契約書の書き方で覚えておきたい6つのポイントとは?作成ルールもあわせて解説
更新日: 2024.5.8
公開日: 2022.5.16
MEGURO
契約書を作成する際には専門的な知識が求められますが、基本的なルールを押さえておけば契約書を作成することができます。ただし、取引をおこなううえでトラブルを防ぐためにも、契約書の書き方やルールをしっかり押さえておきましょう。
今回は契約書の書き方について覚えておきたいポイントや、具体的な作成ルールについて解説します。
「契約業務の工数が多く、時間がかかって困っている」
「契約書を電子化したいが、どの契約書を電子化して良いのかわからない」
「契約書業務を効率化したいけど、具体的な方法がわからない」 など契約業務に関してお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
契約書の作成から締結までには、割印や製本、押印、また郵送に関しては取引先が受領・押印・返送する必要があり、1週間以上かかることもあります。
そのため、業務の工数と締結完了までの時間を短縮するためにも「契約書を電子化したい」と考える方いるのではないでしょうか。
しかし、契約書の中には「書面での契約締結」が義務付けられているものもあり、注意が必要です。
そこで今回は、電子化できる契約書の種類や電子化できない契約書の要件、また電子契約書の作り方など契約書の電子化についてまとめた資料を無料で配布しております。
1. 契約書はなぜ必要なのか?
企業間で取引が発生する場合、契約書の作成は義務であると思われている方も多いのではないでしょうか。しかし、一部の例外を除き、当事者間で合意が取れていれば、口約束のみで契約書がなくても契約は成立します。
実際に契約の成立条件については、民法52条で下記の通り定められています。
民法522条 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
2 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。引用:民法|e-Gov法令検索
それでは、なぜ契約書は必要とされているのでしょうか。その理由はとして挙げられるのは、取引をおこなううえで何かあった場合にトラブルの発生を防ぐためです。
契約書を作成して可視化された状態で取引要件を定めておくことで、言った言わないのトラブルを防ぐことができ、どんな取引条件であったかを契約後に確認しやすくなります。
2. 契約書を作成する前に契約内容を確認する
契約書を作成する前にまず確認しなければならないのは、契約書の種類です。
契約書は契約内容を書面化して明確にするものです。契約内容によって記載内容は全く異なるため、十分に注意して作成するようにしましょう。
▼ビジネスでよく利用される契約書
・売買契約書
・貸借契約書
・請負・業務委託契約書
・販売店・代理店契約書
・雇用契約書
・労働者派遣契約書
・秘密保持契約書(NDA)
・保証契約書
・ライセンス契約書
3. 契約書の書き方で覚えておきたい6つのポイント
トラブル防止のために作成される契約書ですが、書き方によってはかえってトラブルの原因になる可能性もあります。
ここでは、契約書の書き方で覚えておきたい7つのポイントについて解説します。
3-1. 第三者にもわかりやすいように記載する
契約書に使われる言葉や表現は、第三者にもわかりやすいように記載しましょう。
当事者である相手方が認識できる言葉であっても、言葉を省略したり、業界用語を使用したりすると、他業界の方や裁判所に契約書の意図が誤って伝わってしまう可能性もあります。
いざトラブルに発展して裁判になった際、証拠となる契約書がちゃんと機能するように、できる限りわかりやすい内容で契約書を作成するようにしましょう。
3-2. 数量は可能な限り具体的に記載する
納品や報酬に関する契約書では、「いつまでに・いくつ・いくら」など数値で表現できるものは明確に記載しましょう。商品名や業務内容などについても、わかりやすく明確に記載する必要があります。
3-3. あいまいな解釈ができる表現は避ける
