雇用契約の更新とは?契約書の作り方や更新手続きの手順を解説
更新日: 2026.3.11 公開日: 2020.11.19 jinjer Blog 編集部

雇用契約は、労働者と使用者の合意に基づいて成立する契約です。雇用期間の定めがある有期雇用契約と定めのない無期雇用契約があり、有期雇用契約は契約期間内に更新をおこなわないと契約解消となります。
有期雇用契約については、契約更新をめぐる「雇止め」のトラブルが相次いで起こっているため、労働者に対して適切な対応をおこなうことが何よりも求められます。
本記事では、雇用契約の更新に関する手続きの手順や「実は、雇用契約を更新したくない」と考えている労働者への対応について解説します。
有期雇用契約は労働基準法・労働契約法において様々なルールが設けられているため、法律に則って雇用契約を結ぶ必要がありますが、従業員とのトラブルになりやすい部分でもあります。
「法律に則って雇用契約を結ぶ方法を確認したい」「法的に正しい契約更新の対応を知りたい」という方に向け、当サイトでは「有期雇用契約の説明書」を無料で配布しております。
雇用契約の結び方から契約更新の方法、更新しない(雇止めをする)時の対応方法、無期転換ルールまで、有期雇用契約のルールを確認しておきたい方は、ぜひこちらからダウンロードしてご覧ください。
2024年4月に改正された「労働条件明示ルール」についても解説しており、変更点を確認したい方にもおすすめです。
目次
1. 雇用契約の更新とは

雇用契約の更新とは、一般的には有期雇用契約をしている従業員との間に発生するものです。
有期雇用契約では、一定の期間ごとに「雇用を継続するか、終了するか」を決めることになります。その際に雇用を継続する場合に必要になるのが「雇用契約の更新」です。
雇用契約の更新をする際はこれまで通りの雇用契約内容を継続して期間のみを更新するケースと、契約内容を見直して労働条件などを変更するケースがあります。また、有期雇用契約から無期雇用契約に転換が起きることもあります。
どのような形で更新をするかによって手続きが異なるため、企業は適切に雇用契約の更新ができるように準備をしなければなりません。
なお、正社員は基本的には期間の定めがない無期雇用契約です。そのため、正社員や雇用期間を定めていないパートタイム・アルバイト従業員には雇用契約の更新は発生しません。
2. 雇用契約の更新前に確認すべきポイント

