
また、従業員が正しく打刻をしたとしても、労務管理の担当者が集計ミスをしてしまっては元も子もありません。手計算で今もおこなっているようだと、人的ミスは避けられないでしょう。
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【関連記事】「え、こんなに簡単なの?」タイムカードを簡単に集計する方法をご紹介!【無料テンプレ付き】
4. タイムカードの打刻ミスを防ぐには


タイムカードの打刻ミスは、従業員の不注意だけが原因で発生しているとは限りません。
多くの場合、打刻ルールが曖昧なまま運用されていたり、例外的なケースの取り扱いが整理されていなかったりすることで、結果的にミスが繰り返されています。
そのため、注意喚起や指導を重ねるだけではなく、ミスが起きにくい仕組みとして打刻ルールを整備することが重要です。
ここでは、打刻ミスがなくならない理由を整理したうえで、打刻ルールをどのように設計・明文化すべきかを解説します。
4-1. 打刻ミスが防げない理由を知る
打刻ルールについて、掲示物の掲示や朝礼で周知をおこなっている企業は少なくないでしょう。しかし、それだけでは打刻ミスが解消されないケースが多く見られます。
その理由の一つは、従業員が判断を求められる場面が想定以上に多い点にあります。
例えば着替えや早出、業務準備など日常業務の中には「どの時点で打刻すべきか迷う場面」が存在します。ルールが抽象的なままでは、従業員ごとに解釈がわかれ、結果として打刻のずれが生じやすくなります。
また、注意喚起中心の運用では、ミスが発生するたびに個別対応が必要となり、人事・総務の業務負担も増加します。
そのため、打刻ミスを減らすためには、周知方法ではなくルールそのものの設計を見直す視点が欠かせません。
4-2. 打刻ルール設計の基本ポイント
打刻ルールを設計する際には、細かく定めすぎるよりも、判断基準をシンプルに整理することが重要です。その基本となるのは、「労働時間とは何か」という法的な考え方を軸に、打刻の起点と終点を明確にすることです。
具体的なルールは、下記のようなものが挙げられます。
- 業務を開始する時点
- 業務から完全に離れる時点
このようなルールを設定したうえで、着替えや準備、後片付けなど、判断がわかれやすい行為については、「労働時間に該当するかどうか」を会社として整理し、例外的な扱いを限定的に定めましょう。
ただし、すべてのケースを網羅しようとすると、かえってルールが複雑化するので注意してください。設計の際に押さえるべきなのは、原則と例外を明確に分けて、現場で迷わないルールにすることです。
4-3. 打刻ルールを明文化する
打刻ルールを仕組みとして機能させるためには、内容を文書として明文化することが欠かせません。口頭による説明や暗黙の了解に頼った運用では、担当者や部署ごとに認識の差が生じやすくなります。
明文化されたルールがあれば、下記のようなメリットも得られます。
- 打刻ミスが発生した際の判断基準が統一される
- 従業員への説明が属人化しない
- 修正対応の正当性を示しやすくなる
また、ルールを文書化することで、打刻に関する指摘が個人への注意ではなく、会社としての運用ルールに基づく対応になります。これにより、現場との無用な認識のずれやトラブルを防ぎ、安定した勤怠管理が可能になるでしょう。
5. 労働時間の定義を理解しタイムカードの打刻を適切に管理しよう

会社は、法律が定めた労働時間を守らなければなりません。しかし、全ての会社が完璧に法律通りの環境を整えることは簡単ではありません。
それゆえ、会社が決めたルールを設けるケースも多いのですが、会社のルールは独自性の強いものであり、「これは本来の労働条件ではない」と従業員が不満に思うこともあるでしょう。
人事担当者は、会社と従業員の間に入り、問題が大きくなる前に先に手を打つ必要があります。そのためにも、人事担当者は会社のルールと労働時間の細かい定義をしっかり把握しておくことが大切です。



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