本業と副業で可能な労働時間とは?通算ルールや割増賃金の注意点を解説
更新日: 2026.1.21 公開日: 2022.2.17 jinjer Blog 編集部

近年、働き方の多様化が進む中で、副業・兼業やダブルワーク(Wワーク)を認める企業が増加しています。しかし、労働基準法に基づき本業と副業の労働時間は通算して管理するなど、気を付けるべき点がいくつかあります。
本記事では、本業と副業を両立する際に可能な労働時間の範囲や、36協定における時間外労働の上限規制の取り扱いについて解説します。また、本業先と副業先のどちらが割増賃金を支払うべきかについても紹介します。
目次
残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。
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1. 副業・兼業の労働時間に上限はある?


本業と副業を合わせて可能とされる労働時間は、労働基準法の通算ルールが適用されるため、原則1日8時間、週40時間(法定労働時間)までです。
ただし、それぞれの事業場において36協定が締結・届出されている場合には、個別の事業場ごとに定められた範囲で法定労働時間を超えた時間外労働をおこなうことが可能です。
労働者の1日あるいは1週間の労働時間について、労働基準法第32条では次のように定められています。
使用者は、労働者に、休憩時間を除き1週間について40時間を超えて、労働させてはならない。
使用者は、1週間の各日については、労働者に、休憩時間を除き一日について8時間を超えて、労働させてはならない。
ここで注意したいのは、「労働基準法第32条」の規定が自社だけに適用されるわけではないということです。
労働基準法第38条でも「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」となっています。つまり、労働時間というのは勤務先が2つ以上にのぼる場合でも、「1日8時間、1週間で40時間」が上限になるということです。
ここでは、副業・兼業における労働時間の考え方や時間外労働について解説していきます。
1-1. 副業・兼業における労働時間の考え方
労働基準法第32条の規定は、事業場単位ではなく、労働者個人を基準として適用されます。また、労働基準法第38条では、次のように複数の事業場で働く場合の労働時間の通算に関する定めがされています。
労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する。(省略)
以上より、勤務先が2つ以上ある労働者の労働時間は通算して計算をおこないます。つまり、本業と副業の労働時間を通算し、法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えてはいけないのが原則です。
例えば、本業で休憩時間を除く1日8時間労働を月曜日から金曜日までの5日おこない、土日に副業としてそれぞれ2時間の労働をおこなった場合で考えてみましょう。
本業だけですでに労働基準法で定められた法定労働時間(週40時間)いっぱいまで働いているので、土日におこなう副業の労働時間(2時間×2日=4時間)は、すべて法定労働時間を超えているとみなされます。
労働基準法第32条に違反して、従業員に法定労働時間を超えた労働に従事させた場合、同法第119条1項の規定により、使用者は6ヵ月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金に処される可能性があるので注意が必要です。
関連記事:労働基準法が定める副業・兼業の労働時間や注意点を解説
1-2. 副業の時間外労働も36協定や通算が必要
副業・兼業やダブルワーク(Wワーク)で40時間以上働きたい労働者も少なくないでしょう。法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えて従業員に労働させる場合には、事前に労働基準法第36条に基づき、いわゆる「36(サブロク)協定」を労使間で締結し、所轄労働基準監督署へ届け出る必要があります。
36協定により、原則として「月45時間・年360時間以内」の時間外労働が認められるようになります(※臨時的・特別な事情がある場合には「特別条項付き協定」を結ぶことで一時的な上限超過も可能)。
