年末調整はいつまで?提出書類と社内期限・社員へ周知するコツを解説 - ジンジャー(jinjer)|クラウド型人事労務システム

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年末調整はいつまで?提出書類と社内期限・社員へ周知するコツを解説

時計とふせん

年末調整では、翌年1月31日という税務署への法定提出期限と、原則として翌年1月10日(特例適用なら1月20日)の源泉所得税の納付期限が設定されています。しかし、これらの期限に間に合わせるためには、書類の回収や確認に時間を要するので、多くの会社では11月末〜12月初旬頃を社内提出期限として設定しています 。

この記事では、年末調整をいつまでに終えるべきか、法定期限はもちろん、スムーズな業務遂行のための社内期限の設定ポイントを紹介します。また、社員から提出してもらう書類ごとの期限や、書類の提出遅れ・不備があった場合の具体的な対応フローも解説します。

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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1. 年末調整はいつまでにおこなう?

はんこと男性

年末調整の法定期限と、社内で設けるべき提出期限の考え方について解説します。

1-1. 税務署提出期限(翌年1月31日まで)

年末調整に関する書類は、翌年の1月31日までに税務署へ提出しなければなりません。源泉徴収票の交付や法定調書・給与支払報告書の提出なども、この期限までに完了する必要があります。

これらの手続きは、所得税法や地方税法で定められた法的義務です。提出期限を過ぎたり、内容に不備があったりすると、税務署からの指導対象となる可能性があります。さらに、悪質と判断されるケースでは刑事罰に問われるおそれもあるため注意が必要です。

関連記事:年末調整のやり直しを税務署から通知された!原因や影響、必要な手続きを解説

1-2. 源泉所得税の納付期限(原則、翌月1月10日まで)

社員に支給する給与や賞与などから源泉徴収した所得税は、原則として支払った月の翌月10日までに納付しなければなりません。つまり、年末調整を実施した12月分の源泉所得税については、翌年1月10日が納付期限となります。

ただし、常時の給与支給人員が10人未満の事業所は、所轄税務署へ申請することで「納期の特例」の利用が可能です。この特例を適用すると、源泉所得税の納付期限は次のように年2回にまとめられます。

  • 1月〜6月分:7月10日まで
  • 7月〜12月分:翌年1月20日まで

そのため、年末調整後の源泉所得税については、翌年1月20日までに納付すればよいことになります。なお、源泉所得税の納付期限は、法定調書や給与支払報告書の提出期限(翌年1月31日)よりも早い点に注意が必要です。

納付が遅れると、延滞税や不納付加算税などのペナルティが課される可能性があります。したがって、源泉所得税の納付期限までには、年末調整を完了し、納付すべき税額を確定しておくことが重要です。

参考:No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例|国税庁

関連記事:所得税の納付方法は?納税方法の種類やおすすめの選び方・納付期限を解説

1-3. 一般的な社内での提出期限(11月末から12月初旬頃)

年末調整では、社員から申告書類を提出してもらい、その内容をもとに控除額や税額の計算をおこないます。書類の確認作業には時間がかかることもあり、不備がある場合は差し戻しが必要になることもあります。そのため、社員に提出してもらう書類の社内提出期限を明確に設定しておくことが重要です。

社内提出期限について法的な定めはありませんが、多くの会社では11月初旬に案内を配布し、提出期限を11月末〜12月初旬頃に設定しています。スムーズに業務を進めるためには、11月末を提出期限として設定するのが理想的です。提出が遅れると正確な税額計算に支障が出るおそれがあるので、その点を社員に周知し、協力を求めましょう。

年末調整業務において、必要書類は複数あるため、書類の準備と作成に抜け漏れがないか不安なご担当者様もいらっしゃるのではないでしょうか。必要書類の提出が遅れたり、不備が生じたりすると、業務全体に大きな影響を及ぼす可能性があります。

当サイトでは、年末調整に必要な書類の一覧や提出期限などをまとめた「年末調整ガイドブック」を無料で配布しています。書類の抜け漏れを防ぎ、スムーズに年末調整を進めたい方は、ぜひこちらからダウンロードしてご活用ください。

2. 年末調整の期限に遅れてしまったらどうする?