契約締結時に相手方と共通の理解があったとしても、あいまいな解釈ができる表現が契約書に使用されていた場合、トラブルが発生した際に、「そのような解釈はしていない」と主張される可能性があります。
契約書は裁判などでも証拠として使用される書面であるため、複数の解釈ができるような表現や言葉は使用するべきではありません。
3-4. 契約内容について当事者間で必ず確認する
契約締結をおこなう前に、必ず当事者間で契約内容を確認するようにしましょう。
双方が署名捺印した時点で、当事者はその内容に合意したことになります。よく契約内容を確認せずに締結したとしても、後で異議を唱えることはできません。
3-5. 想定されるリスクは細かく記載する
トラブルが発生してから対処方法を話し合って決める場合、議論がまとまりにくくなる可能性が高いです。
そのため、取引をおこなうなかで想定されるリスクはできる限り細かく記載して、事前に対処方法について決めておくようにしましょう。
3-6. 法律に基づいた内容を記載する
契約内容は基本的に当事者間で自由に決めることができますが、法律上の制限で、公序良俗に反する内容や強行法規に反する内容は定めてはなりません。
契約書を内製する場合には、弁護士や司法書士などの専門家に最終確認をおこなうフローを設けておくと安心です。
このように、契約書の書き方で気をつけるポイントはいくつかあります。これらの内容は、自社で契約書を作成するときはもちろん、取引先が作成した契約書に同意するときにも細かく確認する必要があります。
万が一、公序良俗や現行法に反する内容が記載されていた場合、契約内容の協議ではなく、契約自体が無効になるかもしれません。また、曖昧な表現により認識の齟齬が発生する可能性もあるでしょう。
契約書には、双方で合意した内容を正しく盛り込み、想定される問題や想定外の問題が発生した場合の対応方法についても細かく記載しなければなりません。ですが、一日でも早く取引を進めたい従業員からは確認を急かされることもあるでしょう。ほか契約書の確認や通常業務もある中で、確認が疎かになってしまう恐れがあります。
後々問題が発生することを避けるためにも、契約書を確認する重要性や運用フローを守る大切さを従業員に理解してもらうことが大切です。
当サイトで無料配布している「【従業員周知用】ビジネスにおける契約マニュアル」では、契約の基本知識はもちろん、契約締結の流れや各契約種類ごとの記載するべき項目、また従業員からよくあがってくる質問とその回答もまとめています。「契約書の確認を急かされる」とお困りの法務担当者の方はぜひ、こちらからダウンロードしてご覧ください。
4. 契約書の書き方・作成ルール
契約書は主にタイトル(表題)・前文・本文・後文・契約締結日・署名捺印で構成されています。
とくに決まりはないものの、この順番で記載すると読みやすくなるでしょう。
4-1. タイトルは契約内容がわかりやすいように付ける
契約書のタイトルは「○○売買契約書」や「○○貸借契約書」のように内容がわかりやすいように設定しましょう。
また、契約書ではなく、覚書や合意書と記載しても法的効果は同じです。
4-2. 前文で契約当事者と要旨を明確にする
まずはじめに前文には、契約当事者をわかりやすく記載しましょう。契約当事者はその後の文章で名称(社名)を省略するために、どちらが甲でどちらが乙なのかを定義します。当事者が3名以上いる場合は丙・丁と続きます。
そのほかにも、契約の概要・契約が及ぶ範囲・契約締結に至った経緯を記載しましょう。
4-3. 本文で条・項を設け、具体的な契約内容を記載する
本文は具体的な契約内容を記載する最も重要な部分です。
複数の規定を設けるのが一般的で、条→項→号の順に階層構造を作成します。
まず、条を設けてその内容を箇条書きで端的に記載し、必要に応じて、条の中に項、さらにその中に号を設けます。
項は(1)(2)などと表し、号は①②などで記載すると見やすくなるでしょう。
本文に記載する契約事項については、当事者双方の権利と義務を意識して記載します。
次のような契約事項を記載するのが一般的です。
・損害賠償責任
・契約の有効期間
・契約解除事由
・反社会的勢力の排除(反社条項)
・権利義務の譲渡禁止