36協定は、各事業場ごとに締結・届出されるものであるため、時間外労働の上限(月45時間・年360時間)を超えているかどうかの判断は、その事業場における労働時間を基準としておこなうのが原則です。つまり、本業先と副業先といった異なる使用者に雇用されている場合、それぞれの勤務先での時間外労働は通算して判断されません。
しかし、特別条項付きの36協定に関する次の基準については、労働者個人の実労働時間に着目したうえで規制をおこなうものです。
時間外労働 + 休日労働:月100時間未満、月平均80時間以内
そのため、本業のほかに副業をしている労働者については、複数の勤務先の実労働時間を通算して適用する必要があります。
参考:副業・兼業の促進に関するガイドラインわかりやすい解説|厚生労働省
参考:時間外労働の上限規制わかりやすい解説|厚生労働省
関連記事:副業を労働時間と通算しないケースや36協定の通算ルールを解説
1-3. 個人事業主やフリーランスなど「雇用契約」以外の稼働時間は通算しない
従業員が副業・兼業をしている場合は、自社との労働時間を通算しなければならず、労働時間の上限も設けられています。しかし、副業・兼業で「雇用契約」を結んでいない場合は通算しなくてもよいとされています。
つまり、従業員が個人事業主として働いていたり、フリーランスとして契約したりしている労働形態であれば、その分の稼働時間は通算しないということです。
労働基準法の対象となる「労働者」とは、事業者と雇用契約を締結している人を指します。個人事業主やフリーランスは雇用契約を結んでいないため、労働基準法の対象にはならないのです。
例えば、自社で1日8時間働き、フリーランスとして4時間働いているというケースでは、所定労働時間「8時間」を超えていないので時間外労働は発生しません。
1-4. 【注意】副業・兼業時の労働時間や割増賃金ルールの見直しが検討されている
現状の副業・兼業における課題として、正しい割増賃金を計算するために、本業先と副業・兼業先の労働時間を1日単位で通算して管理する必要があり、労使双方の負担が大きいことが指摘されています。この負担が、企業が副業・兼業を許可する妨げになっているのではないか、また、労働者が申告せずにダブルワークをおこなう要因のひとつになっているのではないかと懸念されています。
一方で、副業・兼業が労働者の自発的な選択・判断に基づくものとすれば、本業先と副業・兼業先の労働時間を通算した割増賃金計算は適用されるものではないと整理できるでしょう。しかし、使用者の指揮命令下で働く労働者の健康確保は大前提であるため、労働時間の通算による健康管理は維持すべきと考えられています。
そのため、厚生労働省では、健康確保のための労働時間通算は維持しつつ、割増賃金の支払いに関しては通算を不要とする方向で検討しています。現在は労働政策審議会で詳細が審議中であり、法改正の内容はまだ確定していませんが、2026年以降に法改正が実施された場合に速やかに対応できるよう、社内体制を整備しておくことが重要です。
参考:「労働基準関係法制研究会」の報告書を公表します|厚生労働省
2. 労働時間を通算する原則的な流れ


労働基準法で労働時間の上限が定められているのは、従業員の長時間労働を防ぎ、心身の健康を守ることも目的のひとつとなっています。また、企業は従業員の健康維持だけでなく、時間外労働の手当の支払いが発生するかを確認しなければならないので、労働時間を正確に把握する必要があります。
正しく把握するには、自社の労働時間と副業・兼業の労働時間を算出しなければなりません。ここでは、労働時間を通算する原則的な流れを解説します。
2-1. 所定労働時間を契約順に通算する
所定労働時間は、雇用形態に関係なく契約順に通算します。例えば、A社でアルバイトの雇用契約で働いて、後にB社で有期雇用契約で働いたとしても、先にA社と雇用契約を結んだ場合は「A社の労働時間」に「B社の労働時間」を加算してトータルの労働時間を算出するということです。
通算例は次のようになります。
|
|
月曜 |
火曜 |
水曜 |
木曜 |
金曜 |
|
通算①:A社 |
5時間 |
5時間 |
ー |
5時間 |
5時間 |
|
通算②:B社 |
4時間 |
2時間 |
4時間 |
2時間 |
4時間 |
|
所定労働時間の通算 |
9時間 |
7時間 |
4時間 |
7時間 |