書類とペン

ここでは、年末調整の必要書類が期限までに提出されなかった場合や、書類不備・誤記入などのトラブルが発生した際の対応方法を紹介します。事前の対策と明確な社内ルールを整えておくことで、繁忙期の混乱を防ぎ、スムーズな処理が可能になります。

2-1. 提出遅れをカバーするため予備期間を確保する

年末調整の申告書類は、社員ごとに記入内容や添付書類の確認が必要となるため、一定の時間を要します。特に、保険料控除や住宅ローン控除の証明書を紛失した場合は、再発行に時間がかかることもあります。

こうした遅延リスクに備え、社内での提出期限は法定期限よりも早めに設定し、予備期間(クッション期間)を設けておくことが重要です。早い段階で証明書類の紛失や未着がないか確認を促すと安心です。

また、社員には早い段階で必要書類の案内をおこない、紛失や未着の確認を促すことが効果的です。さらに、初回提出期限に加えて「再提出期限」も明確に定めておくことで、書類不備や差し戻しが発生した際もスムーズに処理を完了でき、全体の進行管理がしやすくなります。

関連記事:年末調整はいつが期限?具体的なスケジュールや提出書類を解説

2-2. 提出漏れの社内対応フローを決めておく(催促・再提出)

提出漏れや記入ミスが発生した際の対応フローを事前に定めておくと、対応の混乱を防げます。社員が書類を期限までに提出しなかった場合に、「いつ」「誰が」「どのように」催促するのかを明確にしておきましょう。

例えば、締切後に未提出者をリストアップし、担当者からメールやチャットで個別に催促をおこないます。さらに、一定期間が過ぎても提出がない場合には、上長を通じて再通知するといったように、段階を踏んだ対応ルールを設定しておくとスムーズです。

また、書類の不備や記入ミスがあった際の再提出対応のルールを明確にしておくことも大切です。どの部署・担当者が窓口となるのかを事前に定めておくことで、社員からの問い合わせ対応や再提出書類の受け取りがスムーズになり、確認・修正作業を効率的に進められます。

関連記事:年末調整の対象者とは?必要書類や確定申告との関係も解説

2-3. 期限に間に合わない社員には確定申告するよう促す

社員が社内で定めた期限までにきちんと書類を提出しない場合、申告内容に不備があるまま年末調整を実施せざるを得ない可能性があります。また、年末調整の完了後に結婚・離婚といった家族構成の変化や、新たな保険料の支払いなどが発生すると、控除額や税額の再計算が必要になることもあります。

このような場合は、原則として年末調整のやり直し(再年調)が必要です。しかし、期限に間に合わない場合には、社員自身による確定申告で精算・還付を受ける対応もできます。ただし、追加で所得税を徴収する必要が生じる場合は、基本的に会社を通じて精算をおこなう必要があるので放置はできません。

そのため、社員が期限を守らない場合は、担当部署から明確な期限と対応方針を示したうえで、毅然とした態度で催促することが大切です。また、年末調整後に異動や申告内容の変更が発生した場合には、速やかに会社へ報告してもらうよう事前に周知しておくことで、トラブルやリスクを最小限に抑えられます。

参考:No.2671 年末調整の後に扶養親族等の人数が異動したとき|国税庁

関連記事:年末調整の再調整は可能!方法やポイントをわかりやすく解説

2-4. 提出した法定調書に間違いがある場合は訂正が可能

年末調整をやり直す(再年調)ことにより、すでに提出した法定調書に誤りが生じる場合があります。その際は、正しい内容で法定調書を作成し直し、訂正後の法定調書合計表とあわせて速やかに税務署へ提出する必要があります。

このとき、当初提出した法定調書を無効とする手続きが必要です。誤りがあった法定調書の控え(写し)と、その無効分となる法定調書合計表を添付し、「無効分」と「訂正分」が明確に区別できるよう、各書類に赤字で記入するなどして区別します。

さらに、社員へすでに交付した源泉徴収票に誤りがある場合は、再交付が必要です。再発行する源泉徴収票の「摘要」欄には、訂正箇所を明記したうえで「再交付」と記載し、正しい内容の源泉徴収票を交付しましょう。

