雇用契約書に記載すべき内容をイチから分かりやすく解説

雇用契約書は雇用主と労働者が雇用契約を結ぶ際に交わされる書類です。労使双方が契約に合意したことを示す重要な書類といえるでしょう。

ここでは、雇用契約書に記載すべき内容と、記載内容の変更の可否について解説します。

1. 雇用契約書に記載する内容とは

雇用契約書は法的に交付が義務付けられている書類ではありませんが、トラブルを未然に防ぐためには交付した方がよいでしょう。

雇用契約書に記載すべき7つの事項について見ていきましょう。

1-1. 契約期間

重要なポイントとなるのが契約期間です。契約は有期なのか無期なのか、有期であればどのように契約が更新されるのかを明示しなければなりません。

また、契約が更新される判断基準についても明記する必要があります。

1-2. 就業場所

会社の住所を記載することで就業場所を労働者に知らせることができます。将来的に異動の可能性がある場合は、明記しておくことによってトラブルを防げるでしょう。

1-3. 業務内容

業務内容についても雇用契約書に記載しておく必要があります。業務が複数ある場合は、複数記載しても問題ありません。

1-4. 始業・終業時間

労働者の始業・終業時間が決まっている場合には、その時間を記載します。変形労働時間制、フレックスタイム制などの場合にも、どのような勤務パターンとなるのかを記載しなければなりません。

交代制勤務を採用しているのであれば交代順序なども明記します。

1-5. 休憩時間、休日、休暇

労働基準法では、労働者の休憩時間、休日、休暇についても定められています。1週間のうちどのくらい休日になるか、有給休暇の取得に関しても労働基準法に則った運用をしていることを記載すべきです。

1-6. 賃金

重要な別のポイントが賃金です。雇用契約書では、賃金の決定・計算・支払い方法についてはっきりと明示します。社会保険料や税金などの詳細についても雇用契約書に記載しておくことで、トラブルを防止できるでしょう。

1-7. 退職

雇用契約書には、定年退職の年齢、自己都合退職の場合に何日前の通告が必要となるか、解雇になる事由を記載します。

2. 雇用契約書の記載内容は変更できる?

雇用契約書を交わしたあと、記載内容の変更をしたいと感じることもあります。しかし、雇用契約書は労使双方にとって非常に重要な書類であるため、簡単に変更できないと感じるかもしれません。

雇用契約書の記載内容の変更について、2つのポイントを紹介します。

2-1. 労使双方の合意によって変更は可能

雇用契約書の内容は、雇用主と労働者の双方が合意すれば変更可能です。労働契約法第8条には、合意によって労働条件を変更できる旨が記載されています。

雇用主が雇用契約書の内容を変更したいのであれば、従業員一人ひとりから個別に同意を得るか、労働者が知っている就業規則を変更するという方法があります。

たとえ労働者に有利な変更であったとしても、すべての労働者が雇用契約書の内容が変更されたことを理解できるよう、周知を徹底する必要があるでしょう。

2-2. 合意なしに労働者に不利な変更はしにくい

労働者に有利な変更であればとくに問題ありませんが、合意なく労働者に不利な変更を行うことはできません。ただし、合理性があると認められる場合は、個別に就業規則の変更が考慮されます。

労働組合との交渉の過程や会社・労働者が被る不利益、同業他社の状況などを加味して、雇用契約書の内容の変更が可能か検討する必要があるでしょう。

3. 雇用契約書の記載内容の変更方法

雇用契約書の内容を変更する際の方法を2つのステップにわけて紹介します。

3-1. 雇用契約書の内容を確認する

雇用契約書に内容の変更方法について書かれている場合、その方法に従って内容の変更を行わなければなりません。

さらに雇用主側と労働者側双方が変更点について確認し、合意を取ります。基本的には労使双方の合意が必要なので、雇用主側が勝手に雇用契約書の内容を変更しないよう注意が必要です。

3-2. 覚書を作成する

新しい雇用契約書を作って内容を変更するという方法も考えられますが、覚書の方が簡単な場合にはそちらを採用することができます。

覚書は契約書の補助的な役割を果たしますが、適切に作成されれば契約書と同じ効力を持ちます。覚書には作成日、変更前の契約書の特定、変更箇所、変更の効力が発生する日、労使双方の署名捺印が必要です。

なお、覚書に印紙税法基本通達に書かれている重要事項が含まれている場合には、その覚書は課税文書となります。収入印紙を貼って保管しましょう。

4. 雇用契約書を内容変更は慎重を期して行う

雇用契約書の内容の変更は雇用主側にも労働者側にも大きな影響を与えます。変更は慎重に行うべきです。変更を行うと決定した場合にも、労働者側の同意を得る努力を怠らず、トラブルにならないよう手続きを進めていきましょう。