9時間 |
この例を見ると、月曜日と金曜日に所定労働時間(1日8時間)を超えているので、B社の1時間分が法定外労働ということになります。
2-2. 所定外労働時間を発生した順に通算する
所定外労働時間は、所定労働時間を通算後、実際に所定外労働がおこなわれた順に通算します。
前項の例でA社を先労働、B社を後労働として、労働者の実際の労働時間が発生した場合の所定外労働時間は次のようになります。
|
|
月曜 |
火曜 |
水曜 |
木曜 |
金曜 |
|
通算後の所定労働時間(①) |
9時間 |
7時間 |
4時間 |
7時間 |
9時間 |
|
所定外労働時間 |
月曜 |
火曜 |
水曜 |
木曜 |
金曜 |
|
通算順②:A社 |
|
1時間 |
|
2時間 |
|
|
通算順③:B社 |
|
1時間 |
|
|
|
|
1日の労働時間の通算(①+②+③) |
9時間 |
9時間 |
4時間 |
9時間 |
9時間 |
|
法定外労働時間 |
1時間 |
1時間 |
|
1時間 |
1時間 |
この表では、労働時間の通算により火曜はB社の所定外労働1時間、木曜ではA社の所定外労働のうち1時間が法定労働時間(1日8時間)を超えていることがわかります。
所定外労働時間の通算が法定労働時間を超えていなければ、割増賃金が発生することはありません。しかし、法定労働時間を超えている場合は、法定外労働時間として割増賃金が発生します。
2-3. 法定外労働時間を確認する
時間外労働には、「所定外労働時間」と「法定外労働時間」があります。法定外労働時間とは、労働基準法で定められている「1日8時間」「週40時間」を超えて働いた労働時間のことです。
一方、所定外労働時間は、企業側が決めた所定労働時間を超えて働いた時間のことです。例えば、1日7時間と所定労働時間を設定した場合に、1日10時間の労働が発生した場合、1時間が所定外労働時間、2時間が法定外労働時間として扱われます(※週40時間の法定労働時間を考慮していません)。
正規雇用の場合、所定労働時間を「8時間」と設定していることが多いため、法定外労働時間と所定外労働時間は同じと勘違いしやすいかもしれません。しかし、所定労働時間は企業ごとに異なるので、必ず所定労働時間を確認し、所定外労働と法定外労働に区分して、労働時間を計算するようにしましょう。
2-4. 【どうする?】フレックスタイム制を採用しているケース
フレックスタイム制を採用している場合、労働時間は清算期間(最長3ヵ月)で総枠を定めるため、副業・兼業時に通常の労働時間通算ルールをそのまま適用することはできません。
ここでは、P社(フレックスタイム制、先契約)とQ社(所定労働時間制、後契約)で働くケースを例に説明します。
Q社では、P社の1日・週の所定労働時間が固定されていないため、P社の所定労働時間を法定労働時間(1日8時間、週40時間)とみなして通算します。その結果、Q社での労働時間はすべて法定外労働として扱われ、P社での労働に関係なく割増賃金の支払いが必要になります。
一方、P社では、まず清算期間における法定労働時間の総枠範囲内の労働時間と、Q社での労働時間を通算します。その後、P社での法定労働時間の総枠を超えて働いた時間を加えます。
つまり、P社において法定労働時間の総枠を超えた労働が生じる場合、正しくQ社での労働時間を把握しておかなければ、割増賃金の計算にミスが生じたり、36協定の上限違反が発生したりするおそれもあるので注意が必要です。
参考:副業・兼業における労働時間の通算について(労働時間通算の原則的な方法)|厚生労働省
3. 副業者の割増賃金を支払うのは誰?原則ルールを確認


あらかじめ36協定を締結していれば、従業員を時間外労働に従事させることが可能となります。ただし、時間外労働には割増賃金が発生するケースがあります。
これは副業をしている場合でも当てはまるため、副業をすることで法定時間外労働が発生したのであれば、割増賃金を支払わなければなりません。しかし、このようなケースでは、本業と副業どちらの企業が割増賃金を払えばよいのかわからないということもあるかもしれません。
ここでは、副業者の割増賃金に関する原則ルールを解説します。
3-1. 労働基準法第37条:割増賃金の原則
労働基準法第37条では次のように定めており、時間外労働について別途割増賃金を支払うことを義務づけています。