参考:提出した法定調書に記載誤りを発見した場合の訂正方法|国税庁

関連記事:年末調整のよくある間違いと訂正方法・やり直しを防ぐコツとは

2-5. 年末調整の期限を過ぎてしまった際の影響

年末調整の期限を守ることは、社内の事務作業を円滑に進めるだけでなく、会社として法的義務を果たし、社員に正しい税額を反映するために欠かせません。

処理が遅れると、社員の還付金の受け取りが遅れるほか、源泉徴収票や給与支払報告書を期限内に提出できず、法令違反や行政からの是正指導につながる恐れがあります。

また、誤った所得税や住民税が課され、確定申告や住民税計算に影響が及ぶリスクもあるため、適切な期限管理が重要です。

3. 社内期限の決め方のポイント

ポイントのブロック

年末調整をスムーズに進めるためには、社内での提出期限を明確に設定することが欠かせません。ここでは、期限を決める際のポイントを紹介します。

3-1. 税務署提出期限と源泉所得税納付期限から逆算する

会社が税務署や市区町村へ年末調整に関する各種書類を提出する期限は、翌年の1月31日と定められています。また、源泉徴収税の納付期限は原則として翌年1月10日(※納期の特例を利用する場合は翌年1月20日)です。

そのため、社内での書類提出期限は、これらの法定提出期限や納付期限から逆算し、計画的に設定することが重要です。特に、社員からの申告書類の回収や内容確認、控除証明書などの添付資料のチェックには時間を要するので、余裕をもったスケジュールを組む必要があります。

3-2. 年末年始休暇や繁忙期を考慮した期限を設定する

年末調整の時期は、年末年始の繁忙期や長期休暇と重なるため、処理が遅れるリスクが高くなります。特に、給与計算や賞与対応など他の業務も集中するので、担当者の負担が増えやすい点には注意が必要です。

このような状況下で円滑に年末調整を進めるためには、法定期限ぎりぎりではなく、前倒しで社内提出期限を設定することが重要です。また、社員の休暇予定や各部門の繁忙期を考慮し、部署ごとに締切日を段階的にずらすといった柔軟なスケジュール設定も効果的です。

さらに、社内掲示板やメール、チャットツールなどを活用して、提出期限の周知や定期的なリマインドをおこなう仕組みを整えれば、社員の意識を高め、早期提出を促せます。

関連記事:年末調整をしないとどうなる?会社側のリスクや間に合わなかった時の対処法を解説

4. 年末調整の目的と基本的な流れ

チェックボックス

年末調整の目的は、社員がその年に本来支払うべき所得税額を正確に算出し、毎月の給与から源泉徴収されてきた所得税との差額を精算することにあります。毎月の源泉徴収税額は、年間の見込み給与額をもとに計算されていますが、実際には給与の増減や扶養親族の変更など、途中で状況が変化することがあります。

その結果、実際の納税額との間に誤差が生じるため、その差を年末にまとめて調整するのが「年末調整」です。調整の結果、税金を多く納めていた場合には還付金として社員に返金され、逆に不足していた場合は追加徴収がおこなわれます。

処理が遅れると、社員への還付金の支払いが遅延したり、誤った税額が確定申告や住民税の算定に影響を及ぼしたりするおそれがあります。したがって、年末調整は会社の法的義務であると同時に、社員との信頼関係を維持するためにも重要な業務です。正確な計算と期限の厳守はもちろん、書類の回収状況や入力ミスの有無を早期に確認する体制を整えておくことが求められます。

関連記事:年末調整とは?目的や確定申告との違い、基本的な流れを人事担当者向けに解説

4-1. 年末調整はいつから始める?