雇用契約の更新は、単に契約期間を延ばす手続きではなく、法令やこれまでの運用を踏まえた判断が求められる業務です。更新対応を誤ると、無期転換申込権の発生や雇止めトラブルにつながるおそれがあるため、更新前に下記のポイントをチェックしておきましょう。
- 契約期間・更新回数・通算契約期間の確認
- 無期転換申込権が発生していないか
- 過去の更新理由・更新期待の有無
- 就業規則・雇用契約書との整合性
ここでは、これらの確認ポイントについて解説します。
2-1. 契約期間・更新回数・通算契約期間の確認
雇用契約を更新する前に、まず確認すべきなのが、契約期間、これまでの更新回数、通算契約期間・更新上限の有無です。
2024年4月の労働基準法施行規則改正により、有期労働契約の締結・更新時には、通算契約期間や更新回数の上限の有無、およびその内容を明示することが義務付けられました。また、更新上限を新設・短縮する場合には、あらかじめその理由を労働者に説明する必要があります。
更新判断をおこなう前に、現在の契約に上限が設定されているか、またその内容が適切に書面で明示されているかを整理しておきましょう。
労働契約法では、有期労働契約が反復更新され、通算契約期間が一定期間を超えると、労働者に無期転換申込権が発生する仕組みが定められています。契約期間や更新回数を正確に把握していないまま更新を繰り返すと、企業の想定とは異なる形で雇用関係が継続する可能性があります。
また、短期間の契約更新を常態化させている場合、実態として長期雇用と評価されることもあります。更新判断をおこなう前に、雇用契約書や過去の更新履歴を確認し、現在の契約がどの位置づけにあるのかを整理しておきましょう。
2-2. 無期転換申込権が発生していないか
労働契約法第18条では、有期労働契約が通算5年を超えて更新された場合、労働者からの申込みにより無期労働契約へ転換できることが定められています。
無期転換申込権は、労働者が申し込んだ時点で無期労働契約が成立し、使用者はこれを拒否できません。そのため、雇用契約を更新する際には申込権が発生しているかを確認し、該当する場合は改正労働基準法に基づき「無期転換申込権がある旨」と「転換後の労働条件」を書面で明示しなければなりません。
無期転換を想定していないまま更新をおこなうと、雇用形態や人員計画の見直しを迫られる可能性があります。契約更新前に通算契約期間を整理し、無期転換に該当する可能性がある場合は、更新方針を含めて慎重に検討することが重要です。
2-3. 過去の更新理由・更新期待の有無
雇用契約の更新判断では、過去にどのような理由で更新をおこなってきたか、労働者に更新への期待を持たせる説明や運用をしていないかを確認することも重要です。
労働契約法第19条では、契約更新に対する合理的な期待が認められる場合、雇止めが制限される可能性があるとされています。例えば、更新のたびに特段の条件を付さず継続してきた場合や、問題がなければ更新する旨を伝えていた場合、労働者側に更新への期待が生じていると評価されることがあります。
更新を前提としたこれまでの経緯を考えずに判断をおこなうと、後のトラブルにつながりやすいため、過去の説明内容や評価結果を含めて確認しておきましょう。
2-4. 就業規則・雇用契約書との整合性
雇用契約の更新対応が、就業規則や雇用契約書の内容と整合しているかも必ず確認しましょう。
労働契約法では、就業規則で定める労働条件が合理的なものである限り、それが労働契約の内容になるとされているため、契約更新の運用が規程と異なっている場合、企業側が誤った対応をしていると判断される可能性があります。
更新条件や更新回数の上限、雇止めに関する定めがあるにもかかわらず、実際の運用が異なっていると、恣意的な判断と受け取られるリスクもあります。
更新手続きに進む前に、就業規則と雇用契約書の内容を改めてチェックし、現在の対応が社内ルールに沿ったものか確認することが重要です。
3. 雇用契約を更新する手順