使用者が、第三十三条又は前条第一項の規定により労働時間を延長し、又は休日に労働させた場合においては、その時間又はその日の労働については、通常の労働時間又は労働日の賃金の計算額の二割五分以上五割以下の範囲内でそれぞれ政令で定める率以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
ただし、当該延長して労働させた時間が一箇月について六十時間を超えた場合においては、その超えた時間の労働については、通常の労働時間の賃金の計算額の五割以上の率で計算した割増賃金を支払わなければならない。
このように、労働時間を延長したり、1ヵ月で60時間を超えて延長労働させたりした場合は、原則として割増賃金の支払いをしなければなりません。
割増賃金の計算ルール
時間外労働だけでなく、深夜労働(22時~翌5時の深夜帯の労働)や休日労働(法定休日の労働)が発生する場合も、割増賃金の支給が必要です。
それぞれの割増率の基準は次の通りです。なお、労働基準法が改正されたことで、月60時間を超える時間外労働には50%以上の割増賃金を支払わなければなりません。
- 時間外労働(月60時間以内):25%以上
- 時間外労働(月60時間超え):50%以上
- 深夜労働:25%以上
- 休日労働:35%以上
割増賃金の計算例
例えば、すでに本業で1日8時間勤務しており、その日の深夜に副業で1時間(時給2,000円)働いた場合を考えてみましょう。副業の労働は、時間外労働と深夜労働に該当することになります。
この場合は、それぞれの割増率を合算して割増賃金を計算しなければなりません。つまり、割増率は50%となり、賃金は「2,000円×1.50×1時間=3,000円」を支給する必要があります。
なお、法定休日の取り扱いは事業場ごとに定められるため、本業と副業を通算して休日を判断することはありません。また、法定休日におこなわれる労働はすべて休日労働として扱われるので、時間外労働と重複することはありません。
しかし、法定休日に副業をして、深夜帯に及んだ場合は、深夜労働と休日労働の割増率を合わせて割増賃金を支払わなければならないため気を付けましょう。
関連記事:残業による割増率の考え方と残業代の計算方法をわかりやすく解説
3-2. 副業は後で労働契約を締結した企業が支払う
本業と副業の事業場が異なる場合、法定労働時間を超えた分の割増賃金は、原則として後から労働契約を締結した企業が支払うことになります。なぜなら労働契約を締結する際、使用者はその労働者が他の事業場で働いている実態があるかどうかを確認する義務が生じるためです。
ダブルワークや掛け持ちで他の事業場で働いている=法定労働時間を超える可能性があると知ったうえで雇用するので、後から労働契約を締結する企業の方に割増賃金を支払う義務が生じると考えられています。
また、先に労働契約を締結した企業の方も、通算の労働時間が法定時間を超えると認識していながら副業に許可を出し、なおかつ労働時間を延長させる場合は、割増賃金を支払う義務が発生します。
ただし、変形労働制やみなし労働時間制、フレックスタイム制などの制度は、法定外労働のルールが所定労働時間制とは異なるため、割増賃金の支払いも副業先ではないこともあるので注意してください。
関連記事:副業を労働時間と通算しないケースや36協定の通算ルールを解説
4. 副業者の労働時間管理の注意点やポイント


昨今では働き方改革の影響もあり、副業・兼業やダブルワーク(Wワーク)、パート・バイトの掛け持ちといった柔軟な働き方を選ぶ労働者も増えています。
実際に副業・兼業をする理由は人によって異なりますが、収入を増やしたり自分のスキルをアップさせたりするのが目的となっていることが多いようです。そのため、収入やスキルをアップしようと、働き過ぎる傾向があるといわれています。
そもそも、従業員の中には、労働基準法によって決まっている労働時間の上限を知らない人もいるので、企業が正確に管理する必要があります。
ここでは、企業が副業者の労働時間管理をおこなう際の注意点やポイントを紹介します。
4-1. 管理モデル(簡便な労働時間管理の方法)を取り入れてみる
管理モデルとは、厚生労働省が示す、副業・兼業時の労務管理の仕組みです。労使双方の手続き負担を軽減しつつ、他社での実労働時間を把握せずとも、労働基準法を遵守できる点が特徴です。例えば、X社(先契約)とY社(後契約)で副業・兼業をおこなう場合を考えてみましょう。