年末調整は、「いつから始めなければならない」という法的な決まりはありません。しかし、年末から翌年初めにかけては給与計算や賞与処理などの業務が集中するため、早めの準備がスムーズな進行の鍵となります。

一般的には、10月~11月頃に年末調整の準備を始める会社が多く見られます。会社の規模や方針などによっても進め方は異なりますが、次のようなスケジュールを目安にするとよいでしょう。

10月中旬から

社員へ年末調整の書類を配布し、記入を依頼します。

11月下旬まで

記入済みの書類を社員から回収します。

12月中旬まで

回収した書類に基づいて年末調整の計算や精算をおこないます。

12月給与支給時

年末調整の結果を給与に反映し、所得税の還付または追徴をおこないます。

※給与の締日や支給日の都合により、1月給与で調整する会社もあります。

1月10日まで

(特例の場合1月20日まで)

年末調整後の源泉徴収税額を納付します。

1月31日まで

社員に給与所得の源泉徴収票を交付し、税務署へ法定調書を、市区町村へ給与支払報告書を提出します。

このスケジュールはあくまで一般的な目安です。特に、社員数が多い会社や複数拠点を持つ会社では、書類の回収・確認に時間がかかる傾向があるため、早めにスケジュールを立て、各部署と連携して進めることが重要です。

関連記事:年末調整のやり方とは?必要書類や手順、スケジュールをわかりやすく解説!

5. 年末調整で社員から提出してもらう書類と期限

書類と虫眼鏡

年末調整で提出が必要な次の書類とその提出期限について解説します。

  • 扶養控除等(異動)申告書3
  • 保険料控除申告書
  • 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書
  • その他(住宅ローン控除申告書・証明書等)

関連記事:2025年(令和7年)の年末調整の変更点!手続きのポイントもわかりやすく解説

5-1. 扶養控除等(異動)申告書

「扶養控除等申告書」の提出期限は、その年最初の給与を受け取る日の前日です。したがって、既存社員は年初の1月中に提出を完了する必要があります。中途入社の社員については、入社後、最初の給与支給日の前日が提出期限となります。

また、申告内容に変更が生じた場合(例:結婚・離婚・出産・子の独立など)は、異動日以後、最初に給与を受け取る日の前日までに、最新の内容を反映した申告書を再提出してもらわなければなりません。

そもそも、「扶養控除等申告書」が年初に求められる理由は、年末調整だけでなく、毎月の給与や賞与(ボーナス)から天引きされる所得税の計算にも用いられるためです。この申告書に基づいて、各社員の扶養状況や所得控除の有無を反映した源泉徴収額が算定されます。

実務的には、入社手続きの段階で「扶養控除等申告書」を提出してもらうのが一般的です。また、年末調整の際に内容変更が確認された場合は、そのタイミングで修正済みの申告書を再提出してもらうとともに、翌年分の申告書も同時に回収しておくと、翌年度の源泉徴収処理がスムーズになります。

参考:A2-1 給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

関連記事:【令和8年分】扶養控除等(異動)申告書とは?書き方や提出の必要性をわかりやすく解説

5-2. 保険料控除申告書

「保険料控除申告書」の提出期限は、その年の最後の給与を受け取る日の前日です。多くの場合、最後の給与で過不足額の精算をおこなうので、処理に時間がかかります。そのため、社内での提出期限は11月頃に設定しておくのが望ましいでしょう。

この申告書は、生命保険料控除、地震保険料控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除(例:iDeCo)の各種所得控除を受けるために提出してもらうものです。社員は、保険会社などから届く控除証明書を添付して会社へ提出します。

証明書は例年10月頃に発送されるので、紛失や未提出を防ぐためにも、早めの案内や提出依頼をおこなうとよいでしょう。なお、給与から天引きされている社会保険料(健康保険料・厚生年金保険料など)については、会社が支払い状況を把握できるため、別途申告書の記入・提出は不要です。

参考:A2-3 給与所得者の保険料控除の申告|国税庁

関連記事:保険料控除申告書の書き方は?提出が必要な人や注意点をわかりやすく紹介

5-3. 基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書

「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 特定親族特別控除申告書 兼 所得金額調整控除申告書」の提出期限は、「保険料控除申告書」と同様で、その年の最後の給与を受け取る日の前日です。ただし、年末調整を円滑に進めるため、社内での提出期限はそれよりも前倒しで設定しておくことが望ましいでしょう。