有期雇用契約における契約期間が満了した労働者に対して雇用関係を継続する更新手続きをおこなう場合は、労使間の合意のもと、新たな雇用契約を結ぶ必要があります。
この契約更新の際は、たとえ労働条件が変わらないとしても、新たな雇用契約書や労働条件通知書を作成し、労働条件や契約期間、更新の有無、判断基準などを改めて明示しなければなりません。
労働条件が同じだからといって、新たな契約書を取り交わさずに自動更新を繰り返すと、実質期間を定めない契約だと判断されてしまうため、注意が必要です。
3-1. 雇用契約の期間のみを更新する場合
有期雇用契約は、契約期間が満了になった時点で契約が解消してしまうため、契約期間のみを延長する場合は新たに雇用契約書を書面で締結する手続きが必要です。
契約更新の面談は、雇い止めの可能性も考慮し、遅くとも契約期間満了の30日前には実施しましょう。
労働者側が契約更新を希望しない場合は、使用者が希望したとしても、雇用関係を継続することはできません。労働者に退職届、または更新を希望しない旨を書面にして提出してもらうようにしましょう。
3-2. 雇用契約の更新時に労働条件を変更したい場合
雇用契約を更新する際に、労働者の労働条件を変更したいと考える場合もあるかもしれません。このような場合は、労働者との合意を取ることで労働条件を変更することが可能です。
新たに雇用契約書や労働条件通知書を発行・交付する際に変更点を明示し、雇用契約書に署名・捺印してもらうことで、労使間のトラブルも回避できます。
ただし、企業側が一方的に労働者の不利になる条件で雇用契約を更新することはできません。必ず変更内容の確認と合意をおこない、その合意がなされたことを証明できるように書面を残しておきましょう。
関連記事:雇用契約の条件は途中変更できる?契約期間内に変更する方法をご紹介
3-3. 有期雇用契約から無期雇用契約へ転換する場合
有期雇用契約が反復更新されて通算5年を超えると、労働者には契約期間に定めのない無期雇用契約への転換を申込む権利が与えられます。
更新時に有期雇用契約から無期雇用契約に転換が可能な労働者には、その旨を伝えた上で雇用契約書を取り交わすようにしましょう。
労働者が無期雇用への転換を希望した場合、使用者は拒否することができません。
また、契約期間が5年以内であっても「実質的な無期雇用」や「労働者に雇用継続の期待をさせた」と判断された場合、労働契約法第19条が適用され、期間満了による雇い止めが難しくなってしまいます。
労働者には、あらかじめ契約更新の有無についても明確な基準を明示し、説明しておく必要があります。
なお、契約期間満了から次の有期雇用契約までに6ヵ月以上の空白期間がある場合は、クーリング期間として、以前の契約期間をカウントしません。
3-4. 正社員へ転換する場合
有期雇用契約期間中の働きぶりによっては、正社員として契約を更新する場合もあるかもしれません。
このような場合も、期間の定めのない雇用契約として、新たに雇用契約書を取り交わすようにしましょう。
正社員への転換は、場合によって助成金の支給対象となることもあるため、状況に応じて対応するようにしてください。
なお、前述した無期雇用契約と正社員への転換は、雇用期間の定めがなくなるという点においては同じです。しかし、無期雇用契約への転換は、あくまでも「雇用契約期間の制限がなくなるだけ」です。正社員になるわけではないため、有期雇用従業員の雇用形態を変更する場合は、間違いのないようにしましょう。
また、従業員も正社員への転換と無期雇用契約への転換を混同していることがあるため、給与や待遇にどのような違いがあるのか明確にしておくことが大切です。
関連記事:雇用契約書における契約社員からの正社員登用についての記載ポイント
3-5. 自動更新がおこなわれる場合
有期雇用契約に自動更新条項が定められている場合、契約期間満了時に更新拒絶の意思表示がなされなければ、契約上は従前の条件に基づいて更新される仕組みとなります。この場合、更新の合意を改めて書面で取り交わさない運用がおこなわれることもあります。
ただし、労働条件明示ルールでは、契約期間や更新の有無、更新上限、無期転換に関する事項などを明示することが求められており、自動更新であっても、労働条件の内容が適切に整理・説明されていることが重要です。
更新拒絶の通知は、契約期間の満了前におこなう必要があります。この通知がおこなわれない場合、自然に契約は更新される仕組みとなっています。
なお、自動更新がされる有期雇用契約者に対しても、期間満了をもって契約を終了することが可能です。
4. 雇用契約書の更新時に記載する内容

有期雇用契約者との間に取り交わした契約期間が満了し、引き続き働き続けてほしい場合には雇用契約書を更新することになります。
その際には、労働条件を改めて明示しなければなりません。労働条件の明示は書面(または労働者が希望した場合は電子メール等)でおこなう必要があり、一般的には「労働条件通知書」の交付、または通知書の内容を兼ねた「雇用契約書」の締結によっておこないます。有期雇用契約者と雇用契約を更新する際は、以下の内容を明示してください。
- 労働契約の期間
- 就業場所
- 従事する業務の内容
- 始業、終業時刻
- 所定時間を超える労働の有無
- 休憩時間、休日、休暇
- 交代制勤務がある場合のルール
- 賃金の決定、計算、支払方法、締切日、支払日
- 退職に関する事項
- 更新上限(通算契約期間または更新回数の上限)の有無と内容
- 無期転換申込機会の明示
- 無期転換後の労働条件の明示
そのほか、会社に制度がある場合は退職手当や臨時の賃金や賞与などの制度についても明示が必要です。
関連記事:雇用契約の更新とは?契約書の作り方や更新手続きの手順を解説
5. 雇用契約を更新しない場合の対応・通知方法