X社での法定労働時間(1日8時間、週40時間)を超えた時間と、Y社でのすべての労働時間を合計します。この合計が「1ヵ月100時間未満、複数月平均80時間以内」となるよう、各社の上限を設定します(例:X社は月45時間、Y社は月35時間まで)。
この際、各社が締結する36協定の上限を超えないよう注意が必要です。管理モデルを採用する場合、Y社はX社での実労働時間に関係なく、すべての労働を時間外労働とし、割増賃金を支払わなければならない点がポイントです。
実際に管理モデルを導入する場合、X社がY社に対して提案するのが一般的なケースとされています。ただし、X社からY社へ直接連絡せず、従業員を通じた提案も可能です。
なお、仮に管理モデルで設定した労働時間の上限を超えて労働させた場合、時間外労働の上限規制を超えるなど、労働基準法違反が生じる可能性があります。この場合、実際に労働時間を超過させた企業が、労働時間の通算に関する法令違反の責任を負うことになるので留意が必要です。
参考:副業・兼業における労働時間の通算について(簡便な労働時間管理の方法「管理モデル」)|厚生労働省
4-2. 副業・兼業の届出制や労働時間管理のルールを定める
労働時間や時間外労働の上限などは、労働基準法によってルールが決まっています。しかし、自社内でルールが決まっていないと、知らず知らずのうちに時間外労働が発生する可能性があるので注意しましょう。
労働基準法の規定を守りつつ労働者が安心して働くためには、副業・兼業の届出制や労働時間管理のルールを定める必要があります。
具体的には、「副業・兼業をおこなう際は必ず企業に届け出ること」「副業の内容を確認できる規則を設ける」など、就業規則を見直して仕組みを整え、適切な労働管理をおこなうことが重要です。
また、労働時間の管理も重要なので、副業・兼業先の労働時間を通算する手順も統一化しておきましょう。通算労働時間の計算は、次の流れでおこなうことが原則となっています。
- 所定労働時間の通算(雇用契約を結んだ先後の順で所定労働時間を通算)
- 所定外労働時間の通算(実際に所定外労働がおこなわれた順に通算)
ただし、個人事業主や家業、共同経営、管理監督者など労働基準法で労働時間規制が適用されない副業の場合は、通算するしなくてよいので、「副業・兼業の届出」だけで問題ありません。
管理監督者(管理職)や一部の業種は労働時間の規定が適用されない
労働基準法第41条の次に該当する労働者は、労働時間・休日・休憩の規定の影響を受けません。
この章、第六章及び第六章の二で定める労働時間、休憩及び休日に関する規定は、次の各号の一に該当する労働者については適用しない。
一 別表第一第六号(林業を除く。)又は第七号に掲げる事業に従事する者
二 事業の種類にかかわらず監督若しくは管理の地位にある者又は機密の事務を取り扱う者
三 監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたもの
引用:労働基準法第41条|e-Gov法令検索
例えば、A社では管理監督者として、B社では一般労働者として働いている場合、A社での労働時間は労働時間規制の適用除外となるため、一般的にはB社での労働時間を基準として、時間外労働の有無を判断することになります。ただし、これはあくまでA社での職務内容が法律上の「管理監督者」に該当する場合に限られます。
なお、管理監督者であっても深夜労働に対する割増賃金については支払い義務があります。また、労働時間の規定が適用除外される労働者であっても、健康管理の観点から労働時間の把握は必要なので、正しく勤怠管理をおこないましょう。
関連記事:労働基準法第41条に基づく適用除外の項目と該当者について解説
4-3. 副業者が正しく自己申告できるようサポートする
副業者の中には「副業が企業にばれたくない」と考える人が少なくありません。しかし、企業は労働時間管理が義務となっているため、労働者に周知をして適切な運用をおこなう必要があります。
厚生労働省も、次のように副業者に自己申告をさせることを推奨しています。
労働者の方へ・・・
使用者が適切な労務管理を行えるよう、ご自身でも勤務先の各企業での労働時
間を把握し、それぞれの使用者に報告するようにしましょう。