この申告書は、基礎控除や配偶者控除、特定親族特別控除、所得金額調整控除といった基本的な所得控除を適用するために必要な書類です。令和7年度税制改正により、令和7年分(2025年分)の年末調整から「特定親族特別控除」が新設され、申告書の様式や記入欄が変更されています。そのため、最新の書式を確認のうえで記入・提出してもらうよう注意が必要です。

参考:A2-4 給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除、特定親族特別控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

関連記事:配偶者控除等申告書の書き方を徹底解説!令和7年度年末調整と法改正内容

5-4. その他(住宅ローン控除申告書・証明書等)

住宅ローン控除は、初年度のみ本人が確定申告で手続きをおこないますが、2年目以降は税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」を提出することで、会社の年末調整により控除を受けられます。この申告書の提出期限は、「保険料控除申告書」と同様に、その年の最後の給与を受け取る日の前日です(租税特別措置法第41条の2の2)。

申告書は社員本人に直接送付されるため、会社で用意する必要はありません。ただし、住宅ローン控除を受ける際には、年末残高等証明書などの添付書類が必要です。これらの添付漏れが発生しやすいので、社内の提出期限を早めに設定し、修正対応の時間を確保しておくと安心です。

また、その年に転職してきた社員が前職分を含めて年末調整をおこなうためには、前の勤務先から交付される源泉徴収票が必要です。退職後に交付されるものですが、紛失している場合は再発行の手続きが必要になります。円滑に年末調整を進めるためにも、早めの準備を社員に周知しておきましょう。

参考:租税特別措置法第41条の2の2|e-Gov法令検索

関連記事:年末調整で前職の源泉徴収票の提出が必要な理由とは?未提出時の対処法も解説

6. 年末調整で会社が交付・提出する書類と期限

電卓で計算する

年末調整が完了すると、会社は社員や税務署、市区町村に対して一定の書類を交付・提出する義務があります。これらの書類は、所得税や住民税の正確な課税に欠かせないもので、それぞれ提出先や期限が異なります。ここでは、主な3つの書類について解説します。

参考:令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引|国税庁

6-1. 源泉徴収票(社員)

給与所得の源泉徴収票は、翌年の1月31日までに交付することが義務付けられています。ただし、年の途中で退職した人に対しては、退職日から1ヵ月以内に交付しなければなりません。

源泉徴収票には、1年間に支払った給与の総額や源泉徴収された所得税額、各種控除額などが記載されます。会社は、年末調整の結果を反映した正しい内容で交付する必要があります。

この書類は、社員が確定申告をおこなう場合や、住宅ローン控除などの各種手続きで収入証明が必要な場合、さらに退職者が転職先で年末調整を受ける場合など、さまざまな場面で必要となる重要な書類です。交付後は、社員が紛失しないよう適切に保管するよう案内しましょう。

参考:No.7411 「給与所得の源泉徴収票」の提出範囲と提出枚数等|国税庁

関連記事:源泉徴収票の発行の仕方とは?いつ発行するか、どこでもらえるか解説

6-2. 法定調書(税務署)

年末調整後の法定調書の提出期限は、翌年1月31日です。一定の条件を満たす支払については、所轄の税務署に法定調書を提出する必要があります。

法定調書は、納税者が正しく税金を申告しているかを税務署が確認し、適正に課税をおこなうための資料として用いられます。年末調整後にまとめて提出する法定調書は、次の6種類です。

  • 給与所得の源泉徴収票
  • 退職所得の源泉徴収票
  • 報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書
  • 不動産の使用料等の支払調書
  • 不動産等の譲受けの対価の支払調書
  • 不動産等の売買又は貸付けのあっせん手数料の支払調書

これらの法定調書を作成したら、表紙となる「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」を添付し、税務署へまとめて提出します。電子申告(e-Tax)を利用することで、紙での提出よりも効率的に手続きを完了させられます。

参考:F1-1 給与所得の源泉徴収票(同合計表)|国税庁

関連記事:法定調書の提出期限や遅れた場合の罰則について紹介

6-3. 給与支払報告書(市区町村)