有期雇用従業員の契約期間を更新せずに雇止めをする場合、条件を満たしている従業員に対しては、期間満了による契約終了の場合でも、労働基準法で雇止めの告知や雇止め理由の明示が必要であるとされています。
ここでは、雇止め告知が必要なケースについて解説します。
5-1. 雇止めの予告をする
労働者に対して、雇用契約を更新しない通知(雇止め)をしたい場合は、雇止め基準に則った手続きをしなければなりません。労働基準法14条で定められている基準であるため、これを守らない場合は労働基準監督署から指導を受ける可能性があります。
雇止め基準はすべての有期雇用従業員に適用されるものではなく、以下2つの要件をどちらも満たす場合に守る必要があります
- 有期雇用契約を3回以上更新している、または、雇い入れの日から起算して1年以上継続勤務している
- あらかじめ有期雇用契約を更新しない旨が明示されていない
この2つの条件を満たしている有期雇用従業員の雇止めをする場合は、雇止めの告知や雇止め理由の明示が必要です。
雇止めの告知は、少なくとも契約期間満了の30日前にすることが定められています。
参考:有期労働契約の雇止めについては、その基準が定められています|厚生労働省
5-2. 雇止め理由を明示する
雇止めに関する面談の結果、労働者側が雇止めを不服とした場合は、契約更新をしない理由についての証明書を請求されることがあります。
その場合は、使用者は遅延なく証明書を交付する義務がありますが、証明書に明示する雇止めの理由として、契約期間満了以外の理由を記載する必要があります。
雇止めの理由は、「客観的・合理的である」こと、「社会通念上の相当性」が求められますので、後述する「雇用契約の更新を判断する基準」を参考にあらかじめ設定しておき、いざなった際に適切な説明ができるように心掛けてください。
当サイトでは、改正労働契約法に沿って、「無期転換ルール」や「雇止め」について解説した資料を無料で配布しております。有期雇用契約社員の更新について不安な点がある方は、こちらから「有期雇用契約の説明書」という資料をダウンロードしてご確認ください。
関連記事:雇用契約を更新しない場合の正当な理由と社員への伝え方
6. 雇用契約を更新する際の注意点

雇用契約を更新する際には、2つの注意点があります。
- 雇用契約の期間は基本的に3年が上限
- 2024年4月以降、契約更新の際に明示すべき事項
ここでは、これらの注意点について解説します。
6-1. 雇用契約の期間は基本的に3年が上限
有期雇用契約の期間は、原則として3年が上限とされています。このため、3年を超える契約は無効となり、3年に修正されます。
例外として一定の事業の完了に必要な期間を定めた場合や、高度な専門知識を持つ労働者との契約の場合は、契約期間の上限が緩和されることがあります。ただし、自社で「高度な専門知識」と判断すれば適用されるというわけではありません。契約期間の上限緩和は、特定の条件を満たす場合に適用されるため注意が必要です。
6-2. 2024年4月以降、契約更新の際に明示すべき事項
2024年4月以降、有期雇用契約を更新する際には、使用者が労働者に対して、明示すべき事項を記載した労働条件通知書を交付する必要があります。
この通知書には、労働契約の期間や就業場所、業務内容、労働時間、休日、賃金についての詳細が含まれます。
加えて、有期雇用労働者には、契約更新の上限や無期転換の申込機会、無期転換後の条件も明示する必要があります。
2024年4月に施行された、労働条件通知書の明示事項について、詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。
関連記事:労働条件通知書とは?雇用契約書との違いや記載事項の例、2024年4月改正の明示ルールを解説
7. 雇用契約の更新は労使間の合意のもとルールに則っておこなおう

雇用契約の更新を決定する際は、前もって客観的な判断基準を設け、労働者の理解を得ることが重要です。
雇い止めの際のトラブルを避けるためにも、判断基準については、雇用契約書や就業規則にて、できるだけ具体的に明示することが求められます。
また、更新手続きの際は、同じ待遇・条件での契約であっても、雇用契約書を新たに取り交わす必要があります。労働条件通知書も同様に、入社時だけでなく契約更新や変更の際も交付しなければなりません。
更新契約書の作成は、手間だけど重要な業務なので、業務負担が大きい場合は電子化を検討してみましょう。
電子化が気になる方は以下の参考記事をご覧ください。
参考記事:雇用契約書・労働条件通知書を電子化する方法や課題点とは?
有期雇用契約は労働基準法・労働契約法において様々なルールが設けられているため、法律に則って雇用契約を結ぶ必要がありますが、従業員とのトラブルになりやすい部分でもあります。
「法律に則って雇用契約を結ぶ方法を確認したい」「法的に正しい契約更新の対応を知りたい」という方に向け、当サイトでは「有期雇用契約の説明書」を無料で配布しております。
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2024年4月に改正された「労働条件明示ルール」についても解説しており、変更点を確認したい方にもおすすめです。
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