副業者が自身の労働時間を正確に自己申告できる環境を整えるには、まず申告そのものにかかる負担をできるだけ減らすことが不可欠です。申告作業が複雑だったり、手続きが煩雑だったりすると、入力漏れや申告遅れが発生しやすくなり、結果として実態の把握が難しくなります。
そのため、企業としては労働時間を申告するためのフローや手続きを整理し、誰でも迷わずスムーズに申告できる仕組みを整えることが重要です。例えば、「オンラインで簡単に入力できるフォームを用意する」「自動で労働時間を集計する機能を導入する」といった工夫を取り入れることで、申告の手間を大きく削減できます。
さらに、定期的なリマインド通知や、入力ミスを自動でチェックする仕組みを組み合わせれば、副業者がストレスなく、かつ正確に申告できる環境が整い、企業としても信頼性の高い労働時間管理が実現できます。
4-4. 副業・兼業者の健康管理や働きすぎに注意
労働基準法第32条で1日あるいは1週間の労働時間が定められているのは、労働者の生命や健康を安全に維持するためです。
労働契約法第5条でも、次のように規定し、従業員が健康かつ安全に仕事に従事できる環境を整えることを使用者側に義務づけています。
使用者は、労働契約に伴い、労働者がその生命、身体等の安全を確保しつつ労働することができるよう、必要な配慮をするものとする
法定外労働時間も、1ヵ月45時間、1年360時間を超えないという規定はありますが、ダブルワークは心身にかかる負担が大きく、人によっては過労による体調不良などに見舞われるおそれがあります。
本業の他に副業をおこなう従業員がいる場合は、定期的に心身の様子や状態を確認し、必要に応じて指導やアドバイスをおこなう体制を整えておいた方がよいでしょう。ITプロパートナーズが副業を行っているエンジニアに実施したインタビューによると、ダブルワークや掛け持ちを始める場合、土日OK・週1OKの稼働時間が少ない案件から始めることを推奨しています。
4-5. 勤怠管理システムを導入して労働時間の集計を自動化する
正しい労務管理のためには、労働者自身が自分の労働時間を把握し、必要に応じてそれぞれの使用者に報告できる仕組みが重要です。しかし、本業と副業の両方で勤務している労働者にとって、労働時間を正確に管理することは大きな負担となります。
このような状況をサポートする手段として、勤怠管理システムの活用が有効です。勤怠管理システムでは、所定労働時間をあらかじめ設定しておけば、労働時間や時間外労働を自動的に管理できます。また、法定外労働時間が超過しそうになった場合にアラートで通知する機能を持つシステムもあり、長時間労働の防止に役立ちます。
ただし、副業先での労働時間まで完全に把握することはシステム単独では難しいため、管理モデルの導入や申請フローの整備なども併せて検討し、労使双方が無理なく管理できる環境を整えることが重要です。
関連記事:勤怠管理システムとは?はじめての導入にはクラウド型がおすすめ
5. 正しい知識をもとに副業・兼業の労働時間管理をおこなおう


労働基準法により定められた法定労働時間(1日8時間、週40時間)は、複数の事業場にまたがっても通算されるため、本業に加えて副業をおこなっている場合、労働時間の合計が法定労働時間を超える可能性があります。
法定労働時間を超えた分には割増賃金の支払いが法律上義務付けられており、副業先として従業員をパート・アルバイトなどで雇用する場合には、他社での勤務状況を踏まえた労働時間・賃金の管理に注意が必要です。
割増賃金は原則として後から労働契約を締結した企業(副業先)が支払い義務を負いますが、副業を容認しつつ、残業や休日出勤をさせた場合、先に労働契約を締結した企業(本業先)も割増賃金の支払い責務を負うので注意しましょう。
また、ダブルワーク(Wワーク)をする従業員は、長時間労働や過労により健康を損なうリスクが高まるため、労働時間の把握や健康配慮に関する対応も重要となります。



残業時間の管理や残業代の計算では、労働基準法で「時間外労働」と定められている時間を理解し、従業員がどれくらい残業したかを正確に把握する必要があります。
しかし、どの部分が割増にあたるかを正確に理解するのは、意外に難しいものです。
当サイトでは、時間外労働の定義や上限に加え、「法定外残業」と「法定内残業」の違いをわかりやすく図解した資料を無料で配布しております。
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