小口現金とは?意味やルール、現金との違いをわかりやすく解説
更新日: 2024.10.7
公開日: 2020.12.1
jinjer Blog 編集部
企業のお金を現金として全て手元に置いておくと危険なため、日常的な経費の精算やちょっとした出費には「小口現金」というお金を使います。
小口現金は手元に置いておく少額の現金ですが、現金とはどんなところが違うのでしょうか。
今回は、小口現金と現金の違いについて解説していきます。
小口現金の管理方法についてもお伝えするので、経理担当や小口現金係になった方はぜひ参考にしてください。
「帳簿にズレがないかのチェックが大変で、なかなか仕事が終わらない」「出金や両替で毎回銀行に行くのがとにかくめんどくさい」など、小口現金の管理でお悩みではありませんか?
とはいえ「小口現金を廃止したいけど、どうすればいいのか、そもそもどのような準備が必要なのか・・・?」など、小口現金の具体的な廃止方法や手順がわからないと疑問を抱えている方も少なくないでしょう。
そのような方にむけて小口現金を無くすための手順を解説したガイドブックを用意いたしました。経費精算をラクにしたいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
1. 小口現金とは
小口現金は、従業員の電車代や急な来客のときに必要となったお茶代など、日々の業務の中で精算が必要となる細々とした経費の支払いに使われる現金のことです。
大金を手元においておくと危険が伴うため、少額の現金を部署ごとに渡して小口現金として管理する企業が多いのです。
1-1. 小口現金と現金の違い
小口現金と現金は、最終的に財務諸表を作成するときに金額が合算され、貸借対照表の流動資産の部に「現金及び預金等」といった科目で仕訳がされます。
そのため、どちらも同じものだと勘違いされやすいですが、日々の仕訳の段階では区別して考える必要があります。
イメージとしては、現金が金庫や銀行に預けられているまとまった札束で、小口現金がクッキー箱に入っているお金だと考えるとわかりやすいです。
たとえば、営業の交通費として従業員が1,000円立て替えたとしましょう。このときに経理担当者に精算をお願いすると、わざわざ金庫や銀行からお金を引き出してくる必要があります。
しかし小口現金があれば、わざわざ金庫や銀行でお金を引き出さなくても、クッキー箱からお金を出すだけで精算が終わります。
このように現金は「すぐには使えないまとまったお金」、小口現金は「すぐに使える手元にあるお金」と区別すると、違いがイメージしやすくなるでしょう。
しかし、小口現金管理として出納帳に記載していくとどうしても記載ミスがでたり、小口現金があわなかったりとトラブルがおこるケースもあります。そのため中長期的には小口現金をなくしていく考えも必要でしょう。
今後小口現金をなくす検討をされている担当者の方に向けて小口現金廃止の方法と手順をまとめたガイドブックを無料で配布しておりますので、ご興味のある方はこちらから「目的別!小口現金廃止を実現するためのガイドブック」ダウンロードしてご覧ください。
関連記事:小口現金の仕組みや仕訳の方法など基礎知識を詳しく紹介
2. 小口現金の管理方法
小口現金は企業のお金なので、当然お金の出し入れがあったときは記帳をする必要があります。
2-1. お金の動きは「小口現金出納帳」に記載する
小口現金の動きをまとめておく帳簿を「小口現金出納帳」といい、担当者は毎日帳簿の内容と小口現金の残高に差異がないかをチェックする作業が欠かせません。
小口現金出納帳には、「受入金額・日付・摘要・支払金額・支払内訳・残高」の情報を書き込みます。
ただし、企業の帳簿としては小口現金出納帳だけでは帳簿として不十分です。小口現金係は、決められた期間ごとに支払総額と内訳ごとの総額を集計し、会計係に報告する必要があります。
小口現金出納帳で集計した内容は、最終的に経理部で現金出納帳にまとめられます。
ちなみに、小口現金について仕訳するときの勘定項目は「資産」です。貸借対照表の借方項目に分類されるため、増加すれば借方、減少すれば貸方に記入します。
2-2. 過不足が発生することがないように管理する必要がある
小口現金として管理しているお金も少額とはいえ、会社のお金です。そのため、金額が合わないといったことがないよう、適切に管理しなければなりません。
万が一、残高が合わない場合は再度お金を計算したり、レシートから計算した金額に誤りがないかを見直したりする必要があります。
お金の過不足は担当者の管理不足を問われるだけでなく、犯人探しや社内の不和につながる恐れもあるため、注意しましょう。
精算のたびに2人以上で確認することや、鍵付きの手持ち金庫で管理するなどの対策が必要です。
残高が合わない時の対処方法
残高や記帳内容を再確認しても計算が合わない場合は、差額を「現金過不足」の科目で計上しましょう。
あわせて、差額が発生したことに対する「調査報告書」を作成します。
もし記録が曖昧であれば不正を疑われかねませんし、原因究明や対策を講じることをしていない場合、同様の事象が発生しかねません。
「お金の管理が適当な会社」は信用を失うことにつながるため、しっかりと確認しましょう。
3. 小口現金出納帳と現金出納帳の違い
企業がお金を管理するときは、小口現金を管理する「小口現金出納帳」とは別に「現金出納帳」という帳簿を使用します。
名前が似ていて紛らわしいですが、それぞれの帳簿は何が違うのでしょうか。小口現金出納帳と現金出納帳には、大きな違いが3つあります。
3-1. 記入する内容
はじめに挙げられる大きな違いは、記入する内容です。