・合意管轄
・協議条項
4-4. 後文に保管方法などを記載する
後文に記載する内容は、大体どの契約書でも同じです。
一般的に、後文には下記4つの内容を記載します。
1. 契約書の作成数
2. 契約当事者それぞれの契約書所持数
3. 契約当事者それぞれが所持する契約書が原本か写しかの記載
4. 署名者に契約締結権がある旨の宣誓
例:
本契約の成立を証するため、この○○契約書の原本1通を作成し、(当事者A)及び(当事者B)がそれぞれ署名または記名捺印のうえ、(当事者A)がこれを保有する。(当事者B)は、(当事者A)からその写しを受領する。
4-5. 締結する日付を記載する
当事者双方が契約内容を確認できたら、最後に締結する日付を署名欄の上に記載します。
締結する日付については、”契約開始日”や”最後に署名をする日付”などで多少前後するため、当事者間で議論が必要な可能性があります。そのため、事前にどの日付を記載するか確認しておくと安心です。
締結する日付の年については、和暦と西暦のどちらで記載しても構いません。
4-6. 契約書が複数枚になる場合は製本して割印を押す
契約書が複数枚になる場合や表紙をつける場合は、ページをまたぐように割印を押しましょう。
ホッチキス止めされている場合は、全てのページの見開き部分で両ページにまたがるように捺印します。製本されている場合は、製本テープと書類の紙の間にまたがるように捺印します。
また、契約書の控えを作成する場合にも割印を押すことで、偽造・改ざんのリスクを抑えることができます。
4-7. 記名押印・署名捺印をおこなう
契約書を作成したら、最後に記名押印・署名捺印をおこないます。
記名押印はPCで入力した文字を印刷した書面など、署名以外の手段で記載した名前に印鑑を押すことを指します。一方、署名捺印は当事者自身が手書きした名前に印鑑を押すことを指します。
押印の仕方は印鑑によって異なり、実印を押すような重要書類の場合は印鑑が本物であるか確認することもあるので、文字に被らないように押印します。
一方、それ以外の場合は書面の偽造を防ぐために、文字に少し重なるように押印することが多いです。
4-8. 収入印紙を契約書に貼付する
契約書のなかには、請負契約書や消費貸借契約書など印紙税の対象となる課税文書もあります。
課税文書に当てはまる契約書の場合には、適切な金額の収入印紙を貼付するようにしましょう。
万が一、課税文書に収入印紙が貼付されていないと、税務調査等で発覚した場合に過怠税の対象となってしまいます。指摘されてしまった場合、本来の印紙税額の3倍を徴収されるため注意が必要です。
関連記事:契約書作成時に押さえておきたいポイントは?具体的な作成方法や書面の構成を解説 | jinjerBlog
5. 契約書作成は書き方のポイントを押さえておくとスムーズ
弁護士や司法書士のような専門家に依頼しなくても、重要なポイントや書き方をしっかり押さえておけば、自社で契約書を作成できます。
本記事で紹介したポイントを参考にして、トラブルの発生を防ぐことができる契約書を作成してみてはいかがでしょうか。
「契約業務の工数が多く、時間がかかって困っている」
「契約書を電子化したいが、どの契約書を電子化して良いのかわからない」
「契約書業務を効率化したいけど、具体的な方法がわからない」 など契約業務に関してお困りの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
契約書の作成から締結までには、割印や製本、押印、また郵送に関しては取引先が受領・押印・返送する必要があり、1週間以上かかることもあります。
そのため、業務の工数と締結完了までの時間を短縮するためにも「契約書を電子化したい」と考える方いるのではないでしょうか。
しかし、契約書の中には「書面での契約締結」が義務付けられているものもあり、注意が必要です。
そこで今回は、電子化できる契約書の種類や電子化できない契約書の要件、また電子契約書の作り方など契約書の電子化についてまとめた資料を無料で配布しております。
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