給与支払報告書の提出期限は、翌年の1月31日です。原則として、給与を支払ったすべての社員について作成し、各社員が居住する市区町村へ提出する必要があります。

給与支払報告書は、翌年度の住民税を算定するための基礎資料として使用される重要な書類です。そのため、記載内容に誤りがあると、社員の住民税に影響が出るおそれがあるので、正確な作成と期限内の提出が求められます。

なお、eLTAXを利用すれば、給与所得の源泉徴収票と給与支払報告書のデータを同時に作成することが可能です。さらに、eLTAXで一括送信することで、給与支払報告書は自動的に各市区町村へ、源泉徴収票はe-Taxを通じて所轄の税務署へ提出できるため、業務を効率的に進められます。

参考:給与・公的年金等の支払報告書及び源泉徴収票のeLTAXでの一括作成・提出(電子的提出の一元化)について|国税庁

関連記事:給与支払報告書とは?書き方や提出方法・期限をわかりやすく解説

7. 年末調整の期限に関するよくある質問

Q&Aのブロック

ここでは、年末調整の期限に関連するよくある質問への回答を紹介します。

7-1. 年末調整はいつまでの給与で計算する?

年末調整は、その年の1月から12月までの給与を対象として計算されます。この期間に得た給与の総額に基づいて、本来納めるべき所得税額が計算され、毎月の給与から源泉徴収された所得税額との差額が精算されます。

関連記事:給与計算における所得税の計算方法とは?源泉徴収の仕組みも解説

7-2. 年末調整はいつまで遡れる?

年末調整は、その年1月から12月までの給与を対象に計算され、会社が税務署へ提出する期限は翌年1月31日までです。年末調整をやり直せるのは原則として翌年1月末までで、それ以降は修正が難しくなります。

もし年末調整の期限を過ぎた場合や調整を受けられなかった場合は、個人で確定申告をおこなうことで税金の還付を受けられます。

還付申告の場合は、中途退職などで年末調整を受けられなかった場合も含め、翌年1月1日から5年間提出可能です。つまり、年末調整の修正は翌年1月末までで、確定申告(還付申告)による還付は5年間遡って対応できることになります。

7-3. いつまで在籍したら年末調整の対象になる?

年末調整の対象は、原則としてその年の12月31日時点で会社に在籍している社員です。

ただし、途中退職であっても、海外転勤により非居住者となった場合、死亡や心身の障害による退職、12月分の給与を受け取って退職した場合、あるいは年間給与が123万円以下の場合などは対象となります。

これらに該当しない退職者は原則として年末調整の対象外です。納め過ぎた税金がある場合や、納めるべき税金がある場合は、翌年に確定申告をおこなう必要があります。

参考:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

関連記事:年末調整は退職者も対象になる?やるべき手続きや確定申告が必要になるケースを解説

8. 年末調整関連の書類は早めに回収しよう

書類

年末調整は「いつまでに終えるか」がとても重要です。社員による控除証明書の取り寄せや会社による扶養控除等申告書の確認などには時間がかかるため、社内提出期限を遅く設定すると処理が間に合わないリスクがあります。

年末年始の繁忙期も考慮し、社内での提出期限を早めに設定して周知徹底することがポイントです。余裕を持った回収とチェック体制を整えれば、ミスや遅延を防ぎ、スムーズに年末調整を完了できるでしょう。また、年末調整業務の効率化を図るには、給与計算ソフトの導入や手続きの電子化を進めることも有効です。

令和7年分の年末調整の変更点 すべて把握できていますか?

令和7年度の税制改正によって、令和7年12月の年末調整から変更が生じます。また、令和7年11月20日に施行された通勤手当の非課税限度額の改正によって、新たに年末調整の対応が必要となるケースもあります。

  • 「令和7年分の年末調整で提出する書類は?」
  • 「年収の壁の引き上げで年末調整はどう変わった?」
  • 「通勤手当の非課税限度額の改正で年末調整が必要になる従業員は?」

このような疑問をお持ちの方に向けて、令和7年分の年末調整に必要な書類から対象者、計算の流れまで、年末調整に関する基本的な業務を図解でわかりやすくまとめた資料を無料で配布しております。

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