小口現金出納帳は、日常的な雑費の支払いに使われる小口現金の管理だけに使われるもので、出費ごとに日付や摘要を記入する必要があります。
いくつか部署がある場合は、部署ごとに小口現金と小口現金出納帳を用意し、部署ごとにそれぞれで管理していきます。
一方で現金出納帳は、企業が現金で支払いをしたり受け取ったりする行為を管理するための帳簿です。部署ごとに用意されることはなく、小口現金の収支を細かく記載することもありません。
3-2. 記入する部署
2つ目の大きな違いは、記入する部署です。
先ほどもお伝えしたとおり小口現金は部署ごとに用意され、小口現金出納帳も部署ごとに管理します。一方で、現金出納帳は1冊しか用意されず、記入するのは経理部のみです。
現金出納帳は会社全体のお金の動きを管理するため、複数の人が書き込むと情報が混乱してしまいます。そのため、基本的に経理部以外の人間が記入することはありません。
3-3. 記入するタイミング
3つ目の大きな違いは、記入するタイミングです。
小口現金出納帳と現金出納帳は、どちらもお金の動きがあるときは毎日記入する必要がありますが、小口現金について記入するときはタイミングが異なります。
小口現金出納帳は小口現金の収支のたびに記入しますが、現金出納帳は小口現金の集計後、小口現金を補給するときに企業の支出としてお金の動きを記入することになります。
したがって、小口現金を使うたびに現金出納帳に記入する必要はありません。
イメージとしては、小口現金出納帳は手元にある小口現金のお小遣い帳で、現金出納帳は金庫や銀行にあるお金を管理する通帳みたいなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
関連記事:小口現金出納帳とは?実際の書き方や現金出納帳との違いなど網羅的に解説
4. 小口現金を管理するときのポイント
小口現金を管理するときは、どんなポイントに気をつけたらいいのでしょうか。
ここからは、小口現金を管理するときのポイントについてみていきましょう。
4-1. 毎日残高と記帳内容が合っているか確認する
小口現金の残高と小口現金出納帳の残高は、必ず一致させる必要があります。
残高が一致しないまま記帳を続けても、帳簿の意味を成さないためです。
万が一金額に差異がある場合は、原因を追求しなくてはいけません。この作業を1週間、1ヶ月ごとに行うと原因の解明がしにくくなってしまうため、毎日残高と記帳内容が合っているかどうかを確認する必要があるのです。
もしもどうしても差異の原因がわからない場合は、最終的に「雑損失」か「雑収入」として処理します。
4-2. 小口現金出納帳は手書きでもパソコンでも構わない
小口現金出納帳はノートに手書きで書き込んでもいいですし、データとして管理しても構いません。最終的に金額がわかればいいため、帳簿をつけるフォーマットに決まりはないのです。
小口現金出納帳を作成する方法としては、以下の3つが挙げられます。
- ノートに手書きで作成する
- Excelで作成する
- 会計ソフトやクラウド型経費精算システムを利用する
記帳の手間や時間を減らしたいのであれば、手書きよりもデータで管理する方法がおすすめです。勘定科目ごとの合計金額や差引残高を自動で計算することができるため、計算にかかる時間も計算ミスも減らせます。
Excelで管理する場合は、ネット上で無料ダウンロードできる小口現金出納帳のフォーマットの活用がおすすめです。計算式があらかじめ入力されているため、Excelが苦手な担当者でも使いやすいでしょう。
会計ソフトやクラウド型経費精算システムを使用すれば、仕訳や経理処理を自動でおこなってもらうことができるようになります。帳簿にかかる時間と手間を大幅に減らせるので、業務効率化のために導入を検討してみてもいいかもしれません。
4-3. ルールに則って運用する
先述のとおり、小口現金は会社のお金です。適切に管理するとともに、計算が合わないといった事象が発生しないよう、細心の注意を払う必要があります。
しかし、業務に慣れてくることで運用のルールを変えてしまい、ミスにつながることもあるかもしれません。
ミスの発生防止や発生時にすぐに気づけるように、マニュアルを用意しましょう。合わせて、マニュアルどおりに運用されていることを確認することも大切です。
5. 小口現金と現金の違いを理解して正しく管理しよう
小口現金と現金は似ているようですが、区別して考える必要があります。
小口現金を管理する「小口現金出納帳」と企業全体のお金を管理する「現金出納帳」にも大きな違いがあるため、それぞれの役割りについてしっかりと理解しておきましょう。
小口現金を管理するときは、小口現金出納帳の内容と手元の残高を必ず一致させることが大切です。はじめは慣れなくて大変かもしれませんが、経理や上司に相談しながら少しずつ記帳方法を身につけていきましょう。
小口現金の管理を効率化したいなら、Excelやクラウド型経費精算システムを使ったデータでの管理がおすすめです。業務効率化のためにも、ぜひ検討してみてください。
「帳簿にズレがないかのチェックが大変で、なかなか仕事が終わらない」「出金や両替で毎回銀行に行くのがとにかくめんどくさい」など、小口現金の管理でお悩みではありませんか?
とはいえ「小口現金を廃止したいけど、どうすればいいのか、そもそもどのような準備が必要なのか・・・?」など、小口現金の具体的な廃止方法や手順がわからないと疑問を抱えている方も少なくないでしょう。
そのような方にむけて小口現金を無くすための手順を解説したガイドブックを用意いたしました。経費精算をラクにしたいという方は、ぜひこちらから資料をダウンロードしてご覧ください。
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